続続・次世代エコカー・本命は?(127)

日産はこの件に関しても相当自信を持っているようで、2018年、来年のことであるが、モーター出力や航続距離を驚くほど高めた「ハイパワー版」の発売も計画していると言う。

(当ブログの2017.5.22NO.36http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/car/15/090600079/090700010/などを参照のこと。ここで2018年中と言っている。)

 

 

日産副社長が「LiBと全固体電池の間の電池形態」を示唆

電気自動車の新型「リーフ」の発表会にて

リーフ(2017年) http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/car/15/090600079/?rt=nocnt

  • 野々村 洸

  • 2017/09/07 11:35

日産副社長が「LiBと全固体電池の間の電池形態」を示唆

 

日産自動車取締役副社長の坂本秀行氏

[画像のクリックで拡大表示]

 電池の技術が進化している――。

 日産自動車取締役副社長の坂本秀行氏は、201796に発表した電気自動車(EV)の新型「リーフ」について「電池寿命が向上した」と語った。先代のリーフと比較すると、電池性能の劣化の早さが半分以下になったという。

 同氏は電池性能が向上した理由として、大学や研究機関と協力して研究してきたことを挙げる。日産は大型放射光施設「SPring-8」を用いて、充電中や放電中の電極内で起きている現象や電池劣化のメカニズムなどについての基礎研究を重ねてきた。電池が抱える問題点を1つひとつ研究し、そこで得た知見を製品開発に生かしたという。

三洋化成工業の新型電池にも言及

 劣化の抑制だけでなく、1回の充電当たりの航続距離に直結する電池容量の向上にも取り組む。坂本氏は「(基礎研究によって)正極で保持できるエネルギー密度が非常に増加した」と手応えを口にする。新型リーフに採用したLiイオン2次電池セルのエネルギー密度は240Wh/kg程度と見られる(関連記事:新型リーフの電池パック、同一サイズで容量は3割強増の40kWh)。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/car/15/090600079/090600001/?rt=nocnt

初代リーフは2010年の発売当初、エネルギー密度が140Wh/kgの電池セルを搭載していた。

 坂本氏は今後の車載電池の動向として、「Liイオン2次電池と全固体電池の間の電池形態が生まれる可能性がある」と述べた。1つの例として三洋化成工業の新型Liイオン2次電池について触れ、「(日産も)特許を取得しており、当社の研究所は将来性があると見込んでいる」(同氏)と言及した(関連記事: Liイオン2次電池に製造革新、樹脂で電極構造や集電体を実現)。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/15/320925/080700169/?rt=nocnt

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/car/15/090600079/090700008/

 

 

f:id:altairposeidon:20170926154023j:plain

http://car-japan.info/post-883/    

 

 

価格・距離・充電設備 EV普及占う新型リーフ

2017/9/6 17:08
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 日産自動車は6日、電気自動車(EV)「リーフ」の新型10月2日に日本で発売すると発表した。1回の充電で走れる距離は先代の4割増の400キロメートルに伸びた。価格は約315万円からで、補助金の分を引くと実質275万円から。環境への関心が特別に高くない「普通の人」でも、購入の選択肢にしそうな水準だ。リーフがEV普及の扉を開くのか。課題は何か。

 

20170906-nikkei-1 5566118412001 large

 

 「技術の粋を集めた。先代のリーフはEV時代の先駆者だったが新型は日産のコアになる商品だ」。ワールドプレミアと銘打った6日午前の発表会で、西川広人社長はこう胸を張った。会場は幕張メッセ千葉市)。ステージの床や壁面にグラフィックが投映され、青色のライトが飛び交う中に新型リーフが登場。高揚感を誘うロックコンサートのような演出に会場は沸いた。

 同分野でライバルの米テスラは7月、量産型EV「モデル3」を発売し話題をさらった。受注は約50万台。これに対し日産は、2010年のリーフ発売から累計28万台を実際に販売。EVの先駆者として市場を切り開いてきたとの自負を持つ。ダニエレ・スキラッチ副社長は同日の発表会で「日産は自動車を84年間造り続けてきたテスラにない強みがある。これからもEVのリーダーだ」と対抗心を隠さなかった。

 本気のプレーヤーの増加で、EV普及の機運は高まっている。米ゴールドマン・サックス証券は同日、EVの将来展望のリポートを発表。30年の新車販売に占めるEV比率は8%だが、4035%から最大51になると予想する。

 実際の普及のカギを握るのは、価格、航続距離、充電インフラの3点。プラス政策だ。

 因数分解してみよう。EVの価格を左右するのは電池三井物産戦略研究所(東京・千代田)によると、日産がリーフを発売した10年当時は、1キロワット時当たりの単価は10万~20万円だった。いまは2万~3万円に下がり、量産効果などで「今後3~4年で1万円台になるだろう」(三井物産戦略研の西野浩介氏)。航続距離も技術革新により「25年ごろには航続距離が500キロメートルを平均的に超えるようになる」(デロイトトーマツコンサルティングの尾山耕一氏)。

 数十分で充電できる急速充電器も増えている。リーフが充電できる日本発の規格「チャデモ」に対応した充電器は世界で13800ある。10年はわずか300基だった。

 さらに、世界各地で環境規制の動きも加速している。中国政府は自動車メーカーに対し、一定のEV生産を義務付ける規制を導入する見通し。英仏政府は今年7月、40年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁じる方針を表明した。欧州系コンサルティング会社、ローランド・ベルガー(東京・港)の貝瀬斉パートナーは「EVの普及は親和性の高い自動運転技術シェアリングの進化が深く関係する」と指摘。道路交通や運輸関連の法制整備もカギとなりそうだ。

