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続続・次世代エコカー・本命は?(21)

アルミにも2つの課題が見つかる

 アルミニウム空気電池の開発を開始して直面した問題は、想定していたような性能がでないことだという。

 「アルミ二ウム空気電池の負極には、2つ大きな問題があった。1つ目は自己放電、これが容量損失を引き起こす。もう1つが放電残渣(ざんさ)。残渣が表面に堆積することによって反応が阻害されてしまう」(陶山氏)。本来の容量よりも少ない電力しか引き出すことができない上に、電池の放電がうまく続かなくなるということだ。

 アルミニウム空気一次電池の構造の概略を図2に示す。


2 アルミニウム空気一次電池の模式図 出典:陶山氏の発表内容から本誌が作図
Al
空気電池yh20161221Toyota_struct_520px s5nk

 

 負極(アノード)では金属アルミニウムが水酸化アルミニウムに変化して、電子(e)を放出3。この電子をモーターが使った後、正極(カソード)で、酸素と水が吸収する形だ。

負極:Al3OHAlOH33e
正極:O22H2O4e4OH
全反応:4Al3O26H2O→4AlOH3

3) 実際にはテトラヒドロキソアルミン酸イオンAlOH4が生成する。

 

電極内にミニ電池ができてしまう

 陶山氏のいう自己放電とは、負極の表面で上に示した狙った反応以外に、水の還元分解が起こって水素が発生してしまうこと(図3)。

 「水の還元分解は、アルミニウム金属中に含まれる不純物によって起こる。解析の結果、主な要因は鉄だった。鉄などの不純物層とアルミニウムの粒界層の電位差によって局部電池が生じる。アルミニウムが負極、不純物層が(ごく小さな)正極になる。電極の中で電池反応、放電反応が進行してしまうことが問題だ」(陶山氏)。


3 自己放電として考えられる副反応 鉄不純物の上に添加剤を吸着させることで副反応を抑制できるかどうかを検証した 出典:陶山氏の発表に基づき本誌が作成 Al空気電池yh20161221Toyota_sideeffect_490px

 放電残渣とは、放電時にアルミニウムの表面にたまる黒色の物質。陶山氏の研究グループは電解液として水酸化ナトリウムを用いている。研究用のアルミニウムを電解液中に放置(浸漬)しておくと、アルミニウムが溶け出し、残渣が元の電極の形を保ったまま溶け残るほどだという。これでは電池を放電したときに不具合が生じるだろう。

普通のアルミニウムを使って電池を作る

 陶山氏の研究チームは純度99%の金属アルミニウムを負極に使っている。つまり1%は不純物だ。より高純度な99.99%のアルミニウムを市場で容易に入手できるはずだ。なぜ高純度なアルミニウムを使わないのだろうか。

 「アルミニウムの純度を99%から99.99%に高めると、材料コスト1桁跳ね上がる。電気自動車への適応を考えて、99%で実現できる電池技術の研究を進めている」(陶山氏)4。そこで、アルミニウムの純度を上げずに、不純物の影響を抑える手法を考案した。「特に不純物の残渣については過去の報告例もないため、研究対象とした」(陶山氏)。

 不純物の影響を抑えるために研究チームが選んだ手法が、電解液に添加剤を加えることだ。「残渣の表面に特異的に吸着する添加剤を加えることで、自己放電や残渣の影響を抑えることができるのではないかと考えた」(陶山氏)。

4) 次に紹介する添加物(チオシアン酸ナトリウム)は、純度99.99%のアルミニウムでは効果がないことを確認済みだとした。

 

添加剤の効果あり

 アルミニウムとは結合せず、鉄と特異的に結合する物質として硫黄化合物が考えられる。「立体障害が起きると困るため、硫黄を含む低分子化合物を選んだ。さらに実験中に他のグループからひどい臭気の問題があると指摘されたため、NaSCN(チオシアン酸ナトリウム)を選択した」(陶山氏)。チオシアン酸ナトリウムは、試薬や染色、除草剤に用いられる化合物だ。

 チオシアン酸ナトリウムを添加したところ、顕著な効果を示した。自己放電時に発生する水素の発生速度を測定した結果だ。添加剤を導入することで自己放電速度を3分の2に抑えることができたという。

 放電残渣については効果があったのだろうか。「添加剤を加えた電解液にアルミニウム板を浸漬すると、残渣が細かい散らばった状態となった。放電残渣を微細化できたということだ」(陶山氏)。電池の放電が抑制されにくくなる。

 この結果、アルミニム負極だけを観察する半電池(ハーフセル)において、容量が30%増えたという。さらに電池の内部抵抗に由来する過電圧も下がった。

 トヨタ自動車の研究は、さまざまな品質のアルミニウムのうち、安価な材料を用いながら、電池の性能を落とさないように工夫するというもの。電気自動車に向けた実用性を優先した研究内容といえるだろう。

【更新履歴】 本文公開後、注1と注2の順番を入れ替えました(2016/12/26)。

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1612/21/news056_4.html

 

 

トヨタリチウム空気電池ではなくて、アルミニウム空気電池に研究を集中しているのはコストが安くできるからである。これが完成すれば、価格も性能もそれなりに期待できるEVとなろう。

 

一足飛びにリチウムイオン電池からアルミ空気電池に飛ばなくても、トヨタEVを出さざるを得ない状況に陥っている。

 

ドイツはVWはじめ各社がEVの導入を宣言しているし、GMFORDEVを発売している。欧米の各社が揃ってEVをラインナップに加えていれば、トヨタだけ「EVはありませんという訳にはいかないだろう。中国などではまさにその状態で、EVがないと環境対応に劣る企業としての烙印を押されかねないからだ。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(20)

だから「EV事業企画室」とはすぐにEVを作る組織なのか(どうかは判然としないが)、今更どんなEVを作るか企画しても仕方がないのではないのかな。もしそんなことが必要となるのなら、トヨタはとても遅れていることになる。

 

トヨタ社内やトヨタグルーブ内での役割分担の割り振りを決める、と言うのならわからないでもないが、(素人的に考えると)グループ内でバッテリーをどう作るのか、と言うのが最大の関心事ではないのかな。だからどこでどんな性能のバッテリーを作らせるか、を考えるということなら少しは解るのであるが。今頃どんなバッテリーを作らせるか、などと考えているのであれば、相当遅れていることになるので、やはり(EVの構成要素はすでに出来上がっているので)どのようなEVを作るか、ということであろう、と理解したい。

