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ならず者国家・中国、アレコレ!(75)

習近平が「中国の夢」に初めて言及したのは、2012.11.14~15中国共産党第18回全国代表大会と第18期第1次中央委員会全体会議で党総書記および中央軍事委員会主席に就任した後の

2012.11.29の中国国家博物館の「復興の道」展を視察した時の発言である、とWikipediaに記載されている。

 

北京週報」(日本語版)にはその時の発言が詳しく掲載されている。それによると習近平の発言は次の通り。(http://japanese.beijingreview.com.cn/zt/txt/2013-07/08/content_554394.htm

 

誰しも理想や追い求めるもの、そして自らの夢がある。現在みなが中国の夢について語っている。私は中華民族の偉大な復興の実現が、近代以降の中華民族最も偉大な夢だと思う。この夢には数世代の中国人の宿願が凝集され、中華民族と中国人民全体の利益が具体的に表れており、中華民族1人1人が共通して待ち望んでいる

 

過去を振り返ると、立ち後れれば叩かれるのであり、発展してこそ自らを強くできるということを全党同志は銘記しなければならない。現在を見極めると、道が命運を決定づけるのであり、正しい道を見出すことがどれほど難しく、われわれはこれを揺るがず歩んでいかなければならないということを全党同氏は銘記しなければならない。未来を展望すると、ビジョンを現実化するにはまだ長い道程があり、われわれは長期間にわたり苦しい努力を払う必要があるということを全党同志は銘記しなければならない

 

 

2013.3.17の第12回全国人民代表大会第1回会議の閉幕式の演説。

 

小康(ややゆとりのある)社会の全面完成、富強・民主・文明・調和の社会主義現代化国家の完成という目標の達成、中華民族の偉大な復興と言う夢の実現は国家の富強、民族の振興、人民の幸せを実現させるものである。中国の夢とはつまり人民の夢であり、人民とともに実現し、人民に幸せをもたらすものだ

 

2013.6.7の米中首脳会談後の共同記者会見での習近平の発言。

 

中国は断固として平和発展の道を歩み、改革を深め、開放を拡大することで、中華民族の復興と言う『中国の夢』の実現に取り組み、人類の平和・発展と言う崇高な事業の促進に努める、とオバマ大統領に明確に伝えた

 

中国の夢』とはも国の富強、民族の復興、国民の幸福を実現することで、平和・発展・協力・ウィンウィンの夢だ。『アメリカン・ドリーム』を含む世界各国の国民の夢と相通じる

 

 

中国の夢は人民の夢であり、世界各国の国民の夢と相通じると言っているが、人民の夢と国民の夢とは、まったく異なるものである、と小生は思っている。人民の夢とは、共産党政府が世界に覇を唱えることを中国人民が夢見ることであり、世界各国の国民の夢とは国民1人1人が平和で豊かになることを夢見ることであり、全く異なるものである。このことを我々は理解しておく必要がある。

 

次の論考も参考となる。

 

習近平の「中国の夢」に伴う2つの危険

20130603日(月)岡崎研究所

 

 英Economist54日号の社説は、習近平の言う「中国の夢」の一つはナショナリズムであり、もう一つは、中国共産党の一党支配の継続であるので、中国が法の支配を尊重し、立憲体制を確立するまではまだ長くかかりそうである、と指摘しています。

 すなわち、1793年にマッカートニー卿は、贈り物を携えて当時世界最大の国家であった清朝を訪れたが、清の皇帝は、英国の恭順を嘉(よ、ほめるみすると同時に、清国は英国の産品は全く必要としないと述べた。英国は、1830年武力を用いて中国に戻り、その後の中国の屈辱が中国革命をもたらすこととなる。

 中国の夢は、アメリカン・ドリームに対応するものならば、それ自体は結構なことであるが、問題は、それに、ナショナリズム全体主義の匂いがすることである。

 習近平は、過去の指導者のように堅苦しい共産党の表現ではなく、「中国の夢」を平易な言葉で述べ、中国人の感情に訴えた。それは、中国民族の偉大なる復興を主張し、18世紀の清朝への復帰を象徴するものであった。

