女々しいぞハリル、代表監督不適格(34)

こんなような大学であれば、日大からは大学の免許を剥奪して貰いたいものだ。もちろん現在の在学生には責任はない筈なので、来春から入学を禁止して貰いたい、と言う事だ。

 

尤もこんな大学なので、学生もそんな学生なのかもしれない、と噂されても仕方がないでしょう。

もちろん宮川泰介選手も、「ルール違反をせよ」と言われた時に「やらない」と言う選択枝もあった筈だが、自主独立の精神でそのようには行動しないと言う事が出来なくて残念だった、と言っている。日大での教育では、自主独立の精神の教育は微塵にもされていなかったようだが、彼にはそのことを非常に悔やんでいたので、人間的には、日大には珍しく真っ当な精神の持ち主であった、と思われるのだが、監督の指示を断れなかったことがつくづく残念な事ではある。

 

何と言っても、「ルール違反をせよ」と指示したのは、日本大学NO.2の地位にある常務理事の内田正人監督だったから、どうしても「反則はやりません」とは言えなかった訳だ。

 

 

日大には”危機管理学部”もあるようなので日大自体として、とっくにこの問題は解決できていた筈だ。だが解決できていないうえに、ますます疑惑を深めていっている。いくらスポーツ庁が言っても、日大としては解決できないのではないのかな。日大の保身を大事にしている以上、解決できるどころか右往左往に終始するのではないのかな。

 

解決すると言う事は、内田監督が真実を話さなければならないことなので、内田監督ひいては日本大学の信頼を無くすことになってしまうからである。

「本来なら日大が声を出すべき」 鈴木長官、対応に釘

20185221925

写真・図版
スポーツ庁の鈴木大地長官=20日、羽田空港

 

 アメリカンフットボールの悪質なタックル問題で、関西学院大の選手を負傷させた日大の選手が22日に記者会見を開き、監督やコーチからの指示があったと証言したことを受け、スポーツ庁鈴木大地長官は「本当であれば、とてもあってはならないこと。私たちはどんな状態でも善悪を判断できる選手を育成しないといけない」と話した。

 大学スポーツで一選手が会見を開くという異例の事態について、鈴木長官は「本来であればしかるべきところ(日大)が声を出していくべきだと思う」と日大の対応に釘を刺した。「指導者と選手のコミュニケーションのあり方をスポーツ界全体で考えないといけない。疑問をもったら話を聞き、言いたいことは主張する。そういうスポーツ界にしたい」とも述べた。

https://www.asahi.com/articles/ASL5Q6604L5QUTQP039.html?iref=pc_ss_date

 

 

こんな状況だから政府も動かざるを得ないようだ。スポーツ庁鈴木大地長官までもが、日本大学が動くべきだ、と言い出している。

 

どうする、日大。と言っても何も動かないであろうし、動けないのだ。何しろ「嘘」で塗り固めてしまったから。

 

次の論考は、4つの許されない嘘と矛盾、として説明している。

 

1)反則指示があったにも拘らず、「監督、コーチからは反則指示はない」と嘘をついている。

2)宮川家からは「ケガさせろと指示があった」と公表を求めたが、日大はそれを断り、更には「宮川選手も反則指示がなかったと言っている」と嘘のコメントをしている。

3)関学大への回答書には「理解に乖離があった」と書かれているが、宮川選手へは聞き取り調査などは一切されていない。宮川選手側に責任を押し付けているだけである。

4)宮川家から「個人的に謝罪したい」という提案を断っているが、監督自身が早く謝罪すべきだったと言ったこととは矛盾している。

 

これらの嘘は日大自身を守るためだけのもので、宮川泰介氏を守るものでは一切ない。反対に、宮川泰介氏だけに責任を押し付けたものであった。

 

丁度ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の行動と同じものではないのか。自己保身である。日大の方が規模が大きく、全く見苦しいものであるが。

 

ではその論考を紹介しよう。

 

 

 

勇気ある会見で判明した日大と内田前監督の4つの許せない“嘘”と矛盾点

2018.05.23 05:00

加害者である日大守備選手の勇気ある会見で日大と内田前監督の発言との矛盾点が浮き彫りになった

 文部科学省は、もう日大への学校法人の認可を取り下げた方がいいのかもしれない。この日、日本記者クラブで開かれた悪質タックルを行った加害者である宮川泰介氏の勇気ある会見で、日大と日大アメリカンフットボール部が、これまでに少なくとも4つの許されない“嘘”をついていたことが明らかになった。

 矛盾点、つまり、彼らがついてきた“嘘”を整理してみる。

 一つ目は、これまで情報が錯綜していた「監督、コーチの反則指示」があったか、どうかという点。宮川氏は、この日の会見で、詳細な経緯と内田正人前監督と井上奨コーチから受けた具体的な言葉を明らかにした。
「アライン(守備ポジションと狙い)はどこでもいい」
「相手のQBがけがをして秋の試合に出られなかったらこっちの得だろう」
 これらは疑いようのない反則の指示だ。にもかかわらず日大広報は「監督は反則を指示していない」と“発表”している。これが16日だ。また、この日の会見を受けて、改めて反則指示はなかったことを弁明した。「つぶせ」がよく使われる言葉で、「受け取り方に乖離」があるならば、なぜ、1プレー後に内田前監督は宮川氏を注意しなかったのか? これらはもはや見解の相違などではなく“嘘”の発表である。
  
 二つ目は、「本人も反則指示がなかったと言っている」との広報コメントだ。これも、この日、真っ赤な嘘であることが明らかになった。しかも、511日に宮川氏が、井上コーチに連絡をして、本部にある内田前監督の部屋で、監督と井上コーチ、宮川氏と両親の5人で会談を行い、宮川氏の父親から「個人的にでも相手方選手と家族に謝りに行きたい」と申し入れたところ、監督からは「今はやめてほしい」と拒否され、父親が「監督、コーチから選手に対して対戦校のクオーターバックにけがを負わせろと指示を出し、選手はそれに従っただけである」ということの公表を求めて、そのメモを渡したが、これも「公表できない」と断られている。ここまで選手が訴えていたにも関わらず、日大側は、監督、コーチの有利な方向に情報を誘導しようとしていたのだ。

 三つ目は回答書の“嘘”だ。

 関学大12日に会見を開き、謝罪と見解についての回答書を求めた。送られてきた回答書を関学大17日に会見を開き公表したが、「指導者の指導と本人との理解の間に乖離があった」と書かれていた。だが、弁護士は、この日、「部による聞き取りが一度もなかった。それで乖離があったというのはおかしい」と暴露した。宮川氏が、監督、コーチの指示をどう受け取って、なぜ反則行為に至ったか?という経緯に関する部内の聞き取り調査を一度として受けてもいないのに、なぜこういった回答ができたのだろう。