 

トヨタリチウムイオン二次電池の開発もやっており、今回発売した「プリウスPHV」はHV車のニッケル水素電池ではなく、リチウムイオン電池を積んでいる。先代のPHVと比べると性能は2倍以上となっている。

 

         PriusPHV  先代PHV ゴルフGTE アウトランダーPHEV

EV走行距離  68.2km   26.4km   53.1km   60.8km

Batt.総電力量 8.8kwh    4.4kwh   8.7kwh   12kwh

Batt.総質量   120kg     80kg  

 

このようにバッテリーの性能は2倍となっているが、重量は5割増しに抑えている。しかし120kgリチウムイオン電池をラッゲージの下に格納しているために、重量の関係でリアドアをCFRP炭素繊維強化樹脂Carbon Fiber Reinforced Plastics)製として軽量化を図っている。しかもダブルバブルと呼ばせている波だった形状のため、その成型が難しく深刻な生産遅れが生じて、国内発売を半年も遅らせることとなってしまったことはすでにご承知のことと思う。しかもそのBatt.の重さのためにリアシートの乗員は2名にせざるを得なかったようで、はなはだ残念である。

 

それと、このプリウスPHVも完全なZEV対策車なので、アメリカで半ば専用で売るつもりなのではないのかな。だから5人乗りなどに拘(こだわ)る必要はなかったものと思われる。我々にとっては、孫を連れて子供夫婦が帰省した時には、リア席に3人乗せる必要があり、5人乗りは必要なのだが。だから小生にとっては期待していたのであるが、買い替え候補から外さざるを得ないのである。

 

ことほど左様にバッテリー性能には、神経を使うものである。トヨタは以前はリチウム空気電池を持ち上げていたが(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130218/266471/?P=1 を参照のこと)、今はリチウム空気電池から、アルミニウム空気電池に研究の主眼を移しているようで、EVにはこの電池を使うつもりのようだ(とは小生の憶測であるが)。性能としては、リチウムイオン電池の10倍の性能は期待できると言う。

 

するとトヨタの電気自動車は、400~500kmの航続距離のものとなるのではないのかな。但しこの手の性能のEVの発売は、小生の全くの推測ではあるが、2020年頃となろう。ただ2018の加州のZEV規制を乗り切らなければならないために、そこそこの性能のEVは今年中には発売するのではないのか、とも思っている。

 

 

 

蓄電・発電機器:リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは

201612210900分 更新

電気自動車に必要不可欠なリチウムイオン蓄電池。だが、より電池の性能を高めようとしても限界が近い。そこで、実質的なエネルギー量がガソリンに近い金属空気電池に期待がかかっている。トヨタ自動車の研究者が発表したアルミニウム空気電池の研究内容を紹介する。開発ポイントは、不純物の多い安価なアルミニウムを使うことだ。

[畑陽一郎スマートジャパン]

電気自動車100%への道

 自動車各社は環境に適合する車両の研究開発にまい進している。最終的にはガソリン車が、二酸化炭素を全く排出しない自動車に置き換わる形だ。

 現在は燃料電池車と電気自動車が実用化されており、中でも電気自動車が市場に受け入れられている。例えば米Ford Motor(フォード)の全米における自動車販売台数(乗用車)の内訳だ。201611月の販売台数のうち、5.9プラグインハイブリッド車や電気自動車が占めている。

 米Bloomberg20166月に発表した予測「New Energy Outlook 2016」によれば、2040には電気自動車の比率が新車販売において全世界で35に到達。総電力需要の8%を占めるに至るという(関連記事)。http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1606/17/news031.html

 電気自動車の動力源は電気であり、内蔵する電池から電力を得ている。現在はリチウムイオン蓄電池(二次電池)を利用しており、構成材料である正極や負極、電解液などの材料開発が続いている。

金属空気電池に期待がかかる

 だが、リチウムイオン二次電池の性能(容量)には理論上限があり、現状は上限に近い水準にある。「トヨタ自動車では、将来に向けて全方位的に環境車両の開発を進めている。われわれのグループは電気自動車向け、すなわち高容量の電池に関する研究を中心に行っている。現在高容量の電池としては金属空気電池が知られている。高容量の金属の負極と大気中の酸素を組み合わせることで劇的にエネルギー密度を高める機構だ」(トヨタ自動車 東富士研究所 電池材料技術・研究部 電池研究室で主任を務める陶山博司氏)1

 金属空気電池の性能はどの程度なのだろうか。図1に主な金属空気電池の重量エネルギー密度を示した21kgの金属に何ワット時(Wh)の電力を蓄えられるかという理論容量の比較だ。

120161129日~121日に幕張で開催された「第57回電池討論会」における発表「NASCN電解液添加によるAl空気一次電池負極の放電特性改善」より。
2Md. Arafat Rahman et.al,"High Energy Density Metal-Air Batteries: A Review" Journal of The Electrochemical Society, 160(10) A1759-A1771(2013) に掲載された数値に基づき、本誌が作成



 
1 主な金属空気電池の重量エネルギー密度(理論値) アルミニウム空気電池はリチウム空気電池に次いで2番目にエネルギー密度が高い。左端に参考例として示したリチウムイオン蓄電池の10倍程度の容量である 出典:High Energy Density Metal-Air Batteries: A Reviewに掲載された数値から作成

 ガソリンのエネルギー密度は13000Wh/kgと圧倒的に高い。ただし、ガソリンの燃焼エネルギーを運動エネルギーに変換する効率は低く、注2の論文によれば、実際に利用できるのは1700Wh/kgだという。

 これに直接対抗できるのが金属空気電池だ。ただし、金属空気電池にも扱いにくい性質がある。「リチウム空気電池は非常に課題が大きい。亜鉛空気二次電池は繰り返し充放電によってデンドライトが生じ、電池の内部短絡が問題になる」(陶山氏)。リチウム空気電池には、電解液の種類によるものの、負極の保護層が腐食しやすいことや、過電圧(損失)が大きい、大電流を取り出しにくいといったさまざまな課題がある。

 そこでアルミニウム空気電池、それも一次電池に注目したのだという。「亜鉛やリチウムの空気電池で生じる問題が起きず、高出力で高安全な電池ができる」(陶山氏)。自動車に適した性質だ。

