カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(14)

上記の論考では、ルノー・日産グループは「FACE」と言う車載OSを開発していると書かれているが、このソフト開発はルノー主導で外部委託されているという。しかしながらこの委託先は自動車分野には素人だという。とすると、このソフトはクルマに載せた場合有効に機能するものか、若干心配が残るものとなるのかもしれない。日産の「アンペア」への投資は最大15%だというので、極力少なくするべきなのではないのかな。 

 

BEVは、日産独自でも開発出来るものと思われるし、他にも協業できる企業やベンチャーは、沢山存在するのではないのかな。日産の、と言うよりも内田誠社長の手腕が問われるところなのであろう。 

 

アンペア」は何故合弁企業などの形態をとらなかったのであろうか、と言った疑問も残るものである。ルノーITなどの異業種と組むために、合弁にはしなかったものと思われる。 

 

日産はアンペアへの15%程度の出資で、どれほど効果的な影響を自社に取り込むことが出来るものであろうか。単に、ルノーに使われるだけの存在となってしまわないかと、懸念が残るものである。 

 

なんと言っても、BEVのプラットフォームは日産主導で開発されたものだというではないか。 

 

最も問題となるものは、共同で取得した特許などの知的財産の取り扱いではなかったか。 

 

「アンペア」では、その共同知財はもとより、日産独自の特許をルノーは狙っていたのではないのかな。何とかして、日産独自の特許もこの「アンペア」では使えるように策略していたのではないのかな、とは思い過ごしか 

 

そのための日産株の放出ではなかったか。ならば日産は、知財の保護のために、この「アンペア」には深入りすべきではない、ものと思われる。 

 

この論考でも、「 むしろ課題を突き付けられているのは日産のほうだろう。日産はアンペアへの出資で、いかに実質的なメリットを引き出すかを考えなければならない。15%という低い出資比率にもかかわらず、技術面で過大な貢献を求められれば、日産にとって出資はむしろデメリットになる。開発費用の分担や、開発成果の利用について、いかにフェアな関係を構築していくかが課題になる。」と、言っているではないか。 

 

BEVの開発についてはルノーに主導権を握られ、日産の知財が思うように(ではないにしても)使われてしまい、日産にはそれほどメリットがない、と言った事態は何としても避けねばならない。 

 

だから日産は、知財にとことん拘(こだわ)ったのである。 

 

クルマ産業は、当時、大量生産・大量販売のために開発や生産工程の標準化を推進した。そして世界の市場を相手に、商売を拡大させていったが、近年そのマーケットの複雑な変化への対応に遅れだしてしまった。そして環境対応への適応に真っ先に迫られたのである。その変化への対応のために、ICTなどの異業種の助けが必要となってきてしまったのである。 

 

フランスのルノーは、その動きに乗り遅れそうになっていたのである。だから大統領であるマクロンは、ルノーの衰退と共にフランス自体の国力の衰退を恐れたのである。だからルノーは日産と対等な関係で、再出発せざるを得なかった、と言う訳ではないのか。 

 

 

車300兆円、知財を軸に再編 産業秩序転換の号砲 

激動モビリティー 日産・ルノー再出発の未来(上) 

2023年2月8日 2:00 [有料会員限定] 

 

(左から)内田誠日産社長、ルカ・デメオルノーCEO、加藤隆雄三菱自社長らによる6日の記者会見=ロイター     

 

【この記事のポイント】
・日産とルノーの資本関係見直し交渉は知的財産を巡り曲折
ルノーが対等の関係を受け入れたのは日産の特許が必要だから
・自動車再編は車メーカーにとどまらずIT企業なども巻き込む 

 

日産自動車と仏ルノーが15%ずつを出資し資本関係を対等にすることで合意した。世界で年間300兆円に達する自動車産業の再編は知的財産に軸が移る。電気自動車(EV)シフトやソフトウエアが重視される中、車の機能は知財が左右する。自動車産業は新たな価値創造を迫られる大変革期に入った。 

 

ふざけている。知財は絶対に守る」。詰めの協議に入ったある日、日産幹部は憤りをあらわにした。EVの共同特許などの扱いが不利になりそうだったためだ。 

 

合意は近いと踏んだルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は日産側の思わぬ抵抗にあぜんとしたという。知財の溝は深く交渉はたびたび暗礁に乗り上げた。 

(続く)