ALPS処理水放出と習近平の凋落(30)

小生はこの論考の趣旨を、次の様に理解したが、間違っていたらどしどし訂正願う。 

 

1) 不動産開発業者は盛んに投資を行い、そのため中国経済は成長を続けたが 

2) その資金を地方政府が融資したが、その額は莫大なものとなっている。 

3) 地方政府はその資金の80%は、地方銀行から借受けている。 

4) 地方銀行は、中央政府が暗黙の裡に支えてくれると期待している。 

5) 中央政府中央政府で、財政赤字GDP比で、約7%から8%近くに膨らむと予想されている。 

6) しかも中国の経済成長は5%を下回るかも知れない。景気減速だ。 

7) 不動産価格は下落し、銀行は貸し出しを渋り、資本家は逃げ出す。 

8) 金融危機が勃発するかもしれない。 

 

と言ったシナリオが考えられている。だから中央政府も気が気ではない筈だ。 

 

すると、何が起こるのか。崖っぷちの習近平は「台湾の武力統一」に動き出す、かも知れないのだ。 

 

 

 

習近平、崖っぷち…!中国「経済崩壊」のウラで、いよいよ現実味を帯びてきた「台湾の武力統一」…そのとき、世界経済に起こること 

藤 和彦経済産業研究所コンサルティングフェロー   2023.10.25
 

経済疲弊と台湾有事 

 

現状の中国経済は世界的には楽観視されている。 

前編『ついに中国の銀行で「取り付け騒ぎ」が発生!「債務膨張」で世界全体が道連れに…「中国経済崩壊」の危険すぎる「予兆」』https://gendai.media/articles/-/118037で見てきた通り、すでに中国の地方銀行では取り付け騒ぎが生じているが、中国の金融監督局はこう語るのだ。 

 

台湾海峡 Photo/gettyimages       

 

「中国の銀行セクター全体が抱える不良債権と不良化一歩手前の要注意債権の合計は7.4兆元(約150兆円)だが、銀行は十分な資本と貸し倒れ引当金などを備えているから問題はない」(10月16日付日本経済新聞 

 

こうした楽観論は、なにも中国当局だけではない。IMFウォール街中国経済の停滞が世界経済に大きなダメージをもたらすような危機感は抱いていない。 

 

しかし、中国経済が着実に力を失っていながら、習近平政権はこれといった対策を打っていないことは、筆者にとっては大きな不安材料だ。 

 

習近平氏は、台湾侵攻へとその意識を強めてはいないだろうか。 

 

楽観論が支配する「IMF」と「ウォール街 

 

中国の不動産危機は、他国に悪影響をもたらすリスクが指摘され始めている。 

 

国際通貨基金IMF)は13日「(中国の不動産セクターの低迷が)すでに回復の勢いが失われつつあるアジア太平洋地域の成長見通しを悪化させる恐れがある」との見方を示した。IMFは「中国と貿易関係が深い輸出国、特にコモディティ輸出国が打撃を受ける」としているが、はたしてその程度で収まるのだろうか。 

 

IMFの専務理事 クリスタリナ・ゲオルギエバ氏 Photo/gettyimages© 

 

米国の政策当局者は「中国経済の減速の自国への影響は軽微だ」とみている。 

 

ウォール街も「中国の不動産危機がリーマンショックのような金融危機を引き起こすことはない」と見込んでいる。 

 

その理由は「米国のサブプライムローン問題を金融危機にまでこじらせた金融レバレッジ(購入した株式を担保に更に株式を購入するなど、自己資本以上の投資を行うことなど)や広範なデリバティブ先物取引など)が中国ではあまり普及していないため、不動産市場の不調が金融インフラを麻痺させることはない」というものだが、それだけではない。 

 

さらに、中国の金融システムは米国のように世界に影響を与えるほどの支配力はない」と考えているからだ。 

 

「中国発のリーマンショックの再来はない」とのことだが、グローバル化が進展した現在、各国経済が相互に密接につながっていることには要注意だ。国内や地域問題だと見なされていた事象が想像もしなかった形で世界全体を巻き込む大問題と化してしまうリスクがあるからだ。 

(続く)