カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(3)

例の「ユーロ7」である。2025年より施行されることになっている。 

 

ユーロ7では、一酸化炭素CO、炭化水素HC、窒素酸化物Noxに加え、 

アンモニアNH3、メタンCH4、二酸化窒素NO2の規制が追加。 

 

アンモニア人体に有害、メタンオゾンを生成、温室効果ガスである、二酸化窒素は呼吸器に影響する。 

 

CO2は、2025年15%削減、2030年37.5%削減が予定、95g/kmから80g/km→60g/kmとなる。但し37.5%減は55%減に変更されているはずだが、まだ正式な削減案となっていないかもしれない。 

 

もし55%減となっていれば、95g/km→80g/km→43g/kmとなり、内燃機関・ICEでは達成が難しい数字となり、まさしくBEV(FCEV、HICE=水素EG車)でなければならなくなっている。 

 

しかも超高速走行130km/hでの試験もあるので厳しい。日本は100km/hまで。空気抵抗は速度の2乗に比例する。 

と言うことは、ガソリンエンジンでは達成がむつかしくなり、追加触媒装置も高額となり、IOEは諦めざるを得なくなり、BEVなどへの移行が進むことになる。 

従ってクルマの電動化が進み、HEV以上でなければ基準達成は難しい。 

HEVでも難しく、PHEV、BEVへと向かうことになる。 

 

更には、人口増加、20世紀始めは16億人、現在78億人、クルマも増える訳でO2削減は待ったなしなっている。 

 

以上は(https://bestcarweb.jp/feature/column/391991?prd=1)を参考にしているので、詳しくはここを参照願う。 

 

次に各国の排出ガス規制の内容について、述べてみる。これは若干内容的には古いかもしれないので、そのつもりで。 

 

 

 

 

欧州排出ガス規制(ユーロ6,7):CAFE(Corporate Average Fuel Efficiency) 

 

Euro4 (乗用/小トラ) 

Euro5 

Euro6,2021年~ 

Euro7,2025年~ 

NOX 

0.25g/km/3.5g/kWh 

0.18g/km /0.80 

0.08g/km/同左 

 

PM 

0.025g/km/0.02g/kWh 

0.005g/km/ 

= Euro5 

Life Cycle
Assessment ↓ 

CO2 

 

130g/km以下 

94.9g以下
24.44km/L
 

LCA(生産~廃棄)評価となる。HVEVではCO2は同等となる。 

                                       (※)上記では、95g/km→80g/km→43g/km 

この2021年規制をクリアできるメーカーは、トヨタHV)とテスラ(BEV)しかない。他社は数千億円単位の罰金を支払わなければならない。コロナ禍で売り上げ減で助かる。            

  

トヨタCO2排出の少ないHV車を売りまくっているからクリアできており、'19/4月にはそのHV特許を公開している。 

テスラはBatteryEV専業だからCO2の排出はない。バッテリーはパナソニック2170円筒型やCATLの箱型である。→Contemporary Amperex Technology 

2030年以降CAFE規制はこれからもさらに厳しくなるため、ZEV(BEV,FCV)車でなければクリアできなくなる。 CATL→中国の世界最大の電池メーカー、寧徳時代新能源科技 

 

  

欧州委員会EC「欧州グリーンディール」法案:自動車に対するCO2削減目標
2021年7月14日、「ウルズラ・フォン・デア・ライエン」委員長発表 

  

(1)2030年までに2021年比でCO2は55%の削減 ← 当初は37.5%削減であった。 

(2)2035年までにはCO2は100%削減 →ICE禁止、 HEVやPHEVも販売できなくなる。 

[(3)2050年にはCarbonNeutral(CN)とする。すなわちCO2排出ゼロ目標(2019.12.11)] 

  

という厳しいものである。2035年には、ICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)は販売できなくなる。EVかFCVかHICE(水素エンジン車)しか売れないことになる。 

  

一説によると、気候変動対策に名を借りたEUの自動車保護政策であり、HVの得意な日本車潰しに他ならない。 

  

2015年に発覚したVWディーゼルケート事件もトヨタのHV対策であったが、今回のECの「欧州グリーンディール」法案も、トヨタのHEVへの対抗策の意図が見え見えである。 

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05854/ 

またCO2の排出量の多い電源で生産される工業製品には、国境炭素税などの関税がかけられる可能性も出てくる。EUは2023年にはCO2排出量のヒアリングを開始し、2026年より課税する予定。まずは鉄、セメント、アルミ、肥料、電力の5品目を対象とするが、やがては・・・。 

(続く)