世界の流れは、EV化(47)

吉田さんのスピーチに「I am excited to announce, this spring, we are establishing a new company」とありましたが、会社設立のタイミングは?

川西 諸手続きについては内部で進んでいます。スタートの具体的な時期はまだお伝えできる段階ではないですが、区切りの良い、適切なタイミングを目指しています。

2020年のCESでは、あくまでもセンサーの性能を上げるための実験車という位置づけで発表されましたが、なぜ一転して、市販の方向を目指すことになったのでしょうか。いつごろまで検討するのでしょうか。

川西 それはポジティブに捉えてください。時期ですが、モビリティー業界のEVの動きは速いので、タイミングを逃さないような形で考えていきたいと思っています。具体的に「この時期です」と言うのはまだ早いです。


公道テストに進んだソニー
VISION-Sの未来は?CESで川西氏に聞く   CES 2021のインタビュー

 ソニーの電気自動車(EV)「VISION-S」の展開が新たなステージに入ったことが、初の完全リモート開催となった今回のCES 2021で明らかになった。オーストリアでの公道走行テストに進んだのだ。昨...                                 ソニーかーtop
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/event/18/00105/011900018/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard

2021/01/20

ずばり、お聞きします。なぜ、市販の方向を目指すことになったのですか。私が特にこだわるのは、昨年のCES 2021のインタビューで「開発が進んで車としての完成度が上がっていくと、この車両を売ってほしいという声も出てくると思います」という私の質問に、「販売の一歩手前まではいく(麻倉注:量産車を造らないと本当のテストにならないということ)と思いますが、その先は分かりません(笑)。ただ、車の品質を追求していくことは、イコール、運転者の命を守ることですから、ここは手を抜かないで追求していきます」とおっしゃっていたからです。

川西 あるタイミングをきっかけに0から1になったわけではなく、選択肢の一つとして初めから視野には入っていました。でもスタート時点では知見のない部分もかなりありましたし、異業種の中で自動車を造ることの難しさもあり、実験を重ねていく作業がかなり必要でした。後になり、それを乗り越えられ、自分たちの持つ技術を生かせる領域がかなりあることも分かってきました。その可能性が見えてきたから、今回の判断に至ったのです。何かを契機に急に決めたわけではありません。

なるほど。知見が重なって、経験も重なって判断できるようになったということですが、判断材料としては、何回かオーストリア実車走行とかテストされました。

川西 そうですね、実際に走行テストをして、「走る・曲がる・止まる」の基本の確認から、車体自体も最初のプロトタイプから作り直し、何台か世代交代しています。そうした経験を重ねながら、知見をためてきました。走行安定性はセンサーだけの問題ではありませんし、車体の安全性も上げなくてはなりません。公道といっても平らな道ばかりではなく、いろいろな場所があります。天候も違います。そういったところをひとつ一つクリアーしていく工程を続けてきました。車としての基本性能をつくり、さらにその上で、車全体の統合的な制御、ADAS(、Advanced Driver-Assistance Systems、先進運転支援システム)の実行、車内の(情報と娯楽を融合させた)インフォテインメント……など自分たちの持っている技術をどのように発揮できるかも見えてきました。

それに関連して、最近、5Gを使って、東京からドイツのアルデンホーフェンにのテストコースでVISION-S Prototypeを遠隔運転されました。この狙いは?

川西 遅延の少ないネットワークを使って、車をリモートでしっかり運転できるかの検証です。まだどこの国でも認可は出ていないのですが、完全な自動運転の手前にリモートでの運転需要が生まれてくるのであれば、この技術が生かせると思います。視界の問題とか、遅延の問題があり、簡単な話ではないですけれども、今回、特に問題もなく操作できましたので、遅延もある程度のスピードの中ではコントロール可能なことが実証できました。

今回披露した「VISION-S 02」の外観イメージ

今回披露した「VISION-S 02」の外観イメージ
(出所:ソニーグループ)  [画像のクリックで拡大表示]    

なぜ2台目はSUVなのか

なるほど、ソニーグループの独自技術をいかに取り入れようとしているかが分かりました。VISION-Sはプロトタイプから造り直し、何台か世代交代したということですが、どのように改善していったのですか。

川西 それぞれの領域のテストをするためです。例えばADASでのテストに使う、走行テストに使う、それを5Gのネットワーク接続のテストにも使う……と、それぞれの領域での実証を重ねてきました。ソニーが持つセンシングの技術、IT技術などをモビリティーに投入したらどうなるのかというトライをしてきました。

改めてお聞きします。VISION-Sの切り口は何ですか?

