小沢資金問題(11)

ここに2008年9月から2009年7月まで、北海道の石川事務所で、石川知裕

議院議員の私設秘書を勤めた「金沢敬」と言う人物がいる。その彼に、2009年

3月3日の午後2時半ごろ
石川から電話が入る。その内容は、次のようなもの

であった。


これはWiLL3月号に掲載された『「小沢先生も含め全員逮捕だ」、金沢敬石

川議員元秘書全告白
』と言うジャーナリストの「宇田川敬介氏」による告発文の

冒頭の内容の要旨である。


「大久保が地検特捜部に呼ばれた。小沢先生からご指示がありまして、陸山会

の事務所が赤坂のチュリスと言うマンションにあるのですけれども、その赤坂の

チュリスの701号室に行って何かまずいものがあれば隠せといわれた。・・・金沢

さんも人手が足りなくなれば来て頂くので、準備しておいてくれ」というもの。


そしてその日の丁度5時ごろ、チュリスに家宅捜索が入った。金沢はその日の

夜中12時近く、石川と合流して話を聞く。


「どうでしたか」 「まあ、隠せるものは隠した」と。


現在衆議院議員樋高剛民主党副幹事長(当時は議員ではなく秘書か)が、

ずっとチュリスにいて先行で隠せるものは隠したのである。


そして翌日の3月4日、今度は石川に「もしかしたら自分の議員会館に捜索があ

るかもしれないので、金沢さん申し訳ないですが、朝早く起きて八時くらいに、二

人で資料など隠すものがあれば隠すので協力してほしい」と頼まれる。


そしてありとあらゆる資料を、石川の議員会館の事務所でかき集めて、石川の

黒いナイロン製のボストンバックに隠したという。「議員会館でですね、鹿島、西

松、西松の政治団体の名刺、後はゼネコンからの陳情ファイル、鹿島から貰った

胆沢ダムのファイルもありましたね。こういうものをですね、石川の黒いナイロン

製のボストンバックに隠した。」


小沢は樋高、石川から「主な資料などは隠しました」との報告を受けていたの

で、この西松建設違法献金疑惑は「全面否認で行こう」となり、「こんな事は事

実無根だ。これは検察の国策調査だ」と小沢は開き直ったのである。


この資料隠しがなかったならば、状況は一変していたという。樋高の言葉を借り

れば、『小沢先生を含め全員逮捕だ』と。石川は鹿島の件を心配している。「

んな西松でやられても、もっと金額の大きい
鹿島はやられていないから、

そっちはどうなってるんだ
。」と心配したという。


そして陸山会から持ち出した資料は、樋高が車中から南と言う弁護士の事務所

に電話して、「いいですよ」と返事を貰って、そこに隠したという。


金沢敬は、その後石川知裕事務所を止め、隠すのもいかがと思い、地検に出頭

し資料を提出したのである。「証拠を隠した」と言う上申書も昨年の12月上旬に

提出している。彼がなぜ石川と離反したのか、には次の様なわけがあった。


石川は、金沢の会社から1千700万円程、融通されている。これは石川が金沢

参院選民主党公認枠」を取ることの謝礼?であった。そして鈴木宗男とも「民

主党の公認枠を取れた暁には、新党大地として応援」との約束もされていたの

であった。このときの民主党代表は小沢一郎であった。しかし、石川の「私が代

表の方に申し上げて何とか公認枠を取ってきます」と言う言葉とは裏腹に、

(2009年)7月に「公認が出来ない」ということになってしまった。こんなドタバタ

の外に、石川が金にだらしなく、しかも女にもだらしがない。こんな人間が、国民

の税金で議員バッチをつけているというのは非常に違和感を覚えるということで、

石川とは離反し事実を話す気になったと言う事のようだ。


今年2010年の参院選は、7月(任期25日)に行われる。


3年前の2007年7月29日投票の参院選は、2001年7月29日投票の第

19回参議院議員通常選挙で選ばれた議員が改選されている。今年2010年

の第22回通常選挙
では、2004年7月11日の第20回の参院選通常選挙

で選ばれた議員の改選の選挙である。このため参院選はいつも半数ずつが改選

されることになる。先の2007年の参院選挙では、自民は過半数割れしてしまっ

た。そのため先回の参院選挙には、忸怩たるものがあったに違いない。


この告発文には、2007年の参院選の金のやりとりも記述されている。民主党

には三つの小沢グループがあるといわれている。旧自由党グループ、一新会

一新会倶楽部と言う(Wikipediaより)。これらのメンバーには300万円、500万

円という大金が、前回の衆院選の前に振り込まれていたという。先に述べた名

古屋市長選の河村たかしへの金の配給も、これに準じたものであった。彼、金

沢敬は次のように述べている、「民主党の内部は結構、こういうお金のやりと

りは頻繁に行われております。
」と。


それから話は違うが、来年度の予算での公共事業予算の箇所付け表が、鳩山

政権から民主党にわたり、その民主党から地方支部に流されて、更に民主党

方支部から県知事などに流された事件は、国土交通省前原誠司の範囲外で

行われた、と言うのが真相のようだ。前原大臣は神妙に謝っているが、裏では

小沢一郎が選挙目当てで「箇所付け」方針を地方自治体に流させた、と言うの

が事実のようだ。小沢がやった、ともいえないので前原は神妙にしているのであ

ろう。気の毒なことだ。だから舛添要一厚生労働相前原誠司の名前を挙

げて、連携を呼びかけたのではないか、などと勘繰るのである。

(続く)