「乖離していた」という言葉を使い“監督、コーチの指示には問題はなかったが、宮川氏が勝手に暴走した”という論理のすり替えになぜ持っていけたのだろう。
 内田前監督が事情を明らかにするまで真実はわからないが、明らかに監督、コーチにとって都合がよく、宮川氏だけに責任を押し付けるように事実を捻じ曲げて“作文した”文書だったのだ。
 さらに関学大から「誠意を感じられない」と“差し戻し”を要求され、24日までに調査して再度返答するとしていたが、その部の調査も今なお行われていない。

 辞任した内田前監督も、空港での囲み会見で反則行為を指示したか、どうかを問われ、「文書でこちらから誠意を持って答えたい」と、繰り返すだけで言及をさけていたが、一切、部による調査を行っていないのだから、誠意などない嘘八百の逃げ口上だったということになる。

 もうほとんど回答期限までの時間がなくなっているが、24日期限の回答書を日大は、今度は、どう“作文する”つもりでいるのだろうか。



 4つ目の矛盾点は、内田前監督が辞任の囲み会見で言った「私がまず関学大に直接お会いして、直接謝罪するのが大事で今まで時間的に迷惑をかけた」との発言だ。雲隠れしてきたことと、辞任が遅れたことへの言い訳だが、宮川氏と父親が「個人的に謝罪にいきたい」と申し入れても「それはやめてほしい」と止めておき、自らもなかなか謝罪を行っていなかったのだから言動が矛盾している。

 これらは内田前監督の自らの謝罪についての言い訳で、加害者の謝罪について話したわけではないが、当事者の謝罪を止めた理由が理解できない。そこに誠意など欠片もない。宮川氏の勇気のある会見で明らかになったのは、内田前監督の謝罪も辞任も、自分が有利になるための言い訳で塗り固められた、まったく信用のおけないものであるということだ。

  そして、もうひとつ、この日の会見では驚くべき事実が明らかになった。


(続く)

女々しいぞハリル、代表監督不適格(33)

 日大のサイドに立って、今回のプレーの意味を考えてみよう。

  • ライバル校の有望な若手を早い時期に叩いておく

  • ラフプレーを通じて、相手に苦手意識や恐怖感を抱かせる

  • 次戦に向けて、相手に報復の念を抱かせる(冷静さを奪う)

  • どんなことをしても勝つんだというチーム内の意識を高める

  • チーム全体の闘争心を煽る

 まだ他にあるだろうか?

 当方には、このくらいしか思いつかない…。

 しかし、たとえ上記のような効果があったとしてもその代償は大きすぎる。それは、今回の報道を見れば明らかなことだろう。どう寛容に理解しても、まったく見合うものではなく、許されることではないのだ。

 その後の経緯を整理しよう。15、日大から関学大に抗議文に対する回答書が届いた。関学大17に記者会見を開きこの内容を公開したが、悪質なタックルが行われた具体的な経緯や見解がないとして再回答を求めた。また日大の指導者から直接の謝罪がないことに、会見に臨んだ小野ディレクターと鳥内監督は、さらなる不満と不信感を募らせた。上記会見を受けて、日大は近日中に直接謝罪することを発表したが、「こんな愚行がなぜ行われたのか?」という疑念が晴れない限り、この問題が解決したとは言えないだろう。問われているのは、「スポーツとは、どうあるべきか」ということへの答えだ。

暮らしを豊かにする福沢諭吉のスポーツ論

 これは以前にも紹介したが、明治26年(1893年)に福澤諭吉が当時の新聞に「体育の目的を忘るゝ勿れ」という評論を寄せている。その内容を要約すれば「スポーツは手段であって目的ではない」と主張している。

  • 健康になるため

  • 仲間を作るため

  • 気分を爽快にして勉強をするため

  • 颯爽と仕事をするため

  • 丈夫な身体を持って社会に貢献するため

 あくまでもスポーツは私たちの日常を豊かにするための手段であって、何かを実現するために極めて有効なものだ…と、福澤は明治時代にもうすでにスポーツの機能を賛美している。そして学業を疎かにしスポーツだけに没頭する勝利至上主義を嘆いている。

 つまり大学時代で言えば、社会でも通用するスポーツマンシップを学ぶための手段としてスポーツに取り組んでいるはずなのに、勝つことを目的に手段を選ばない行為をやってしまったら、それはもはやスポーツとは言えない。

 パソコンに保存している大好きなシーン(映像)がある。

 第87回(2008年)全国高校サッカー

 兵庫県滝川二高が鹿児島県・城西高に敗れた後のロッカールームでのことだ。城西の大迫勇也選手に芸術的な2ゴールを決められて、滝川二高の中西隆裕キャプテンが泣きじゃくりながら叫んでいる。

 「大迫半端ないって。アイツ半端ないって。後ろ向きのボール、めっちゃトラップするもん。そんなの出来ひんやん普通」

 これで生まれた名言が「大迫半端ない」であり、この言葉をプリントしたTシャツもすぐに売られた。

 そして、そんな中西君に向かって栫(かこい)裕保監督が笑顔で言うのだ。

 「あれは凄かった。俺、握手してもらったぞ」

 このシーンが大好きなのは、中西君にも栫監督にも戦った相手へのリスペクトがあるからだ。

 スポーツは、その精神の上に成り立っている。

 今回の日大の一件が悲しすぎるのは、アメリカンフットボールというスポーツにも、相手に対しても、リスペクトがないからだ。

 

 

このコラムについて

青島健太「スポーツ社会学

プロ野球選手で現在はスポーツライター、キャスターとして活躍する青島健太氏。野球はもちろんのこと、オリンピック、テニス、フィギュアスケート、サッカーなど、その守備範囲は広い。そうした様々なスポーツを題材に、社会やビジネスに通じる真理を抽出、若手ビジネスパーソンへの提言としてまとめる。

 

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600093/051700068/?P=3&mds

 

 

 

この福沢諭吉の言う「スポーツとは我々の日常生活を豊かなものにするためのものであって、手段を選ばずに勝利すればよいとするものではない」という精神を、日本大学と言う教育機関は忘れてしまっている、と言うよりも、捨てているとしか思えないのである。教育の本分からは外れている。

 

平たく言えば、大学とは社会に貢献できる人材を育成・輩出させるところであるが、この日大のやっていることは、と言ってもよいほどに内田正人監督と一心同体となって、その精神と真反対のことを強制している。いわゆる誰でも守らなければならないルールを犯してでも、勝ちに行けと指導しているのである。そのように指導している監督を、大学が全面的にバックアップしていると言う事である。だから日本大学は教育の本分から外れているのである。