川西 2020年のCES 2020で発表しましたが1番目は「Safety」。安心安全を確保するセンシングデバイスとソフトウエアの可能性の追求です。2番目は「Adaptability」。ソフトとして進化できる、継続的なグレードアップができる環境を導入することですね。このプラットフォームがあると、時間とともに価値を付加できます。ドライバーの好みを取り入れた、乗り味などもつくっていけると思います。3番目は通信と連携した「Entertainment」、車室内のエンターテインメントをつくっていきます。この3つは実験で見通しが立ちました。それも市販検討に進んだ大きな理由ですね。

CES 2022でのソニーグループのプレスカンファレンスから

CES 2022でのソニーグループのプレスカンファレンスから
(出所:ソニーグループ)[画像のクリックで拡大表示]    


(続く)

世界の流れは、EV化(46)

(1) 20201月の「CES2020」でEV試作車「VISION-S01」セダンを初公開

 

(2) 202012月には、欧州で公道走行テストを開始、イメージング技術、センシング技術、HMI
  ヒューマンマシンインタフェースシステムなどの安全性やユーザーの使い勝手の検証。
  ソニーEVの基盤は、セーフティ、アダプタビリティ適応・順応性)、エンターテイメントの3つだ
  という。アップグレートなどを含めユーザーの使い勝手が良い、と言うことか、
果たしてソニー製品がそうなっているのか。

 

(3) 20214月からは5Gでの走行試験を開始。

 

(4) 202215日の「CES2022」に先立ち、EVの市場投入を本格的に検討すると発表

 

(5) 今春には、EV事業の新会社「ソニーモビリティ」を設立する予定

 

(6) セダンタイプ「VISION-S 01」と共通のEV/クラウドプラットフォームを採用した「VISION-S02」も
  発表した。7人乗りのSUVで、CMOSイメージを含むセンサー40個搭載、AIやロボティクス技
  術を最大限に活用し、室内をエンターテインメント化している。当然自動運転が基本となるが、
  自動運転がうまくいかないと、この車は成り立たないことになろう。

 

(7) と言う訳で、吉田健一郎会長兼社長は「移動を再定義」出来ると豪語し、EV事業に自信をの
  ぞかせている。

 

(8) アップルも2025年には完全自動運転EVを発売する予定だと言われているので、既存のカ
  ーメーカーは、その対応にまい進せざるを得ないことになる。

 

(9) 但しソニーもアップルも、どこでどのようにその車をつくるのか、が課題となろう。車は人の命を
  預かっているので、ハードもソフトも安全性をいかに確保するかが、最重要課題となろう。
センサーを40個もつけて安全性を確保してると言っても、衝突することだってあるはずだ。その

  時の乗員の命を守るためのボデー構造なんぞは、どう考えてゆくのであろうか。

 

(10) もう一つ、バッテリーをどのように確保するかが大問題となろう。だから既存の関連会社が協
   力しない限り、そのEVを量産するのは相当難しいと言わざるを得ないし、販売網の確保は
   なお難しい。アップルの先を越したいがためだったのか。

 

(11) トヨタも同様な問題を抱えている。2030年までに350万台BEVを製造・販売する予定だ。
   そのバッテリーはどこから調達するのか、自力で作るのか、どうするつもりか。
   '21.10.18発表、豊通と組んで米国に車載電池工場新設2025年生産開始、
   ノースカロライナ州グリーンズボロ、当初4Line→6(120万台)⇒もう1工場必要となる
   CATLBYDBuild Your Dreams比亜迪)からも調達契約している。   

   トヨタ初のSUVEVbZ4X」を20226月の発売、2025年までにEV15車種投入予定。

2030年までにEV30車種投入予定

 

 

トヨタ350万台やバッテリーの問題に入る前に、もう一度「ソニーカー」のおさらいをしておこう。

 

 

 

