Ghosn,Gone with the Money(59)

一寸わき道にそれたが、本題に戻ろう。本題とはルノー・日産の連合としての機能正常化である。

経営統合を目指したマクロンルノーの強引なやり方に、日産が背を向け始めたことに危機感を募らせたルノーマクロンが、ジャンドミニク・スナールを使って日産の懐柔に出たものであった。

 

 

日産・ルノー、連合再構築 苦境打開へトップが協議

2019/2/15 1:30
日本経済新聞 電子版

 日産自動車と仏ルノーが連携強化へ正念場を迎える。ルノー2018年通期決算6期ぶりの減収減益で、日産も業績が低迷する。ルノーの新会長に就任したばかりのジャンドミニク・スナール氏は14日に来日し、日産首脳との協議を本格化する。カルロス・ゴーン元会長の退場で頭をもたげる「個社の論理」を抑え込み、再び成長軌道を描けるかが問われる。



 ルノー14日発表した18年1~12月期決算は純利益が約33億ユーロ(約4130億円)と前の期から4割近く減った。売上高も2%減の約574億ユーロ。ティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)は決算会見で、日仏連合について「(後戻りできない)不可逆的なものにしたい」と述べた。

 「国際連合の成功例」とされた日仏連合の競争力は急速に陰りをみせている。日産の19年3月期の営業利益は前期比で2割減り、3期連続の減益を見込む。日産の収益悪化が持ち分を通じたルノーの利益を押し下げる悪循環も目立つ。

 苦境を打開するため、両社は「ポスト・ゴーン」の新しい連携強化策の協議を本格化する。

 「彼らをもっと知りたい」。14日午後2時40分、羽田空港に降り立ったスナール会長は記者団に語った。14日夜に日産の西川広人社長兼CEO、三菱自動車の益子修会長兼CEOと都内のホテルで会談した。

 

羽田空港に到着した仏ルノーのスナール会長(14日)

羽田空港に到着した仏ルノーのスナール会長(14日)

 西川社長は14日夜、記者団に「(連合の)安定が課題だ。そのためにいろいろな話をした」と述べた。そのうえで「経営統合や日産の会長人事の話はしていない」と話した。

 今回のスナール会長の来日は、1月末にオランダで開いた初会合で西川氏が要請したとされる。スナール会長は15日も日産の役員陣らと会う予定で、日仏連合の再構築へ向け両社が協力し合う土台の構築を目指す。

 ゴーン元会長の逮捕から約3カ月。連合は随所でほころびを見せる。

 日産は北米での売れ筋多目的スポーツ車(SUV)「ローグ」をルノー子会社の韓国ルノーサムスンで生産していたが、今年9月で打ち切る。ローグはルノーサムスンの生産能力の5割前後を占めるだけに打ち切りは痛手だ。ルノーはアジアでの販売力が弱く、ローグに代わる新たな生産車種をまだ示せていない。

 ゴーン元会長は過度な拡大路線という負の遺産を残した半面、個社の主張を封じ込める強権で連合全体の利益を追求してきた。新体制をめぐる両社の協議は、強権に代わる統治体制を模索しながら、負の遺産を処理する難しい作業になる。

 ただ、両社に揺らいだままの現状を放置する選択肢はない。

 17年度に5%弱だった日産の売上高営業利益率18年4~12月期に3.7%に低下。ルノー18年に6%台と、8%に達するトヨタ自動車など先頭集団の背中は遠い。22年までに年間販売1400万台を目指す3社連合の中期計画は達成が危うい状態だ。自動運転など次世代技術では異業種の巨人との競争も控えるなか、両社は連携を強めなければ生き残れないとの認識で一致している。

 ルノー筆頭株主で、これまで日産に対し強硬姿勢が目立ったフランス政府も認識は同じだ。連合が競争力を弱めれば、仏国内の雇用や投資にも悪影響を及ぼす。仏政府はスナール会長の選任に深く関わっており、日産との関係修復を同氏に託しているかっこうだ。

 日産はルノーが求めていた臨時株主総会を4月に開くことを決定。アライアンス組織のトップには、ルノーのボロレCEOが就くことが決まるなど、連合の運営は安定を取り戻しつつある。重要なのは競争力強化へ具体策を見いだせるかだ。今回のトップ会談は、3月で21年目に入る日仏連合の行く末を左右する。(田中暁人、パリ=白石透冴)

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41301140U9A210C1EA2000/?n_cid=SPTMG002

 

 

 

「ティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)は決算会見で、日仏連合について「(後戻りできない)不可逆的なものにしたい」と述べた。と言っているように、いくらスナールが猫なで声で日産に話しかけようが、それは衣の下に鎧を隠しているどころか、その鎧を正々堂々と見せている姿であって、これがルノーの本心であると心得るべきである。



あくまでもルノーとスナールの本心は、マクロンから焚きつけられている「経営統合」の実現そのものである。よもや間違えてはいないとは思うが、日産は隙を見せてはいけないのだ。

 

2019.2.14に来日したルノー会長スナール氏は、216日意気揚々として羽田から帰国の途に就いた。それなりの日産への懐柔は出来たとの安堵の気持ちを胸に、機上の人となったようだ。

 

 

ルノー会長帰国「3者会談、非常に前向きな議論だった」

ゴーン前会長

筒井竜平 20192161904

 

写真・図版帰国の途につく仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長=16日午前、羽田空港

  •  

  • 写真・図版

 仏ルノーの新会長に就任後初めて訪日していたジャンドミニク・スナール会長が16日、羽田空港から帰国の途についた。14日に来日し、3社連合を組む日産自動車西川(さいかわ)広人社長兼CEO(最高経営責任者三菱自動車益子修会長兼CEOらと会談したスナール氏は空港で報道陣に対し、「良い会談ができた。特にアライアンス(提携)の将来について話したが、非常に前向きな議論だった」と述べ、カルロス・ゴーン前会長の逮捕後にぎくしゃくした3社連合の関係修復に向けた成果を強調した。空席となっている日産の会長に就く意思があるかを問われると、「今回の議論のポイントではない」と答えた。

https://www.asahi.com/special/carlosghosn/?iref=pc_extlink

 スナール氏は、日産が4月8日に開く臨時株主総会で日産の取締役に選ばれ、会長人事を含めた新体制を決める取締役会の議論に加わる見通しだ。(筒井竜平)

https://www.asahi.com/articles/ASM2J5CQVM2JULFA006.html?iref=comtop_list_biz_n02

 

 

これからルノー・日産との経営統合をめぐっての戦いは、本番となる。

(続く)