 

このことは、一大学のアメフト部の監督やコーチのルール違反だけにとどまらない日本大学としての在り方の問題にまで拡大したと、小生には思われるのである。

 

多分に大学の本質に関わる問題なのである。しかしながらメディアでは、日本大学の本質に関する問題についての言及は、殆どなされていない。アメフト部の問題としか、捉えられていないのだ。

 

アメフト部だけの問題であれば、これほどまでに世間には拡大していない筈だ。

 

内田正人前監督がルールを犯したか犯していないか、またはルールを犯して来いと言ったか言っていないのかの問題であるので、本来であれば、日大の中で簡単に真因を掴めるはずではないのか。

 

大学の統治能力が問われる問題となっている、と言うよりも、日大には統治能力がないと言う事が世間に知れ渡っていったと言う事だ。今の前監督とコーチによる記者会見も、聞くに堪えない内容のものと、小生には感じられる。全くの茶番だ。

 

後は警視庁の捜査に任せるしかない。警視庁はすべてのアメフト部員に、状況を確認する筈だからきっと真相を明らかにしてくれる筈だ。しかしこれは(日本大学にとっては)恥ずかしいことだ。

(続く)

女々しいぞハリル、代表監督不適格(32)

この読売の電子版も、監督・コーチが反則行為をやれと指示している、と報じている。この日本大学広報部の発表とは真反対である。この読売や先に提示した日経の報道の方が、正しいものである。つくづく日大と言う大学は、事実を追求すると言う教育の本分からは相当乖離している、と判断せざるを得ない。いくら制度的に大学と部活動とは管理・被管理と言う関係はないとは言え、日本大学の管理責任が問われだしている、と言える。

 

次に、一寸古いが青島健太氏の見解も参考に供したい。

 

 

日大アメフト部の蛮行、スポーツへの背信行為だ

青島健太「スポーツ社会学

対戦相手にリスペクトなし、悲しすぎる

2018519日(土)

青島 健太

 

日大(赤)による関西学院大(青)に対する言語道断のラフプレーがあった56日のアメフト試合。写真はラフプレーとは異なる場面(写真:朝日新聞社

 スポーツ界にとって、万死に値する「愚行」「蛮行」と言わざるを得ない。

 日本大学アメリカンフットボール悪質なタックルについてだ。ネット上での動画だけでなく、テレビのニュースでもそのプレー映像は何度も流れた。

 56に行われた日大対関西学院大との定期戦(オープン戦)でのラフプレー関学大2年生QB(クオータバック)が味方選手にパスを投げて自軍のプレー動向を見ていると、まったく無防備なそのQBに日大のDL(ディフェンスライン)の選手が後ろからタックルを仕掛けたのだ。

 それは、レイトヒット(プレーが終わっている選手へのタックル)と呼べる範疇の反則ではない。関学大QBは、完全に自分のプレーを終えて、すでに2秒ほど経っているのだ。一連の流れの中で、どうしても止まることができずに当たっていくのならまだ分かるが、自分のプレーが終わってその後の展開を無防備に眺めている選手に、しかも後ろからハードタックルを仕掛けている。

 これはもはやスポーツとは言えない

 先のタックルを受けたQBは足と腰を負傷してゲーム開始早々に交代した。しかも日大の同選手は、このプレーのすぐ直後にも、交代出場した関学大QBに同じようなハードタックルを仕掛け、再びラフプレーの反則を犯している。

 ところがまだ続きがある。反則の質は違うが、上記2回の反則のこれまたすぐ後に、同選手は相手TE(タイトエンド)のプレーが気に入らなかったのかヘルメットをはたくなどのラフプレーを繰り返し、3度目の反則でついに退場処分となった。

 アメリカンフットボールファンには、注目の対戦だ。去年の甲子園ボウル(大学選手権決勝)でこの両校は対戦している。この時には、日大が「2317」で逆転勝ちを収めているが、今回は「2114」で関学大が勝っている。この時期の試合は、相手チームの仕上がりを見ると同時に、自軍の若手の台頭を促す機会にもなっている。それだけにオープン戦とはいえ重要な試合であるのは確かだが、こんなバカげたことが行われるとは思わなかった。

 ラフプレーが横行した試合後、日大の内田正人監督はこんなコメントを残している。

 「力がないから、厳しくプレシャーをかけている。待ちでなく、攻めて戦わないと。選手も必死。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」(日刊スポーツ)

監督が選手を擁護していると思ったが…

 力がないから、厳しく戦わなければ勝てない。

 これはどんなスポーツにでも言えることだろう。もちろん理解できることだ。

 「やらせているのは私の責任」これも気合が入り過ぎて激しいプレーをしてしまった選手を擁護する発言だと思った。それも指導者としては、当然の態度と言えるだろう。

 ところが事態が急変したのは、関学大が会見を開き前述のラフプレーが一斉にメディアで報じられることになってからだ。報道によれば、退場処分となった当該選手が、「監督に、責任は俺が取ると言われていた」と周囲に話しているというのだ。また取材を受けた他の日大の関係者も「今回のプレーは監督からの指示でやってしまったものだ」と証言しているというのだ。

 言葉がない…。

 もし、こうしたことが本当ならば、選手にはかわいそうだが、日大アメリカンフットボール部が、今後、大学スポーツ界で活動する意味と資格はないと言うべきだろう。

 日大は、部のホームページにお詫びのコメントを掲載したが、関学大は直接の謝罪がないとして、10日、日大に抗議文を送り、文章での回答期限を16日とした。

 「どういう指示かわかりませんけど、本当ならあり得ないこと。同じ指導者として認めることはできない」(関学大・鳥内秀晃監督)

 「日大から誠意ある回答がなければ、来年以降の定期戦は行わない」(関学大・小野宏ディレクター)

 また、スポーツ庁鈴木大地長官も、14日の会見でこのプレーに言及し、怒りをあらわにした。

 「大変危険なプレーで容認できない。個人的にはレッドカードに値すると思う。個別の大学、競技ではなく、大学スポーツ全体として考える問題。なぜ(あのようなプレーが)行われたのか、検証してほしい
(続く)

女々しいぞハリル、代表監督不適格(31)

次のタガの外れた監督は、今話題の日本大学アメリカンフットボール内田正人(元)監督

 

本日(2018.5.22)、日大アメフトの張本人が日本記者クラブで記者会見を開いているので、大方の内容はご承知のことと思われるが、そのご本人は監督やコーチから明確に反則プレーの指示があったことを述べている。