 これだけを見れば、EVがガソリン車やディーゼル車に取って代わるイメージも浮かぶが、一方で様々な障害物も指摘されている。

 まずは素材。リチウムをはじめ電池の原料は価格が上昇傾向だ。ニッケルはフィリピンやマダガスカルマンガンは中国など産出地域が偏る。コバルトも銅やニッケルの副産物で、将来にわたり安定調達が確実かはわからない。「原料の需給が引き締まり電池の価格は下がらない」(大手商社)との見方も少なくない。

 航続距離の伸長も簡単ではない。距離を伸ばすには電池エネルギー密度のアップが必要だが、「電池の寿命を伸ばすことと両立させるのは難しい」(三井物産戦略研)。充放電を繰り返すと、電池が劣化して当初に比べて容量が少なくなる。電池の寿命は、中古車の下取り価格に響く。実際、先代のリーフの初期型は、中古車の販売価格が30万~40万円と安い。日産は新型リーフは電池の寿命を大幅に改善したと説明するが、一般論では電池寿命はEVのアキレスけん。消費者にとって、下取り価格の大幅な目減りは痛い。

 急速充電器は設置コストが課題だ。経済産業省によると、日本では出力が50キロワットの充電器なら機器費用は平均240万円、工事費用は230万~280万円する。高速道路のパーキングエリアなどでは送電線などがかさみ工事費が2千万~3千万円に膨らむケースがあるという。「初期費用に補助金を使っても単体で収支が合わない充電器は全国に少なくない」(経産省)。使う側と設置する側の双方にメリットを生む仕組みづくりが欠かせない。

 さらに根源的な問いは、消費者が欲しいと思うクルマかどうかだ。コストパフォーマンスには、美しさ、格好良さ、乗ったときの心地よさなど消費者の感性に訴える要素が多分に含まれる。エコのイメージだけではなく、EVならではの静かさや加速性能といった魅力をいかに磨けるかで、普及のスピードと自動車各社の競争力が決まりそうだ。

(藤野逸郎)

 

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ06HKC_W7A900C1000000/?n_cid=NMAIL004

 

 

とは言うものの、トヨタはまだEVを発売していないから、そうそう偉そうなことは言えない立場だ。バッテリー寿命の悪さなどを嫌ってトヨタは、EVの発売を渋ったきたわけだが、「パリ協定」に代表されるように各国で環境規制が厳しくなってきているから、何時までもHVに胡坐をかいているわけにはいかなくなってきている。

 

それにFCVについても、それなりに燃料電池車の普及のための環境整備に努力はしているようだが、あまりぱっとしていない。米国のZEV2018年規制対応にも、問題がないと言えるのかな。これも気になるところだ。

 

全個体電池かアルミニウム空気電池かは知らないが、トヨタのアッと言わせる電気自動車を早く見たいものだ。それにこれらの日産に関する話から、日産のFCVはなくなったと思った方がよい様な感じもする。技術が追いつかない訳ではない筈なのだが、これも見守りたいものである。

(終わり)

 

 

続続・次世代エコカー・本命は?(126)

これで日産は、テスラの「モデル3」に対抗させると言う事になるであろうか。

 

新型リーフの航続距離はJC08モードで400kmだと言うが、米国のLA4モード燃費は150マイル・約241kmと6掛けの数字となってしまう。だから400kmをうのみにして遠出はしない方がよい。

 

LA4モード距離   販売価格      受注・販売台数  

新型日産「リーフ」 150miles (241km) 315~399万円     累計販売28万台

テスラ「モデル3」 220miles (354km) 380万円(35千ドル) 受注50万台

 

 

 

日産・西川CEO、「EVの航続距離競争は終わる」

ニュースを斬る

新型「リーフ」に2つの自信

201797日(木)

池松 由香

発表会後に別室でメディアの取材に答えた西川廣人CEO

 「(自動車メーカーが)バッテリーでEV(電気自動車)の航続距離を競う時代は終わる。これからは使い勝手や乗り味といった商品性の部分で競うことになる」

 日産自動車の西川廣人CEO最高経営責任者)は201796日、幕張メッセ(千葉県千葉市)の展示場で開いたEV(電気自動車)「リーフ」の新型車発表会で、今後のEVの競争力についてこう語った。新型リーフは同年102、世界に先駆けて日本で発売。販売台数は「初代の2倍」(同社)を見込んでいる。



 冒頭の発言から、西川CEOの「2つの自信」が見て取れる。一つは、新型リーフで作り込んだ「商品性」への自信。もう一つは、他社に先駆けてEVを開発してきたからこそ手にした「潮流を見る目」への自信だ。

「味付け」で勝てる

102日に発売。全長4480mm、全幅1790mm、全高1540mmで、重心を低くすることで走りを安定させたという

 世界市場で見た場合、新型リーフの航続距離はそれほど長くない。テスラの最新機種「モデル3」は米国基準220マイル(約354km。対して、新型リーフは同基準で150マイル(約241kmだ。にもかかわらず、新型リーフの価格は315万〜399万円と、モデル335000ドル=約380万円=から)と同水準だ。それでも西川CEOが自信を見せるのは、新型リーフに搭載した新機能が顧客に支持されると踏んでいることが大きい。

 それが「味付け」(実際に運転した時にドライバーが感じる乗り味)と呼ばれる部分だ。「クルマが電動化すれば差別化が図りにくくなると言われることもあるが、実際には違う。乗り味は自動車メーカーによって違うし、EVはエンジン車に比べて乗り味をより(顧客に)感じてもらいやすい」(西川CEO

