ALPS処理水放出と習近平の凋落(90)

それは、中国の現在の深刻な経済不況に対しての有効な解決策が一つも存在しないからなのだ、とこの論考は断じている。更には、習近平政策面の無能ぶりが、今回の深刻な経済不況を招いている、とも言っている。

 

 

これは恐ろしいことだ、外に向かってこの鬱憤を発散しかねないのだ。 

 

経済成長率は目標に届かなかったが、軍事費はGDPの伸び率以上に増加している。 

'24年の軍事費予算は、前年比7.2%増の1兆6655億元、日本円に換算すると約34兆円だというではないか、日本の国防費の4倍以上となっている。

 

 

しかも「台湾の平和的統一」という言葉が消えて、「武力による統一」も排除しない、と暗に述べているというではないか。

 

 

【社説】中国全人代閉幕 経済と軍事の今後を懸念 

西日本新聞 2024/3/12 6:00 

 

世界第2の経済大国の今後に不安を抱く内容だった。中国は政策の透明性を高め、国際社会における大国の責務を果たしてほしい。 

 

中国の重要政策を決める全国人民代表大会全人代=国会)きのう閉幕した。 

 

注目された2024年の国内総生産GDP)の成長率目標は、前年と同じ「5・0%前後」と発表された。昨今の経済不振から国際通貨基金IMF)が4・6%に鈍化すると予測したのに比べ、やや高めの設定だ。 

 

23年の成長率は5・2%だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済活動が停滞した前年からの反動要素を多分に含んだ数字である。 

 

それを考慮すると、24年の目標達成は容易ではない全人代の政府活動報告で李強首相も認めている。 

 

あえて前年並みの数字を打ち出したのは、習近平国家主席が「35年までにGDPか1人当たりの収入を(20年の)倍にする」と表明しているからだろう。国の威信を懸けた意欲的な目標ではある。 

 

中国は不動産不況が深刻化し、個人消費も不振でデフレの様相を呈している。地方財政が悪化するなど、影響が広がっている。どうやって5%成長を実現するのか。 

 

全人代では超長期特別国債を数年連続で発行し、24年は1兆元(約20兆4千億円)を重要施策に充てる景気刺激策が示された。他に耳目を集める政策は見当たらず、説得力に欠ける。 

 

経済が振るわなくても軍事大国化は加速する。24年予算は、国防費GDP成長率を上回る前年比7・2%増の1兆6655億元(約34兆円)を充てた。日本の防衛予算の4倍を超える。 

 

中国はここ数年、急速に核戦力を増強している。核弾頭の保有数は23年に500発を上回ったと推計され、35年には1500発に達するとの予測もある。 

 

中国の国防費は使途や範囲の不明朗さがかねて指摘されている。国外の警戒心や緊張を高めるばかりでよいのか。 

 

中国が統一を悲願とする台湾では、習政権が独立派とみて嫌悪する民主進歩党の頼清徳政権が5月に発足する。 

 

李首相は政府活動報告で統一への強い決意を表明した。昨年の報告にあった「平和的統一」の表現が消え、台湾に対して一段と威圧的な姿勢を示すとみられる。 

 

全人代の最終日に開かれる首相の記者会見は今回からなくなった。外国メディアが指導者と向き合う貴重な機会が閉ざされてしまった。 

 

習1強体制により、共産党が政府や国家を支配する構図が明確になった。憲法が「国家の最高権力機関」と位置付ける全人代でさえ、地盤沈下していることがうかがえる。 

 

このまま不透明で専制的な政権運営を強めるようなら、経済のてこ入れとして期待する外国からの投資を呼び込むことはできまい。 


https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1188330/ 

 

 

このようなやり方では、「中国の夢」は実現できないと思うべきだ。そんなことを論じている論考があるので、ご一読するとよい。 

 

 

全人代が映す習政権の未来 「中国の特色ある」では成長できない 

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/031500416/ 

 

 

中国が今後どのように歩んでゆくのか、これを読むとなんとなくわかる気がする。あまりよい未来ではない、と言った印象を強くする。日本国の防衛の万全の備えを期待したいものだ。

(終わり)