ソニーGがついにEV参入、その狙いと真意 川西氏インタビュー

ソニーグループ 常務 AIロボティクスビジネス担当 AIロボティクスビジネスグループ 部門長 川西泉氏に聞く

麻倉 怜士   評論家、日本画質学会副会長   2022.01.13

 CES 2022でのソニーグループのプレスカンファレンスにおいて、吉田憲一郎・代表執行役会長兼社長CEO最高経営責任者)は「I am excited to announce this spring, we are establishing a new company, “Sony Mobility Inc,” to accelerate these efforts. And, we are exploring a commercial launch of Sony’s EV.」との力強い言葉で、ソニーグループのEV(電気自動車)参入を表明した。CES 2020の「VISION-S Prototype」発表時には、自動車メーカーへ部品やデバイスを供給するために学びを深めていき、さらにはモビリティーやエンターテインメントの研究目的であるとして、自社での車ビジネスは行わないと明言していた。だが一転、CES 2022ではEV展開を本格的に検討していくための新会社「ソニーモビリティ」の設立とその方針を明らかにした。昨年(2021年)に引き続き、ソニーグループ 常務 AIロボティクスビジネス担当 AIロボティクスビジネスグループ部門長の川西泉氏に、詳細にわたり、真意を聞いた(聞き手は麻倉 怜士=評論家、日本画質学会副会長)。

CES 2022でのソニーグループのプレスカンファレンスから

CES 2022でのソニーグループのプレスカンファレンスから
(出所:ソニーグループ)  [画像のクリックで拡大表示] CES2022_z01

 

EV市販は初めから視野に入っていました」

ソニー AIロボティクスビジネス担当 執行役員の川西泉氏

ソニー AIロボティクスビジネス担当 執行役員の川西泉氏

(出所:ソニーグループ)   [画像のクリックで拡大表示]

 

まずEVの市場投入を本格的に検討されている新会社「ソニーモビリティ」についてお聞きします。これは今、川西さんの持っているロボット「aibo」やドローン「Airpeak」を全部統合するのでしょうか。さらに話題の宇宙旅行への発展性も?

川西 その予定です。広義な意味でのモビリティー、トランスポーテーションに関わるものはすべて範疇(はんちゅう)です。宇宙についての検討は白紙です。

(続く)

世界の流れは、EV化(45)

ソニーEVを差別化する3つの要素

センシング技術に強みをもつソニーにとって、EVに搭載する安全なEVを実現するためのセンサーは重要な差別化要素の1つ、と捉えている。

出典:CES2022プレスカンファレンス中継より  ソニーEV_AASwz82

 

一方で、今のVISION-Sがそのまま製品になるのか、という問いには「そうではない」と答える。

「製品としては、もっと最適化できます。課題はまだあって、製品化までのすべてがクリアに見えた、と言い切れるものではないです」

 

ソニーグループが発表したリリースでは、事業化への取り組みを発表」「EVの市場投入を本格的に検討と、若干含みを持たせた書き方になっている。その理由は、川西氏のいう「改善が必要な部分」にあるのだろう。

 

では、ソニーが「自社のEV」を作る上で必要な要素はどこになるのか? 川西氏は「3つある」と話す。

「もともとVISION-Sは、3つのテーマを掲げて開発を進めてきました。
1つは『センシング』。センサーを使い、安心・安全を実現する技術です。次が『アダプタビリティ』。簡単に言えば、ソフトウエアをベースにし、機能などをアップグレードしていく前提での自動車づくりです。最後が『エンターテインメント』。自動車という移動空間のエンターテインメントを変えていく、ということです。
これらが具現化できる見通しが立ち始めた……というのが今の状況です」

 

 

ソフトウェアで「パーソナライズ」される車

VISION-Sソニーが開発したEVだが、すべての部分をソニー1社で独自開発したわけではない。多数の企業との協力体制によって作られている。その中には、自動車生産の分野でトップクラスの実績を持つ、オーストリアマグナ・シュタイア社も含まれる。

 

自動車の基本は「走る・曲がる・止まる」。EVも基本は変わらない。

 

川西氏は、「走る・曲がる・止まる、といった部分は協業でないと作りづらく、手を出しにくいところがある」とも話す。

 

「自動車としての基本部分はソニーの設計でないなら、どこに独自性があるのか」と思う人もいそうだ。

 

 

ただ、ソニーは、「それら重要な部分を協業の形で開発したとしても独自性を出せる」と考えているようだ。それが、前述の「具現化できた3」に関わる部分である。

 

「『ドメイン制御』と呼ばれたりもしますが、車全体を統合制御する部分や、いわゆるADAS(先進運転支援システム)、インフォテイメントなどの領域は、自分達の強みがかなり活かせます」

 

そう川西氏はいう。

 

実際、加速・減速のタイミングや、乗り心地と走行安全性に関わる電子制御サスペンションの効かせ方など、ソフトで制御可能な部分は多々ある。それらの部分を徹底的にソフト化し、アップデートによって継続改善できるようにする、というのがソニーの狙いだ。

 