 新型では、日産が持つ最新技術をてんこ盛りにした。昨年発売したミニバン「セレナ」に搭載した自動運転技術「プロパイロット」に、「プロパイロット パーキング」と呼ぶ新機能を追加した。これで、ボタンを押すなどの簡単な操作で狙った場所に自動駐車できるようになった。アクセルだけで加速・停止できるワンペダル機能「e-Pedal(イーペダル)」も搭載している。これら全てにおいて「乗ってもらえば分かるが乗り心地は抜群」(同)というのだ。

バッテリー事業を売却した理由

新型リーフの床下に搭載しているバッテリー

 日産には、2010年に初代を発売して以来、世界累計販売台数が28万台に上る「量産EVのリーダー」(同社)にリーフを育てたという自負がある。他社よりも長い時間をEV開発にかけてきたからこそ、分かったこともあるという。

 「初代では、バッテリーインバーターといったEVに不可欠な要素技術の開発が必要だった。だがその後、(開発の主軸が)どうクルマを走らせるかという『制御』の部分や、その先にある『ソフトウェア』などに移ってきた」

 日産は88日、車載用バッテリー事業であるオートモーティブエナジーサプライ(神奈川県座間市)の株式の51%を中国の投資ファンドに売却すると発表している。この判断についても西川CEOは、「バッテリーの容量は今後、(別の技術が確立するまでは)どのメーカーもほぼ同じになるため、バッテリーで競争力を出す時代は終わるだろう。だからバッテリーの製造そのものはパートナーと組んでやればいい。それよりも今、重要なのは、制御やソフトの技術力を高めて、どう自社の特徴を出すか。新型リーフでもその部分の開発の陣容を厚くしたし、今後もさらに厚くしていく」と語った。

 西川CEOが絶賛する新型リーフの乗り味は、果たして消費者に受け入れられるのか。発売後の売れ行きに注目が集まる。

 

日経ビジネスでは911日号から「日産自動車 新型『リーフ』開発ドキュメント」を連載します。「EV王者」の座を守り抜くために挑んだ開発の舞台裏を描きます》

 

このコラムについて

ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/090600731/?P=2

 

 

従来の「リーフ」の航続距離は280kmJC08)だから、400kmと言うのは1.4倍となっている。リチウムイオンバッテリーに相当の改良を加えたと言う事のようだ。

 

と言う事は、改良もさることながらかなりの無理をさせていると言う事も言えるのではないのかな。

 

もともと先代の「リーフ」の初期型の中古車価格は、電池寿命の悪さから30~40万円でたたき売られていると言う。日産は大幅に改善したと言うが、見極める必要があろう。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(125)


それによると、豊田社長の試乗後の感想は「EVだね……」の一言だったそうで、走りにこだわる豊田社長には響かなかったようです。

確かに電池とモーターが主のEVの場合、これまでのエンジン車のようにスポーツモデルとしての味を演出しづらいのは明白で、クルマ好きの顧客に満足度を提供するには、その方面の研究がかなり必要になると予想されます。両社長は「EVでもブランドの味を出し、走る喜びを感じられるようにする」としており、「決して車をコモディティー(汎用品)にはしたくない」と強調。

 


 

おりしも欧州では、VWディーゼルエンジン不正問題発覚を機に、フランス英国2040までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を表明。

中国インドなどもEV優遇策を鮮明にするなど、国策としてエンジン車からCO2を排出しないEVへのシフトを加速させており、バッテリー容量に起因する航続距離の少なさなどを背景にEV開発を後回しにして来た両社にとっては、対応が急務となっています。

今回のトヨタマツダの提携強化が、今後どのように商品に反映されるのかが大いに注目されます。

Avanti Yasunori・画像:TOYOTAMAZDA

 

 

 

https://clicccar.com/2017/08/06/499136/2/

 

 

 

2015.5VWディーゼル車の排ガス不正発覚から、世の中は一気にEVへと流れが変わっていったわけだが、それに輪をかけたのが同じ年の2015.12.12の「パリ協定」であった。

 

VWの排ガス不正は、トヨタHVの燃費性能の良さに対抗するための窮余の策であった、とする新聞記事もあった訳であるが、結局はそのHVの性能の良さのために世の中はEVへとまっしぐらとなってしまった、と言っても過言ではない。

 

自業自得と言うわけでもないが地球温暖化対策のために、CO2を排出するクルマは毛嫌いされるようになり、HVDieselも次世代環境車の地位から陥落してしまった。スバルがディーゼルの販売を止めると言いだしているのも、合点がいく。

 

そこでHVトヨタClean Dieselマツダは、ハタと困ってしまった訳だ。両社が得意とするこの技術では、CO2はゼロとはならない。どうしてもEVを走らせることをしなければならなくなってしまったのだ。

 

溺れる者藁をも掴む」思いで、と言ったら大変失礼にあたるが、両社とも藁に例えられるような頼りない会社ではない(EVではそうかもしれないのだが)が、傍(はた)にはそんな感じてEV開発での協業を決めたのではないのか、と思われてしまうかも知れないのだ。

 

遅くとも2020年の初めには、きちんとしてEVを発表してもらいたいものである。これでも相当遅れているのではある。

 

クルマ業界には、EVの他にも、つながるクルマIoTAI、自動運転、シェアリングなどと言った従来のクルマの常識から変革を迫る要素が目白押しである。

 

何もEVだけにかまっていられないのだが、トヨタをはじめ日本の、世界の自動車屋は、この先どんな変革を遂げてゆくのか、見ものである。

 

果たして「次世代エコカー」はどんな変革を成し遂げてゆくのであろうか。そうなると、とてもじゃないが小生の手に負えるものではない。とは少し大袈裟ではあるが、とてもじゃないが先行きを見守るしか、小生には手はないのである。

