カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(65)

【上海モーターショー】トヨタが bZ シリーズとして2024年に発売予定2台のEVを世界初披露 

2023年5月2日  

 

2023年4月18日から27日まで開催された上海モーターショー。発表された新型車のほとんどが電気自動車で、中国を中心とした世界のEVシフトがいよいよ明確になってきた印象です。トヨタもbZシリーズの次期モデルとしてBYDなどと共同開発中の2車種を世界で初めて披露しました。 

 

 

上海モーターショーには多数の新型EVが登場! 

 

2022年、中国では前年比8割増となる536万台ものNEV新エネルギー車(BEV/PHEV/FCV)が販売されました。この数字は同年販売された新車全体の2割程度となっています。2022年に日本で販売された新車の台数(420万台)を大きく上回るもので、自動車全体の販売台数2686万台と2009年にアメリカを抜いて世界トップを走り続けています。政府の後押しもあってNEVの販売台数も急増。現在、中国の新車販売台数の約2割がNEVとなっています。 

 

2022年に536万台ものNEVが売れた理由には中国特有の事情もあります。それは2022年末で中国政府による「購入補助金」が完全に打ち切られたことによる駆け込み需要です。現在は政府による購入補助金は完全になくなりましたが、NEVへの優遇として取得税の免除とナンバープレート発給などはまだ続いています。中国ではガソリン車に対するナンバープレートの発給に上海、北京、杭州などの大都市ではとくに厳しい制限をかけています。クルマを買えばナンバーがついてくるのが当たり前の日本では到底考えられませんが、中国では排ガスを出すクルマの台数を増やしたくない&新エネルギー車の普及を進めるという目的もあってNEVに対する優遇措置をとっているのです。 

 

中国乗用車協会が公表したデータによると、2023年3 月に中国で販売された新車乗用車の約 3 分の 1がNEVとなっています。2022年の1年間合計では5分の1でしたので、補助金がなくなったとしてもそれほど大きな影響はないと言えるでしょう。 

 

世界でもっとも電動化が急速に進む中国ですが、このような中、4年ぶりのフルスケール(上海と北京が1年ごとの開催。2021年はCOVID-19の影響で縮小開催)開催となった上海モーターショー2023にも多数のNEVがお披露目されました。 

 

日本メーカーも日産アリゾンやホンダ「e:N(イーエヌ)」シリーズなどの新車種、そしてトヨタ自動車も市販を前提とした2車種のBEVを世界初公開しました。 

 

bZシリーズ2台のニューモデルをお披露目 

 

bZ Sport Crossover Concept     

     

bZ FlexSpace Concept                 

 

2021年の上海モーターショーでは、トヨタ初のグローバルBEV「bZ4X」が発表されましたが、今回発表されたのは、「bZ Sport Crossover Concept」 「bZ FlexSpace Concept」と名付けられた2台です。新たに発表された2モデルは2024年中に中国での発売を目指しているとのこと。 

 

トヨタのプレスカンファレンスは上海モーターショー開催初日の18日朝9時にスタートしました。2023年4月1日付で新たに代表取締役社長として就任した佐藤恒治氏はビデオメッセージにて登場。継続して中国現地の企業と提携し電動化にコミットしていくことを表明しています。 

 

トヨタは昨年10月に中国でbZ3BYDと共同開発したセダンタイプのBEV)を発表し、今年4月から受注を開始しました。販売開始からすでに5000台の注文が入っているそうです。中国市場ではBEVの値下げが相次いでいますが、bZ3も発表時には18万9800元だったのが、今年4月の発売時には16万9800元と2万元(約40万円)の値下げを行っています。 

 

一汽トヨタがシリーズモデルとして生産・販売する「bZ Sport Crossover Concept」は「若い Z 世代の顧客」にアピールする「パーソナル スペース」を提供するConceptで、広汽トヨタが生産・販売する電動SUVbZ FlexSpace Concept」は実用性に重点を置いたファミリー向け車両となります。 

 

実はプレスリリースにおいてこれら2車種のコンセプトカーはBEVであること以外、車両のスペックなど詳細が明らかにされていません。 

 

どんな電気自動車なのか? 

 

明らかになっていることはbZ Sport Crossover Conceptがトヨタ、一汽トヨタトヨタ モーター エンジニアリング & マニュファクチャリング チャイナ (TEMC)、および BYD トヨタ EV テクノロジー (BTET) によって共同開発されていることです。BYDが開発に大きく関わっていることから、先に発売されているbZ3同様、 BYD の ブレードバッテリー技術が採用されている可能性は高いと思われます。 

 

また、トヨタGAC(広州汽車)、GAC-Toyota、TEMC が共同開発中の bZ FlexSpace Conceptは、GAC またはその子会社である GAC Aion の EV 技術に基づいている可能性も大きいと考えられます。 

 

現在発表されている2車種について公開されている情報を整理しておきたいと思います。 

(続く)