「結果として、(自動車にも)パーソナライズできる領域を相当増やせると考えているんです。同じVISION-Sであっても、人によって乗り味が違う、車の特性を変えてしまう、といったこともできます。ただし、自動車ではボディ剛性も重要ですし、(ハードウェア的な)作りに起因する特性もあり、すべてが変えられるわけではないのもわかっています。その上でどれだけ(ソフトで)コントロールできるか、ということが、我々にとってのチャレンジです」

 

ソニーEVaiboであり、プレイステーションであり、IoTである

 

川西氏の言葉を紐解くと、ソニーが作ろうとしているのは、「乗り味」「走り味」をソフト制御で自分好みに変え、先進安全や自動運転などに関わる機能がアップデートされ、進化していく自動車……ということになるだろうか。

 

ハードウェアというよりは「サービス」としての自動車のようにも見える。

 

ソニーグループの吉田憲一郎社長は、米・ラスベガスで新聞などの記者の質問に答える形で、EVのビジネスのあり方として「カーリング(継続型)ビジネスになる」と話した、と報道されている。

 

ソフトで進化するサービスとしての自動車、となれば、それはリカーリングビジネスそのものだ。

 

この点を川西氏にたずねると、次のように笑いながら答えた。

 

「私としては、ずっとやってきたことをそのままやっているので、当たり前だと思っているんですけどね」

 

川西氏は過去、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)でCTO(最高技術責任者)を務め、PlayStation 3などの開発を指揮した経験を持つ。その後、ソニーAIロボティクス・グループを率いる立場となってからは、aiboの復活も手がけた。

 

「どれもプラットフォームがあって、その上でアップデートやソフトの追加で価値が高まっていくものですよね。クルマも同じなんですよ。ネットワークにつながるデバイスという大きな括りで言えば、車もaiboも同じ『IoT』ですから」

 

そのためには、当然通信が必須だ。そして、自動車が通信連携前提になれば、さらに進化が期待できる。いわゆる、「V2XVehicle to everything」と呼ばれる領域だ。

 

V2Xでは、通信インフラの先にある、あらゆるサービスとの連携が必要になります。そもそも人にとっては、自動車の中でも生活は、家に住むと同じくらい大切なものです。家と同じような環境が作れるかどうか、個人の時間を車の中に持ち込めるかどうかが、非常に重要な要素です

ソニーが作る自動車事業検討のための新会社「ソニーモビリティ」は今春に設立される。その頃になれば、ソニーならではの車とはどんなものなのか、より具体的な姿が見えてくるのではないだろうか。

 

 

(文・西田宗千佳

 

https://www.businessinsider.jp/post-249065

 

 

 

簡単に、ソニーの動きをまとめてみよう。

(続く)

世界の流れは、EV化(44)

クルマだけに限らないが、他の移動手段とクルマが異なるのは、特にパッセンジャーカーでは、それが「プライベートな空間」となる、と言うことが重要なことのようだ。

 

その「プライベートな空間と時間」を、このエレクトロニクスの発達した時代では、有意義に使えるのではないか、そして何か事業化できるビジネスがあるのではないか、と言った発想がソニーとは言わないが、あったのではないのかな。

 

しかも「自動運転」の時代がすぐにでもやって来そうな雰囲気なので、そのモビリティのプライベートな時間・空間を有意義に過ごせるものがあれば、平たく言えば、何かものになりそうだ(金になりそうだ)と言ったことなのかなあ、とぼんくらな小生には頭を巡らせたのである。

 

と考えてみたのであるが、何もクルマに乗っている間だけに限る必要はなかろう、とも思えるのであるが、自宅でのプライベートな時間と空間でも、このことは当てはまることではある。

 

ならば、そこにもソニーの言う「セーフティ」、「アダプタビリティ」、「エンターテイメント」は通用するものではないのかな。

 

ソニーにしてみれば、そんなことはすでに実用化している、と思っているのであろう。だから

「モビリティ」でそれを実現したい、と言うことなのでしょう。要は、クルマであるからこそ、そこにはその需要があると判断した、と言うことなのでしょう。

 

 

 

ソニーが参入するEVは「aiboであり、プレイステーションである」。ソニーモビリティが「VISION-S」で目指すもの【幹部インタビュー】

西田宗千佳



REUTERS/Steve MarcusCES2022ソニーブースで展示されているクーペ型の「VISION-S01」と新発表となるSUV型の「VISION-S02
 REUTERS/Steve Marcus            

 

2022年春、ソニーは事業会社ソニーモビリティ」を設立し、EVの自社販売を検討するフェーズに入る。

 