 

それまでは一寸この筆を止めよう。(2017.9.5 1:03

 

 

と書き終えたつもりであったが、2017.9.6新型リーフの発表があったので、それを追記しておこう。

発表はあったが、発売は日本では2017.10.2で、北米や欧州では2018.1には始めると言う事のようだ。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(124)

上記の文中には、「本提携は、クルマを愛するもの同志が「もっといいクルマをつくる」ための提携であり、「未来のクルマを決してコモディティにはしたくない」という想いを形にしたものだということです」と語りました。」と言う一文がありますが、小生にはこの『コモディティ』の意味がよく分からないのだが、一体どんな意味で述べているのであろうか。

 

コモディティCommodity とは、日用品・必需品と言う意味だと辞書には書かれているが、EVであれ、クルマであれ、必需品になるのであれば、それはそれでまた喜ばしいことではないのかな。

 

トヨタの「Fun to drive,again」「We love cars」「もっといいクルマを作ろうよ」について、小生は「操る歓び、もっといいクルマを作ろうよ」と標榜している。

 

このことから小生なりに判断すると、トヨタ豊田章男社長)には「もっといいクルマはうまく操れるものでなくてはならない」、と言う考えが染みついているように感ずるのである。

 

だから(It's )Fun to drive なのである。これは1984年(昭和59年)から始めたトヨタの企業スローガンであるが、東日本大震災からのReBORNも兼ねて、新しい時代のクルマをイメージして「again」を付け加えたと言う事らしい。

 

トヨタ自動車 75年史には、次のように書かれている。

 

 

FUN TO DRIVE, AGAIN.

・・・・・・・・・・

同年2011年)11月には米国のネバダ州ラスベガスで、3日間にわたり「第7回世界大会」を開催した。世界大会は1984年から、ほぼ4年ごとに開いてきたが、この大会は初の海外開催となった。世界約150カ国から約300の販売代理店、製造事業体、金融会社などの代表者約1,100人が参加し、新型車や環境対応車の試乗、先進安全技術の体験などを行うとともに、今後の取り組みをグローバルトヨタで共有した。大会の席上、豊田章男社長は「私の考える成長とは、『社会の変化にあわせて自らも変化し続ける』こと。それによって持続的な成長が可能になると考える。そして、トヨタが持続的に成長できるかどうかは、各地域のお客様に『もっといいクルマを提供し続けられるかどうか』にかかっている。これからも、世界中のお客様から笑顔をいただけるよう、世界のトヨタの仲間たちが一丸となって努力しよう」と訴えた。

 

https://www.toyota.co.jp/jpn/company/history/75years/text/leaping_forward_as_a_global_corporation/chapter5/section6/item4.html

 

 

そこには「私の考える成長とは、『社会の変化にあわせて自らも変化し続ける』こと。」と述べられている。と言う事は、「もっといいクルマは、社会の変化に合わせて変化しているものである」と、理解できる。ならば「パリ協定」に合わせて、クルマも変化させていかなければならないことになる。

 

ならばCO2を排出するクルマは、CO2を排出しないクルマに変化してゆかなければならないと言うことではないのかな。だからトヨタは、イーロン・マスクに馬鹿にされてもFCVの開発・販売を続けているわけである。PHVの開発・発売も、しかりである。

 

ならばEVはどうであろうか。「EVだね・・・・・・」の一言で片づけられるものではない筈ではないのかな。先ずはEVであること、トヨタ流のEVはそれからの課題でよいではないのかな。まずはEVでよいのある。EVから操る歓びを引き出すと言う事は、バッテリーの容量とそのバッテリーからアクセルワークに従って、取り出す電気の量を自由自在にコントロールする、と言う事になるのではないのかな、技術的には。当然足回りも関係してくることにはなるが、ある意味バッテリーとモーターの性能、バッテリーのコントロールの仕方の違いで、トヨタ車と他車との差を出すことになる。ましてやそこら辺にしか差別化の表現ができないとなると、クルマのスタイルは更に重要な「WAO!」となってくる筈だ。まあ「走り好きのEV」と言う概念を最上位に持ってくると言うことではなくて、最初は、その優先順位は後ろに置かなければならないのではないのかな。

 

 

走り好きのEVとは、どんなものであろうか。果たしてマツダ資本提携をしてそれが出来るのか、両社ともEVの経験が少ないので、それも甚だ疑問である。

 

 

トヨタマツダ資本提携で「走り好き」に訴求するEVが実現する!?

2017/08/06 08:03

byAvanti Yasunori

ニュース・新車, テクノロジー, ビジネス・経済

    

ガソリンエンジンと電気モーターの組合わせにより、大幅な燃費向上を実現したプリウスに代表される「HV(ハイブリッド)」技術や、充電機能を付加した「PHVプラグイン・ハイブリッド)」、さらには水素で発電、モーターで走行する「FCV燃料電池車)」MIRAIなどを開発して来たトヨタ自動車




一方、過去にはロータリーエンジン、近年では世界一の高圧縮比を達成、燃費と中低速トルクを従来比で15%改善した直噴ガソリンエンジンSKYACTIV-G」や、低圧縮比化により、従来比で約20%の燃費改善を実現した高効率クリーンディーゼルエンジンSKYACTIV-D」を開発したマツダ

両社は2015513、互いの経営資源の活用や、商品・技術の補完など、相互にシナジー効果を発揮すべく、協力関係の構築に向けた覚書に調印。その後2年間の協議を経て、今回201784に都内で資本提携を発表しました。


前述のとおり、技術力では定評のある両社だけに、提携会見では出席したメディアから多くの質問が出ましたが、中でも多かったのが、資本提携まで踏み込んだ理由に関するものでした。