 アルミニウムは入手できる金属のうち、最も資源量が多い(クラーク数)。鉄をも上回る。このため、自動車に大量採用された場合、希少なリチウムに対して優位性がある。鉱石から金属を生成する際に多量の電力を必要とするものの、再生可能エネルギー由来の電力を使えば二酸化炭素排出増にはつながらない。使い終わったアルミニウム化合物は再度金属に戻すことが可能だ。金属アルミニウムの製造、再利用を含めて電池として捉えることもできる。

 

 

充電できない電池が役立つ

 研究対象となった一次電池は充電ができない。いわば使い切りの電池だ。これは電気自動車には適さない性質ではないだろうか。

 「車載電池の容量は現在でも非常に大きい。これを一般的な電気プラグで急速充電しようとすると、電池側がどんなに頑張ってもインフラが制約になってしまう。それに対して金属空気一次電池では放電後のバッテリーパックを交換する『メカニカルチャージ式』を採用することで、急速補充が期待できるのではないかと考えている」(陶山氏)。

 急速充電器は、普通充電器よりも高価だ。さらに短時間で充電しようとすると大電流を扱う機器が必要になるという主張だ。電池本体を交換式にしておけば、電池の容量が多くなっても交換に必要な時間はさほど変わらない。容量が100%残っている電池を差し込めば、そのまま「満充電」状態になる。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(19)

とは言っても、何か始めなければ始まらない。取りあえずと言うわけではないが、4人だけの組織であってもEVの開発は、至急始めてもらいたいものだ。

 

 

時事深層 COMPANY
トヨタ初、「4人だけ組織」の狙い
EV
の開発に動き出す

日経ビジネス2016年11月28日号目次

 

トヨタ自動車12月、EV(電気自動車)の開発に特化した社内ベンチャーを立ち上げる。グループ会社から専門家を集める少数精鋭の組織は、トヨタでは初めてとなる。素早い判断を下し、EVで先行する他社に対抗する。

 「各社からEV(電気自動車)開発のノウハウを持つ幹部クラスを集める」。トヨタ自動車関係者はこう明かす。

 トヨタ1117日、EV開発に特化した社内ベンチャーを立ち上げると発表した。わずか4人の超少数精鋭部隊で、豊田章男社長の直轄下に置く。トヨタに加え、デンソーアイシン精機豊田自動織機のグループ3社がそれぞれ1人ずつ人材を出す。

 外部人材を交えた少人数での社内ベンチャートヨタでは初めての試み。どのような人材が選ばれるかに注目が集まる。関係者によると各メンバーや今後の計画など新組織の具体的な内容を121日にも発表する予定。開発が進むにつれて増員する見通しだという。

開発の短期化が課題に

EV本格参入でエコカー全方位開発へ
トヨタ自動車が持つ次世代エコカーと主な車種

 トヨタは「究極のエコカー」と位置付けるFCV燃料電池車)の「ミライ」201412月に発売。同じ燃料電池システムを使った燃料電池バスを20171月に発売する。HVハイブリッド車)、PHVプラグインハイブリッド車)にEVも加え、次世代エコカー全方位で開発することになる。

 新組織の狙いは開発の加速だ。2018には米国のZEV(排ガスゼロのクルマ)規制厳格化中国でのNEV(新エネルギー車)規制導入が控える。いずれもHVは対象外となり、EVの存在感が高まる可能性がある。豊田社長は「ベンチャー組織としてその分野だけを専門に考え、スピード感のある仕事の進め方を確立する」とコメントした。

 ある欧州自動車メーカーの幹部は「EVでは開発サイクルはぐっと短くなる。トヨタの開発サイクルは27カ月と業界で最も短い部類だが、我々はEV20カ月を達成する」と意気込む。部品点数が少なくなるEVでは、製品の投入サイクルが短くなると予想される。トヨタは最低限の人数で素早い意思決定ができるベンチャー組織で対抗する。

 もう一つの狙いとみられるのが、EVにおけるグループ各社の役割を明確にすることだ。今回、メンバーとして加わる3社はトヨタグループの中核企業で、既にEV分野で実績がある。デンソーはクルマの頭脳であるECU(電子制御装置)EV向けに開発しているほか、トヨタ2012年に限定発売した小型EVeQ」や日産自動車「リーフ」向けにヒートポンプ式エアコンを出荷している。アイシン精機HVトランスミッションなどの実績が豊富。EVではトランスミッションが不要になるとの見方もあるが、「足回りの技術開発のノウハウはEVでも生きる」(アイシン精機広報)。

 豊田自動織機には世界シェアトップのフォークリフト事業で培った電動化技術が眠る。アジア諸国で普及する3EVタクシー向けに超小型インバーターやモーターを納入するほか、三菱自動車の小型EVアイ・ミーブ」や欧米メーカーの各種EVにエアコン用の電動コンプレッサーを出荷する。

 いずれもトヨタ以外のメーカー向けで実績を積み重ねているが、トヨタEV戦略が定まらなくてはグループ内で事業が重複する恐れがある。

グループ内での重複を避ける

 例えば、HVEVに必要なモーター事業をいまだトヨタデンソートヨタ紡織豊田自動織機が持つ。EV向けでも、既にインバーターアイシン精機豊田自動織機で技術領域が重なり、グループ内でも競争している。

 トヨタ2014年以降、シートやトランスミッション、ブレーキなどを対象にグループ内で重複する事業の整理・再編を進めてきた。EVでもグループ各社の役割を明確にして投資や事業の重複という二の舞いを避け、開発効率を高める狙いもある。

 EVの開発は以前よりも水平分業が進むなど、産業構造が大きく変わる可能性がある。独BMWが韓国サムスン電子からバッテリーの提供を受けるなど、異業種との提携も進みつつある。

 新組織は「ケイレツ」の力を最大化する従来型のトヨタ流にも見える。「自前」と「外部調達」のラインをいち早く見定め、グループ外の企業との提携も視野に入れた開発ができるかが次の焦点となる。

(島津 翔)

包括提携結ぶマツダEV本格参入

 トヨタ自動車の新組織設立の発表と時期を合わせるかのように、同社と包括提携を結ぶマツダも、2019年にEVに本格参入することを表明した。

マツダは一時リース販売していたEVに本格参入する

 2021年以降に導入予定のPHVも含め、電動化技術の開発ではトヨタとの協業が視野に入る。しかし、次世代エコカーで全方位の開発を進めるトヨタとは対照的に、マツダ内燃機関にこだわる姿勢を崩さない。