北米で開催中の世界最大級のテクノロジー展示会CES2022のカンファレンスで発表したこのニュースは世界中を駆け巡った。

 

考えてみればここ数年、ソニーCESでアピールするのは「家電」ではなく「動くハードウェア」だった。前年の2021年はドローンの「AirPeakを、そして2020年には試作EVであるVISION-Sをお披露目している。

 

今年の目玉も自動車だ。「VISION-S」のSUV型(多目的車)の試作車「VISION-S 02を公開した。

 

重要なのは、ソニーにとってCES2022で発表したかったのは「新試作車」ではないーーということだ。ソニーが世界に示したかったのは、「自動車メーカーになる」という決意だ。

 

VISION-S発表からの2年、どのような検討が進んできたのだろうか? そして「ソニーEV」をどのような形で実現しようとしているのだろうか

 

VISION-SAirPeakなどの開発を指揮した、責任者であるソニーグループ常務・AIロボティクスビジネスグループ 部門長川西泉氏を直撃した。

 

2年の開発から自信、市販するなら「さらに最適化」

CES2022プレスカンファレンスでSUV型の「VISION-S02」を世界初披露するソニーグループ会長兼社長の吉田憲一郎氏。       

出典:CES2022プレスカンファレンス中継より

 

 

冒頭で述べたように、VISION-S2年前、20201月のCESで発表済みだ。それ以降、ヨーロッパと日本をまたぐ形で開発が進められ、2020年末にはオーストリアにおいて公道での高速走行を実施 した。2021年にはドイツのサーキット内で、5Gを使って日本からの「リモート運転」も実現している。

 

 

VTR

 

 

2020年に公表されたのはスポーツクーペだった。今年は、さらに今風なSUVだ。これに伴い、クーペが「VISION-S 01」、SUVが「VISION-S 02名称変更されている

 

0102は同じプラットフォーム(EVを構成するための基盤で、モーターやバッテリーなどの基本構成)を使って開発している。

 

川西氏は言う。

02を作ったのは、同じプラットフォームで複数のEVを作れる、というコンセプトを検証し、具現化するため。こうやって自動車のバリエーションを増やしていけます」

 

コロナ禍ということもあり、日本での公道走行など、まだ実施できていないテストもあり苦労しているようだが、それでも開発は順調に進んでいるようだ。

 

ソニーグループ常務・AIロボティクスビジネスグループ 部門長の川西泉氏。     

 

この2年間に生じた変化は大きい。

 

2年前の段階で、ソニーは「VISION-Sを自社で市販する予定はないと明言していた。それが今回、「市販に向けて検討し、事業会社を設立するという流れに一転したように見える。

 

川西氏は、市販化検討への経緯を次のように語った。

「市販することも、検討そのものは最初からしていたんです。どうするかをずっと考えていたので、ある時期にいきなり考えを変えた……というわけでもありません。
EVの中に)自分達で持っている技術を導入していき、十分に違いを出せる部分もわかりましたし、車としての設計・製造の難しさも学びました。結果的に、自分達で製品として具現化できる見通しが立ったので発表したことになります」
(続く)

世界の流れは、EV化(43)

ソニーにはすでに、「もの」と「方法」を融合した「モビリティ」なるものを持っているのかもしれないが。

 

 

 

ソニーの車」実現へ加速!? 自動車メーカーと異なる「ソニー流アプローチ」とは? 家電メーカーの参入相次ぐ?

桃田健史 2022/01/08 07:30

 

ソニーの“手の内”技術でモビリティ事業を展開

 ついにソニーグループ(以下、ソニー)が、モビリティ分野に対して本気で勝負を仕掛けてきました

 

ソニーは米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2022」(202215日~8日)でEV(電気自動車)のSUV試作車「VISION-S 02」を世界初公開。あわせて吉田憲一郎社長が新会社「ソニーモビリティ」の設立を表明したのです。

 CES2022で世界初公開されたソニーSUVタイプEV試作車「VISION-S 02CES2022で世界初公開されたソニーSUVタイプEV試作車「VISION-S 02

 

【画像】ソニーが世界初公開した新型SUVがカッコイイ! 「ビジョンS」と合わせて見る(27枚)

 

 

 会見では、すでに公道走行実験を進めている EV試作車「VISION-S 01」も並べられ、ソニーがモビリティの事業化を本格的に進めていくとの意気込みを感じました。

 

 ただし吉田社長は、いつまでに、いくらで、これら 2モデルをベースとした量産EVを発売するかは発言していません。

 