資本提携と聞くと、会社規模で勝るトヨタマツダをグループ内に取り込む?といった印象を受けがちですが、両社の説明では対等な「同志」としての提携と説明しています。

 

今回の資本提携に際し、両社は長期的なパートナー関係の発展・強化のために、双方の普通株式500億円相当をそれぞれ取得、合弁会社による生産工場建設に向け、設備投資資金の一部へ充当するそうです。

具体的な合意事項として「米国での完成車の生産合弁会社設立」、「電気自動車の共同技術開発」、「コネクティッド技術の共同開発」、「先進安全分野における技術連携」、「商品補完の拡充の推進」などを挙げています。


合弁会社では、2021を目処に米国で30万台/年規模の生産能力を持つ新工場を稼働させる予定で、総額16億ドル規模の投資により約4,000人の雇用を生む計画としています。

マツダが北米市場に新たに導入するSUVや、トヨタの北米市場向けカローラの生産を行うことを想定しており、両社が開発中とされる新型EVについても生産する可能性があるようです。

車体を含む各種プラットフォームや制御システムを共同開発・流用することで、生産に必要な設備や米国における鋼板など資材調達先の共通化が図れ、生産台数拡大によるコストメリットが生まれることから、ひいてはそれが車両価格の抑制にも寄与するという訳です。

また、新型EVの開発においても、両社が力を合わせることで、より魅力的な商品を生み出せる可能性が高まるとともに、今後「走り」の楽しさを追求する姿勢においても相性が良さそう。

日経新聞では、豊田章男社長が自社のスポーツモデル(トヨタ86)をEV化した試験車に試乗した際のエピソードを紹介しています。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(123)

 両社が提携で合意したのは、「米国での完成車生産で合弁会社を設立する」「EV(電気自動車)の共同開発」「コネクティッド・先進安全技術を含む次世代領域での協業」など5。」

後2つは何であろうか、と言う疑問がわいてくる。

 

次の5項目がそれにあたる。

 

1. 「米国での完成車の生産合弁会社設立」、

2. 「電気自動車の共同技術開発」、

3. 「コネクティッド技術の共同開発」、

4. 「先進安全分野における技術連携」、

5. 「商品補完の拡充の推進」

 

これは「http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/18012121/」に掲載されていたものであるが、参考までにその紹介文を次に載せてみよう。

 

 

トヨタマツダ、業務資本提携に関する合意書を締結

-クルマの新しい価値創造と持続的成長を目指し具体的な協業がスタート-

20170804日 トヨタ自動車株式会社 マツダ株式会社



 トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ、本社 : 愛知県豊田市、社長 : 豊田 章男)とマツダ株式会社(以下、マツダ、本社 : 広島県安芸郡府中町、社長 : 小飼 雅道)は、本日、持続的な協業関係のさらなる強化を目的として、業務資本提携(以下、本提携)に関する合意書を締結いたしました。
 自動車産業は今、環境・安全に関わる規制強化、異業種参入、モビリティビジネスの多様化など、大きな変革期を迎えています。このような状況下で両社は、それぞれが得意とする技術や事業基盤のさらなる強化のみならず、本提携を通じて協力関係をより深化させることにより、この変革期に共に挑み、克服することによって、持続的成長を実現していきたいと考えております。



 2015513トヨタマツダは、「クルマが持つ魅力をさらに高めていく」ことを念頭に、互いの経営資源の活用や、商品・技術の補完など、相互にシナジー効果を発揮しうる、継続性のある協力関係の構築に向けた覚書に調印しました。それ以降、両社は対等且つ良好な関係を長期にわたり構築するという基本的な協業精神のもと、様々な分野について協議してまいりました。
 今回の合意書締結は、2年間にわたり両社が真摯かつ丁寧に協議を積み重ねてきた成果を確認および表明するものであり、今後両社のさらなる持続的、発展的提携強化・加速につなげるための一里塚となるものと考えています。

 具体的には、「米国での完成車の生産合弁会社設立」、「電気自動車の共同技術開発」、「コネクティッド技術の共同開発」、「先進安全分野における技術連携」、および「商品補完の拡充」を推進していくことを合意しました。
 また、両社の長期的なパートナー関係の発展・強化を目指すとともに、両社の対等、かつ独立性を維持した継続性のある協業を追求するべく、マツダが行う第三者割当増資をトヨタが引き受け、マツダの株式を取得すること、併せてトヨタが行う第三者割当による自己株式の処分をマツダが引き受け、同額相当のトヨタの株式を取得することについても合意しました。

 今回の合意を受けてトヨタの豊田 章男社長は、「マツダとの提携で得た一番大きな果実は、クルマを愛する仲間」を得たことです。そして、「マツダに負けたくない」というトヨタの「負け嫌い」に火をつけていただいたことだと思っています。本提携は、クルマを愛するもの同志が「もっといいクルマをつくる」ための提携であり、「未来のクルマを決してコモディティにはしたくない」という想いを形にしたものだということです」と語りました。

 マツダの小飼 雅道社長は、「今回の提携を通じて、負け嫌い同志が集まり、相互に刺激を与えながら、人財やリーダーを育て、イノベーションをリードすることで、自動車業界の活性化やクルマファンの拡大に寄与することができれば、こんなに素晴らしいことはないと思っております」と語りました。

 今後、両社はそれぞれの経営の自主性を尊重し、対等かつ良好な関係を中長期にわたり構築することで、今回合意した各共同プロジェクトでの協業実現に向けて検討を進め「クルマの新たな価値創造」に向け、長期的パートナーとして相互協力をさらに加速・発展させ、お客様の期待に応えることを通じて持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

