カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(26)

つまるところ、軽ではCO2の排出を防ぐためには「短い航続距離」でも我慢する必要がある、と言うことでは、何の工夫もない話だと言うことなのでしょうか。 

 

CO2の排出を防ぐためには、BEVだけではなくFCVやe-fuelなど全方位が必要なのではないでしょうか。そして使う側の「使い分け」が、多分必要となってくるものと思われます。 

 

バッテリーやモーターには希少金属レアアースが使われて高価で、しかも重たくて、航続距離を稼ぐためには、沢山の高価なバッテリーを搭載しなければならないし、充電にも相当時間がかかると言った欠点があるわけで、バッテリーの革新が必要なことはわかり切ったことなのです。 

 

と言うことで小生は、フェルさんは「まさに身を挺して航続距離と充電場所の問題提起をされた」ものと、高く評価したいと思っています。 

 

軽自動車なら軽なりの使い方・使われ方、があるのではないかと、小生は思っています。 

フェルさんは、「サクラ」があまりにも豪華であったために、少し長距離走行しすぎたきらいがあった、ようにも(小生には)思えます。もちろん軽でも、そんなケースがあって当たり前なのですが、所詮軽は短距離用のモビリティだと思っています。BEVであれば猶更(短距離用のクルマ)です。 

 

近場だけと割り切るティーコミューターとして使うなら、これ以上に優れたクルマはあるまい。しかし遠出はイカン。「充電難民」は本当につらいのである。」とは、まさに的を得た結論なのである。 

 

しかもなんと言っても、BEV・電気自動車だけが「脱炭素」の手法だとは思えないのです。 

 

 

しかもこの「サクラ」(と「ekクロスEV」)は、第43回の「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した車なのである。 

 

そんな車でも、電気自動車である限り乗り回していれば、早々にバッテリーの電力がなくなるわけで、再充電しなければならなくなることは自明の理であります。 

 

たまたまフェルさんは長距離をこのBEVの軽自動車の「サクラ」で移動することになり、「充電難民」となってしまわれたと言うことであり、身を挺してEVの問題点を体験された貴重な経験者となられたのだと思われます。 

 

振り返ってこのことを考えてみれば、 

 

電気自動車・BEVでは、長距離を走る場合には、そして軽であれば猶更、その時と場所をわきまえて走らなければならない、と言うことが鉄則なのではないでしょうか。 

 

このことは、当然ICEでも同じことで、ガソリンスタンドなどのない山奥や夜間などに走行するときなども、これと同じ状況となるものですが、特に走行距離に制約のあるBEVであれば、猶更です。 

 

特にバッテリーの搭載量の少ない軽自動車であれば言うに及ばず、軽自動車であればある程、その使い方には注意が必要となるものと考えられるのです。 

 

 

と言うのも、軽自動車と言うものはいわゆる(かっこよく言えば)「シティコミューター」なのではないでしょうか。 

 

平たく言えば、「下駄替わり」のクルマなのである。長距離を走ろうとするクルマではないのです。だから、(高級化などのためには)それなりに便利な仕掛けは必要ではあるが、それほど豪華な内装などは(ある意味)邪道となる場合があるのではないでしょうか。 

 

日本カーオブザイヤーの選考委員のコメントにも、支離滅裂なものが見受けられますので、そこらへんが(軽の在り方)まだ定まっていないことがわかります。と言うよりも、選考委員の先生方の評価の仕方が、ある意味幼稚であって評価の基準点が夫々ずれていることがわかります。 

 

以下がそのコメントですが、 

 

■価格(BEVを所有するハードルを下げた点) 

■脱炭素社会に向けた暮らしの変化に対する対応 

■軽自動車という“シティコミューター”としての役割に特化したこと 

軽自動車の概念を変える走行性能 

■SS(サービスステーション)過疎地の課題を解決するひとつの提案 

■上質なデザイン 

 

本当に”シティコミューター”としての役割に特化しているのでしょうか。私には、そうは思われません。特化どころか、次のコメントの”軽の概念を変える走行性能”とありますが、走行性能は別としても、軽としては背伸びしすぎた部分が多すぎたクルマではないかと、反面危惧した次第です。こんな車に(と言ったら失礼かもしれませんが)軽の恩典を与えるべきではないのではないか、とも思えるのです。 

 

 

豪華な軽自動車もあれば(商売的には)、コストを下げた質実剛健な実直な軽のBEVとなるものも必要となるものではないでしょうか。軽のBEVであれば、こちらの方が(その使われ方として)よりマッチしたものでしょう。 

 

そのような軽のBEVであれば、フェルさんもそんな時に長距離を移動しなかったものと、小生には感じられるのです。 

 

そのうちにCO2の排出規制が強化されて、軽自動車でもCO2の排出が禁止されることにでもなれば、質実剛健な軽のBEVが現れることになるに違いないものと思われる。尤も合成燃料が使われるようになれば、話は別ですが。BEVよりも合成燃料使用の軽自動車が普及するはずです。ただし、e-fuelがそれなりに安くなればの話ですが。 

 

やがては、新車はBEVに限らずすべてCO2フリーのクルマとなり、燃料は大半が合成燃料となり、モビリティでのCO2排出が限りなくゼロになる時代がやってくることになろうかと思われます。 

 

とはいっても、そのためには、電力事情(発電や充電)にも考慮が必要となってくるので、BEVだらけとなるには問題も出てくると思われます。電力不足も大問題ですが、差し当たっては「充電渋滞」の発生を防ぐことが必須となってくるのではないでしょうか。 

(続く)