 あくまでも「ソニーEVとしての商業化を探っていく」というにとどめています。

 

 一部報道では、ソニーモビリティを“ EVに関する新会社”というイメージで捉えている向きもありますが、ソニーの狙いはテスラやトヨタのような自動車製造業に参入するという意味ではないと考えられます。

 

 なぜならば、会見で吉田社長が強調したのは「 VISON-Sは、セーフティ、アダブタビリティ、エンターテイメントファウンデーション(基盤)として開発された」という点だからです。

 

 ソニーはこれら3領域ですでに多くの技術を開発し、各方面への販売実績もあります。

 

 順に見ていきます。

 

 セーフティについては、VISON-S 02に車内外合わせて40のセンサーが装備されており、これらにはイメージセンサーCMOS)技術が使われています。

 

 アダプタビリティについては、5G(第5世代通信)やクラウドを活用した通信によるコネクティビティ技術、乗員に合わせてパーソナライズできる HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)、そして360度リアリティオーディオシステムなどです。

 

 エンターテイメントについては、映画、音楽、ゲームなどさまざまなコンテンツを配信できます。

 

 これらのように、ソニーがすでに“手の内化(てのうちか)”している技術を組み合わせることで、
四輪乗用車に限定することなく、さまざまなモビリティ分野で新しいビジネスが広がる可能性があるのです。

 

家電メーカーのEV参入は難しい?

 既存の“手の内技術”を活用した新規ビジネス参入といえば、ホンダが 20219月に発表した「新領域への取組み」に大筋では似ているように思えます。

 

 例えば、ジェット機F1の技術を活用した電動垂直離着陸機「 HONDA eVTOL」、燃料電池などを使う月面での「循環型再生エネルギーシステム」が挙げられます。

 

 ただしソニーの場合、仮にEV本体を製造・販売するとなると、電池技術には十分な知見があっても、モーター制御システム、そして車体の開発、そして最も重要な量産体制販売網についてはパートナー企業との連携が必要不可欠になります。

 

 そのため、ホンダの新領域参入と比べて、ソニーにとって EV製造販売参入のハードルは高いという印象があります。

 

 それでもなお、前述のようなセーフティ、アダプタビリティ、エンターテイメントの 3領域を踏まえたうえで「ソニーEV商業化の模索」を今回、吉田社長が口にした背景には、やはり世界的な自動車産業のトレンド変化があると考えられます。

 CES2022で公開されたSUVタイプのEV試作車「VISION-S 02」(左)と公道走行試験等を展開しているプロトタイプ「VISION-S 01」(右)

 

 トヨタ202112月、「2030年までにEV新車で年間350万台」と発表したことは、世界の自動車産業界のとって大きな衝撃でした。

 

 その背景には、欧州連合の執務機関である欧州委員会が強く推し進めている経済政策「 欧州グリーンディール」の存在があります。その余波は、一部の州で EV化を推奨してきたアメリカや、国として環境車対策を強化してきた中国にも及んでいます。

 

 こうしたグローバルでの 急激なEVシフトという市場変化の中で、ソニーとしては自社のEVブランドが事業化できる可能性を感じ始めているのだと推測します。

 

 とはいえ、家電(電機)メーカーの EV参入には難しい面も数多くあるのが現実です。

 

 ソニーを家電メーカーと位置付けるのは語弊があるかもしれませんが、広義で家電メーカーとし

てみると、例えば英国ダイソンも一時、シンガポールEV開発部門を立ち上げるなど自社EVブランドを模索しましたが、事業化の目途が立たずに撤退しています。

 

 また、米アップルもティム・クックCEO最高経営責任者)が自動運転EVの社内事業「プロジェクト・タイタン」の存在を認めているものの、事業化を明確に定義する段階には至っておらず、いまだ

にさまざまな手法を検討中だといわれています。

 

 日本では、パナソニックが小型自動運転EVプロトタイプを使い福井県永平寺町で長期テストをおこなったり、日本や中国の都市部での利用を想定した貨客混載も可能な EV構想を公開してきましたが、どのプロジェクトも実用化の目途が立っていない状況です。

 

 こうした市場実情を踏まえると、ソニーとしては、グローバルで急拡大する EV市場の動向をしっかり把握しながら、“手の内化”できている事業領域EV量産化のバランスを、これから慎重に検討していくことになるでしょう。

 

 果たして2030年代には、ソニーEV、アップルEVトヨタEVなど、ユーザーにとってこれまでにないモビリティの選択肢が増える時代になっているのでしょうか。今後も自動車、IT、家電など広い領域で各社の動向を注視していきたいと思います。