業務提携に係る合意内容

  1. 米国での完成車の生産合弁会社の設立

     トヨタマツダは、新たな協力関係の構築に向けて、30万台規模の生産能力を持つ完成車の生産に関わる新たな合弁会社を、米国に両社折半出資で設立することについて検討を進めていくことに合意いたしました。両社は、各国当局の許認可等が取得できることを前提に、2021年を目途に新たな合弁会社が設立する米国新工場の稼働開始を目指し、総額16億米ドル前後を投資し、4,000人規模の雇用を行うことを想定し、今後の検討を進めていく予定です。従来の商品・技術分野での協業に加え、新たに生産協業を通じ、生産面における競争力の向上を目指してまいります。
     合弁会社では、マツダが北米市場に新しく導入するクロスオーバー車種及びトヨタの北米市場向けカローラの生産を行うことを想定しております。マツダは本米国自動車生産合弁事業を通じ、地域・車種の需要動向に機動的に対応できる生産フレキシビリティを拡大させ、北米で成長が期待される車両を中心とした現地生産体制を構築することを目指します。トヨタは成長する北米市場への対応として、本米国自動車生産合弁事業を通じ現地生産体制の増強を行うことで、一層地域に根ざした経営を進めることを目指します。
     なお、トヨタが現在建設中のメキシコ・グアナファト工場では、カローラの代わりにタコマを生産する予定であり、今後の投資、雇用計画などに大きな影響はありません。

  2. 電気自動車の共同技術開発

     世界において電気自動車(EV)への需要と期待が高まる中、発展期にあり予測が難しいEV市場の動向に臨機応変かつ効率的に対応するため、トヨタマツダは力を結集して、自由闊達に知見を出し合いながら、各国の規制や市場動向に柔軟かつ迅速に対応でき競争力のあるEVの基本構造に関する技術を共同で開発することを検討いたします。共同開発の詳細は今後、検討してまいります。

  3. コネクティッド・先進安全技術を含む次世代の領域での協業

     クルマの情報化、車内外をつなぐ情報連携技術の要求の高まりに備え、車載用マルチメディアシステム関連技術の共同開発を進めてまいります。また、事故のない安全なクルマ社会の実現に向け、トヨタ保有する車々間、路車間通信技術をマツダと連携することで進めてまいります。

  4. 商品補完の拡充

     既に北米においてマツダからトヨタにコンパクトセダンを供給しております。これに加え、日本においてトヨタからマツダに小型商用2ボックスバンを供給いたします。またこれ以外においても今後グローバルに商品補完の可能性を検討いたします。

資本提携の内容

両社は、両社の長期的なパートナー関係の発展・強化のために、今回の合意書に基づき、以下の内容で、相互に株式を取得いたします。
 トヨタは、マツダが実施する第三者割当による新株式発行により、マツダ普通株式31,928,500株(増資後の発行済株式総数に対する所有割合5.05、総額500億円)を取得いたします。
 また、マツダは、トヨタが実施する第三者割当による自己株式の処分により同額相当のトヨタ株式(発行済株式総数に対する所有割合0.25)を取得します。
 両社は第三者割当増資及び第三者割当による自己株式の処分を通じて米国での完成車の生産合弁会社の設立に係る設備投資資金の一部へ充当する予定です。なお、両社の業務提携関係の進捗に応じて、本提携に基づき更なる資本提携関係の強化についても検討してまいります。

日程

  1. 合意書締結日201784日(金)
  2. 株式取得日(払込期日)2017102日(月)

http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/18012121/

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(122)

テスラとは「価値観の違い」で破談

 実は豊田氏のこうした発言の背景には、マツダとの結婚に至る前の忌まわしい破談話が影響している。2010年に資本・業務提携した米EV大手、テスラとの提携解消だ。高級EVセダンで人気を集め、自動運転技術でも市場をリードするなど、現在のEVや自動運転ブームを盛り上げてきた最大の立役者である。

 経営は赤字ながら株価は上昇を続け、時価総額は米ビッグスリー各社を上回る。ハイブリッド車(HV)で成功し、燃料電池車(FCV)を推進するトヨタがEV技術まで手にしたことで、当時高い期待が寄せられたが、長続きはしなかった。トヨタはテスラの2次電池を搭載した多目的スポーツ車を米国で発売したが、結局は保有していたテスラの株式をすべて売却。EVの開発についても価値観を共有するマツダとの共同開発に切り替えることになった。

テスラのマスク氏から新型ロードスターを贈られ、上機嫌の豊田氏(2010年11月)

テスラのマスク氏から新型ロードスターを贈られ、上機嫌の豊田氏(201011月)

 テスラとの協業はトヨタには悪い選択ではなかったが、なぜ袂(たもと)を分かつ結果となったのか。この件についてトヨタ関係者の口は重いが、一言でいえばクルマ造りに対する根本的な考え方の違いがあったからだという。

 テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はネット決済サービスの「ペイパル」で成功した効率を求めるIT(情報技術)業界の人間だ。一方、豊田氏はエンジニアの出身ではないが、テストドライバーもこなす生粋のクルマ好き。2人の価値観は最初から食い違っていた。

 両社の関係を修復しがたいものにしたのがマスク氏の奔放な言動だ。水素ステーションの設置など普及に時間がかかるFCV(フューエル・セル・ビークル)のことを、マスク氏は平気で「フール・セル・ビークル(ばかなクルマ)」と呼び、トヨタの開発陣のプライドを傷つけた。