 「まずやるべきは内燃機関で最高の燃費を実現すること」。1115日、報道機関の前で2019EV投入を表明した小飼雅道社長は、内燃機関の重要性を繰り返し強調した。2017年後半には北米市場に、得意のクリーンディーゼル車を投入することも同時に発表した。

 マツダディーゼルエンジンなど一連の低燃費技術「スカイアクティブを原動力に、リーマンショック後の苦境から復活した。その同社がEVの開発を進めている背景にあるのは、米カリフォルニア州ZEV規制だ。2018年からマツダも規制対象となる。さらに、マツダの現行商品の中で唯一ZEVの環境車としてカウントされ得るHVは、同年にその枠組みから外れる。

 一方、ZEVのような車種別の環境規制がない欧州市場について、小飼社長は「(2018年度に導入予定の)第2世代のスカイアクティブ技術で、CO2(ニ酸化炭素)排出量がさらに改善されることが大きく寄与する」と話す。次世代エンジンを導入したHVPHVが欧州の主軸になる。ただ、始動時の燃費の悪さなど内燃機関の弱点を電動技術でカバーするという考え方で、あくまで主役は内燃機関だ。

 国内アナリストは「マツダにはHCCI(予混合圧縮着火)エンジンという切り札がある。これが実現すれば、内燃機関を軸にしてまだまだ戦える」と話す。HCCIは点火プラグを使わず、ガスの圧縮により自然着火させること。マツダHCCIを世界で初めて導入することを目標としている。「究極の燃焼技術」とも称され、実現すれば同社の燃費の平均値は約3割も改善する。

 マツダ内燃機関へのこだわりは「ウェル・ツー・ホイール(油井から車輪まで)」という概念に基づく。EVFCVも電気、水素を作る時にCO2を排出する。走行時以外も含めて排出量を最適化するためには、内燃機関の改良が最優先になるという考え方だ。「現状、主要国でウェル・ツー・ホイールを基に規制をしている例はない」(マツダ国内広報部)。

 自らの強みである内燃機関を強化しながら、規制に対応するために電動化を使い分ける。マツダの両面戦略が功を奏するかにも注目が集まる。

(寺岡 篤志日経ビジネス20161128日号 1213ページより

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/112200442/

 

 

トヨタの新組織の狙いは開発の加速と、グルーブ各社の力を効率よく束ねて遠回りなどせずに一直線にEVを開発することのようだ。トヨタハイブリッド車は基本形であり、バッテリーを強化してエンジンを無くせば、すぐにでもEVになると豪語していたし、そのバッテリーをFuel Cellに置き換えればすぐにでも(と言ったかどうかは知らないが)燃料電池車が出来る、と思っていた様だ。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(18)

但しいくらEVが普及したからと言って、中国の大気汚染問題が解決するわけではない。何と言ってもPM2.5の発生元は、巷で焚かれている石炭ではないのかな。この石炭を何とかしないと、中国の大気汚染問題は解決しない可能性がある。

 

中国で売られているEVPHVの性能がどんなものかは知らないが、それほど気張ったバッテリーは搭載されてはいないのではないのかな。だからそこそこの性能のEVでも、今までは売れたのではなかったのかな。以前そんなことも書いた記憶があるが、時代が進んできた現在ではそうも言っておれないのかもしれない。

 

何はともあれ、中国でクルマを売るとしたら、EVは必須となろう、否中国だけでなくても。

 

 

6トヨタEV開発へ。エコカー全方位対応。

 

そんな訳でトヨタとしても、EVを手掛けなければならなくなってきたということだ。いささか遅きに失した感もあるが、2016.12.1EV開発の組織を立ち上げることになる。但し僅か4人のベンチャー組織だ(今では30人位になっているようだが)。

 

もともとトヨタは、街乗りコミューターの「i-Road」をものにしているし、iQをベースに「eQ」と言うEVを開発しているので、EVに無縁だったわけではない。ただ僅かな距離しか走らない電気自動車なんぞは「クルマ」ではない、と言う不遜な?考えを持っていた様だ。これもC級ライセンスを持つ「走り屋」の豊田章男社長の考え?だったようで、そのためEV開発には少し出遅れた感がある。今となっては、FCVでは、EVの領域の全てを、カバーしきれないのではないのかな。

 

 

トヨタ自動車が「EV事業企画室」を始動!電動化加速へ

2016/12/05 08:03 by Avanti Yasunori

 

2014年に、水素で発電してモーターで走行、水しか排出しない「究極のエコカー」とされるFCV燃料電池車)「MIRAI を世界に先駆けて量産化したトヨタ自動車

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そのトヨタが今度はEV(電気自動車)の開発に向けて大きく動き出しました。121日付けEVの開発や戦略を担当する「EV事業企画室」を社内に設置したのです。
(https://clicccar.com/2016/11/24/418416/)

昨今のEV駆動用バッテリーの性能向上で航続距離拡大が見込めるようになったことや、欧米における環境規制強化に伴い、競合他社がEV開発に積極的に乗り出している状況を踏まえ、トヨタHVPHVを含め、全方位で対応する方針に出たようです。

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EV事業企画室」はまさにその先導役を担う部署で、豊田自動織機アイシン精機デンソーからも人材を募り、グループ企業の技術やノウハウを結集した僅か4名の少数精鋭で構成されています。

豊田章男社長直轄の組織となっており、加藤光久・寺師茂樹 両副社長を統括役員に、室長には現行4代目プリウスの開発を手掛けた豊島浩二氏が就任。

既存の社内組織に属さない、独立した社内ベンチャー的な組織運営を目指しており、意思決定を迅速化することで、EVの早期商品化につなげる考えといいます

欧州ではVWが排ガス不正問題以降、EV戦略を鮮明に打ち出しており、BMWも電動化による新戦略を発表、ダイムラーEVを軸にした新ブランド「EQ」を立ち上げるなど、電動化への動きが活発化しています。

また米国ではテスラに加え、GMEVボルト」の航続距離を拡大、国内でも日産EV開発の実績を持つ三菱自動車を傘下に入れるなどで動いている状況。

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既に米テスラと共同開発した「RAV4 EV」や、小型乗用車「iQ」のEV版「eQ」、トヨタ車体によるパーソナルEVCOMS」、バイク感覚で運転できるユニークな「i-ROAD」などの開発実績を持つトヨタだけに、今後のEV開発に向けた動きが大いに注目されます

Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車

http://clicccar.com/2016/12/05/423003/

 

 

トヨタのこの社内ベンチャー組織は、あまりにも泥縄式のように見える。今更縄を綯(な)っても遅すぎると言う物であろう。今やることはEVを作ることであり、企画することではない、と思うのだが。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(17)

参入規制および普及の課題

 

 2012年以降に登録したエコカー639車種のうち、年間生産千台以上の車種は77車種に過ぎないことから、企業乱立が見受けられる。また、エコカーメーカーが車両生産・出荷を優先するため、製品の品質問題も露呈している。中国品質協会が2015年に実施した調査によると、エコカー関連の苦情率がガソリン車の2.4倍に上がり、「航続距離が短い、充電時間が長い、内装が粗い」が主な苦情としてあげられる。さらに、補助金支給をめぐって、グループリース会社への卸売による虚偽取引補助金受給した車両から電池の不正転売などの問題が多発している。

 

 

 

 制度の悪用や品質の低下が懸念されているなか、政府は今後段階的に補助金引き下げ2020年以降補助金支給を中止する方針を明示した。2016年には「エコカー普及車種リスト」を公布し、補助金支給の対象が3,409車種から247車種に減少し、エコカーメーカー90社に対する補助金支給の適正調査も開始した*4。また、政府は20168月に設計開発能力、生産能力、アフターサービス・製品安全保障能力などのエコカー参入基準を引き上げ、「2年以内で審査を完了できない既存エコカーメーカーも生産ライセンスの一時停止」と規定した。*5業界ではエコカーメーカー10社を目途に集約するムードが漂っているなか、北京新能源汽車、奇瑞汽車などの5社がすでにライセンスを取得したことから、各社によるライセンスの奪い合いも白熱化すると見られる。

 

 他方、各地の充電スタンド性能の相違や業界標準の未普及がインフラ遅れの一因となっている。2015年末時点、中国の充電スタンド設置台数がエコカー保有台数の8%に過ぎず、一般消費者に普及しているとはいえない。こうした状況下、政府は2020年に充電スタンド480万ヵ所、充電ステーション1.2万ヵ所の設置を目指し、目標を達成した都市に対する補助金枠の積み増しなどのインセンティブを設けている。今後、市場と政府がいかにバランス良く役割分担できるか、具体的にはインフラの整備消費者市場への浸透がどのように進められていくのかを引き続き注目していきたい。

日系企業の対応


 現在、中国ではガソリン車・HEVのコンセプトを超えた新市場の創出、次世代産業育成構想の下、政府主導による「跳び型」発展戦略(HEVを一足飛ばし)が見受けられる。一方、手厚い産業支援策を実施したことにより、地場企業が政策に過度に依存し、R&D能力の向上には負の影響をもたらし、「エコカー開発のバブル」も懸念されている。今後補助金の恩恵が期待できないなか、地場企業R&D体制の構築に取り組んでおり、品質の向上やコストの削減を図っている。一方、電池・モータ等の基幹部品・部材・システムに関しては、地場企業R&D能力が弱いため、その大半を外資系企業から調達しているのが実情である。

 

 かかる状況下、中国政府はエコカーおよび基幹部品分野において、外資系企業の進出を合弁形態でのみ可能とする制限を設けている。安川電機奇瑞汽車と合弁でインバーターやモータ等の電気駆動システムの製造を計画し、パナソニックは北京汽車と合弁でEVエアコンのコンプレッサー生産を発表し、大連でリチウムイオン電池の生産も計画している。また、三井化学によるリチウムイオン電池向け電解液の生産や、日立金属によるネオジム磁石EV軽量化材)の生産などの合弁事業もリリースされた。

 

 他方、補助金の減少により地場企業外資系企業に対する価格競争力が弱くなり、エコカー市場のシェアも変化していくと予測される。江淮汽車と合弁事業の模索などに取り組んでいるVWの布陣をみると、合弁パートナーとの協業やエコカーの開発が日系完成車メーカーの喫緊の課題であろう。日系部品メーカーはエコカー分野の強みを生かしながら、現地パートナーの選別や販路の確保など、シナリオを持って中国戦略を描く必要もある。

 

 

1 中国ではエコカー新エネルギー車(NEVと呼ばれており、EVPHV燃料電池NEV補助金対象となっている。日系企業が得意とするハイブリッド車は省エネ

車と定義され、補助金対象外である

 

2 三縦は「燃料電池動力システム」、「ハイブリッドシステム」、「純電動システム」を、三横は「動力電池技術」、「駆動モータ技術」、「電気制御システム」を指す

 

3 中国政府が20062020年の間に四段階の企業別燃料費規制(CAFC)を実施

し、100km走るのに必要な燃費が2020年に5.0ℓになる(15年平均は6.7ℓ)と規

定している

 

4 20169月には金竜聯合汽車等5社の不正に対する処分を公表し、不正金額は

150億円に上った

 

5 工業和信息化部「新能源汽車生産企業及産品准入管理規定」(20168月)、「企業平均燃料消耗量与新能源汽車積分並行暫行管理弁法」(2016年9月)による

 

 

(図表1)中国エコカー市場(20161~11月)

生産  販売

2015年 34   33万台

2016年 45 40

 

BYD(35%) 北汽(15%) 吉利(14%) 衆秦(8%) 上汽(7%) 奇瑞(5%) 江准(5%) Tesa(3%) (8%)

 

 

(図表2)世界エコカー販売(20161~10月)

 

BYD   84,291

テスラ  57,669

日産   47,282

BMW    46,651

北京汽車 36,923

VW    29,139

三菱自  26,511

シボレー 24,534

ルノー  23,780

フォード 20156

 

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/globalnews/pdf/global1701-02_04.pdf

 

 

ライセンスとか補助金などと言えば、賄賂不正が蔓延ることになるのが中国の常である。例にもれずそのような危惧を表明している論考を見つけたので掲載するので一読願う。また次のURLも一読されるとよい。http://diamond.jp/articles/-/104446

 

 

日産自・現代自も・・中国の補助金目的の新エネ車販売 不正蔓延る

[ 2016910]

 

中国政府は、車両排ガスや工場煤煙による大気汚染対策から、また、中南海の住民も鼻毛が伸びてしょうがないことから、20年までに新エネ車のEVを500万台普及させ、充電網も完成させる方針。