 

https://kuruma-news.jp/post/461739

 

 

なんだかよくわからないが、「Mobility」・移動すること、を何とかしたい、と言うことのように小生には感ずるのであるが、それも飛行機や船や汽車での移動ではなくて、クルマでの移動を何とかしたい、と言うことのようだ。
(続く)

 

世界の流れは、EV化(42)

そのほか
灯油・LPガス・都市ガスを利用した暖房器具は、エアコンとくらべてすぐに暖まる、外気温に影響されにくいなどの特徴があり、とりわけ寒冷地域では引き続き需要が残る可能性があります。こうした場合にも、灯油などの代替燃料として合成燃料を利用できます。また、産業用ボイラーの燃料としての活用も考えられます。

合成燃料の残る課題とこれから


現在、合成燃料がかかえている課題のひとつは、製造技術の確立です。今の製造技術には製造効率の問題があり、効率の向上が課題となっています。革新的な製造技術としてさまざまな方法が研究開発の段階にあり、今後の実用化が期待されています。

合成燃料のもうひとつの課題コストです。現状では化石燃料よりも製造コストが高く、国内の水素製造コストや輸送コストを考えると、海外で製造するケースがもっともコストをおさえることができると見込まれています。しかし、合成燃料のコストは、「脱炭素燃料である」という環境価値をふまえて考えるべきものです。既存の燃料と単純な比較をおこなうことは適切ではなく、将来性のある代替燃料として研究開発を続ける必要があります。

国内の水素を活用する場合、水素を輸送する場合、合成燃料自体を海外で製造する場合それぞれの合成燃料の製造コストと、水素価格が安価になった将来の合成燃料の製造コストを示した表です

大きい画像で見る   


合成燃料の技術開発・実証は欧米を中心に急速に広がっており、石油会社・自動車メーカー・ベンチャー企業などによるプロジェクトが数多くたちあがっています。日本国内でも積極的な姿勢が重要となっています。サイエンスの観点からの技術開発にくわえ、エンジニアリングの観点から商用化のための高効率で大規模な製造技術・体制の確立を両輪として、産学官で技術開発に取り組んでいく必要があります。

今後10年間で集中的に技術開発・実証をおこない、2030年までに高効率かつ大規模な製造技術を確立、2030年代に導入拡大・コスト低減をおこなって、2040年までに自立的な商用化を目指すという計画が立てられています。

燃料のCN化に対する現状と、2050年までの今後の取り組み予定を表にしています。

大きい画像で見る    



脱炭素燃料としての国際的評価の確立、海外で合成燃料が製造された際のCO2削減分の捉え方など、制度面でも議論が必要です。課題がまだ残る合成燃料ですが、環境価値だけでなく、国内での大量生産や長期備蓄が可能なことからエネルギーセキュリティの向上にも役立ちます。

今後の研究開発の進展が期待されます。

 

 

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/gosei_nenryo.html

 

 

 

そうこうしているうちに、ソニーが「EVを販売することを本格的に検討すると発表して、大いにマスコミを賑(にぎ)わしている。

 

一体全体、ソニーは「クルマづくり」をどのようにとらえているのか、少なからず疑問があるところである。クルマを大量に造って売りたいのか。

 

ソニーの意図するところは、ソニーかすでに手の内化している技術・製品・コンテンツなど、例えばセンサー、音響、映像、AIなどのITなどを使って、クルマのソフト的使い勝手を商品化して提供していこう、と言うことなのであろう。当然ソフトはEVとの相性は良いものと思われるが、クルマ本体(ハード)との関係も重要なこととなるので、どのようにマネージしてゆくのか。

 

ソニーがクルマ本体も手掛けることが出来れば、それに越したことはないが、どのような事業形態となるかは、非常に興味あるところである。

 

小生の疑問とするところは、それ(ソフト)が全くの新しいものなのか、それともすでに巷では具体化されたものでそれをクルマに適用しようとしているのか、それともその過程のものか、どのようにソニーがとっかかってゆこうとしているのか、が(小生には)よく見えないことである。

 

ソニーは、「セーフティ」、「アダプタビリティ」、「エンターテイメント」などの横文字を使ってそのことを表現しているが、それはいわば「もの」であってクルマへの適用の仕方を表しているものではない、と思われるからである。問題は、クルマにどのように載せてゆこうとするのか、と言うことではないのかな。

(続く)

世界の流れは、EV化(41)

既存設備が活用できるという大きなメリット


液体の合成燃料には、化石燃料を由来とするガソリンや軽油などの液体燃料と同じく「エネルギー密度が高い」という特徴があります。つまり、少ないエネルギー資源量でも多くのエネルギーに変換することができるということです。これにはどんなメリットがあるのでしょうか?