 では、テスラからマツダに乗り換えたことで、トヨタのEV戦略は本当に大きく進むのだろうか

 両社が業務提携したきっかけは、マツダが開発した低燃費技術の「スカイアクティブ」にある。トヨタの技術ロードマップでは、とりあえずはHVでガソリン車の時代をなるべく引き延ばし、将来的には短距離をEV長距離はFCVですみ分けようという戦略だった。ただ発展途上国ではしばらくガソリン車の時代が続くことから、ディーゼルにも応用できるマツダの技術がトヨタには重要だと映った。

モーターとインバーターだけのテスラ「モデルS」のシンプルな構造

モーターとインバーターだけのテスラ「モデルS」のシンプルな構造

 ところがそのシナリオは様々な要因から覆されてしまう。一つはディーゼル車の排ガス規制にまつわる独フォルクスワーゲン(VW)の不正問題。もう一つは各国政府による環境規制の変化だ。米カリフォルニア州エコカーの優遇措置対象からHVを外し、フランスや英国はガソリン車やディーゼル車の販売を禁じる方針を打ち出した。中国やインドもEVを優遇しており、HVやディーゼル車で当面の環境規制をくぐり抜ける戦略はもはや通用しなくなった。実際、中国資本傘下に入ったスウェーデンボルボは早々とガソリン車の開発打ち切りを表明している。

邪魔する「自動車好き」の遺伝子

 こうした技術のパラダイムシフトは家電製品やITの世界では昔から何度も起きている。モーターからメモリーへの転換を見誤ったソニーは「ウォークマン」というドル箱を失い、銀塩フィルムからデジタルへの転換に失敗したコダックは会社自体を失った。「大画面はプラズマ、小さい画面は液晶で」とすみ分け論を展開してきたパナソニックも巨額投資に失敗し、プラズマ撤退を余儀なくされた。ところがガソリン車の時代が150年近くも続いてきた自動車業界のエンジニアには、こうしたパラダイムシフトに機微に対応するという経験はない。しかもトヨタはFCV事業に1兆円以上の巨費を投じており、簡単には後戻りできないエンジニアのプライドとこだわりがEVへの転換を遅らせてきたといえよう。

複雑な構造をしたトヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」

複雑な構造をしたトヨタ燃料電池車「MIRAI(ミライ)」

 トヨタマツダとの会見では質問が今後のEV戦略に集中したが、新工場でのEV生産について聞かれた豊田氏は「ある時期にくれば検討する可能性もある」と極めて遠回しな表現にとどまった。自動運転についても、独アウディが運転をクルマに任せる「レベル3」の技術を今秋から投入するのに対し、トヨタはそれより技術的には高いが「レベル4」を「2020年代前半に実現する」というあいまいな表現にとどまっている。こうした発言の背景には「時代の趨勢には逆らえないが、自動車は今後も人間が運転するものだ」という遺伝子が邪魔をしている。

 ではマツダの場合はどうか。環境規制の変化からディーゼル車をEVに改めざるをえない状況はトヨタと同じだ。マツダは衝突回避など運転支援技術の導入についてはこれまでも積極的だったが、トヨタのキャッチフレーズと同様、「ファン・トゥ・ドライブ(運転好き)派」が大勢を占める技術陣にはEVや自動運転技術にたけたエンジニアがそれほど多くいるとは考えにくい。その意味では今回の両社の資本・業務提携は、EVに遠いもの同士が合従連衡したという印象がぬぐえない。先行するテスラやアウディなどに対抗するには、似たもの同士が手を携えるよりも、新たな変革者を招き入れることが本当は重要だったのではないだろうか。

関口和一(せきぐち・わいち) 82日本経済新聞社入社。ハーバード大学フルブライト客員研究員、ワシントン支局特派員、論説委員などを経て現在、編集局編集委員。主に情報通信分野を担当。東京大学大学院、法政大学大学院、国際大学グローコムの客員教授を兼務。NHK国際放送の解説者も務めた。著書に「パソコン革命の旗手たち」「情報探索術」など。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19721340X00C17A8000000/?df=2

 

 

先の論考では両社の合意事項は5つとして、次の事項が記載されている。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(121)

「退屈なクルマは造りたくない」

 エンジンを得意とするものの、EVに積極的ではなく、その分野の技術の蓄積がないマツダをあえてトヨタが選んだのはなぜなのか。「走らせて退屈な車は造らないというマツダさんの姿勢に、私自身大いに共感した。まさに私たちが目指す『もっといいクルマ造り』を実践している」(トヨタ豊田章男社長)。

 「マツダさんのコーポレートビジョンにある最初の一文をご存知でしょうか。『私たちはクルマを愛しています』。私たちトヨタも、クルマを愛しています。両社の提携は、クルマを愛する者同士がクルマをコモディティーにしたくないという思いを形にしたものだ」

 発表会では、豊田社長の発言の端々にマツダへの尊敬の念がにじみ出ていた。マツダは時代の流れに半ば反発するかのように、内燃機関にこだわり、マツダらしい「尖ったクルマ造り」を貫いてきた。

 そのおかげで、年間生産台数1544000台(2016年度実績)ながらも固定ファンから支持され、着実に成長を遂げてきた。台数こそマツダトヨタ7分の1に過ぎない。それでも自らの信じる道を貫いてきたマツダ豊田社長はある種の「憧れ」を抱いてきたのかもしれない。

TNGAとモデルベース開発を融合

 だが、感情だけで決めたわけでは無論ない。経営者としての計算もある。モノ作りの効率化だ。

 両社で開発するEVのプラットフォームは広範囲をカバーするものだ。軽自動車からコンパクト車、SUV(多目的スポーツ車)、ピックアップトラックまでも対象とする。「(社内ベンチャーとして)昨年発足させたEV事業企画室も融合して、EVの基盤技術を強化する」と豊田社長は強調する。

