岡田監督に物申す。(23)

Ph003
日本代表の指揮官としての初陣を白星で飾ったアルベルト・ザッケローニ監督

 こうした守備から攻撃への切り替えをスムーズに行えるようにしていくことが得

点力を高めるうえで重要だ。

 本コラムで繰り返し主張してきたことだが、今後の世界のサッカーは攻守の切

り替えがどんどん速くなり、いつの日か「切り替え」という考え方がなくなると私は

考えている。日本が世界に先駆けてそういうサッカーができるかどうかが、世界

で戦うカギになるはずだ。

 ザックジャパンが次に世界レベルの相手と戦うのは、来年1月に行われるAFC

アジアカップの後の国際親善試合になるだろう。来年の7月には、招待国とし

て、南米一の代表チームを決める「コパ・アメリカ」への参加も予定されている。

 これらの世界レベルの試合で、ザックジャパンがどのような進化の跡を見せ

るか。データを基にまた分析したい。
(文中敬称略)


■変更履歴
本文中の「ショートの井口資仁の悪送球」は、正しくは「セカンドの井口資仁の悪送球」でした。お詫びして訂正いたします。すでに修正済みです [2010/11/02 13:55]

森本美行のスポーツ解剖学 データでひもとく試合の“真実”
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100511/214345/
データによる試合や相手の分析が進んでいるスポーツの世界。集めた様々な

データを解読すると、観戦時の印象とは異なる試合や選手の「実像」が浮かび

上がってくる。このコラムでは、スポーツファンの注目を集めた一戦を取り上げ、

データ分析を基に勝敗の分かれ目を再現。データを深掘りしなければ分からな

いスポーツの奥深さを伝えていく。

⇒ 記事一覧
森本 美行(もりもと・みゆき)
Pf

スポーツデータの分析と配信を行う「データスタジアム」のエグゼクティブディレク

ター。1961年生まれ。90年米ボストン大学経営大学院に入学。92年に同大学

院でMBA経営学修士号)を取得。矢矧コンサルタント、マネージメントウエーブ

を経て、2000年米アジアコンテントドットコム(米ナスダック上場)の日本法人

社長兼CEO(最高経営責任者)。2003年データスタジアム社長に就任。2010年

7月から現職。サッカー選手として読売クラブユース、三菱養和サッカークラブ

プレー。Jリーグ横浜FCヴィッセル神戸でテクニカルスタッフを経験し、現在は

慶応義塾大学体育会ソッカー部コーチを務める。BlogのURLは


http://ameblo.jp/1500031/
Twitterのアドレスはmiyukun

http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20101101/216900/

       

昨年の2010年10月8日のアルゼンチンとの国際親善試合は、1対0で日本が

何とか辛勝した。小生のような素人は、拍手喝采で大いに喜んだものだが、これ

を読むと日本の実力が上がったと言うよりも、多分に何らかの運が日本に作用

したもの、と考えられるのだ。


この記事の作者・森本美行氏は、データで分析している。物事をデータで分析す

ると言うことは、1960~1970年代に一世を風靡した「品質管理」の基礎の基

礎であった。


そのデータの第1は、「ボールの支配率」だ。アルゼンチン戦での日本のボー

ル支配率はわずかの39.9%と、非常に低い値であった。そして、これが現在の

日本の実力だと言う。世界レベルのチームと対戦すると、日本のボール支配率

40%を下回ると言う。この4割が、世界の一流チームと対戦する時の壁だと

言う。


ちなみに2010年10月12日にアウェイで対戦した韓国戦での、日本のボー

ル支配率は59%で、まずまずの数字であった。小生などは、負けなくて良かっ

た、位にしか感想はなかったが、このデータで見る限り日本が押していたので

ある。だからアジアレベルなのであろう。


データの第2は
、「クリア回数」だと言う。自陣の危険エリア(自陣のゴールから

30m以内)に進入された場合、自陣のディフェンスは寄って集(たか)ってボール

を奪いとろうとする。この危険エリアは自陣のためディフェンスの人数は、相手

の攻撃の人数よりも通常は多くなる。そのためボールは奪うことが出来る。そし

て奪ったボールは遠くへ蹴りだしてしまう。折角奪ったのにあわててクリアしてし

まうと、そのボールは大半が相手のボールとなってしまう。そのためまた防御に

走り回らなければならなくなってしまう。あわててクリアして相手ボールにしてしま

うことは、最も忌むべきことなのであろう。そこでその「クリア回数」がデータとして

浮上してくる。あわててクリアなどせずに、自分のボールとして、ドリブルでもロン

グパスでもショートパスでもつなげて、カウンターアタックを繰り出す。いわゆるピ

ンチの後にはチャンスあり、と言う奴である。ピンチを攻撃の起点に代えて、

チャンスとするのである。それには次の2つのことが必要であると述べている。

(続く)