邪馬台国とはなんぞや?(51)

先の書(長浜浩明氏の「古代日本『謎』の時代を解き明かす」(展転社)の175頁に戻ると、そこには次のように記されている。

 

 

「豊葦原の瑞穂の国」とは(広辞苑第三版には)「日本国の美称」で、「三種の神器が地上を巡ることで豊葦原が出来上がり、その葉は”玉葉”と呼ばれていた」とのことであるが、その意味するところはさっぱり分からなかった筈だ。葦の葉が玉葉と呼ばれていた訳などは、皆目見当がつかなかった筈だ。

 

褐鉄鉱が生成されるなどと言うことは、もうすっかり忘れ去られてしまっていたのである。

 

 

長野県の蓼科一帯は「諏訪鉄山」と言われる鉄鉱石の産地だった。昭和四年から昭和三十八年まで、本格的に製鉄が行われていたと言う。

 

この鉄鉱石は植物の根から生み出された褐鉄鉱だったのである。この地域には、嘗て葦が生い茂りその葦の根から長い間に褐鉄鉱が精製・蓄積されていったものであった。

 

古代の人達は褐鉄鉱団塊が水辺に層をなすことを知っていたのだ。

 

そしてこれらをスズと称していた。更には、貴重な鉄が穫れることからミスズと「御」を付けて呼んでいたのである。万葉集では、「みすず刈る」と言う言葉は、信濃(長野県)の枕詞であった。ということは、長野県には葦の茂る沼沢が多く存在していたのであろう。

 

日本は火山国家であり、火山地帯の河川や湖沼は鉄分が豊富で、水中バクテリアの働きで葦の根からは褐鉄鉱が鈴なりに生(な)ったからだ、と先の書には記載されている。

 

 

 るみくすの「人生あるばむ」  ~ただの一人の人生だけど~

みすずかる信濃の国201221()

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葦や茅を「なぜ」古代の人は刈っていたんでしょうか?。
ノーミンのように「よしず」を「妖精館」のために作ってあげる目的でないのは確かでしょう。
「よしず」は冬の風物詩ではありますが、それだけでは「信濃の国」と結びつきません。
「みすずかる信濃の国」とは言い難いところがあります。

葦や茅というのは「水辺」に群生しているものです。
その根元に「バクテリア」によって「褐色の酸化鉄の塊」が生成されることがあります。
これが「褐鉄鉱」です。

この「褐鉄鉱」が、鉱石から鉄を精製出来ない(火力の問題など)昔、鉄製の道具をつくるのに用いられたそうです。
この「褐鉄鉱の塊」を「すず」と言ったそうです。
接頭語の「御」をつけて「御すず」。
つまり「みすずかる」とは「鉄の材料になる物質を刈り取る」という意ではないか?と言うのです。

長野県には「海」という字が使われる地名が多いですが
(小海、海野など)
この「海」というのは、あのしょっぱい「海」ではなくて「大きな湖沼」を意味しました。
現在は存在していませんが、昔は火山活動などで出来た「堰止湖」が、長野県には複数存在し、そこから「海」の地名が出来たそうです。

ゆえに「葦や茅」が群生し、また「鉄イオン」が豊富な水が満々としていた湖があって、それで「褐鉄鉱」が採れた。
それを刈り取って、生成して鉄器を作っていた、という説です。

鉄、というと頭に浮かぶのは「朝鮮半島」からやってきた「渡来人」の存在です。
現在のように大半が東アジア系の人種ばかりではなく、おそらく白色人種である「ロシア系」の人々などもたくさんいたと思われます。
紅潮した顔や、クセの強い髪の毛、高い鼻などが「鬼」のモデルともなった、と言われていますが、彼らがもたらした「金属精製技術」が、時代を動かすことに加担していったわけです。

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しかもこの褐鉄鉱は鈴のように内部が空洞で、内部に鉄の小さな塊のあるものがあり、振ると音がしたと言う。だからスズと呼ばれ、しかも沢山生ったので鈴なりと呼ばれていたと言う。

 

この葦の根元に丸や楕円に褐鉄鉱が鈴生りに成長した様を、五十鈴と呼んだものであろう。

 

   だから媛蹈鞴五十鈴媛命は、きっとこの褐鉄鉱や砂鉄を用いて野ダタラで鉄を作っていた神(大物主神)の娘であったことが、容易に想像されるのである。

 

きっと葦が茂りスズが沢山生るようにと祈願して、五十鈴媛なる名前を付けたのではないのかな。

 

だから「豊葦原」の瑞穂の国と呼んだのであろう。「貴重な褐鉄鉱を生む母なる葦原」という意味なのだ、と先の書には書かれている。

 

だから葦の葉が茂れば茂るほど、その根元にはスズが沢山(鈴生り)生み出されると信じて、葦の葉を「玉葉」と言う美称を付けて呼んだのではないのかな、とも書かれている。

 

そして、この玉葉を模して崇めたものが、実用的な価値を失っている広鋒(ひろさき)銅矛だったのである。

(続く)