 

これでは、日大アメフト部はスポーツ部ではない、昔のやくざがたむろする飯場(はんば)と同じだ。

 

 

「やらなきゃ意味ない」日大選手、前監督の指示明かす

2018/5/22 18:00
日本経済新聞 電子版

 アメリカンフットボールの試合で悪質な反則行為をして関西学院大の選手を負傷させた日本大の宮川泰介選手(2022、日本記者クラブで記者会見し、試合前日にコーチを通じて内田正人前監督(19日付で辞任)から「相手のクオーターバック(QB)を1プレー目でつぶせば(試合に)出してやる」と指示を受けたと説明した。

記者会見で頭を下げる日大アメフト部の選手(22日午後、東京都千代田区)

記者会見で頭を下げる日大アメフト部の選手(22日午後、東京都千代田区

 宮川選手は記者会見の冒頭、負傷させた関学大の選手らに対し「深く反省しております。申し訳ありませんでした」と謝罪。「事実を明らかにすることが償いの第一歩」と述べた。

 

 同選手によると、試合の3日前から「やる気が足りない」などとして練習から外されており、試合前日にコーチから「監督におまえをどうしたら試合に出せるか聞いたら、相手のQBを1プレー目でつぶせば出してやると言われた」と聞いた。

 「相手のQBがケガをして秋の試合に出られなかったら得だろう」とのコーチの発言もあり、「ケガをさせろ」という意味だと理解したという。

 「ここでやらなければ後がない」と考え、試合当日の5月6日、内田前監督に「つぶしにいくんで使ってください」と訴えたところ、前監督は「やらなきゃ意味ないよ」と発言。コーチからも「できませんでしたじゃ、済まされないぞ」と念を押された。

 同選手は試合の1プレー目、パスを投じた後で無防備になった関学大のQBに背後から激しくタックル。計3回の反則で退場となった。

 試合終了後、選手らが集まった場で前監督から(反則行為は)自分がやらせた。相手のことは考える必要はない」との話があったという。

 同選手は、反則行為で負傷した関学大の選手を18日に訪ねて直接謝罪していたことを明かした。今後については「(自分に)アメフトを続ける権利はない。この先やるつもりはない」と話した。

 同席した選手の代理人弁護士は、記者会見を開いた理由について「このままでは事実が明らかにならない。本人が(関学大の選手に)勝手に突っ込んだことになってしまう」と説明。選手が実名でカメラの前に出ることにしたのは、本人や家族が「顔を出さない謝罪はない」と考えているためだと述べた。

 日大側は15日付の関学大への回答書で「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きた」と前監督らの指示を否定。引き続き調査を進め、24日をめどに関学大に改めて回答するとしている。

 反則行為により腰椎を負傷した関学大の選手側は21日、大阪府警に被害届を提出。試合は東京都調布市で行われたため、今後、府警から移送を受けて警視庁が調べるとみられる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30818470S8A520C1CC1000/?n_cid=NMAIL006

 

 

しかしこの期に及んで日大は、まだ逃げ口上に終始している。反省と謝罪の気持ちのかけらもない、と言う事か。

 

1プレー目でつぶせ”は、「思い切って当たれ」という意味だと、しらばっくれている。

 

 

「つぶせ」は「最初から当たれ」という意味 日大が主張

20185222031

写真・図版日大の選手(右端)が、関学大のクオーターバック(右から2人目)を背後からタックル(動画から切り出し、一部加工)

 

 アメリカンフットボールの日本大と関西学院大の定期戦(6日、東京)で悪質なタックルをした日大の宮川泰介選手が22日、東京都千代田区日本記者クラブで記者会見を開いたことを受け、日大広報部はコメントを発表した。コメントは次の通り。

     ◇

 本日、本学アメリカンフットボール部の宮川泰介選手が、関西学院大学フットボール部との定期戦でルール違反のタックルをし、相手選手にけがを負わせた件につきまして、心境を吐露する会見を行いました。厳しい状況にありながら、あえて会見を行われた気持ちを察するに、心痛む思いです。本学といたしまして、大変申し訳なく思います。

 会見全体において、監督が違反プレーを指示したという発言はありませんでしたが、コーチから「1プレー目で(相手の)QBをつぶせ」という言葉があったということは事実です。ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、「最初のプレーから思い切って当たれ」という意味です。誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います。

 また、宮川選手が会見で話されたとおり、本人と監督は話す機会がほとんどない状況にありました。宮川選手と監督・コーチとのコミュニケーションが不足していたことにつきまして、反省いたしております。

 (日本大学広報部

https://www.asahi.com/articles/ASL5Q6RL9L5QUTQP03H.html?iref=comtop_8_03

 

 

これもおかしいと、小生には感じられる。”つぶせ”はいつも使われる言葉で、いつも”思い切って当たれ”という意味であれば、宮川泰介選手は、いつものようにQBにつっかかっていったと言う事か。宮川選手はいつも反則タックルのようなことをやっていたのか、そうは思われない。いつもはルールの範囲で懸命に動いていた筈だ。

 

思い切って当たれ、の内容が問題だ。”つぶせ”がいつも使われていたと言う事であれば、宮川選手はその内容は十二分にわかっていた筈である。いつもは反則タックルなどはしていない、思い切って当たっていたのだ。だからもしそうであれば(つぶせがいつも思い切って当たれと言う意味であれば)、あのような反則タックルはしていない筈だ。

 

その宮川選手が今回は反則タックルをしている。と言う事は”つぶせ”の意味には、反則タックルの意味が付け加えられていたものと判断しても、差し支えないのだ。宮川選手が思い違いをしたなどとは考えられない。

 

宮川選手は、真実を話している。

 

 

「前監督・コーチが反則行為指示」日大選手会

201805222240

  • 記者会見で謝罪する日大アメフト部の宮川泰介選手(22日午後3時3分、東京都千代田区で)=冨田大介撮影

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    記者会見で謝罪する日大アメフト部の宮川泰介選手(22日午後3時3分、東京都千代田区で)=冨田大介撮影 

  • 記者会見で、発言の冒頭に謝罪する日大アメフト部の宮川泰介選手(22日午後3時2分、東京都千代田区で)=上甲鉄撮影

    記者会見で、発言の冒頭に謝罪する日大アメフト部の宮川泰介選手(22日午後3時2分、東京都千代田区で)=上甲鉄撮影 


 アメリカンフットボール危険なタックル問題で、関西学院大の選手(19)を負傷させた日本大の宮川泰介選手(20)が22日、東京都内で記者会見を開き、内田正人前監督(62)コーチから反則行為を指示されたことを明らかにした。