いま、乗用車は電動化や水素化が進んでいますが、動力源を電気・水素エネルギーに転換させることがむずかしいモビリティや製品もあります。それは、現在使用されているガソリンなどの液体燃料と電気・水素エネルギーでは、エネルギー密度に大きな差があるためです。

 

たとえば大型車やジェット機の場合、電動化・水素化すると、液体燃料と同じ距離を移動するには液体燃料よりも大きな容量の電池や水素エネルギーが必要となってしまいます。こうしたモビリティや製品があるかぎり、液体燃料は存在しつづけると考えられています。

エネルギー密度の比較
電池、ガス燃料、液体燃料のエネルギー密度をグラフで比較しています。

(出典)トヨタ自動車   

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このようなケースで、化石燃料由来の液体燃料を液体合成燃料に置き換えることができれば、エネルギー密度をキープしつつCO2の排出量をおさえることができます。

また合成燃料の大きな特徴として、従来の「内燃機関」(たとえばガソリンを使うためのエンジンなど)や、すでに存在している燃料インフラを活用できる点があります。水素エネルギーなどのほかの燃料では新たな機器やインフラを整備しなければならないのにくらべて、導入コストをおさえることができ、市場への導入がよりスムーズになると考えられます。

これまでの化石燃料と変わらない使い勝手の合成燃料は、エネルギーのレジリエンス(強靭性)やセキュリティの面でもメリットがあります。積雪により停電が発生した地域への燃料配送、高速道路で立ち往生した自動車への給油もでき、災害対応機能を持った全国のサービスステーションなどでは既存のタンクを活用した備蓄も可能です。また、国内で工業的に大量生産できること、常温常圧で液体であるため長期備蓄が可能であることなど、さまざまな優位性があります。

さまざまな分野での合成燃料の活用方法


自動車
「グリーン成長戦略」では、自動車の電動化を推し進め、2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を目指すことになっています。けれども電動車の普及には、新たな車両蓄電池の開発、電動車に対応したインフラの整備など、さまざまな課題があります。

2017
年に発表された国際エネルギー機関IEA)の見通しによると、世界的な電動化の流れの中でもエンジン車との共存は続くと見込まれています。2030年時点でガソリン車やハイブリッド車などのエンジン搭載車91%残っており、2040年時点においても乗用車販売の84%をエンジン搭載車が占めると予想されています。カーボンニュートラルを実現するためには、これらのエンジン搭載車に供給する脱炭素燃料が重要となります。

IEAが示した「技術普及シナリオ」によると、2050年になってもガソリン車が一定程度残ることを表した図です

(出典)IEA ETP(Energy Technology Perspectives) 2017」に基づき経済産業省作成

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そのための選択肢として、バイオ燃料と並んで注目を集めているのが合成燃料です。特に、電動化のハードルが高い商用車などについては、合成燃料を代替燃料として利用することで脱炭素化をはかることができると考えられます。今後は合成燃料の開発にくわえて、内燃機関の技術開発や、現在のガソリン・軽油に代わる合成燃料の国際規格についても検討していく必要があります。

航空機・船舶
航空機・船舶の分野では、国際機関の要請によりCO2の削減目標が定められています。そのため、航空機についてはバイオジェット燃料・合成燃料船舶については水素・アンモニアなどの代替燃料の技術開発が進められています。

航空機では国際民間航空機関ICAO)が、2021年以降の国際航空に関してCO2排出量を増加させないという目標を採択しているため、その達成に向けてバイオジェット燃料に加えて合成燃料の活用が期待されています。すでにバイオジェット燃料は商用化されていますが、今後はその原料が不足することも懸念されています。一方、合成燃料はCO2と水素から工業的に大量生産でき、持続可能な航空燃料となる可能性があります。

石油精製業など
既存の燃料インフラや内燃機関の活用が可能な合成燃料は、導入コストをおさえられるなど産業界にとっても大きなメリットがあります。特に石油精製業では、国内の石油需要の減少で設備能力の削減が求められる一方、余剰となったタンク、土地、人材などの資源をどうするかという課題があります。合成燃料を導入すれば、既存インフラを活用しながら新規事業に取り組むことができます。

合成燃料を製造し、それが輸送され、燃料として供給されるまでの過程を図であらわしています。

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(続く)