中国は日清戦争開戦120年を契機にその敗北を解析して、国家主権の防衛力の増強を
人民にPRして習近平政権への求心力を高めるべく、そしてそれに乗じて西沙、南沙諸島
への自国領としての認識を固定化し、軍事要塞の構築を目指しているのである。
それもオバマの優柔不断な体たらくの為せる業だ。やるやると言って何もやれなかったでは
ないか。
オバマは2014.4.22から4.29の予定でアジアを歴訪した。
4.22,23~4.25東京、4.25~4.26ソウル、4.26~4.28マレーシア、4.28~4.29フィリピンと言っ
た日程で4カ国をめぐった。フィリピンでは、米軍に軍事基地を提供すると言う協定を結んで
いる。当初予定にはソウルはなかったが、朴槿恵にごり押しされた結果だ。
しかし中国はそのオバマの優柔不断を見越して、その舌の渇かないうちの5/3には、ベトナ
ム近海に石油リグを投入している。もちろんベトナムと米国は何の同盟も結んではいない。
しかし米上院本会議が7月10日、東シナ海と南シナ海における中国拡張主義を非難する
決議を採択すると、そのためかどうかは知らないが、中国は7/16に石油リグをベトナム近
海から海南島近くへ移動させている。このところオバマの優柔不断が、この国際情勢に悪
影響を与えている。オバマがもっとシャキッとすれば、このような摩擦は起こらなかった可能
性が高い。
中国はアメリカを試している。だからガチンとやれば、中国は引かざるを得ないのではない
のかな。
一寸古いが次の論説を見て欲しい。
中国、南シナ海で周辺国と米国の出方を探る
By
Brian Spegele in Beijing and Vu Trong Khanh in Hanoi
原文(英語)
2014 年 5 月 9 日 09:24 JST
中国がベトナム沖の紛争海域に巨大な石油リグを運び込んだことによって、米国や近隣
諸国の政府が以前から恐れていたことが明らかになった。つまり、中国が領有権を主張す
る海域の防衛を大幅に強化し、周辺国と米国の出方を探ろうとしているのだ。
今回、南シナ海での領有権の主張の中心となっているのは、中国の国営石油会社がパ
ラセル(西沙)諸島近くに設けた最新式の石油リグ。ベトナムはこの設置に反対し、海上警
察がこれを阻止しようとしていた。
リグをめぐるにらみ合いは数日間続き、7日には大きな衝突が発生。ベトナムは、約80隻
の中国船が紛争海域に入り、衝突の際にベトナム側の乗組員6人がけがをしたと発表し
た。海上警察のNgo Ngoc Thu副司令官は8日、現場には多くの船がとどまっており、緊張
が続いていると述べた。
両国の当局者はいずれも、相手の船が体当たりしてきたと主張している。中国外務省の
当局者は、船を退去させるようベトナムに要求した。
このリグはありきたりのリグではない。高さ138メートルのプラットフォームは中国初の深海
リグで、水深3000メートルでの作業ができる。2年前に鳴り物入りで完成したこのリグは、
中国石油業界にとっての「戦略兵器」と言われる。
このリグは、石油開発の大幅な拡大という以前からの中国の目標を実現可能にするこ
とで、石油開発をめぐる状況を一変させるものになる可能性がある。
シンガポール国立大学エネルギー研究所のフェロー、クリストファー・レン氏は南シナ海で
の中国の石油掘削について、「その意図は以前からあった」とし、「今やそれができるように
なったということだ」と述べた。
しかし、安保問題のアナリストは、紛争は石油リグ、それに南シナ海の天然資源の開発を
めぐって起きているが、問題はこの対立がもたらす結果がどのような先例として残るかで
あり、中国の周辺国と米国が、中国に対し紛争海域の戦略資源をほしいままにすることを
認めるかどうかだ。
専門家らは、アジアの一部の同盟国がオバマ政権のアジアでの軸足がぐらついていると
不安を抱いている時に、中国は、米国がこれらの同盟国に対する支援の約束を守るかど
うかを試しているのだと指摘した。
オバマ大統領は4月のアジア歴訪で、同盟国を安心させることに力を入れた。日本に対し
ては、中国も領有権を主張している東シナ海の諸島も安保条約のカバー範囲に入ると明言
し、フィリピンでは、同国の南シナ海での領有権紛争まで支援するかどうかは明確にしなか
ったものの、米国の軍事支援は「鉄壁」だと強調した。ただ、かつての敵で、中国の台頭へ
の懸念から安保、外交関係を強化してきたベトナムへの訪問は今回の旅程には入ってい
なかった。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のアーネスト・バウワー、グレゴリー・ポーリングの両氏
は、中国がオバマ大統領のアジア歴訪の直後にリグを設置したという事実は、ベトナム、
(東南アジア諸国連合=ASEAN)諸国、それに米国の決意を試そうとするものだと書いて
いる。
中国はこの数十年間、南シナ海のほとんどについて領有権を主張している。アナリスト
らは、ここを掌握しようとする同国の意図は変わっていないとしている。さらに、習近平国家
主席が誕生してからは、中国政府はより攻撃的にその能力を見せつけようとし、周辺国との
紛争を激化させている。これは米政府の大きな懸念を招いている。
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シンガポール国立大のレン氏は「これは中国政府の新しいスタイルを示唆している。行動
でその主張を実現しようとしている」と語った。
ハノイを訪問した米国務省のラッセル次官補(東アジア・太平洋担当)は、米国は「いかな
る危険性をも非常に懸念している」とし、領有権紛争の当事国に自制を求め、南シナ海に
ついては米国はいずれの側にもつかないと述べた。
南シナ海では6カ国が一部またはほぼ全域に対し領有権を主張している。紛争海域であ
ることから完全な探査はできていないが、エネルギーアナリストは海底には大量の石油・天
然ガスがねむっていると見ている。
中国外務省国境・海洋事務局の易先良副局長は8日、記者会見で、リグ設置の決定は
数年前からの中国の通常の探査活動の一環だとし、「ベトナムの破壊的な行為に大きなシ
ョックを受けている」と述べた。
同副局長は、3日から7日の間にベトナム船は171回衝突してきたと指摘。リグは中国海
洋石油(CNOOC)が所有している。同副局長は、衝突で中国側に負傷者が出たかどうか
や、何隻の中国の船がいるかは明らかにしなかった。ただ、中国海軍は関係していないと
いう。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304155604579550560422393596
(続く)