カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(11)

ルノーは現在構造改革に取り掛かった直後である。昨年2022年11月パリで事業改革説明会を開き、事業を5分割して再出発しようとしているさなかである。そうでもしないと、欧州でのBEV化が進む中、会社が立ち行かないと言った状況のようだ。

 

 

5分割とは、 

(1) BEV部門 新会社「アンペア」アルコムと資本提携、クーグルと提携 

       日産も出資している。 

(2) ICE部門 新会社「ホース」中国の吉利汽車資本提携、日産出資せず。 

(3) プレミアム部門 スポーツ車「アルピーヌ」 

(4) 金融サービスとモビリティ部門 

(5) リサイクル部門

 

と言った塩梅で、ルノーは「ルノー」ではなくなってしまったのである。 

 

そうでもしないと生き乗れないとの経営陣の判断であったようだ。そのため日産を子会社として置くことが、障害となると判断されたのであろう。特にBEVについては、どうしても日産の助けを借りなければならないとと言うEUの政治状況もあったようだ。2035年にはBEVしか販売できなくなる可能性があるからだ。

 

 

その結果が、電気自動車の新会社の「アンペア」の設立であった。これに日産もぜひ加わってもらわなければならなかったわけだ。ルノーだけでは電気自動車の会社を成り立たせることに、大いなる不安を感じていた、と言うこと。 

 

ICE・内燃機関から電気自動車への移行と言う100年に一度の大変革である。

 

 

この'35年の「EVシフト」は、ルノーに限らずジャーマンスリーのVW,BENZ,BMWにとっても一大事である。 

 

早速、ドイツ政府がEUにいちゃもんを着けたのだ。 

 

CO2を排出しなければ、BEVでなくてもよいのではないか、'35年には合成燃料(e-fuel)でもよいではないか、と提案したのである。

 

 

それもそうであろう、EU全域で高価なBEVしか売れなくなってしまったら、中東欧のEU諸国では、新車は高すぎて売れなくなってしまうことも考えられるのである、かといってe-fuelがすぐにでも流通出来るわけでもないのだが。

 

 

 

欧州の「EVシフト」にブレーキ!? ドイツが「e-fuel」提案!「2035年完全EV化」なかったことになる?

2023.03.06  桃田健史 

 

2035年の完全EV化は難しい? 

 

 

 2023年2月27日、ドイツ政府が欧州連合EU)に対して、2035年以降に欧州域内で「e-fuel(イーフューエル)」を使用する新車販売について認めるよう要望を出したことが明らかになりました。

 

  

 このニュースを知って「ほらみたことか。やはり、日本の考え方が正しかったのだろう」と思う人がいるかもしれません。 

 

欧州の「2035年完全EV化」どうなる?© くるまのニュース 提供   

 

欧州の「2035年完全EV化」どうなる?

 

日本では、自動車メーカーと二輪車メーカーの業界団体である日本自動車工業会が、「カーボンニュートラル実現には、EVのみならず、e-fuelなどカーボンニュートラル燃料を使った内燃機関の存続を含めた、さまざまな選択肢があるべき」と主張してきたからです。

 

 

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 もし、ドイツの主張がEUで通れば、日本を含めたグローバルでのEVシフトはひと息つくのでしょうか。 

 

 今回、ドイツが修正案を要請したのは「Fit for 55」に対してです。欧州議会2023年2月14日欧州グリーンディール政策の一環として採決されて可決した重要な規制です。

 

 

 Fit for 55により、2035年時点で欧州域内において販売可能な乗用車と小型商用車(バン)はZEV(ゼロエミッションヴィークル)になります。 

 

 ここでいうZEVとは、EVまたは燃料電池車を指し、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車は含まないという解釈ですが、これに対して、ドイツはe-fuelを認めるべきという姿勢を改めて示したのです。

 

 

 つまり、ガソリン車やディーゼル車に加えて、ハイブリッド車プラグインハイブリッド車が含まれる可能性もあるということになります。 

(続く)