 宮川選手は「大きな被害と多大な迷惑をかけたことを深く反省している」と謝罪した。この問題を巡っては、警視庁が傷害容疑で捜査を始めた。関東学生アメリカンフットボール連盟も事実関係を調査しており、月末をめどに競技団体としての処分をする。

 代理人弁護士の同席で会見した宮川選手によると、危険行為があった5月6日の試合の3日前から実戦形式の練習を外され、2日前に内田氏から大学世界選手権の日本代表を辞退するよう指示されたこともあり、精神的に追いつめられた

http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20180522-OYT1T50071.html?from=y10

 

(続く)

女々しいぞハリル、代表監督不適格(30)

栄和人氏は鹿児島県奄美市生まれだと言う。彼自身も、世界選手権ではフリースタイル62kgで銅メダルを獲得していると言う。念のため、次に彼の簡単な年表を掲げる。

 

 

1960.6.19 鹿児島県奄美市生まれ

1983年 日本体育大学体育学部体育学科卒業

1987年 レスリング世界選手権FreeStyle62kg級で銅メダル獲得

1988年 ソウルオリンピックに出場するも4回戦敗退

1990年 京樽の実業団女子チームのコーチに就任(男子コーチはすべてメダリストのため不可だった。女子レスリングがオリンピック種目になると言われて、女子チームのコーチになる。)

1996年 京樽を退社、中共女子大学付属高等学校(現至学館高校)教諭に赴任

2003年 中共女子大学レスリング部の監督就任(大学職員)

2004年 全日本女子レスリングヘッドコーチに就任

2008年 中京女子大学健康科学部健康スポーツ学科教授に就任、11/12日本レスリング協会女子強化委員長に就任、伊調馨練習拠点を東京に移す

2013年 日本レスリング協会 全体の強化委員長に就任

2015年 日本レスリング協会 全体の総括責任者の強化本部長に就任

2018年 1/19内閣府交易認定等委員会へ告発状が提出され受理される。

2018年 4/6に第三者委員よりパワハラ行為に関する報告書を受け取る。パワハラと認定。同日付けで、強化本部長を辞任する。

 

 

図に乗らずに伊調馨のよき理解者でいれば、そのうちに文化勲章とは言わないが、何らかの勲章でも授与されていたかも知れないのだ。全く馬鹿なことをしたもので、メダリストを育てたとはいえ人間的には屑の部類に入る人物だったかも知れない、などと言われても仕方がない。

 

何といっても、疑惑が言われだした時に”パワハラはない”などと逃げ口上を盛んに述べていたことで、更に自分自身を貶めることになってしまった。

 

人間、謙虚が大切である。レスリング協会の見解でも、告白状の内容すべてを否定している。(伊調選手へのパワハラ報告書では、4項目がパワハラと認められたわけだが。)

 

 

日本レスリング協会伊調馨の告発状に「見解文書発表」

2018311410 スポーツ報知

 日本レスリング協会は1日、五輪4連覇の伊調馨(33)=ALSOK=が栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメントを繰り返し受けたとして、レスリング関係者が1月、代理人弁護士を通じ、内閣府の公益認定等委員会に告発状を出していたことについて、報道機関に宛て「一部報道に関する当協会の見解について」という文書を発表した。

16年8月17日、女子レスリング58キロ級決勝 前半にリードを許し険しい表情で栄和人チームリーダーの話を聞く伊調馨 
16年8月17日、女子レスリング58キロ級決勝 前半にリードを許し険しい表情で栄和人チームリーダーの話を聞く伊調馨

 

 以下、全文

 現在、伊調馨選手(以下「伊調選手といいます。」)の練習環境等に関し、各種報道がなされておりますが、今後事実とも推測とも判別できない情報が交錯し、選手各位、その他関係者にご迷惑・影響等が生じることを懸念し、日本レスリング協会として、以下の通りコメント致します。

 まず、当協会が伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はございません。同様に、当協会が田南部力男子フリースタイル日本代表コーチ(以下「田南部コーチ」といいます。)に対し、伊調選手への指導をしないよう不当な圧力をかけた事実もございません

 当協会は、田南部コーチを男子フリースタイル日本代表チームの育成・強化を期待し、同チームのコーチに委託させて頂きました。

 この点、当協会の強化本部は以下の3チームに区分けされております。

 ・男子フリースタイル強化委員会(フリーナショナルチーム

 ・男子グレコローマン強化委員会(グレコローマンナショナルチーム

 ・女子フリースタイル強化委員会(女子ナショナルチーム

 上記各3チームは、それぞれ別の監督、コーチ、トレーナー、選手で構成されており、各チームのスタッフには、自らのチームに所属する選手の育成・強化という責務を全うすることが期待されております。

 そうした中で、男子フリースタイル代表の田南部コーチが、各代表チームの垣根を越えて、伊調選手に対する指導を行うことによって、委託の本旨である男子フリースタイルチームの育成・強化が疎かになることのないよう同コーチに対し注意喚起をしたことはございます。

 しかしながら、当協会から伊調選手に対する指導を禁止したことや、指導をやめさせるべく田南部コーチやその周囲に不当な圧力をかけたこと一切ございません

 また、当協会として、伊調選手に対し、男子代表合宿への参加を禁止したこともございません

 もっとも、男子代表合宿にあたっては何よりもまず男子代表選手の強化が優先さればならないものですから、伊調選手が男子合宿に参加することによって、男子選手の練習に影響が生じることがないよう、男子合宿に参加して田南部コーチの指導を受ける場合には、男子選手の全体練習終了後に指導を受けるよう伝えたことはございます。

 更に、これも当然のことではありますが、当協会が、警視庁レスリング部に対して、伊調選手を練習に参加させないことや、田南部コーチを指導から外すよう働きかけた事実も一切ございません

 最後になりますが、当協会は、日本におけるレスリングの統括団体として、レスリングを発達されることにより、国民の体力とスポーツ精神の向上に資すことを目的とする団体であります。当協会の本分は、選手の育成・強化であり、そのために必要な指導者の育成・選抜、練習環境の整備、各種選手権の実施など、徹頭徹尾「選手のための団体」であります。遡ること、八田一朗会長の時代から、当協会は、理念と哲学を持って選手強化にあたっており、その結果、男子レスリングはフリースタイル、グレコローマン共に日本の名を世界に示し続け、女子レスリングにあっても世界選手権・オリンピックにおいて多くのメダルを獲得する等着実に実績を積み重ねております。

 本来であれば、2020年東京オリンピック開催を控え、選手、コーチ及びその他関係者が一丸となって「金メダル」という一つの目標に向かって邁進しなければならないこの時期に客観的事実と異なる報道がなされたことを非常に残念に思います。

