カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(13)

CO2の排出基準は 

2021年~ 95g/km以下1990年規制)となっているが、 

 

・乗用車   2030年目標 -37.5% → -55%へ、2035年目標 -100%(排出0) 

・小型商用車 2030年目標 -31.0% → -50%へ、2035年目標 -100%(排出0) 

インセンティブ 一定のZEV車の販売目標値達成メーカーは、排出基準値 

         の5%まで緩和する措置は、2030年で打ち切る。 

・小規模生産者への適用除外措置 2030年に打ち切る。 

 (乗・千台~1万台、商・千台~2.2万台の新車販売/年 ) 

https://ecocar-policy.jp/article/20210720/ 

 

繰り返しになるが、こんな内容と言ったもののようだ。 

 

まあ、重ねて言うのだが、ICE・内燃機関の新車はEUでは、2035年には販売できなくなる、と言うことで、日本が得意のHEVやPHEVも販売が出来なくなるのである。そして、BEVへの急速充電設備の設置が急務となってくるものと思われる。思われる、ではなくて必須となってくるのである。 

 

EUの環境対策と当時に、トヨタのHEV潰しの電気自動車シフト政策である。そのとばっちり(?)を、ルノーも受けているものと思われる。慌ててかどうかは知らないが、ルノーは「アンペア」という電気自動車の新会社を作ろうとしているのである。 

 

 

日産・ルノーの資本比率見直し、EV新会社「アンペア」への出資メリットは? 

2023.3.2 

鶴原 吉郎=オートインサイト代表 

 

 日産自動車とフランスRenaultルノー)の提携の見直しが発表された。ルノーが日産への出資比率をこれまでの43.4%から15%に引き下げることや、これまで議決権が与えられていなかった日産の持つルノー株15%に、議決権が与えられることばかりに焦点が当たり、ルノーが日産に対して譲歩しているような論調が目立つ。しかし筆者は、ルノー今回の提携見直しで、欲しかったものはちゃんと手に入れたと考えている。 

 

 そもそも、今回の提携見直しは、ルノーの事業再編の一環としてなされた。ルノーは現在、事業を「EV(電気自動車)とソフトウエア」「エンジンとハイブリッド」「プレミアム」「ファイナンスとモビリティーサービス」「リサイクル」の5つに分割・再編しようとしている。EVとエンジン車では「稼ぎ方」が大きく変わってくる以上、EVとエンジン車の事業を分割することは利にかなっている。 

 

 今回、日産の出資が取り沙汰されているルノーの子会社「アンペア(Ampere)」は、この「EVとソフトウエア」を担当する。一方、「エンジンとハイブリッド」を担当する子会社は、中国・吉利汽車(Geely)の親会社である同・浙江吉利ホールディングス(Zhejiang Geely Holdings)と折半出資で設立する予定だ。日産にはこちらの子会社への出資はメリットがないとして見送った経緯がある。しかし、アンペアへの日産の出資に対して、ルノーは強くこだわった 

 

 それもそうだろう。ルノー・日産アライアンスのEVラインアップの中核をなす「CMF-EV」プラットフォーム(common module family)は日産主導で開発されたものだ。またルノーはこれまで主に韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)からEV用バッテリーを調達してきたが、今後は日産も出資する中国Envision AESC Group(エンビジョンAESCグループ)からの調達を拡大する。さらに将来的には、日産が開発を進める全固体電池の採用も視野に入れているだろう。つまり、今後アンペアがEV事業を展開するうえで、日産は不可欠なパートナーだった。この重要さに比べれば、ルノー本体の日産への出資比率を引き下げることは、優先順位としては低かったといえる。またルノーとしては日産株の売却益も得られるわけで、出資比率を引き下げる実質的なデメリットはほとんどない 

 

 

「CMF-EV」プラットフォーム(写真:ルノー)[画像のクリックで拡大表示] 

 

 

 むしろ課題を突き付けられているのは日産のほうだろう。日産はアンペアへの出資で、いかに実質的なメリットを引き出すかを考えなければならない。15%という低い出資比率にもかかわらず、技術面で過大な貢献を求められれば、日産にとって出資はむしろデメリットになる。開発費用の分担や、開発成果の利用について、いかにフェアな関係を構築していくかが課題になる。 

 

 もう1つの懸念は、ルノーがアンペアで担当するソフトウエア開発の実効性である。ルノー・日産グループは共同で「FACE」と呼ぶビークルOS(車載ソフト基盤)の開発をルノー主導で進めている。しかし、FACEの実質的な開発はルノー社外のソフトウエア開発会社が受託して進めている。このソフトウエア開発会社は、筆者の知る限りでは自動車分野での実績に乏しく、本当に競争力のあるビークルOSを開発できるのかは未知数だ。 

 

 いずれにせよ、今回のルノーによる出資比率の引き下げと、日産がルノーに対する議決権を得たことで、日産の事業展開の自由度が増えるのは事実だ。ルノー浙江吉利ホールディングスとエンジン子会社を設立する以外に、韓国事業でも吉利と提携するなど、日産以外の企業と関係を深めている。日産もルノーとの提携にとらわれず、案件ごとに最適なパートナーを選ぶ機会が増えるだろう。 

 

アライアンスに関する声明 

https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-566b1e4f2eb43848021b8d60f613ff74-230130-03-j日本 

 

経済新聞の関連記事https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC083WE0Y2A101C2000000/ 

 

[日経クロステック 2023年2月1日掲載]情報は掲載時点のものです。 


https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00113/00101/?P=2 

(続く)