栄和人氏は鹿児島県奄美市生まれだと言う。彼自身も、世界選手権ではフリースタイル62kgで銅メダルを獲得していると言う。念のため、次に彼の簡単な年表を掲げる。
1960.6.19 鹿児島県奄美市生まれ
1983年 日本体育大学体育学部体育学科卒業
1987年 レスリング世界選手権FreeStyle62kg級で銅メダル獲得
1988年 ソウルオリンピックに出場するも4回戦敗退
1990年 京樽の実業団女子チームのコーチに就任(男子コーチはすべてメダリストのため不可だった。女子レスリングがオリンピック種目になると言われて、女子チームのコーチになる。)
1996年 京樽を退社、中共女子大学付属高等学校(現至学館高校)教諭に赴任
2004年 全日本女子レスリングヘッドコーチに就任
2008年 中京女子大学健康科学部健康スポーツ学科教授に就任、11/12に日本レスリング協会女子強化委員長に就任、伊調馨練習拠点を東京に移す。
2013年 日本レスリング協会 全体の強化委員長に就任
2015年 日本レスリング協会 全体の総括責任者の強化本部長に就任
2018年 1/19に内閣府交易認定等委員会へ告発状が提出され受理される。
2018年 4/6に第三者委員よりパワハラ行為に関する報告書を受け取る。パワハラと認定。同日付けで、強化本部長を辞任する。
図に乗らずに伊調馨のよき理解者でいれば、そのうちに文化勲章とは言わないが、何らかの勲章でも授与されていたかも知れないのだ。全く馬鹿なことをしたもので、メダリストを育てたとはいえ人間的には屑の部類に入る人物だったかも知れない、などと言われても仕方がない。
何といっても、疑惑が言われだした時に”パワハラはない”などと逃げ口上を盛んに述べていたことで、更に自分自身を貶めることになってしまった。
人間、謙虚が大切である。レスリング協会の見解でも、告白状の内容すべてを否定している。(伊調選手へのパワハラ報告書では、4項目がパワハラと認められたわけだが。)
日本レスリング協会、伊調馨の告発状に「見解文書発表」
2018年3月1日14時10分 スポーツ報知
日本レスリング協会は1日、五輪4連覇の伊調馨(33)=ALSOK=が栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメントを繰り返し受けたとして、レスリング関係者が1月、代理人弁護士を通じ、内閣府の公益認定等委員会に告発状を出していたことについて、報道機関に宛て「一部報道に関する当協会の見解について」という文書を発表した。
16年8月17日、女子レスリング58キロ級決勝 前半にリードを許し険しい表情で栄和人チームリーダーの話を聞く伊調馨
以下、全文
現在、伊調馨選手(以下「伊調選手といいます。」)の練習環境等に関し、各種報道がなされておりますが、今後事実とも推測とも判別できない情報が交錯し、選手各位、その他関係者にご迷惑・影響等が生じることを懸念し、日本レスリング協会として、以下の通りコメント致します。
まず、当協会が伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はございません。同様に、当協会が田南部力男子フリースタイル日本代表コーチ(以下「田南部コーチ」といいます。)に対し、伊調選手への指導をしないよう不当な圧力をかけた事実もございません。
当協会は、田南部コーチを男子フリースタイル日本代表チームの育成・強化を期待し、同チームのコーチに委託させて頂きました。
この点、当協会の強化本部は以下の3チームに区分けされております。
・男子フリースタイル強化委員会(フリーナショナルチーム)
・男子グレコローマン強化委員会(グレコローマンナショナルチーム)
・女子フリースタイル強化委員会(女子ナショナルチーム)
上記各3チームは、それぞれ別の監督、コーチ、トレーナー、選手で構成されており、各チームのスタッフには、自らのチームに所属する選手の育成・強化という責務を全うすることが期待されております。
そうした中で、男子フリースタイル代表の田南部コーチが、各代表チームの垣根を越えて、伊調選手に対する指導を行うことによって、委託の本旨である男子フリースタイルチームの育成・強化が疎かになることのないよう同コーチに対し注意喚起をしたことはございます。
しかしながら、当協会から伊調選手に対する指導を禁止したことや、指導をやめさせるべく田南部コーチやその周囲に不当な圧力をかけたことは一切ございません。
また、当協会として、伊調選手に対し、男子代表合宿への参加を禁止したこともございません。
もっとも、男子代表合宿にあたっては何よりもまず男子代表選手の強化が優先さればならないものですから、伊調選手が男子合宿に参加することによって、男子選手の練習に影響が生じることがないよう、男子合宿に参加して田南部コーチの指導を受ける場合には、男子選手の全体練習終了後に指導を受けるよう伝えたことはございます。
更に、これも当然のことではありますが、当協会が、警視庁レスリング部に対して、伊調選手を練習に参加させないことや、田南部コーチを指導から外すよう働きかけた事実も一切ございません。
最後になりますが、当協会は、日本におけるレスリングの統括団体として、レスリングを発達されることにより、国民の体力とスポーツ精神の向上に資すことを目的とする団体であります。当協会の本分は、選手の育成・強化であり、そのために必要な指導者の育成・選抜、練習環境の整備、各種選手権の実施など、徹頭徹尾「選手のための団体」であります。遡ること、八田一朗会長の時代から、当協会は、理念と哲学を持って選手強化にあたっており、その結果、男子レスリングはフリースタイル、グレコローマン共に日本の名を世界に示し続け、女子レスリングにあっても世界選手権・オリンピックにおいて多くのメダルを獲得する等着実に実績を積み重ねております。
本来であれば、2020年東京オリンピック開催を控え、選手、コーチ及びその他関係者が一丸となって「金メダル」という一つの目標に向かって邁進しなければならないこの時期に客観的事実と異なる報道がなされたことを非常に残念に思います。
当協会としては、一刻も早くこの問題が収束し、2020年東京オリンピックでの目標達成に向けて、選手が競技に集中できる環境を整えるべく、全力を尽くしたいと考えております。
報道機関各位におかれましては、この問題に関する報道によって、選手及びレスリング競技全体に生じる影響を慎重にご検討頂いた上で、適切なご対応を頂きますようお願い申し上げます。
http://www.hochi.co.jp/sports/etc/20180301-OHT1T50071.html
この告発状に対する日本レスリング協会の”見解”では、告白状の全てを否定している。この見解は2018.3.1のもので、「パワハラ報告書」は既に紹介しているが、2018.4.6に公表されているように、明確に4件の行為がパワハラと認定されている。
ことほど左様に監督と協会は、自身の都合の悪いことは棚に上げて、やがては馬脚を現してしまうのであるが、パワハラは否定して言い訳を連ねるようだ。これは保身がなせる業なのであろう。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も、自分の行ったことには一切触れずに、相手を非難し訴訟まで起こしている。全く同じ状況だ。
(続く)