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続・次世代エコカー・本命は?(69)

ゴーンは協業を断るどころか、これ幸いと三菱自の不正につけ込んで、安く三菱自を囲い込む算段を考えたに違いない。その結果が2,370億円と言う最安値で、三菱自34%もの株をものにしたのである。

 

益子修会長兼CEOも自分の立ち位置を確保できたことに安堵していることであろう。

 

三菱自動車にとっても日産にとってもそれが吉と出るか凶と出るかは定かではないが、益子修会長兼CEOにとってはまさに吉と出たのである。

 

それにもう一つ、三菱自は世界で初めて量産型電気自動車を発売した会社であり、日産自動車は「リーフ」と言う量産型電気自動車を持っている。両社を合わせれば、電気自動車の開発としてそれなりのメリットがあるのではないか、と言った論評もある。三菱自にどれだけ技術者が残っているかはわからないが、まじめに両社が取り組めばそれなりのシナジー効果は得られるのではないのかな。

 

トヨタとしても、燃料電池車「ミライ」があるからと言ってのほほんとしてはおられない筈だ。

 

 

日産・三菱自連合はEV帝国を築けるか

永井隆のニュースもう一掘り

三菱自とスピード婚、日産の“勝算と不安”

2016513日(金) 永井 隆


三菱自・益子社長と握手し、取材陣のカメラに笑顔を見せる日産・ゴーン社長

早かったので驚いた

 社名を「スバル」に変更する富士重工業の吉永泰之社長は、日産自動車三菱自動車工業資本提携についてこう話した。

 三菱自動車による軽自動車の燃費偽装が、表面化したのは420日。それから、ゴールデンウィークを挟んでわずか22日後に、日産が2370億円を出資しての資本提携の発表である。

 この点を、日産のカルロス・ゴーン社長は「2011年から)5年間にわたり三菱自とアライアンスを続けてきて、信頼関係はあった。今回の偽装問題が、提携を早めた面は否定しない」と話し、一方の益子修三菱自会長は「軽自動車以外の分野でも、話し合いはしてきた」と打ち明ける。

「お父さんが倒れて、結婚が決まったカップル」

 日産のある首脳は話す。

「偽装が発覚する前から、両社に提携拡大への機運があったのは事実。互いに惹かれ合っているカップルがいたものの、どちらも告白はしない状態が続いていた。そこに、女性の父親が急死するという突然の不幸が起こり、一気に結婚合意に至った、とまぁ、こう説明すればわかりやすいだろう」

 では、これからどうなるのか。

「まずは、三菱自が現在の偽装問題に決着をつけなければならない。共同購入プラットホーム共通化電気自動車EV)戦略の拡大などの具体策は、その後だ。そもそも三菱自は、三菱グループという親戚を頼って経営を再建した。経営的には立ち直ったが、深い部分の心根は治ってはいなかった。外部(の日産)が入ることで、今度こそ再生して欲しい」

 今回の提携は、ゴーン社長と三菱商事出身の益子会長とのトップ会談で即決させていったもの。日産、さらにはルノー日産アライアンスは、提携を機に三菱商事との関係を深くさせて、これまで弱かったアジア地域での販売力の増強につなげる、など、いくつもの可能性が考えられる。

 ただし、注目したいのは環境技術の中心であるEVにおいて、盟主としての存在感を高めていけるかどうか、だろう。

 三菱自2009年、量産型EVi-MiEV世界で初めて商品化した会社。一方の日産は、テスラモーターズの新型車の“予約分”を除けば(こちら)、いまでもEVの盟主であるのは間違いない。

 前回も書いたが米カリフォルニア州ZEV(ゼロエミッションヴィークル規制強化をはじめ、世界中で環境規制は目白押しだ。世界の自動車大手は、EV燃料電池を商品化していかないと、例えば加州では事業そのものが行いにくくなる

 日産はNECと共同開発した、ラミネート型のリチウムイオン電池を持つ。三元系(マンガン、コバルト、ニッケル)プラス電極を採用した新型電池も開発。これはEVの航続距離に効く。一方の三菱も、GSユアサとの共同の角形電池を持つ。

 両者が深くタッグを組むことで、EVに参入するメーカーを巻き込んで、“陣営”を築くことも不可能ではない。電池や電池を組んで管理する技術は、EVの基本となる。パソコンに例えるなら、OSでありインテル製のマイクロプロセッサーに当たるだろう。さらに、ICTの活用による自動運転などが加わっていく。

 EVOEMは果たせるし、電池を含めた電動部分のベンダーとして技術供与も可能になる。しかも、三菱自にはアウトランダーに代表されるプラグインハイブリッド車Plug-in Hybrid VehiclePHV)もある。PHVでも同様のビジネスは果たせる。何しろ、EVPHV、さらにハイブリッド車HV)まで持っているのは、今回誕生する日産・三菱自連合だけである。

(続く)