これらの記事から、EVの比較表を作成してみた。
e-up! e-Golf B class electric drive
・航続距離 150km 190km 200km
・LWH 3,545×1,650×1,520mm 4,265×1,800×1,480mm 4,400×1,785×1,545
・Wheel B 2,420mm 2,635mm 2,700mm(←↑↓B180)
・最小回転半径 4.6m 5.2m 5.2m
・ベース車両 up! ゴルフ7(7代目ゴルフ) B-class
・電池 18.7kWh(LIB) 24.2kWh(LIB) 28kWh(テスラ製18650)
・モーター max 60kW(82ps) 85kW(115ps) 132kW(180ps)
・最高速度 135km 140km(リミッター作動) 160km(リミッター作動)
・0-100km加速 14″ 10.4″ 7.9″
・急速充電 30分80% ←
・運転モード - エコ/エコ+
・回生制動モード - D1,D2,D3,B
・100km充電コスト 3.02ユーロ 3.30ユーロ
(B180の諸元については、http://www.mercedes-benz.co.jp/content/japan/mpc/mpc_japan_website/ja/home_mpc/passengercars/home/new_cars/models/b-class/w246/facts_/product_table.html より引用している。)
ヒーターなどもついていると言うので、かなり電気を使う。この航続距離190kmも、理想的な状態でのものであり、普通はこの半分もゆけば恩に字なのではないのかな。(これらの装置はe-up!にも装着されているようだ。)
事実VWのホームページでは、「燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。実際の走行時には、この条件(気象、道路、車両、運転、整備などの状況)が異なってきますので、それに応じて燃料消費率は異なります。」と言う但し書きが、ハイライト付きで記載されている。
事実、そこに記載されている航続距離は、
e-up!は185km(←150km)、e-Golfは215km(←190km)となっており、上記の航続距離とは相当の乖離がある。e-up!の150kmには、「NEDC計測」と注書きがしてあった事を追記しておこう。
この190kmの航続距離は、ドイツの都市部の住民の一日の平均の航続距離が50kmから算出した航続距離だという。上記にも指摘したように諸々の電装品が装着されているので、190kmの航続距離だと言っても、実際は50km程度を走行するのに精一杯と言ったところなのかも知れない。
さて2015.2.20のNO.60では、ダイムラーの「Bクラス エレクトリック ドライブ」と言うEVの記事を載せているが、このダイムラーとVWは、既存のモデルにバッテリーを乗せてEV化している。
これに対して先に紹介したBMW「i3」は、車もその工場も全く新設してEVを作り出している。同じドイツ車でも、アプローチの仕方がこれらの2グループでは、全く対照的だ。ただし既存のエンジン車をべースに電気自動車を作り出している事ではVWとダイムラー全く同じ考えで、BMWとテスラは全くの新設車だ。ただしテスラは、もともと自動車メーカーではなかったので、新設車となるのは当然のこと、しかしながらBMWは環境問題を考えて、工場から環境にやさしい作りに挑戦したのであり、その意気込みはテスラとは相当かけ離れて高尚なものである。
“多様化”が加速する電気自動車の可能性を探る
@DIME2014/11/25 22:01DIME編集部、金子浩久
【連載】金子浩久のEクルマ、Aクルマ
(http://newsbiz.yahoo.co.jp/series?name=【連載】金子浩久のEクルマ、Aクルマ)
メルセデス・ベンツ『Bクラス』もEVを投入。リチウムイオンバッテリーは二重床ではなく、リアシートの下に収められている。
最近、立て続けに新型の電気自動車(以下、EV)に乗る機会があったので、そのことをレポートしたい。まず最初は、メルセデス・ベンツ『Bクラス』のEVから。ガソリンとディーゼルエンジンを搭載する既存の『Bクラス』にマイナーチェンジが施されたのに併せて、EVが発表されたため、一緒に試乗してきた。
「コンパクト・メルセデスは、12月に写真を発表する『CLAシューティングブレイク』でラインアップが完成します。その次の戦略としてパワートレインを拡充し、その第1弾がEVと天然ガス車となります」(メルセデス・ベンツ開発担当取締役トーマス・ウェーバー博士)