 当協会としては、一刻も早くこの問題が収束し、2020年東京オリンピックでの目標達成に向けて、選手が競技に集中できる環境を整えるべく、全力を尽くしたいと考えております。

 報道機関各位におかれましては、この問題に関する報道によって、選手及びレスリング競技全体に生じる影響を慎重にご検討頂いた上で、適切なご対応を頂きますようお願い申し上げます。

http://www.hochi.co.jp/sports/etc/20180301-OHT1T50071.html

 

 

この告発状に対する日本レスリング協会の”見解”では、告白状の全てを否定している。この見解は2018.3.1のもので、「パワハラ報告書」は既に紹介しているが、2018.4.6に公表されているように、明確に4件の行為がパワハラと認定されている。

 

ことほど左様に監督と協会は、自身の都合の悪いことは棚に上げて、やがては馬脚を現してしまうのであるが、パワハラは否定して言い訳を連ねるようだ。これは保身がなせる業なのであろう。

 

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も、自分の行ったことには一切触れずに、相手を非難し訴訟まで起こしている。全く同じ状況だ。

(続く)

女々しいぞハリル、代表監督不適格(29)

男子レスリングの衝撃

伊調馨は大学卒業後も母校・中京女子大で練習を積み、北京オリンピックに挑んだが、カナダから帰国後、練習拠点を変更。東京で一人暮らしを始める。

カナダでの経験から「好きで始めたレスリングなんだから、楽しまないともったいない。いつかはカナダで見たようなレスリングをしたい」と思いつつも、再び厳しい勝負の世界に戻ることを決めた伊調。名門・代々木クラブ/安倍学院、自衛隊体育学校早稲田大学など、東京の各所で出稽古に勤しんだ。

すると、1988年ソウルオリンピック金メダリストであり、当時の男子強化委員長だった佐藤満から馨の兄・寿行に「馨が東京で出稽古しているなら、こっちの合宿に連れて来いよ」と声がかかった。

 

佐藤がアメリカ留学を経て、専修大学ヘッドコーチに就任したとき、キャプテンを務めていたのが寿行という間柄だった。

兄に連れられ、男子の代表合宿に参加した伊調馨は衝撃を受けたという。

「チビッコの頃から20年以上やってきたのに、レスリングの真髄を全く知らずにいました。それなのにオリンピックチャンピオンだなんて、もう恥ずかしくて」

男子のコーチや選手たちと接する機会が多くなった伊調の目の前に、新しい世界が広がった。レスリングの奥深さを知ることができたのだ。

「それまでは体が動くまま、本能だけでレスリングをやっていました。考えてレスリングをやったことなんてありません。でも、男子の合宿で私が生まれて初めて接したレスリングは全く違っていました。例えば、タックルひとつとってみても、なぜいま入ったのか、相手をどう崩して、どこにスペースをつくって入るのかとか、すべて言葉で、理論的に説明できるんです」

その日から伊調は、「説明のできるレスリングを目指し、“勝利”よりも“技術”を追求する」ようになると同時に、再びレスリングが「楽しくなった」と語る。

「日々、自分を改良していくのはとっても楽しいです。もっともっとレスリングが知りたくて、日々葛藤しています。でも、やればやるほどわからなくなる。それでも、諦めたら終了です」

当時の伊調は、こんなことも漏らしている。

「たとえコーチの話でも、自分にとって必要かどうか判断して、必要でなければ聞き流したりもします。私はたぶん、コーチ陣からしたら扱いやすい選手ではないと思います。何でも自分で決めてしまうので。だから、『こいつは素直じゃないな』と思われるときもあるでしょうが、素直に聞くこともあります。ポイントは自分を納得させてくれる何かがあるかどうか」

ただ勝てばいいのではなく、理論的なレスリングへ。競技スタイルを変えた伊調が決意したのが、栄との決別だった。

高校から北京オリンピックまで指導を受けた栄の元を去り、新たな師として選んだのが田南部力だ。

田南部はアテネオリンピック・フリースタイル55キロ級で銅メダルを獲得。髙い技術力をもつ男子ナショナルチームコーチである。

伊調の出稽古は田南部が所属する警視庁レスリングクラブが中心となった。

レスリングがもっとうまくなりたくて、もっと知りたくて、日々葛藤する」という伊調は、いつしか「レスリングを極めんとする孤高の求道者」「異次元の強さを追求する絶対女王」と呼ばれるようになっていった。

協会は栄さんを守るでしょう

2012年ロンドンオリンピックでは全4試合1ピリオドも失わず、圧倒的な強さを見せつけ、日本女子初の3連覇を達成する。現地入りした翌日、本番4日前に靭帯を損傷し、痛み止めの注射とテーピングなしでは、まともに歩くことすらできなかったにも関わらずだ。

ロンドンオリンピック後、去就が注目されるなか、伊調はあっさりと「現役続行」を宣言した。

「いまレスリングがどんどん好きになってきています。やり残したこともいっぱい。アテネからロンドンまで8年間、あっという間だったから、リオも意外とすぐにくるんじゃないかな」

オリンピックイヤーが終わる前に本格的に練習を再開させた伊調は、翌年から試合にも出場し、リオデジャネイロオリンピックまで突き進んだ。

 

2014年11月にはずっと応援してくれてきた最愛の母が突然、亡くなるという不幸に見舞われた。

「『どんな状況でも試合に出ろ! 出るからには勝て! 死んでも勝て!』という母の遺言を守るとともに、自分のレスリングを追求していきます」

リオへ向けて成田航空を出発する際には「平常心を持って、戦います」と誓ったが、いくら絶対女王と言えども、4連覇のプレッシャーは相当なものだったろう。

第1試合から本来の動きができず、迎えた決勝戦では1-2とリードを許しながらも攻め込めず、時間だけが過ぎていった。それでも、伊調馨は最後の力を振り絞った。試合終了4秒前、タックルに入ってきた相手を「最後のチャンス」と思って攻め、バックを奪って2点奪取。3-2で劇的な勝利をあげ、4連覇の偉業を達成。世界中を感動させた

だが、そうした伊調の「レスリング道追求」、人類の金字塔ともいえる大活躍の裏で、北京オリンピック後から8年にわたり伊調を指導してきた田南部コーチが栄強化本部長(ロンドンオリンピックまでは女子強化委員長)からパワハラを受けていたとの告発がなされた。告発文の要旨はこうだ。

