この二車種を見ると、若者向けとファミリー向けと購買層を明らかに分けて、クルマを開発していることがわかる。
当然のことではあるが、ただやみくもにバッテリーの電気自動車であれば事足りると言ったものではない。夫々どのような消費者を対象にしたBEVを作って売っていくのかと言った、分析が必要である。
その上でさらに、どんな趣味趣向に合ったクルマにするのか、と言った細かな作りこみも必要となるので、よく言われているように、バッテリーとモーターさえあればよいと言った安直なものには、決してならないのである。
だから大変なのではあるが、トヨタとしては、そんなことにはお構いなく(とは言わないが)どんどんBEVを世に出してゆくことが必須なのである。これを怠れば、生き残れないものと覚悟しておく必要があろう。
だから社長が変わったのでしょう。
それでは、中国向け以外にはどんな車が出てくるのであろうか、興味のあるところではあるが、おいそれとこれですとはトヨタも発表なんぞはしないでしょうし、出来ないでしょう。以前には(2021.12.14)、BEVのクレイモデルを16台もお披露目していたのですが。
https://dime.jp/genre/1284655/ より。
具体的な実車モデルを提示できればそれに越したことはないのであるが、それはまだ先の話となるであろうが、今現在はトヨタ社内は大わらわの状態であろう。
しかも実務担当の副社長たち3人も、代わってしまったわけであるから。
この退任させられた3人の副社長たちは、佐藤恒治新社長と同年代であり、何かと新社長としてはやりづらいということで、この交代は豊田章男新会長の配慮であると言った見方もあるようだ。
CTO(最高技術責任者)だった前田昌彦氏(54才)は、中国本部の副本部長として中国でのBEVの開発に従事することになるようだが、CTOからアジア・中国担当と言うことは一種の降格と言ってよいものであろう。
更には新副社長の二人は何れも佐藤恒治新社長よりも、相当の年上だ。
CTOの中嶋裕樹副社長は京大大学院卒の61才、CFOの宮崎洋一副社長は神奈川大学経済学部卒の59才、佐藤恒治社長は早稲田大学工学部卒の53才である。
53~54才の若手副社長に代わって、いわば二番手の老齢の新副社長の手腕にはどのように期待できるものなのか、未知数だと(そこには)書かれている。
(詳しくは「週刊ダインやモンド」の'23.5.27日号を参照の事)
と言ったところで、トヨタのBEVの先行きは、どんなものになるであろうか。佐藤恒治氏が、辣腕の実力派の経営者であれば、話は別となるであろうが。
やや楽観的過ぎる感が無きにしも非ずだが、「池田直渡「週刊モータージャーナル」の続きを見てみよう。
池田直渡「週刊モータージャーナル」
トヨタの新社長就任で、どんなクルマが出てくるのか
2023年04月11日 08時00分 公開 [池田直渡,ITmedia]
前編では、佐藤恒治社長のプレゼン内容を中心にトヨタの戦略全体を見渡す分析を行った。
新体制になったトヨタは、どんなクルマを出すのか
後編では、中嶋裕樹副社長の説明パートを中心にトヨタのクルマづくりがどうなっていくかを見ていくことにする。佐藤社長が掲げた経営方針でも、「これからも、『商品で経営する』クルマ屋トヨタの一丁目一番地です」と、トヨタの不変の最重要課題として挙げているだけにその商品がどうなるかの詳細は極めて重要である。
まずは全体の話だが、前編でも確認した通り、トヨタは引き続きマルチパスウェイの軸をぶらさない。図1にある通り、地域と顧客のニーズに幅広く対応するために、全部で6つの異なるパワートレイン群を展開する。
図1:トヨタが展開する6つのパワートレイン群
BEV(バッテリー電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池車)、HEV(ハイブリッド)、H2(水素内燃機関)、CN燃料(カーボンニュートラル燃料内燃機関)だ。
●BEVの商品戦略
まずはおそらくは最も注目を集めるであろうBEVから始めよう。以下、中嶋副社長のスピーチから抜粋する。
「足元のラインアップを拡充させ、2026年までに10のモデルを新たに投入し、販売台数も年間150万台に達します。一方、クルマ屋が創る今までとは全く異なる次世代バッテリーEVも26年に投入致します。電池を極限まで効率良く使い、航続距離を2倍に、さらに心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えたまさに次世代のバッテリーEVです」
(続く)