 トヨタの部品共通化の取り組みである「TNGAトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」と、マツダモデルベース開発と呼ばれる開発を効率化させる手法を組み合わせることで、新たなEVのプラットフォームを実現する。

 マツダにとってもEVトヨタと組むのはまさに渡りに船だ。マツダが完全に出遅れていた電動化で、ハイブリッド車からPHVまで豊富な実績を持つ巨人と組むことができる。

 しかもEVは本当に売れるかどうかは未知数。開発にコストがかかる一方、成功するかどうかのリスクも大きい。「EVは現在、創世記にあり、これから発展期を迎える技術だ。将来の予測、規制(の動向)を含めて(先を見通すのが)難しい中で、協業で需要の変動にフレキシブルに対応できる体制をしっかり準備したい」。マツダの小飼雅道社長はこう狙いを明かす。

 両社の協業でとりわけ問われるのは、消費者を魅了するようなEVを本当に開発できるかどうかだ。テスラのEVは、スーパーカー並みの加速性能や洗練されたデザインに加えて、先端的なIT(情報技術)を活用することで、多くの消費者が憧れるブランドになった。

 「WOW(ワオ)といわせるようなクルマをつくってほしい」。豊田社長は常々、開発者にこうリクエストしてきた。異文化のマツダと組むことで、消費者を驚かせるような尖ったEVを実現できるのか。両社の底力が試されている。

 

このコラムについて

ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/080400719/?P=2

 

 

トヨタ2019年にEVを中国で生産すると言っているが、この提携話の結果がこの2019年に反映されるのであろうか、甚だ疑問の残るところでもある。

 

マツダトヨタと同じで、EVからは少し距離をとっていた。それと言うのも、マツダは「スカイアクティブ技術」、特にディーゼルエンジンで環境規制を乗り越えようと思っていた節があったが、「バリ協定」に代表されるように環境規制の変化がそれを許さなくなってきた訳だ。

 

いわゆる環境対策車としては、EVFCVPHVだけとなり、HVDieselディーゼルも、はたまたロータリーエンジンも、完全に除外されているからだ。要はいくら燃費が良いと言われても、CO2などを排出するようでは、HVSkyactiveDieselも環境車からは除外されてしまった訳だ。これで、マツダDieselを狙っていたトヨタもそのマツダも、EVへまっしぐらとならざるを得なくなったと言う訳だ。

 

だからお互いにEVには特に際立った技術を持っていない2社が一緒になっても、それほどとがったEVが開発できるとも思えない、と言った論調も存在する。

 

ここら辺は純粋に技術的な開発マターなので、そのような技術的素養が両社に無ければならない訳だ。それをただ単に『私たちはクルマを愛しています』と言うだけで、資本提携にまでのめり込むと言う豊田章男社長のパッションのどこに、そのような技術的な光明が射したものであろうか。

 

当然社長単独での決断ではない筈なので、関係する技術役員や技術関係に限らず上級管理職たちにもその功罪を検討させた結果での結論であった筈だ。どのような過程で結論が導き出されたのかはわからないが、冷徹な企業論理に従って導き出されたものであろう。そのうえでの資本提携と言う事であれば、実務面での交流が想像以上に深まっていた、と推測してもよいのではないのかな。

 

まあ自動車メーカーはどこも、誰でも、「クルマを愛しています」と言う筈だ。そうでなければクルマ屋をやっていない。だがそんな両社の交流の中から、かなりの信頼関係が醸し出されたものと思われる。そんなところを、豊田章男社長一流の言い回しで表現したものであろう。

 

ただクルマを愛しているだけでいいクルマが出来るわけはないので、果たしてこの資本提携が成功するか否かは、両社の今後の行く末に委ねるしかなかろう。

 

スカイアクティブやクリーンディーゼルが直接的には「CO2ゼロ」には役立たない筈だが、それを作り出した過程・能力、即ちマツダの技術力は役立つかもしれないと、豊田章男社長の目には映ったのかも知れない。

 

まあ価値観の異なるテスラなどとは全くうまくやってゆけないと、小生は端(はな)から思っていた訳だが、マツダとの話については、何かテスラでのそんな感じはしないことは確かではある。

 

また大切なことは、これでマツダ外資に走ることはないのではないか、と安心できることであろう。

 

 

トヨタマツダ提携「似たもの同士」にみる危うさ  編集委員 関口和

2017/8/8 6:30
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 

 トヨタ自動車マツダが電気自動車(EV)などの共同開発に向け、資本提携すると発表した。米国内に工場を共同で新設するなど、米トランプ政権の対米投資要請に応える狙いもある。しかし両社が提携した最大の目的は、互いの技術を持ち寄ることで、それぞれのエコカー戦略を見直すことにあるといえよう。共同会見したトヨタ豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長は「未来のクルマをコモディティー(汎用品)にはしたくない」という共通の思いを語ったが、似たもの同士が結ばれることによる危うさもうかがえる。

共同で記者会見したトヨタの豊田社長(左)とマツダの小飼社長

共同で記者会見したトヨタの豊田社長(左)とマツダの小飼社長

 「2年間の婚約期間は飽きるどころか互いの魅力を再認識した」。多くの報道陣を前に4日午後7時から記者会見した豊田氏と小飼氏は、資本提携を結婚に例えた会場の質問に対し、事業提携から資本提携に至るまでの2年間をこう語った。「Be a driver.(ビー・ア・ドライバー)」――。豊田氏はマツダのキャッチフレーズを引き合いに出し、運転する喜びを感じられるクルマ造りを目指すのが両社共通の願いであることを強調した。

(続く)