次の論考はそれなりに参考になるものであるが、それほど楽観視することはしない方がよかろうと思われるものである。
テーマは、
1.(BEVの充電に関する)電力不足と
2. 大雪時の立ち往生問題 である。
こんな時には、BEVは使えないのではないか、と言った議論への反論であり、何れも問題なくBEVは使えるモビリティである、としている。
1.BEVが増えても電力不足にはならないだろう。
バッテリーの充電時間は、ほとんどが深夜であり、日中に充電するBEVは全体の1%~3%程度でごく少量であり、これが10%に増えても現状ではそれによる電力需要の増加率は0.03%で問題はない。
仮にBEVの保有が現状の10倍になったとしても、電力需要の増加率は0.3%未満で問題はない。
2.BEVで豪雪地帯での立ち往生しても、十分しのげる。
BEVの暖房は「ヒートポンプ」方式なので、消費電力はごく少量となるので、暖房が切れることはない。暖房の代わりにシートヒーターを使うこともできるので、更に消費電力は低くなり十分一晩ぐらいは過ごすことが出来る。
また、現在は移動式の急速充電器の配備が進んでいるので、猶更安心である。
だだし、立ち往生することは危険なので、このようなケースでは早急に道路を通行止めにすることが必要である。
この論考には、豪雪国のノルウェーの積雪量とBEVのシェア(75%前後)に言及しているが、いわゆる日本での豪雪での立ち往生地帯と比較するのには、相応しくないのではないかと感じた。このノルウェーの例は都市部での豪雪地帯ではないのかな、と感じたがどんなものであろうか。
豪雪によるBEVの立ち往生を心配するのであれば、ICEの一酸化中毒での死亡事故を心配した方がよい、と言った意見もある。
と言った説明で、BEVの雪国で立ち往生も問題はない、と結論付けているが果たしてどんなものであろうか。
かなりの長文ではあるが、先ずはご一読を。
EVは「大雪で終了」「立往生で凍死」という暴論はなぜ無くならないのか? 感情的にならず、まずは科学的事実・雪国オーナーの声に向き合え
2023.2.5 八重さくら(環境系VTuber)
「電気自動車は電力不足や大雪のときは使えない」「立ち往生したら凍死する」などという声がある。実際はどうなのか、解説する。EVは電力不足や大雪のときは使えない?
雪国で充電するEV(画像:Marc Bruxelle / Shutterstock.com)
この季節になると決まってメディアやSNSで話題になるのが、「電気自動車(EV)は電力不足や大雪のときは使えない」という指摘だ。つい最近も、スズキの鈴木俊宏社長が2022年12月9日に電気通信大学で行った講演で
「節電しろって言っているのに、EVを普及させるってどういうことなのか」
と疑問を呈したし、年末に日本海側で発生した大雪による立ち往生や停電の際、SNS上では
「EVだったら凍死するのではないか」
といった趣旨の投稿が相次いだ。このような発言は感覚的には理解できるが、どこまで真実なのだろうか。今回は科学的なファクトやエビデンス、さらに実際に雪国でEVを使用しているオーナーの声などに基づいて、改めてこれらの指摘を検証したい。
節電要請とEVの普及は矛盾するのか?
EVの移動・充電時間の分布。「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」より(画像:国交省)
ここ数年、主に電力需要が増える真夏や真冬の朝から夕方ごろにかけて、需給のひっ迫による節電要請が相次いでいる。主な原因は、異常気象による想定外の需要増加や原発の停止、電力自由化に伴う不採算の既存発電所の過度な廃止といわれている。そして当然ながらEVの充電には多くの電力を消費するため、一見すると指摘は間違っていない。
ところが「EVを充電する時間帯」と「電力の需給が逼迫(ひっぱく)する時間帯」が異なるのは、EVを所有したことがある人にとっては常識だ。需給が逼迫する時間帯は、ほとんどが朝夕、あるいはお昼前後だ。一方でほとんどのEVは、電力の需要が少なく電気料金の安い深夜に充電しており、需要の多い朝夕や昼間に充電するのは、長距離を移動する際の急速充電や夜間に車を使用する場合など、ごく一部に限られる。
これは国交省が公開している「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」でも裏付けられており、電力の需要が減る夜間は全体の約6~10%が充電している一方、電力の需要が増える午前7~21時ごろに充電する車両は全体の1~3%前後と、ごく少数であることが分かる。現状だと自宅で充電できないEVオーナーが昼間に出先で充電することもあるが、東京都など都市部を中心に、集合住宅への普通充電器や200Vコンセントの設置が進んでおり、昼間の充電比率は今後さらに下がると予想される。
(続く)