ALPS処理水放出と習近平の凋落(15)

中国習近平国家主席9月にインドで開かれたG20(主要20カ国・地域)首脳会議に出席しなかった。中国は、習近平が出席できないほどの厳しい事情を抱えていた、とみられる。 

 

ALPS処理水の放出に関する問題での中国の態度が、裏目で出始めている気配が出てきたのであろう。日本を悪者にして、人民の不満を吸収しようとしたところ、コントロールが効かくなって、共産党政府に向かってくる状況が現れ始めてきた、と言うことでではあるまいか。 

 

だから習近平は、自国を留守にすることが出来なかった、と言うことなのである、と言った理由をこの論考は述べている。さもありなん。 

 

 

次の「平氏」の論考は、その理由というか経緯イキサツを述べているとも判断できるものである。 

 

昨年から、各大学・国有企業・政府機関などで、各種の騒動・暴動、騒乱などに対処するための鎮圧組織である「人民武装」の設立が相次いでいる。債権の取り立てなどに伴う騒動に対処するためのものであれば、まだ解らないでもないのであるが、そんなものと関係のない国有企業でも「人民武装」の設立が相次いでいるという。 

 

この種の組織では、中国では、武装警察が存在している。しかしそれには任せられない程の「全国的な大騒動」の発生が危惧されている、と言うことではないのか。だからこそ、この「未曾有の事態」に対処するために、人民武装部・民兵組織を再建しているのではないのか、と「平氏」は断じている。 

 

この「未曾有の事態」とは、今の中国では「経済が崩壊して大リストラの時代に入り、一般の労働者、特に若年層の失業率は史上最高水準に達している。数千万人単位の大学生に至っては「卒業すなわち失業」という絶望的な状況下に置かれている」と書かれているように、全国規模の大反乱・大暴動発生してもおかしくはない状況だというではないか。 

 

その論考をご一読願う。 

 

 

 

これが中国経済大崩壊への回答なのか、習近平政権が「国内大暴動」に備え民兵組織・人民武装部設立ラッシュ 

石 平評論家 プロフィール  2023.10.13# 中国  

 

一気に展開、人民武装 

 

9月28日、上海城投(都市建設投資)集団が集団内で人民武装部を設立・発足させたことは国内外で注目ニュースとなって日本でも一部で報じられた。 

 

by Gettyimages    

 

中国各地で活動している「城投集団」とは、政府直轄の官営投資機構として各都市部の不動産投資を主導するものである。したがって上海城投集団における人民武装部の設立は、不動産バブルの崩壊に伴う債権取立て騒乱やさまざまな騒乱・暴動に対処するための措置であろうとの解説もあり、それは確かに、上海城投集団設立の最大の狙いであろうと思われる。 

 

しかしその一方、不動産とは関係のない多くの国有企業でも最近、人民武装部設立の動きは相次いでいる。例えば今年4月、広東省東莞市では東莞交投集団・東莞能源(エネルギー)集団など4つの国有企業で人民武装部を設立。5月には内モンゴルで乳業を展開する蒙牛集団で人民武装部を設立、8月には武漢農業集団で人民武装部を設立。 

 

さらに調べてみれば、昨年から各大学、政府機関でも人民武装部設立の動きが始まったことが分かる。例えば寧夏自治区では昨年、北方民族大学や寧夏大学で人民武装部を設立。政府機関の方では、昨年11月、福建省長汀県で政府運営の長汀開発区で人民武装部を設立、今年5月、貴州省興義県供電局で人民武装部が設立された。 

 

このようにして、国有企業・大学・政府部門などで、人民武装部の設立は去年から一気に広がり展開されている模様だか、習近平政権の狙いは一体何か。 

(続く)