ただ、充電網はまだ普及段階であり、都心部でも充電設備が不足している。それを補うのが、電気での航続距離の伸びるPHVであり、充電設備不足を解消する新エネ車と位置づけている。

政府は、新エネ車(EV/PHV)を普及させるため、各種メリットのほか、高額の補助金を購入者に対して支給している。
その補助金をめぐり、多く不正が蔓延っていると、当局が今年2月から調査に乗り出していた。

中国の新エネ車(EV/PHV)販売の昨年比較  単位:万台

 

2015

2016

 

万台

EV

PHV

万台

EV

PHV

17

8.9

5.5

3.4

20.4

15.2

5.2

前年比

 

 

 

129.2%

176.4%

52.9%

年計

33.1

24.7

8.4

 

 

 

 

中国財政省は2016年2月から、エコカー普及のために政府が給付している補助金の詐取行為に対する一斉取り締まりを開始した。北京、上海、江蘇など全国25省・直轄市で来月下旬まで実施すると2月3日付人民日報などが伝えた。

2013~15年度に政府補助金を受けたエコカーメーカー全90社と、エコカーを購入した企業や事業体、補助金給付にかかわる地方政府の担当部門が対象。

 

9月8日、中国財政省はEVPHVを対象とした補助金制度を悪用し、約10億元(約153億円/15.370)を違法に受け取っていたとして、国内会社5社の生産ライセンスを取り消し及び罰金を発表した。

 

9月8日~9日、中国国営メディアは、エコカー補助金不正需給問題が拡大し、日産自動車現代自動車吉利汽車(シーリー)、安微江准汽車(JACモーター)、比亜迪(BYD)の子会社などを含む20社の関与を指摘している。

 

<不正検査内容>

1、メーカーが、補助金を受ける際に提示したデータや電気自動車(EV)電池の調達数と販売数が適切かどうか、

2、車両販売数に虚偽がないか、

3、不適切な車両の買い戻しを行っていないか、

4、虚偽の取引や販売価格の偽装が行われていないか

などを調査し、違反行為があれば厳しく処分する。

 

エコカー補助金をめぐっては、

5、一部メーカーが、補助金取得目的で、はじめから市場に出す予定のない低品質の車両を量産し、グループのリース会社に販売した形にして補助金を詐取したり、

6、補助金を受給した後に車両から電池を取り出して再利用するなどの不正が横行している

との指摘されている。

楼継偉財政相は1月、エコカー補助政策を20年以降に廃止する方針を表明。補助金の詐取行為を厳しく取り締まる考えを示していた。

 

EVPHV販売台数>

中国自動車工業協会によると15年のEVとPHVの販売台数は33.1万台世界一となった。

今年も1~7月までの新エネ車合計は前年同期間比で29.2%も増加しており、普及に勢いが付いている。

2015年は33.1万台を販売されたが、バスなどの商用車が12.4万台で占有率は37.4%だった。

バスに対するEV補助金は、中央政府と地方政府からそれぞれ30万元の計60万元が支給されるという。

 

なお、韓国勢蓄電池大手のサムスンSDILG化学は、中国当局が新たに設けた蓄電池の認定を受けられずにいる。理由は、バスの炎上事件、その原因だった蓄電池の仕様が、三元系バッテリーで、両社も仕様が同じだったことによるもの。

そのため両社は中国当局に対して何回も審査に出しているが、認証を受けられず、現在も補助金対象から除外されている。

中国では、EVに両社の蓄電池が搭載されなくなっている。

認証の別の事由では、THAADミサイルの韓国配備方針への報復とも見られている。

EVの場合、車両価格に占める蓄電池の価格は1/3以上とされ、蓄電池が補助金対象でなければ、車両メーカーは当該電池を採用できない。

ただ、外国勢系で現在までに認められているのは2社あまりで、純国産の保護貿易主義の観点から除外したものとも見られている。

 

 

2016年 新エネ車販売推移 :万台

 

EV

PHV

12

3.5

2.4

1.1

3

2.3

1.8

0.5

4

3.1

2.4

0.7

5

3.5

2.6

0.9

6

4.4

3.4

1.0

7

3.6

2.6

1.0

17月計

20.4

15.2

5.2

・新エネ車が売れるのは、大気汚染対策の国の政策、補助金が出ることと、抽選なしのプレート取得およびプレート取得代(ガソリン車8万元)免除などある。

 

http://n-seikei.jp/2016/09/post-39610.html

 

 

 

さて、一つ前の論考の図表2のエコカーの台数はほとんどがEVPHVであり、その意味でFCVトヨタの名前はない。FCVは中国ではこれからと言うよりもかなり先のもので時機尚早なのである。これがEV系のエコカーを持っていないトヨタの悲哀である。先ごろPHVを出したとはいえ、相当出遅れていることには間違いない。中国でのVWとの差を挽回することは、当分の間できないのではないのかな。小生は、中国ではそれほど気張る必要はないものと思ってはいるが、特に大気汚染問題が深刻なのでCO2を出さないEVは必須のエコカーとなるのである。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(16)

NEV規制NEVとはNew Energy Vehicleと言い、いわゆるエコカーのことである。対象となるクルマは、EVPHVFCVの3車種だけでありHVは含まれていない。中身は違うだろうが 、カリフォルニア州ZEV規制と同じ性格のものであろう。中国としては、二番煎じとなってしまうので、ZEV規制とは呼びたくなかったものと思われる。ZEVNEVと呼ばせて、悦に入っているものと思われる。まあそうは言っても、中国版のZEVゼロエミッション規制であることには間違いない。

 

もう、ぐちゃぐちゃだ。本気で中国ビジネスを考え直さなければならない」と当事者達も言っているように、中国のNEV規制は我々素人には皆目見当もつかない。

 

しかし、2018からはエコカー生産は「ライセンス制」となり、自動車取得税の減額もなくなり補助金も減額されてゆき、そのうちなくなるようだ。だから中国でどのようなエコカー戦略をとっていったらよいのか、疑心暗鬼の状態なのだろう。しかも例によってライセンス取得にはそれなりに「コネ」も必要なようで、ひょっとしたら日系企業貰い損ねるなんてこともあり得るのではないのかな。

 

