Ghosn,Gone with the Money(26)

ゴーン元会長の損失移転、監視委・監査法人が問題視

2018/12/22 9:19
日本経済新聞 電子版

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の特別背任事件で、ゴーン元会長が私的な金融取引の損失を日産に付け替えた後、証券取引等監視委員会監査法人から相次いで問題視されていたことが22日、関係者の話で分かった。外部の指摘を受け、ゴーン会長は損失を自身の資産管理会社に再移転したという。

 損失付け替えは再移転で解消された形だが、特捜部は、いったん付け替えを実行した時点で日産に損害が生じており、会社法違反の特別背任罪が成立すると判断しているもようだ。

 ゴーン元会長は200810月、自身の資産管理会社が運用していたデリバティブ取引の契約を日産に移転し、評価損約185000万円を負担する義務を日産に負わせた疑いが持たれている。

 関係者によると、ゴーン元会長の資産管理会社が契約していた新生銀行側に監視委の検査が入り、損失付け替えが発覚。日産の取締役会の議決を経ていないなど、コンプライアンス上の問題があると指摘された。

 同じころ、日産を担当する監査法人も会計監査の過程で付け替えを把握。「会社が負担すべき損失ではなく、背任に当たる可能性もある」との指摘が日産側にあったという。

 外部からの相次ぐ指摘を受け、ゴーン元会長はデリバティブ取引の契約を自身の資産管理会社に再移転することにした。この際、巨額の評価損に対応する追加担保が必要になり、サウジアラビアの知人の協力により信用保証を得ることができたという。

 ゴーン元会長はこの知人が経営する会社の預金口座に日産子会社の口座から1470万ドル(現在のレートで約16億円)を振り込ませた疑いも持たれている。

 関係者によると、ゴーン元会長は特別背任の容疑を否認。損失付け替えについては、結果的に契約を再移転していることなどから「日産の損失はなく、背任には当たらない」と主張している。知人への支払いは日産のための業務の対価だったと説明しているという。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39298300S8A221C1MM0000/?n_cid=SPTMG053

 

 

 

 

もう一度言うが、たとえ日産の損失はなく」とも、損失の可能性を発生させただけで、特別背任となるのである。

 

但しゴーンとしては、一端日産に移した損失は自身の資産管理会社に戻す気はなかったようで、これこそがまた問題ではないのかな。

 

 

ゴーン容疑者、付け替えた契約を自身に戻す意向なし 協議で銀行に示さず

2018.12.27 20:48 社会 事件・疑惑

WEB用 カルロス・ゴーン ゴーン容疑者のニュースを映す東京の街角のモニター(ロイター)

 

 日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えたなどとして再逮捕された特別背任事件で、ゴーン容疑者が当初、付け替えた契約を自身側に戻す意向を示していなかったことが27日、関係者への取材で分かった。ゴーン容疑者は「最初から戻すつもりだった」と供述しているが、東京地検特捜部は証券取引等監視委員会違法性指摘を受けて戻したとの見方を強めており、日産に損害を与える意図があったとみて調べている。

 

 特別背任容疑での再逮捕から28日で1週間。報酬過少記載事件に続き、ゴーン容疑者と特捜部は全面対決の構図となっている。

 

 ゴーン容疑者は「スワップ取引」と呼ばれる通貨のデリバティブ金融派生商品)取引を自身の資産管理会社と新生銀行との間で契約。ところが、平成20年のリーマン・ショックによる円高で評価損が急速に拡大し、銀行側から巨額の追加担保を求められたため、同年10月、約18億5000万円の評価損を含んだ契約を日産に付け替えたとされる。

 

 関係者によると、ゴーン容疑者は銀行側に契約付け替えを自ら提案。銀行側から条件として取締役会での承認決議を求められ了承したが、この協議の際、ゴーン容疑者は契約を将来、自身側に戻すとの意向を一切示さなかったという。

 

 取引の経緯を知る関係者は産経新聞の取材に対し、「日に日に評価損が急速に拡大する状況で、契約を戻すというような将来を見据えた話はなかった。とにかく数十億円の担保不足から逃れたい一心という様子だった」と証言した。

 

 協議後、日産側から取締役会で承認決議を得たと報告があり、付け替えは実行されたが、経緯を把握した監視委決議は偽装された可能性があると判断。21年1月、特別背任罪に該当する恐れがあると指摘し、日産側は2月末に契約をゴーン容疑者側へ戻していた。ゴーン容疑者は「追加担保を入れないと契約解除となり、約18億5000万円の支払いが必要な状況だった。担保を出してくれる人が見つかるまでの一時しのぎだった」と供述しているとされる。

 

 ゴーン容疑者は契約を戻す際、信用保証に協力したサウジアラビア人の知人側に21~24年、日産子会社から1470万ドル(現在のレートで約16億円)を入金させた疑いも持たれている。

 

 この知人が同国有数の複合企業副会長、ハリド・ジュファリ氏だったことが新たに判明。ジュファリ氏は追加担保として30億円を負担したという。

 

https://www.sankei.com/affairs/news/181227/afr1812270036-n1.html

 

 

そのためゴーンは死に物狂いで(多分)、サウジのハリド・ジュファリ氏に担保保証を頼んだのであろう。ハリド・ジュファリ氏も、当然タダで頼まれるものではなかった。当然30億円もの巨額な額が動くものであるので、それなりに見返りを要求したことでしょう。こちらもそれなりに腹黒かったのである。ゴーンの足元を見透かしていたものと思われる。それが1470万ドル程の謝礼金であったのであろう。

 

尤もゴーンの評価損も185千万円だけにとどまらなかったかもしれないのだ。それだけの担保保証であれば、30億円もの追加担保とはならなかったのではないのかな。総額100億円から150億円もの規模の金融取引を、やっていたものと思われる。だから、リーマンショックでの円高による損失は莫大な額に達してしまったものと思われる。

(続く)