ならず者国家・中国、アレコレ!(5)

正規社員を雇えないのは
賄賂で資金が足りないため

 天津瑞海も同じような状況であることは新京報に明らかだ。同紙はすでに運送業が「何の危険物を運んでいるのか、それが燃えやすいか、爆発しやすいかも知らない」ことを突き止めている。また、受け取った倉庫側もこれを「野晒しにした」事実を暴いている。危険物倉庫に運び入れた運送業者も、それを受け取った倉庫業も共に農村出身者であることは疑う余地もない。

 ちなみに、日本でならば、運送業倉庫業の間でSDSシート(Safety Data Sheet : 安全データシート)を交換し、運搬する危険物の中身、容量、性質などを申し送りする。恐らく、中国ではそれすらも行われていないのだろう。

 また、日本で危険物倉庫の管理に当たるのは「危険物取扱業者」「毒劇物取扱業者」の資格保持者である。だが、中国では教育のない農村出身者たちだ。なぜなのだろうか。そこに浮かび上がるのは、倉庫側が「贈賄で多額の資金を使い果たしてしまった」というお粗末な事情である。

「危険物倉庫ともなれば許可制業種であり、定期検査時には厳しい基準のクリアが求められる。しかし、現場にはそれを遵守するだけの管理能力はないため、結局金銭でもみ消しにするしかない。そのため危険物を取り扱う業種では賄賂が最大の出費になっています」

 “お目こぼし料”で利益も吹っ飛ぶ中国企業の実態――王さんはその内情を赤裸々に語った。

 さて、危険物倉庫を巡回する王さんは、すでに疲れ果てていた。「どうしょうもないな」と落胆するその王さんの視界に、何か動く物がよぎった。その日、王さんがもっとも衝撃を受けたのはこれである。

危険物倉庫に犬がいるじゃないか!」

 なぜ、厳重管理の危険物倉庫で、犬がキャンキャンと走り回っているのか? それはまさしく“農民従業員”が飼っている愛玩動物に他ならなかった。危険物倉庫は農民従業員にとって、寝泊りもする居住場所を兼ねている可能性は高い。

「もし、犬が化学品にオシッコでもひっかけたらどうするつもりだ…!?

 まるでギャグ漫画のような世界である。犬のオシッコが当該化学品とどのような化学反応を起こすかは不明だが、それにしても「あってはならない光景」である。王さんは強いショックにしばらく途方に暮れた。それは、犬の存在以上に、「国際都市上海でいまどきこんなことがあるのか」という衝撃にあった。王さんは「上海でもこんな倉庫があるなら、地方はもっとひどい状況だ」と落胆を隠さない。

ガバナンス、リスクマネジメント、内部統制、コンプライアンス――これらを無視し続けてきたからこそ発揮できたのが中国の競争力だ。悲しいかな、それが彼らが誇るべき中国経済の原動力なのである。

呪うべき宿命を背負った中国、その将来に明るい展望を見出すことは、いよいよ難しくなってきている。

http://diamond.jp/articles/-/77475


 

ではなぜこのような巨大な危険物倉庫が大都市の天津にあって、その管理も出鱈目であったのか、と言うことが大問題なのだが、それが中国なのだ、と言ったことがこの論考の結論なのであろう。

 

それほど賄賂を使うことがなければ、中国では仕事が出来ない事が現実なのである。と言うこともさることながら、賄賂を使えば(法律に違反するような)どんなことでも出来そうなのが、中国の現実なのであろう。

奇しくも今回の天津の大爆発で、そのことが明らかにされたのではないのかな。

 

福島香織 賢者の知恵
天津大爆発 習近平政権が隠蔽する「5つの疑惑」
~実は犠牲者千人超、経済政策の失敗をうやむやに?

20150823日(日) 福島香織


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厳しい情報統制と乱れ飛ぶデマ

2015812日深夜、天津市の浜海新区で、死者・不明者200人、負傷者700を超える大爆発が起きた。

天津港の埠頭に近い化学薬品倉庫で火災が発生、消防隊が消火活動にあたっていたところ、火柱とキノコ雲が立ち上るような大爆発2分間の間に4起き、その爆風は3キロ離れたマンションの窓や壁もぶち抜いた。

現場の倉庫には保管許可量24トンを30倍近く上回るシアン化ナトリウム700トンほか、硝酸アンモニウム800トン硝酸ナトリウム500トンといった危険化学薬物が3000トン以上保管されていた。爆発後は周辺の水中のシアン化ナトリウム濃度は基準値の277倍となり、爆心地から6キロも離れた河の水面は死んだ魚に埋め尽くされた

事件直後から厳しい報道統制が敷かれているため、正確な情報が伝わってこない。中国メディアは新華社の共通原稿を使用することしか許されず、独自取材を禁じられた。

ネット統制も厳しく、事件発生3日間だけで、50以上のサイトが「デマ情報を流した」として閉鎖させられ、デマを流したとされるネットユーザーの拘留も相次いだ。 

デマが流れる背景には、この事件の全容がなかなか明らかにならないからだ。多くのネットユーザー、市民たちは、「当局が何か隠蔽しているのではないか」と疑っている。では、何が疑われているのだろうか

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