栄和人氏による圧力により、伊調馨選手は男子代表合宿への参加を止められ、練習拠点である警視庁レスリングクラブへの出入りを禁止された。そのため、伊調選手は練習ができない。田南部力コーチは『伊調をコーチするな』と栄氏から言われ、従わなかったために代表コーチ、協会理事、警視庁レスリングクラブコーチを外された。それらは公益財団法人日本レスリング協会福田富昭会長、高田祐司専務理事も了承している」

告発状が掲載された『週刊文春』が3月1日発売されたのを受け、伊調は同日、所属するALSOK広報を通して「報道されている中で、『告発状』については一切関わっておりません」とコメントする一方で、「しかるべき機関から正式に問い合わせがあった場合は、ご説明することも検討したいと思っています」とし、「それ以外、お伝えすることはございませんが、私、伊調馨レスリングに携わる者として、レスリング競技の普及発展を常に考えております」と加えた。

公益財団法人日本レスリング協会36、倫理委員会を開き、第三者による聞き取り調査を行うと発表したが、はたして真に公平な調査ができるのか。

「協会は『週刊文春』が出た後、すぐに『パワハラ行為は一切ない』と全面否定しました。伊調、田南部から何も聞かないどころか、ろくに調べもせずに、直ちに否定。それって、協会は栄さんを守るという宣言でしょう。そんなところがまともに調査するんでしょうか。第三者と言っても、それを選ぶのは協会の倫理委員会ですからね。内閣府が直接調べて、JOCも積極的に関与しないとダメでしょう」(レスリング関係者)

東京オリンピックまで2年。我々は伊調馨晴れ晴れと5連覇を目指す姿が見たいだけなのだが――。

(文中敬称略)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54762

 

栄和人氏は、6人に金メダリストを育てたと言うが、彼女たちを重量順に下記してみる。

 

1.48kg 小原日登美  2012年ロンドン

2.48kg 登坂絵利   2016年リオ

3.55kg 吉田沙保里  2004アテネ2008年北京、2012年ロンドン

4.58kg 伊調馨     2004アテネ2008年北京、1012年ロンドン、2016年リオ

5.63kg 川井利紗子  2016年リオ

6.69kg 土性沙羅   2016年リオ

 

このほか伊調馨の姉の伊調千春の銀メダルや吉田沙保里リオデジャネイロの銀メダルがある。

 

これだけでもと言ったら失礼にあたるが、これほどのメダリストを育てたと言う事は、特筆に値するものである。しかし図に乗り過ぎてはいけないのであるが、栄氏は、何故か、図に乗り過ぎた。

 

結局伊調馨に対するパワハラ行為で、栄和人氏は強化本部長を辞任することになった。

レスリング栄氏が強化本部長辞任 伊調選手にパワハラ

平井隆介野村周平

2018年4月6日20時36分

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 日本レスリング協会の緊急理事会で藤沢信雄倫理委員長(右)から報告書を受け取る福田富昭会長=2018年4月6日午後6時27分、東京都渋谷区、藤原伸雄撮影

 

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日本レスリング協会の会見でパワハラ問題に関して謝罪する福田富昭会長=2018年4月6日午後7時49分、東京都渋谷区、藤原伸雄撮影

 レスリング女子で五輪4連覇中の伊調馨(かおり)選手(33)=ALSOK=が、日本協会の栄和人・選手強化本部長(57)にパワハラ行為を受けていたとされる告発状内閣府に出された問題で、協会は6日、調査を委託した第三者の弁護士による聞き取りの結果、伊調選手と、伊調選手のコーチだった田南部力氏への四つのパワハラ行為が認定されたと発表した。

 栄氏は同日付で強化本部長の辞任届を協会に提出。緊急理事会を開いた協会はこれを受理することを決めた。理事会後に開いた記者会見の冒頭で、福田富昭会長は「栄氏の言動がパワハラにあたると受け止め、伊調選手を始め、関係者におわびしたい」と話し、会長と幹部が頭を下げた。

 第三者委員がまとめ、協会が公表した報告書で、「明確なパワハラがあった」と認定した栄氏の四つの行動は、①伊調選手が、栄氏が指導する中京女子大(現至学館大)を離れて東京に転居した後の2010年、日本代表合宿で「よく俺の前でレスリングができるな」などと暴言を吐いた。

 ②10年世界選手権が開かれたモスクワのホテルで、伊調選手を指導する田南部力氏に対し「伊調の指導をするな」と発言。

 ③10年アジア大会(中国・広州)の選手選考で伊調選手が外されたが、本人に明確な説明がなかった。

 ④15年の代表合宿中、正当な理由があって外出した田南部氏に対し、「目障りだ。出ていけ」などと罵倒した。

 内閣府に提出された告発状は、栄氏が田南部氏に伊調選手の指導をやめるよう圧力をかけたり、伊調選手が練習拠点としていた警視庁を使うことを禁止したりしたなどと訴えていた。協会と栄氏は当初、これらの内容を否定していた。

 協会は3月8日、オリンパス粉飾決算事件の第三者委員などを務めた弁護士3人をヒアリングを担当する第三者委員に選任。伊調選手や栄氏のほか、日本協会の福田会長らから事情を聴き、調査結果を5日に協会に提出していた。

 協会を監督する内閣府公益認定等委員会は、協会とは別に聞き取り調査を進めている。(平井隆介野村周平

https://www.asahi.com/articles/ASL466SR0L46UTQP032.html

(続く)

女々しいぞハリル、代表監督不適格(28)

栄和人への告発状に対しては、日本レスリング協会は見解文書を発表している。それによると栄和人氏によるパワハラはなかったと、全面否定しているようだ。詳しくは下記を参照願う。栄和人と日本レスリング協会は、どうも一心同体のようだ。

 

 

日本レスリング協会伊調馨の告発状に「見解文書発表」

2018311410 スポーツ報知

http://www.hochi.co.jp/sports/etc/20180301-OHT1T50071.html

 

 

しかし公表されて「三者の弁護士3人による報告書」によると、確実に4点のパワハラがあったとされている。しかしパワハラと認定されていない項目についても、我々からすれば明確なパワハラと感じられるのだが。

 

 

伊調選手へのパワハラ報告書の概要

毎日新聞2018462354(最終更新 470028)

レスリングの伊調馨選手=喜屋武真之介撮影

 日本レスリング協会は6日、調査を委託した三者の弁護士3人による報告書を公表した。概要は次の通り。

 パワハラと認定した事実>

 ▽2010年2月の合宿で、女子強化委員長だった栄氏は東京へ練習拠点を移した伊調選手を部屋に呼び、「よく俺の前でレスリングできるな」と言った。弟子が離れていったことに対する逆恨みにも似た心情としか解釈できない。