 習近平の夢は2つの危険を伴っている。1つは、ナショナリズムである。彼は、「強兵の夢」に言及して軍を喜ばせているが、それが、日本の植民地時代の屈辱に対する報復を意味するのならば、地域の安定に害となろう。

 もう1つは、習は、強兵の基礎は、党の命令に従うことだと言っている。習によれば、ソ連の崩壊は、イデオロギー的正統主義から遊離したために起きた。「中国の夢」は理想であるが、共産党員はより高い理想、すなわち、共産主義、を持たねばならないと言っている。

 習の考えの基本的な問題は、法の支配であろう。今年の始め、改革派の新聞は、立憲主義の夢と題して、中国が法の支配を通じて、自由かつ強力な国家となることを論じようとした。が、最後の段階で、検閲によって、このタイトルは削除された。

 中国の夢の達成には、まだまだ、長い道のりがあるようである、と述べています。

 * * *

 習近平が、「中国の夢」を繰り返し強調していることは、確かに、従来の共産党の神学的用語を使った晦渋な演説とは違うところです。

 上記は、「中国の夢」で、習近平が何を言おうとしているかを分析した社説です。習近平は、中国の夢を理想としつつも、より高い理想として共産主義を掲げているということです。

 これでは、この論文の言う通り、「中国の夢」から、改革を読みとることは不可能で、少なくとも共産主義体制の維持、そして、偉大なる中華帝国の復帰を夢見るナショナリズムしかないことになります。おそらく、この論文の指摘はその通りなのでしょう。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2842?page=1

 

 

 

「中国の夢」に対する理解を深めたところで、「M.ビルズベリー氏」のインタビュー記事に戻ろう。

 

 

3回 中国の国家資本主義の考案者は世界銀行
経済力、軍事力を増す中国の戦略を『China 2049』のピルズベリーが明かす

2015925日(金)石黒 千賀子

 

 毛沢東の時代から「米国を超えたい。再び世界の覇権国としての地位を奪還する」との野望を抱く中国――。しかし、野心があることを疑われれば必ず覇権国に潰されると、春秋戦国時代からの教訓に学んだという中国は、『自分たちを常に実力より低く見せて注意深く動く』という方針を貫きつつ、「米国に追いつけ、追い越せ」の100年マラソン戦略を続けてきた――。マイケル・ピルズベリー氏は、近著『China 2049』でこう指摘した。

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China 2049

 そして、この方針を生かして、最も大きな成果を上げたのが経済分野だったと言う。30年近く中国の米連邦政府のスタッフとして中国の軍事力分析など最前線で中国を担当してきたピルズベリー氏に、3は、中国がいかにして経済大国世界第2に成長し、米国に肉薄するまでに至ったのか、そして経済力とともに軍事力の強化も図ってきたのか、その経済、軍事戦略について聞いた。

 今回も記事の末尾にピルズベリー氏へのインタビューを一部収録した動画を掲載しているので、併せてご覧下さい。

1回はこちら

2回はこちら

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マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)氏  

1945年米カリフォルニア生まれ。米スタンフォード大学卒業(専攻は歴史学)後、米コロンビア大学にて博士課程を修了。196970国連本部勤務を経て、7377年ランド研究所社会科学部門アナリスト、78ハーバード大学科学・国際問題センターのリサーチフェロー、81国務省軍備管理軍縮庁のディレクター代行、84国防総省政策企画局長補佐、8690年議会上院アフガン問題タスクフォース・コーディネーター、9293国防総省総合評価局特別補佐官、982000国防総省特別公務員(米国国防科学委員会)、19972000年米国防大学客員研究フェロー、20012003国防総省政策諮問グループメンバー、20032004年米中経済・安全保障検討委員会シニア調査アドバイザー、2004年以降、現在も国防総省顧問を続けながら、ハドソン研究所中国戦略センター所長も務める。米外交問題評議会と米シンクタンク国際戦略研究所CSIS)のメンバーでもある。米ワシントン在住。
 著書に『Chinese Views of Future Warfare』『China Debates the Future Security Environment』などがある。(写真:大高 和康、以下同)


(続く)