それにしても2017.1.1から補助金の交付額を引き下げたようで、それまでは販売店はそれなりにもらえたものが少なくなるため、その分の値引きが難しくなり値上げに踏み切っていると言う。だからエコカーの販売も徐々に頭打ちになってゆくに違いない。

 

そうなれば、いくら中国政府の心証が良いVWと言えども、バンバンと売り上げが伸びることもなくなるのではないのかな。

 

 

【経済】【中国】エコカー値上がり、購入補助減額分を価格転嫁
2017
02121715


中国の新車販売市場でこのところ、電気自動車(EV)などのエコカーの一部車種が実質値上げされている。補制度見直しの一環として、中国政府が201711日から交付額を引き下げたため。この減額分を消費者に転嫁するメーカーが早速見られ始めた。業界関係者の間では、「エコカー値上げは必然的な流れ」との見方が大勢を占めるという。中国経済週刊が7日付で伝えた。

他社に先駆けて、比亜迪(BYD1211/HK)は実質値上げに踏み切っている。すでに補助減額分をそのまま消費者への実勢販売価格に反映。春節前に購入契約を結んだ消費者に対しては、特別キャンペーンとして50008000人民元(約8万~13万円)のキャッシュバックを自腹で用意した。しかしそれでも、昨年に比べて消費者負担は増えている。BYDEVe5」を例にとると、国からの補助金1台当たり44000人民元減額された。メーカーからキャッシュバックを受けたとしても、3人民元を超える負担増となる。消費者からは、「価格面の魅力がなくなれば、ガソリン車を買ったほうが良い」との声も聞かれるという。

半面、当面の対策として、補助減額分のすべてを自社負担するメーカーも散見される。補助減額の当局発表があった直後に、北京汽車傘下の北汽新能源汽車は「全車種を春節中は値上げしない」と宣言。補助減額分を自社で全額補う方針を打ち出した。ただ、これは春節セール期間中の限定措置。同社契約ディーラーの担当者は、「春節連休が終わったいま、必然的に値上げされるだろう」と話した。

中国政府は昨年末、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車PHV)などの新エネルギー車向けの購入補助制度を17年から見直すと発表した。補助金交付基準を引き上げると同時に、交付額を引き下げることを明らかにしている。これによって1台当たりの交付額は20%圧縮された。さらに地方政府から給付されるエコカー補助についても、中央から給付される補助金額の50%以下に抑えるよう通達されている。昨年までは「最大11」の比率が認められていた。

工業和信息化部(工業情報化部)の報告によれば、中国の新エネルギー車販売は、2年連続で世界最多を記録した。16年の通年では、生産が517000台、販売が507000台に伸びている。保有台数は100万台の大台を突破。世界全体の5割を超えた。

【亜州IR  SK   提供:フィスコ

https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201702120065

 

 

まあ情報収集力も解析能力もない小生にとっては、この中国のNEV規制の中身は解らないが、日本企業にとっても影響は大なのであろう。

 

次の記事を一読して、その感触をつかんで頂きたい。

 

 

中国エコカー産業の成長と日系企業の対応

みずほ銀行 国際営業部 調査役 湯 進

mizuho global news 2017 JAN&FEB vol.89

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湯調査役

 

 8年連続で自動車生産・販売の世界首位を維持した中国は、「自動車大国」から「自動車強国」への脱皮に向けて、次世代自動車分野で戦略的布陣を急いでいる。中国政府は「135カ年計画(20162020年)」で、製造業の競争力向上を国家戦略として推進し、なかでも電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車PHV)を中心とするエコカー産業が戦略的に育成分野となっている*1。こうした中長期の産業育成策にともなう市場の形成や、技術・部材の需要も日系企業には追い風になると考えられる。

 

政府主導下の産業発展

 

 中国では既存のガソリン車技術が遅れているなか、大気汚染の深刻化やガソリン輸入への過度な依存もあり、政府は2012年に「新エネルギー車産業発展計画(20122020」を発表し、エコカー産業の育成に力を入れている。2015年には「中国製造2025」および10大重点育成産業を打ち出し、「2025年までに自動車市場におけるエコカー比率が20%、自主ブランドシェアが80%」などの目標を掲げている。

 

 日本がハイブリッド車HEV)に開発の重点を置くのに対し、中国は既存特許等の参入障壁が比較的に低いとされるPHVEV分野の発展に取り組んでいる。中国では地場有力エコカー企業が立地する都市がモデル地区として指定され2010年から個人向けのエコカー補助金支給制度を始めた。また政府は、エコカー「三縦三横」*2技術の向上およびR&Dシステムの構築に急いでおり、中国版ゼロエミッション規制(ZEV)の導入や厳しい燃費規制などにより、地場企業の「エコカーシフト」も促そうとしている*3。 すなわち公的助成金によるエコカー需要の創出や基幹部品の量産が実現できれば、基幹部品・車両価格の低減が見込まれ、エコカーの普及にもつながる。こうした潮流下、中国のエコカー生産台数は2014年に7.8万台、2015年に33.1万台、2016年には40万台を超えると見込まれている(図表1)。

 

地場企業の成長と異業種参入

 

 補助金支給制度の波に乗り、多くの地場メーカーは成長を遂げている。BYD汽車、北京汽車2社が世界エコカー販売トップ10にランクインされており、中国市場でも約5割のシェアを占めている(図表2)。1995年に電池事業でスタートしたBYD汽車は、世界初の量産型PHVF3DM」の開発(2008年)、PHV「秦」の発売(2013年)など、エコカーシフトの姿勢を見せている。エコカー販売台数は2015年に6万台、2016110月には8.4万台に達し、2年連続で世界1位となっている。同社は2013年に「542戦略」と呼ばれる技術目標(0100km/hの加速が5秒、4輪駆動、100kmあたり必要燃料が2ℓ)を打ち出し、PHVシリーズの発売によりラインアップの拡充を進めている。

 

 中国では小型EVホイールベース2.3m以下)がコストパフォーマンスで好調を維持し、現在のEV販売の6割超を占めている。北京汽車が低価格小型EVEシリーズ」の好調により、2016110月期に販売台数約3.7万台で中国のEV販売首位となっている。当社はEV買替補助金を設け(最大27億円)、中古車両の買い取りや自動車ローン利子の負担などを通じて、地元市場における需要の喚起を図っている。

 