 ▽伊調選手は、10年アジア大会(中国・広州)の選考基準を満たしたが、別の選手が代表になった。協会は伊調選手に十分な説明も行っておらず、伊調選手も納得していない。選考過程が不明確で、伊調選手を選考から排斥する行為と解釈すべきだ。

 ▽10年9月の世界選手権(モスクワ)の際、宿泊先で、栄氏が男子フリースタイルのコーチだった田南部氏に「伊調選手の指導をするな」と言った。栄氏は女子フリースタイルを統括する指導者として実績を重ね、男子チームに対しても事実上の影響力を持つ立場にあった。栄氏の優位な立場を背景としており、不適切な発言。

 ▽15年2月に行われた男女合同合宿中、協会の指示で別のコーチと2人で京都に指導に出向いた田南部氏に対し、栄氏が外出を叱責。さらに伊調選手の指導に話を移し、「目障りだ。出て行け」と罵倒した。栄氏は別のコーチには何も言わなかった。

 パワハラと認定しなかった事実>

 ▽16年8月のリオデジャネイロ五輪で、伊調選手は、他の2選手が栄氏と、別の飛行機のビジネスクラスリオデジャネイロに向かったと聞いた。伊調選手は、自費でプレミアムエコノミーに変更したに過ぎず、パワハラは認められない。

 ▽警視庁レスリングクラブで田南部氏の指導が伊調選手に集中しすぎているという不満を耳にした同クラブの監督が、伊調選手の所属先に「もう警視庁に練習に来ないでほしい」という話をした。伊調選手は部外者のため、問題ない。

 ▽16年9月に東京五輪に向けた強化体制として、栄氏が引き続き強化本部長となったが、田南部氏は男子コーチから外れた。コーチは再任されるものではなく、コーチ陣全体のバランスや構成、相性などを総合して選定するため、栄氏のパワハラとは言えない。

 <提言>

 ▽栄氏の倫理規定違反が認められることから、協会は、適切な処分を検討すべきだ。

 ▽協会の公益通報窓口は、登録選手や理事、コーチらには適用されない。制度を利用できるようにすべきだ。

 ▽選手とコーチの間にきめ細かでかつ柔軟なルールを作ることが望まれる。

 ▽協会役員について、レスリングと異なる分野の有識者を増員し、議論を活性化させることが望ましい。

https://mainichi.jp/articles/20180407/k00/00m/050/158000c

 

 

まあ栄和人氏は、至学館大学(もと中京女子大学レスリング部で、6人のオリンピック金メダリストを育てているのを見れば、それなりに優秀な指導者だったことには間違いがない。ずっと謙虚な指導者で居ればよかったものの、魔が差したと言うか図に乗ってしまったと言うか、伊調馨選手が更なる高みを目指したいと東京に練習拠点を移すと、パワハラが始まった訳だ。

 

これこそ身の程をわきまえない行動と言われても仕方がないものだが、一寸長いが伊調馨が練習拠点を移す決断となった出来事をみてみよう。

 

 

伊調馨と栄監督が袂を分かった「決定的な出来事」

きっかけは男子合宿への参加だった

 

2018.03.08 現代ビジネス編集部

 

女子レスリン五輪4連覇伊調馨選手に対する、栄和人監督による「パワハラ」があったとする報道が世間を賑わせている。その発端は、男子レスリングに衝撃を受けた伊調の「変化」と「決心」にあった。伊調の過去の発言、揺れるレスリング協会の関係者らへの取材から騒動を読み解く。

留学後の一大決心

女子初のオリンピック4連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞した伊調馨ALSOK)。オリンピック金メダリスト6を育て上げた栄和日本レスリング協会強化本部長、至学館大学レスリング部監督)。輝かしい師弟関係の対立に注目が集まっている。いったい何が起きていたのか。

全国女子中学選手権3連覇を達成した“スーパー中学生”伊調を、栄が八戸の実家へ出向いてスカウトしたのが、二人の師弟関係のスタートだ。

中京女子大学附属高校(現・至学館大学附属高校)に入学、栄のもとで練習に励んだ伊調は才能をさらに伸ばし、高校2年生になったばかりの20014月、世界選手権2連覇中の山本聖子を破り、クイーンズカップ優勝を飾った。

「世界チャンピオンの坂本(現・小原)日登美先輩をはじめ、世界で活躍する選手たちといっしょに練習でき、スパーリングパートナーはいくらでもいる。練習は厳しく、監督が納得しなければ日付が変わっても終わらない」

 

厳しくも充実した練習内容を妹から聞いた姉・千春は、東洋大学を辞めて中京女子大に再入学するほどだった。

伊調馨2学年上の吉田沙保里が同じ階級でつぶし合うことを避け、かつ、女子レスリングの採用が決まったアテネオリンピックに両者を出場させるため、身長が高く、手足も長い伊調の階級アップを決断したのも栄である。

伊調は栄の指示に従い63キロ級に変更すると、翌年のジャパンクイーンズカップで優勝を果たす。そこから伊調馨の快進撃が始まった。

2003年、ニューヨークで開催された世界選手権で連覇すると、本人曰く「イケイケでした!」と2004アテネオリンピックで金メダルを獲得。惜しくも銀メダルに終わった姉・千春とともに「北京でリベンジ! ふたりいっしょに金メダル!」の大目標を掲げ、二人三脚で夢に向かった。

2008年の北京オリンピックアテネと同じく、妹・馨は金メダル、姉・千春は銀メダル。

それでも、千春が「妹といっしょに輝かしいレスリングの道を歩んでこれたことを、私は誇りに思います。勝負が終わった後はメダルに色がついてしまいますが、私は自分のレスリング人生が最高だったと思っているので、このメダルは金色に輝いて見えます」と言えば、馨は「千春が笑顔で北京オリンピックの銀メダルをみんなに見せている姿を見て、よかったなと思いました。公約した『ふたりで金メダル』は果たせず悔しかったですけど、やっと終わったという感じでした」と語った。

北京オリンピック後、東京で開催された世界選手権を欠場した伊調姉妹はカナダへ留学。英語を学ぶ一方で、週2~3カルガリー大学の練習に参加した。

そこで目にしたのが、世界選手権やワールドカップで戦ったことがあるライバルたちが、試合とはかけ離れたところで、生涯スポーツとしてレスリングを楽しむ姿だった。そして、子どもたちがレスリングを心の底から愛し、無邪気に楽しむ姿に、姉妹はかつでの自分の姿を見出す。

帰国後、千春は地元・八戸で高校教員となったが、馨はある一大決心をした。

ここが、今回の「パワハラ問題」の源流であると指摘する関係者の声は多い。

(続く)