カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(17)

先ずなんと言っても、この日産が「ルノーを気にせず事業戦略に集中できる状態」になった意味は大きい。 

 

またルノーとしても、EVで出遅れていたものを立て直すことのできる状態に戻すことが出来たと言える。日産の技術と資金を、潤沢にとは言わないが使えることになったのであるから。 

 

だが日産はICE車開発関連の新会社「ホース」へは、共同知財の利用を認めないと返答している。BEV関連の新会社「アンペア」へは、日産は最大で15%出資するとしているが、EVなどの共同知財についても、ルノーの譲歩を引き出したことにより、日産の知財が守られたのであろう、だから出資に同意したものと思われるのである。 

 

アンペア」でのメリットを日産は期待するよりも、独自の事業戦略に精を出すのではないのかな。その方が、ルノーとチマチマやるよりも成長性が期待できるのと言うものではないのかな。日産は軽EVで好調を博しているので、これを機に特色あるBEV化に邁進してほしいものである。 

 

その点どんな経営戦略をとるのか、内田誠社長の腕の見せ所となろう。 

 

 

 

日産とルノー、いびつな「不平等」ようやく解消...仏政府も支持 熾烈なEV化競争の渦中、勝ち残り容易でなく 

2023年02月14日18時45分 

 

日産自動車に対するフランス自動車大手ルノーの出資比率に関する交渉がようやく決着した。合意に至る過程はなかなか複雑だった。 

 


日産とルノー、いびつな「不平等」ようやく解消...仏政府も支持 熾烈なEV化競争の渦中、勝ち残り容易でなく
       

 

三菱自動車を含む3社連合は維持されるが、自動車業界は大きな転換期にあり、勝ち残るのは容易ではない 

 

フランス会社法の規定で議決権がなかった日産 

 

J-CAST会社ウォッチ「日産とルノー、資本関係見直し...日産が求める『不平等解消』へ、協議進んだ『2つの要因』と『今後の交渉ポイント』」(2022年10月28日付 https://www.j-cast.com/kaisha/2022/10/28449012.html)でも報じたとおり、2022年秋に入り、日産とルノーの交渉は大詰めを迎え、11月にも合意すると見られていた。だが、予定より3か月ほど遅れて合意に達し、23年2月6日、3社首脳がロンドンでそろって記者会見して発表した。 

 

合意は、仏ルノーから日産への出資比率を、現在の43%から、日産が保有するルノー株の比率と同じ15%に引き下げ、互いに対等な資本関係にする。そのほか、ルノーが設立するEV新会社「アンペア(アンペール)」日産が最大15%出資。さらに、中南米やインド、欧州で新型車やEV投入の検討など、共同プロジェクトを進めることなどが盛り込まれた。 

 

最大の眼目である出資比率の「平等化」には、昨秋の記事でも取り上げたように、「歴史」がある。 

 

2兆円超の有利子負債を抱え経営危機に陥った日産は1999年ルノーから約6000億円の資本支援を受け、カルロス・ゴーン元会長が最高執行責任者として送り込まれた。ゴーン氏は、大リストラを断行して経営を立て直し、2016年には燃費不正問題で経営が悪化した三菱自動車に日産が出資し、3社連合となった。 

 

両社の株の持ち分は、ルノーが日産の43%、日産がルノーの15%を、それぞれ持ち合う形になったが、日産はフランスの会社法の規定で議決権がなかった。ところが、業績面では22年の世界販売台数が日産322万台、ルノーグループ205万台というように、日産が上回るいびつな関係が続き、日産には「不平等条約」との不満が強かった。 

 

日産とルノーのトップを兼ねるようになったゴーン氏が2018年に東京地検特捜部に金融商品取引法違反疑いで逮捕(日本からレバノンに逃亡し、刑事訴追は停止中)され、両社の関係は混乱する。 

 

19年にはルノー株を15%保有する仏政府の意向を受けたルノーが日産に経営統合を提案、日産の強い反発で白紙に戻るなど、ぎくしゃくした関係が続いていた。 

(続く)