 また、異業種からの新規参入も目立っている。エアコンメーカーの格力電器は珠海銀隆(地場EVメーカー)を、自動車部品大手の万向集団がKarma Automotive(米PHVメーカー)を買収し、エコカー業界への参入を果たした。アリババ、テンセント等のネット関連企業はエコカーベンチャーを立ち上げ、EVメーカーへの委託生産に取り組んでいる。現在、中国エコカー市場では、外資系企業が関連製品を投入し始めているものの、地場メーカーが依然9割超の市場シェアを占めている。地場メーカーの攻勢を受け、世界2位のテスラ(米)は中国では苦戦しており、2016110月の販売台数が約7,000台でとどまっている。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(15)

しかし、VWがリードする巨大な中国市場では政府の各種補助金で追い風を受けたわけだが、この補助金1月で期限切れ2016/12末で終了)となると書かれていたが、業界からの要望を受けて2017年末まで自動車取得税の減税については延長することを決めている。但し10%→5%だったものを10%→7.5%と減税幅を縮小する。更に補助金についてはEVPHVについては減額されていく様だ。そのため今年は、昨年のような好業績を達成するのは、少しは難しくなるのかも知れない。

アメリカは、VWにとってはこれからの市場であり、アメリカで売れなくても今年や来年の当座はそれほど問題はない。しかしさらなる成長には、アメリカは大事な市場となる。どうアプローチするか、VWの戦略は見ものだが、こと中国に関しては税金や補助金などの規制がコロコロと変わるので、VWにとっても厄介だ。

 

 

5)中国市場のエコカー規制はどうなる?

 

 

中国では、2018年からエコカーの生産をライセンス制にするようで、ライセンスの無い企業は生産が出来なくなるようだ。しかもそのライセンス取得の基準もはっきりしていないようで、必然的に腐敗の蔓延る基となりかねないものだ。そしてそれと同時に取得税の減税処置を終了とし、補助金も段階的に削減してゆくと言う。

 

 

 

中国、エコカー生産に壁 18年からメーカー数制限

2017/1/12 6:45
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 世界最大の自動車市場である中国で「2018年問題」が浮上してきた。政府が電気自動車(EV)などエコカーを生産できるメーカー18年から絞り込む政策を近く発表し、同年に先進国並みの環境規制を導入することも決まったためだ。小型車減税は今年で終了し、エコカー補助金も今後大きく削減される。拡大の続いた市場は18年から激変する可能性が高まってきた。

 「もう、ぐちゃぐちゃだ。本気で中国ビジネスを考え直さなければならない」。日系メーカー幹部らは今、こう言って、いら立ちを隠せない。

 17年に3千万台の大台をうかがう中国の自動車市場が水面下で揺れている。事の発端は昨夏。政府がメーカー側に示した1通の文書にあった。

 「今後、エコカーを生産できるメーカー数を制限する。18年以降に生産したければ、政府が許可する新しい生産ライセンスを取得せよ」。おおむね、そんな内容だ。

 中国では「ライセンス許可が必要なところ、腐敗あり」と言われるほど許認可は厄介だが、各社が慌てたのにはほかにも理由があった。中国政府が先進国並みの環境規制「NEV規制」の導入も検討していたからだ。

独VWは“ルール違反”とも取れる、3社目の中国メーカーとエコカー事業で提携した(写真はVWの新型PHV。昨年4月の北京モーターショーで)

独VWは“ルール違反”とも取れる、3社目の中国メーカーとエコカー事業で提携した(写真はVWの新型PHV。昨年4月の北京モーターショーで)

 同規制は、EVプラグインハイブリッド車PHV)など環境負荷が小さい車を相当な量を売らなければ通常のガソリン車の販売は認めない厳しい内容だ。

 つまり、エコカーのメーカー数を大きく制限する一方、エコカー販売は厳しく義務付ける。中国でエコカーはEVやPHVで、通常のハイブリッド車は含まない。計画では現在約120社に達するエコカーメーカーを、18年以降は20社程度まで絞る案で検討が進む。

 全く逆にも見える2つの政策の狙いはなにか。

 中国で昨年、エコカー補助金の不正受給が横行したことが、まずは背景にある。グループ内の企業間でEVを販売したように見せかけるのは序の口。その売ったと見せかけた車から電池だけ抜き取り、別の車に載せ、新たにEVを売ったように見せる不正受給も相次いだ。こうした悪質な企業の排除が政府の狙いだ。

 一方、中国では大気汚染が深刻で環境対策は待ったなし。先進国並みの厳しいNEV規制の導入が必要と判断したのだ。

 ただ、2つの政策が始まる18年まで1年を切り、エコカー投入を準備するには時間が限られる。そもそも日産自動車ホンダトヨタ自動車の現地合弁など大半のメーカーは新ライセンスの取得すらできていない。

 だが、そんなメーカーをさらに混乱させる事が相次いで起こっている。

 まずはフォルクスワーゲン(VW)だ。昨年9月、中堅の安徽江淮汽車(JAC)とともにエコカー合弁会社をつくると発表。VWにとっては中国企業との間で結ぶ3社目の提携「2社まで」と定める外資規制への違反は明らかだ

 だが、この案件は、JACが本社を置く安徽省の出身の李克強首相が、地元企業のJACを後押しした大型のEVプロジェクトだ。表だって問題視されず、他のメーカーは「(中国政府と元々近い関係にある)VWや中国企業が特別扱いされるのはおかしい」と憤る。

 2つ目はすでに中国企業8社18年以降のエコカー製造の新ライセンスを得たこと。メーカーを絞り込む政策そのものがまだ発表されていないなかでの不可解な動きだ。

 当然、取得基準も明確になっていない。ライセンスを得た企業には北京汽車系、奇瑞汽車系の実績のあるメーカーもあるが、技術やノウハウのない新規参入組が目立つ。そこには「中国市場で今後、エコカーが急増する」(外資系メーカー)のをにらみ、中国企業を競争優位に立たせたい露骨な思惑が見て取れる。

 一方、これまで中国市場の拡大をけん引してきた外資系大手の間では「限られた新ライセンスを本当に取得できるのか」という不安が渦巻く。

 中国政府は景気対策で導入した小型車減税を17年末に打ち切り、18年は反動減の恐れが強い。エコカー販売台数を16年に40万台超まで増やした補助金の削減も加速する。

 健全な市場が今後、中国に根付くには公平性をいかに確保するかがまずは不可欠。今回の政策転換には再考の余地が十分にあるといえそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX11H0U_R10C17A1FFE000/

(続く)