世界自動車大戦争(39)

だから前後の2Motorの制御を緻密に制御することで、あらゆる状況で滑らかな走行性能を発揮させているようだ。惜しくも日本初の電気自動車とはならなかったが、2010年からEV・リーフを世に出した老舗としての知見が、大きかったようだ。ちなみに日本初のEV三菱自動車iMievである。

 

日産を救う救世主となる戦略車となるかどうかは解らないが、日産としては相当鼻息が荒い。

 

 

 

日産の四駆EVに試乗、2つのモーターで走りに磨き

日経産業新聞  コラム(ビジネス) 自動車・機械
2019/11/4 2:00

日産自動車2基のモーターを搭載した新たな電気自動車(EV)を開発した。4輪駆動(4WDで、力強い加速と滑らかなコーナリングを実現した。経営再建に向け日産車のけん引役に位置づけており、東京モーターショーに出展した多目的スポーツ車SUVアリア コンセプト」にもシステムを採用している。新型EVのテストカーに記者が試乗した。

テストカーは主力EV「リーフe+」をベースにし、車両の前後に2基の電動モーターを積む。現行EV1基のモーターで走り、「ツーモーター」と呼ばれる。10月下旬、神奈川県横須賀市のテストコースで試乗した。あいにくの雨だったが、同席した担当者から「滑りやすい路面でもカーブで外に膨らまず、ドライバーが思った通りの運転が実感できます」と説明を受けた。ツーモーターの実力を体感するには理想的な条件となった。

まず試したのが直線での走りだ。EVならではの静かな動きだしにもかかわらず、強くアクセルを踏み込むと、時速100キロメートルまで一瞬で加速した。

単純にモーターの数を増やし、パワーアップしたわけではない。ソフトウェア開発グループの恒原弘氏は「1万分の1秒の緻密な電気信号によってモーターを制御し、素早い反応と滑らかな加速を実現した」と説明する。

ツーモーターの真骨頂はここがポイントで、走りが磨かれた。緻密な制御を引き出すため、前と後ろ2基のモーターの駆動力をバランス良く使い分けている。ドライバーを含め乗る人にかかる負担を軽くし、安定した走りにつなげている。

通常の「リーフ」と比較してみると乗り心地の違いが実感できた。リーフで時速40キロメートルから速度を落とすと、前につんのめるように頭が振られてしまった。

テストカーで同様の運転をしたところ、ヘッドレストから後頭部が離れずにすんだ。前輪のタイヤだけで減速するのではなく、モーターを使って後輪で車体を下に押し下げるなどして、車両全体にかかる力を繊細にコントロールしているからだ。

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記者がテストコースで2モーターEVの性能を体感した

そのままスラロームコースに入り、時速60キロメートルまでスピードを上げて走った。通常のリーフを運転してからテストカーに乗ると、コーナーワークで体が振られる感覚がなくなった。「曲がる際に外に膨らむ力がはたらく前輪の駆動を抑える一方、後輪の駆動力を増やすことで、急カーブも思ったようなルートを走れる」(恒原氏)という。

ツーモーターを生かした制御効果は、旋回走行で強く実感できた。

モーターの制御機能をオフにした状態で、時速30キロメートルでカーブに入ってさらにアクセルを踏み込むと、ハンドルとタイヤが外側にグググッと持っていかれそうになる。冷や汗ものの体験だ。制御オンで走り込むと、ルートを大きく外すことなく旋回することができた。

日産は2010年に競合メーカーに先駆けてEVのリーフを発売した。初代モデルの航続距離は200キロメートルだったが、現行モデルは570キロメートルまで伸ばしている。モーター、バッテリー技術を磨き、次世代の環境車に向けてさらにギアを上げる。電気を緻密に制御できる技術を積み込み、エンジン車にない「走り」を強調していく。「リーフで先行したからこそ、EVの良さを生かす開発にもいち早く着手することができた」(恒原氏)と話す。

環境から走りのEVへ。ツーモーターを搭載した戦略車は「そう遠くないタイミングで市場に投入する」(恒原氏)。日産はEVと独自のハイブリッド技術eパワー」搭載車をあわせた電動車の世界販売を22年度までに30%18年度は4%)に引き上げる計画を掲げている。

昨年11月に元会長のカルロス・ゴーン被告が不正報酬問題で逮捕されて以降、経営混乱が続くうえ、新車販売も振るわず厳しい状況が続く。これまで値引き頼みで規模を追った拡大戦略の反動を引きずり、日産車のブランド力はなかなか戻らない。ツーモーターを「次世代の日産車の象徴」(幹部)とするが、魅力ある製品として早期投入できるか。存亡をかけ、スピード感が問われている。

(企業報道部 小泉裕之)

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51692780R01C19A1000000/?n_cid=NMAIL006_20191104_K

 

 

 

日産リーフの現行モデルの航続距離が570kmと上記には書かれているが、これはリーフの最上級モデルの「リーフe+」のJC08モードの数字であり、実際にはこんなには走らない。

 

各種の数字は次の通り。(https://www.webcg.net/articles/-/40473 より)

 

  Make    Batt.        Motor                 JC08     WLTC       同欧州   同EPA

日産リーフe+  62kWh 160kW218ps) 570km  458km  385km  364km

日産リーフ          40kWh    110kW150ps)   400km

 

実走行での数字も360km程度だったと、上記のURLには書かれているので、米国のEPAの数字が実態を表しているものと思われる。だから実力としては、JC08モードの六掛けと言うところか。

従って通常版のリーフの航続距離は、六掛けで240~250kmと言ったところでしょう。

 

 

と言う事であるが、「次世代の日産車」たるARIYA Concept は、どれほどの航続距離となるのか、興味のあるところである。まあ、リーフe+以上の性能とならないとつじつまが合わないことにならないのかな。JC08モードで、600km以上は期待したいところである、実質360~390kmと言ったところか。

 

こうしてみると、EVはやはり何かと不便な乗り物、と言うことになりそうだ。充電ステーションをしっかりと把握しておくことが、最重要課題と言うことになろう。

 

それはさておき、日産の経営状態が思わしくないようで、新経営陣も固まったようなので、少しそのことに触れておこう。


(続く)