かつて、初代『Aクラス』が発表された際、二重になった床はEV用のバッテリーを収めるためにあるとし、その革新的なコンセプトが披露されてきた。だが、その計画は陽の目を見ることなく終わり、現実的にメルセデスのEVは、こうして『Bクラス』をベースとして造られた。
この『Bクラス』ベースのEVは、リチウムイオンバッテリーは二重床ではなく、リアシートの下に収められている。その甲斐あってか、車内スペースを損なうことなく乗車定員5人を確保することができている。
「『BMW i3』が4人しか乗れないのに対し、『Bクラス』のEVは5人乗れて、広いトランクスペースがあるのは大きなアドバンテージです」(ウェーバー博士)
たしかに、『Bクラス』のEVは車内スペースを損なうことなく、パワートレイン部分だけを電気化しているため、ユーザーにとってもメリットが大きいだろう。実際に運転しても、車内スペース以外にも『Bクラス』のEVはガソリンエンジンを備えた『B250 4MATIC』と何ら遜色なく走り、むしろ速いくらいに感じた。航続距離が短いというEV特有の宿命ともいえる弱点さえ克服できれば、十分、エンジン車の代替えとなり得るだけでなく、EV独自の魅力を発揮できる存在になり得ると感じた。
■5ナンバーサイズのEV
次に乗ったのが、フォルクスワーゲン『e-up!』。こちらも『Bクラス』と同じように、既存の『up!』をEV化したものだ。元の『up!』が5ナンバーサイズに収まっていたが、そこは変わらず、EVになっても全長3.54mというサイズ感は変わらない。運転していても、停止から力強い加速を行なう電気モーターの特性と『up!』の軽快さがうまくマッチしており、小気味いい。できれば、もっとシンプルに仕立てて、リアシートを取り払って荷室を拡大し、2座席のコミューターにしても面白いだろう。シンプルな方向にまとめられたEVも存在意義が大きいことを気づせてくれた。
■航続距離は2倍!?
『Bクラス』のEVと『e-up!』は、既存のエンジン車をベースにEV化されたという点においては共通している。
「コストを削減できるし、今までエンジン車に乗っていたユーザーにも違和感なく乗り換えることができるからだ」(『Bクラス』EVの開発担当者)
しかし、その反面、2台は対照的でもあるところが面白い。『Bクラス』のEVは、元になった『Bクラス』が車内空間の広さを追求したコンパクトカーであることを踏襲しており、『e-up!』は5ナンバーサイズを打ち出している。どちらも、うまくまとまっていたし、どちらもアリだと思った。
そして、『e-up!』に乗った直後に、日立がEV用の新バッテリーを開発しているというニュースを見た。なんでも今までの2倍の航続距離が実現できるようになったという。価格面での折り合いがつき、大量生産されることになれば、EVが急速な勢いで普及する可能性もある。
■テスラも加えると3グループに
上記の2台は、既存のエンジン車をEV化していることで共通。『i3』は、『Bクラス』のEVや『e-up!』などとは正反対のコンセプトで開発されている。専用のシャシーに専用のボディー。カーボンファイバーを用いたシャシー工場の電力はCO2ゼロの水力発電で稼働され、リアシートの表皮は27本のペットボトルをリサイクルして造られる。あらゆることが『i3』専用にオペレーションされており、その徹底ぶりは見事なものだ。
『i3』のような“何でも専用”と、『Bクラス』のEVや『e-up!』のような既存車活用型EVには大きな隔たりがある。善し悪しの問題ではなくて、発展途上にある技術には必ず伴う二極化現象だ。現在、世界のEVは『i3』とその他に分けられるが、そこにテスラも加わると3つのグループに分けられるだろう。テスラは独自の専用シャシーとボディーを持ち、大量のバッテリーで長距離走行を可能にしているが、充電方式や高価格設定などで独自路線を貫いている。
百花繚乱というにはまだ早いが、三菱『i-MiEV』や日産『リーフ』が発表された時よりもEVの選択肢は広がっている。あえて車名は挙げないが、他にもEVは登場しているし、海外のモータショーなどでは販売を前提としたEVのコンセプトカーが多く出展されている。僕は、シャシーとボディーの造られ方で分類してみたが、もちろん、他の分け方だってある。いずれにしても、様々な種類のEVが生まれてきている。それらを受けて、これからEVの多様化時代が始まるだろう。それにしても、日立のバッテリー技術のその後が、どうしても気になってしまう。
文/金子浩久
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20141125-00010007-biz_dime-nb
(続く)