電気自動車・BEVの肝は、当然の事、バッテリーである。トヨタのバッテリー確保量の280GWhは、VWの240GWhよりも大きい。
先にも示したが、この量で何台のBEVが作られるか計算してみると、
BEV 一台当たりのバッテリーの搭載量を仮に、60KWhとする。
VW 240GWh/60KWh=240×10^9/60×10^3=4.0×10^6=400万台
トヨタ 280GWh/60KWh=280×10^9/60×10^3=4.7×10^6=470万台
'23年05月02日のNO.47の当ブログでは、
VWは30年のEV販売を400万~500万台と述べているので、まあこの計算はほぼ正しいものと見立てると、
トヨタも同じように計算すると470万台となるが、トヨタは2030年でBEVを350万台売ると言っているので、470万台との間にはGapが存在することになるが、バッテリーの搭載量を70KWh/台とすると、400万台となり350万台に近付くので、トヨタはコンパクト車よりも中・大型のSUVやクロスオーバー車を中心としたBEVを考えているのではないのかな。
と言うこと(Batt.を多く積む)は、かなりの高額なクルマとなるわけで、中高級層以上の富裕層向けに商売をすることになるものと思われるが、日産や三菱が軽自動車のEVを出しているので、それに対抗する意味で、軽のEVも出さざるを得ないものと思われるが、どんなものであろうか。
それとも350万台はBEVとしては控えめな数字として、トヨタは発表したものなのか。本当はもっと多いBEVを考えているものなのか。
又はスバル用のバッテリーも含んだ数字なのかもしれない。と言うことは、
470-350=120万台が(スバルには一寸多すぎる。40~50万台か)スバル用のバッテリーと言うことか又はマツダやスズキ向けも含んでいるのか。
と言ったところで、何はともあれトヨタ社内はそろそろ、BEVのために戦争状態ではないのかな。佐藤恒治新社長も大変だ。
そんなこんなで、トヨタとしても、BEVは根本から見直して開発する気になったようだ。が、社内関係部署の苦悩も思い知らされるものだ。
今のTNGA系のプラットフォーム(PF)ではIOE(内燃エンジン車)とBEVとの共通のPFなので(?)、専用車台の開発に舵を切ったようだ。まあ、当然の成り行きだと思うが。
トヨタ、EV設計見直し 専用の車台開発、生産体制も整備―効率改善狙う
2023年01月26日07時03分
トヨタ自動車の電気自動車(EV)「bZ4X」(同社提供)
トヨタ自動車が、電気自動車(EV)の設計や生産体制の見直しに乗り出した。モーターなどを載せる車の基礎部分「車台」について、コストが安いEV専用タイプの開発を検討。工場にはEVだけを造る生産ラインも設け、量産体制を整える。EVの普及が想定を超えて進む中、生産効率を高め、米テスラや中国の比亜迪(BYD)などのライバルを追撃する。
「水素も将来有望な技術」 脱炭素化でトヨタ社長
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022121401093&g=int
トヨタは2021年12月、30年までにEV30車種を投入し、EVの世界販売台数を年350万台(21年は約1万4000台)へ引き上げる計画を発表。22年には初の量産型EV「bZ4X」を発売した。
「bZ4X」には、EVだけでなくエンジン車やハイブリッド車にも流用できる共通構造の車台を採用。EV市場の本格的な拡大にはまだ時間がかかるという想定の下、EVをエンジン車などと同じラインで造れるようにし、生産効率を上げることがこの車台を開発した狙いだった。
だが、世界のEV需要は足元で急激に伸び、「加速度が非常に上がっている」(幹部)。さらなる量産が必要になった場合、EVに不要な構造物などが付いている共通車台では逆にコスト高で非効率になるため、テスラなどと同様、EV専用の車台が必要とみて検討を急いでいる。
一方、EVの生産体制の見直しにも着手した。現在、「bZ4X」は元町工場(愛知県豊田市)でエンジン車などと同じラインで組み立てているが、25年をめどに高岡工場(同)に専用ラインを設ける方針だ。EV専用とすることで生産効率を高め、今後の増産にも備える。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023012500957&g=eco
そのために、トヨタは社長まで変わることになってしまった、ものと思われるのだ。
2023年4月1日付けで、佐藤恒治執行役員(53)が社長兼CEOに昇格し、
豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就く。
2023年1月26日 15:35 (2023年1月26日 17:29更新)
(VTR)
トヨタ自動車は26日、4月1日付で佐藤恒治執行役員(53)が社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表した。豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就く。14年ぶりの社長交代となる。豊田氏はリーマン・ショック後の赤字から経営を立て直し、マツダやスズキとの資本提携も相次ぎ決めた。佐藤氏のもとで電気自動車(EV)などへの移行を急ぐ。
【関連記事】「トヨタ変革に不可欠」豊田章男氏、後任の佐藤氏に期待
トヨタの佐藤恒治氏
豊田氏はリーマン危機直後の2009年6月に創業家出身として14年ぶりに社長に就任した。09年に781万台だった販売台数を19年には過去最高の1074万台まで増やした。ハイブリッド車(HV)の販売を日米で増やしたほか、水素を燃料にする燃料電池車(FCV)も商品化した。
開発や生産を効率化するため国内自動車大手との提携も決めた。マツダやスズキに資本参加したほか、SUBARU(スバル)を持ち分法適用会社にし、ダイハツ工業も完全子会社にした。
豊田氏は26日に開いたオンライン記者会見で「トヨタの変革をさらに進めるには私が新社長をサポートする体制が一番良いと考えた」と述べた。新型コロナウイルス禍による販売減なども最悪期を脱したとみて社長職を譲る。内山田竹志会長(76)は退任する。
社長に就く佐藤氏は部品開発などの技術者出身で、現在は高級車「レクサス」部門のトップを務める。会見で「車の本質的な価値を守り、新しいモビリティーのかたちを提案したい。新たな時代に向けて挑戦する」と語った。豊田氏は「佐藤氏なら商品を軸にした経営を前に進めてくれる」と話した。
佐藤 恒治氏(さとう・こうじ)92年(平4年)早大理工卒、トヨタ自動車入社。20年執行役員。53歳
【関連記事】
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ひとこと解説
嵐の中の船出の2009年から実に13年間、豊田社長が会長となる決定が下されました。次期社長への交代は近く予想されたことですが、現在のEVやソフトウェア開発でのつまづきの収拾を実現してからのタイミングが濃厚かなと個人的に考えていましたので、このタイミングはややサプライズ。3副社長からの選定となる可能性が高かったと思われましたが、53歳の若い佐藤次期社長への任命の理由は、①トヨタ文化の伝承者、②クルマが大好きなこと、③若さの3つだそうです。豊田社長は、「トップの体力、気力、情熱が必要だ」と語り、次期社長を軸にチーム経営を進め、モビリティカンパニーへの転身の加速化を目指す考えです。
2023年1月26日 16:22 234
分析・考察
一般的に意思決定の精度のピークは50代といわれています(脳機能の衰えと経験蓄積がちょうどよいタイミングで釣り合う時期)ので、このような業界変化を向かえている局面にある大企業で50代前半の社長が誕生することは大変望ましいことだと思います。なお、ゴーン氏が日産にやってきたときは45歳でした。
2023年1月26日 18:26
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD266SP0W3A120C2000000/?n_cid=NMAIL006_20230126_Y
今は5月の11日だから、既に佐藤恒治氏がトヨタの社長兼CEOとなっているのだが、豊田章男氏は佐藤恒治新社長に「モビリティカンパニー」や「BEV」へのシフトを託したことになる。
佐藤恒治氏は、https://global.toyota/jp/company/profile/executives/によると、
1992年4月 トヨタ自動車株式会社入社
2020年1月 同社 執行役員就任、
同社 Lexus International Co. President
2020年9月 同社 GAZOO Racing Company President
2021年1月 同社 Chief Branding Officer
2023年4月 同社 執行役員・社長就任
佐藤恒治氏は現在は執行役員・社長と言うことで、取締役にはなっていないが、2023年6月の株主総会で代表取締役社長に選任されることでしょう。
(続く)