森保ジャパン、8強入りならず(4)

――監督のメンバー選考に問題があったということですか。 

 

城 日本は、ターンオーバーするようなレベルじゃない。それに連携面を考えると、海外組の選手が多く、招集時間も短くて、事前合宿が組めない中、ちょっとした練習でコンビネーションを深めていくのはすごく難しいんです。そこで、鎌田らと一緒にやったことがない上田を使って、前半だけで交代させました。 

 

 後半の最初から浅野(拓磨)を出すんですけど、だったら最初に使ったほうがいい。あれだけ前半ボールを保持している中、ドイツ戦のメンバーでいけば2、3点は取れた。前線の組み合わせ、メンバー構成を含めて監督が間違えてしまったのかなと思いました。 

 

コスタリカ戦の采配に批判が集まる森保一監督 ©JMPA 

 

城氏が危惧する“アトランタ五輪の二の舞” 

 

――攻撃は、単調で単発に終わっていました。 

 

 相手が攻めてこない中、日本は一定のリズムでパスを回して、全部2タッチで横に流していくだけなので、相手は怖くないんですよ。くさびとなる縦パスが入ると相手も警戒するんですけど、そういう縦のボールを入れられる選手がいなかった 

 

 ほぼハーフコートマッチになっていたことを考えると遠藤(航)と守田(英正)のどちらかに代えて、柴崎(岳)や田中碧をといった、前にボールを出せる選手を入れたほうが攻撃が機能したと思いますし、鎌田がより活きたと思います。鎌田は、ずっとボールがほしいと要求していましたから。 

 

いつものプレーができなかった鎌田大地 ©JMPA 

 

――途中から3バックにして、ドイツ戦の再現をしようとしました。 

 

 三笘(薫)を左のアウトサイド、伊東(純也)を右のアウトサイドに入れて、両サイドを上げる超攻撃なシステムに変更したけど、僕はシステムを変えるよりも遠藤を代えるなり、人の配置を変えたほうがいいと思っていました。 

 

 もちろん策はいろいろあったと思うんですが、結局ドイツ戦のような形にすれば何とかなるんじゃないか、という風に見えてしまいましたね。 

 

三笘薫は試合終盤にチャンスを演出したが…… ©JMPA 

 

――コスタリカに負けて日本は1勝1敗で勝ち点3。前回、城さんが指摘されたアトランタ五輪に流れが似てきています。 

 

 本当にアトランタ五輪の二の舞になりそうですね。あの時、自分たちは3試合で2勝1敗だったんですが、2試合目のナイジェリアに0-2で負けた失点が大きく、得失点差で上に行けなかった。1点の重みを痛感させられました。 

 

 だから、今回のコスタリカ戦の0-1という敗戦が本当にもったいないし、悔しいですね。しかも、今回の最終戦はスペイン。僕らの時はハンガリーでしたが、その相手とはまるでレベルが違います。 

 

――そのスペインに、日本はどのように対峙していけばいいのでしょうか。 

 

城 スペインはドイツ、コスタリカよりも明らかに強い相手ですし、攻撃的なチームなので、完全に主導権を握られるでしょう。ある意味、コスタリカ戦のコスタリカに日本がなる感じだと思います。勝機を見出すとすれば、まずは11人で徹底して守り切ることですね。試合を0-0で終わらせ、ドイツが勝ったとしても得失点差で2位抜けするしかない。 

 

 ただ、ドイツが2点以上取って勝った場合、グループリーグ敗退が決まりますが……。とにかく守備一辺倒になってもいいので、勝ち点1を狙いにいくしかないでしょう 

 

スペイン戦も厳しい戦いが予想される ©JMPA 

 

スペイン戦の理想のスタメンは? 

 

――コスタリカ戦ではスタメンが5人入れ替わりましたが、スペイン戦の理想のスタメンは? 

 

 基本的にドイツ戦と同じでいいと思います。前田(大然)を1トップにして、左サイドは久保(建英)か、相馬でもいい。あとはトップ下に鎌田、右サイドに伊東で、ボランチは遠藤と守田。でも、遠藤はちょっと心配です。 

 

――遠藤が心配というのは? 

 

 ドイツ戦でかなり消耗したと思います。それにコスタリカ戦は暑い中、フル出場を果たした。ちょっとミスが多かったのは、かなり疲れているからだと思うんです。 

 この状況は、東京五輪の時とすごく似ているんですよ。遠藤はずっと試合に出続けていたので、準決勝のスペイン戦では相当疲れ切っていて、ミスが多かった。そのことを考えるとコスタリカ戦は休ませてもよかったのかなと思いました。 

 

疲労が心配される遠藤航 ©JMPA 

 

――最終ラインには、ケガ人が出ています。 

 

 最終ラインは長友(佑都)、吉田(麻也)、板倉(滉)でいいけど、右サイドバック酒井宏樹がいないのが痛い。それに本来ならスペイン戦で冨安(健洋)を起用したかったはずです。でも、故障しているので。うーん、この最終ラインがどこまで耐えられるか。下手をすれば、かなりちんちんにされるかもしれません。 

 

――日本がスペインに勝つ、あるいは引き分けに持ち込む可能性はどのくらいありますか。 

 

 日本がスペインに勝つ確率は30%ぐらい。引き分けは40%ぐらいでしょう。でも、ここで本気のスペインに当たる怖さですよね。 

 僕もスペインでプレー経験があるので、彼らの技術の高さ、スピード、強さを理解しています。しかも今のスペインは若手とベテランが融合していて、本当に強い。こてんぱんにやられないことを祈るしかないですね。 

 

©JMPA 

 

(取材・文=佐藤俊) 


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(続く)