中国のEV規制
中国には、NEV規制とCAFC(Corporate Average Fuel Consumption=企業別平均燃費)規制の2規制がある。NEV=New Energy Vehicle、中国版ZEVのこと。
日本の燃費規制は、2015年・16.8km/Lが2020年には20.3km/Lだと言う。
これに対して、中国の燃費規制(CAFC)は、次のようになっている。
2018年 6.0L/100km(16.6km/L)
2019年 5.5L/100km(18.2km/L)
2020年 5.0L/100km(20.0km/L)
(https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/03/15/170315i_nishino.pdf)
と言う事で、企業平均燃費が、リッター20kmとなっている。だからどうしてもNEV車を所定台数だけ売らなければ、達成できそうにもない基準となっていると言う事だ。
中国はHVにやさしくなってきたと先に言及しておいたが、中国共産党も自国の大気汚染のひどさにほとほと閉口してきたのではないのかな。電気自動車で自動車強国になろうとしたわけだが、思い通りにはならずに、北京の大気汚染は一向に改善の兆しもないので、現実解に戻ったと言う事である。
いわゆる環境対策車とは、普及してなんぼなのである。いくら排ガスを出さないEVに補助金を出しても、普及しなければ元も子もないのである。相変わらず大気汚染対策は進まず、温暖化対策にもならないのである、と言う事に気付いたと言う事である。いくら中国共産党が笛や太鼓で踊らせても、高価な電気自動車はそんなに普及はしなかったと言う事なのである。それよりもそれほど高価ではない環境対策車であるHV車が普及すれば、相当な大気汚染対策となるのである、と言う事にようやく気付いたと言う事ではないのかな、トヨタのハイブリッド技術の特許の無償公開(2019/4)を受けてHV車を推薦しだした様だ。2020.10月には広州汽車に、トヨタはHV技術を供与している。
また、新エネ車を規則よりも多く製造販売した場合は一定の条件をクリアすれば、翌年に持ち越せる内容も盛り込む。19年は10%、20年に12%と決めた新エネ車の製造販売の義務付け台数を決める基準も、21~23年に2%ずつ増やすなど規制を強化していく方向だ。
今回の修正案は、深刻な大気汚染の改善や石油資源の有効活用をするのに、中国政府が低燃費で環境負荷が小さいHVを評価したことが背景にある。
'18 19 20 21 22 23 24 25
-- 10% 12% 14% 16% 18% 20% 20% → 25%にすると言う事ではないか。
2025年にはNEV車(EV、FCV、 PHEV)を25%販売しなければならない。そして低燃費車のHV車への優遇策も縮小させる。
⇓
2035年には、NEV車50%+HV50%=100% とすることになる。
量・質の両面で中国NEV市場が変化するなか、中国汽車工程学会が工業情報省の指導を受けて(2020年)「ロードマップ2.0」を制定。2035年に電気自動車(EV)を中心とするNEVを50%とし、残りの50%を占めるガソリン車をすべてHVとする目標を打ち出した。
https://toyokeizai.net/articles/-/387053?page=3
まとめ
・中国では、2035年には、NEV車50%+HV 50%=100% とすることになる。
・HV車を認めている訳は、NEV車が補助金の削減・廃止とともに売れなくなったからである。
・HV燃費規制、'25年21.74km/L、'30年31.25km/L、'35年50km/L (RoadMap2.0)。
日本の場合
・2020.10.26、所信表明演説「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」宣言
・但し、今のところ、そのための明確な具体策が見えてこない。
・例えば電源構成の見直しなど。石炭⇒再エネ、グリーン水素(水の電気分解)、原子力発電
・ICE(内燃機関)からZEVへの明確な政策転換が必要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と言うことで、EU、USA、CHINA、JAPAN すべてがZEV、特にEV電気自動車と、内燃機関を使う水素エンジン車や合成燃料車(水素と二酸化炭素の化合物)に集中せざるを得なくなっている。
ここで「水素エンジン」と「合成燃料」について、少し言及しておきたいが、その前にBEVの注意点について述べておこう。
BEVの注意点(デメリット)
EVは、Batteryに蓄えた電気で、モーターを回して走ることになる。バッテリー製造時には多くのCO2を排出するが、走行時にはEVはCO2フリーである。しかしここにEVの一つの注意点がある。このBatteryがEVではキーテクノロジーとなるわけだが、当然蓄えられた電気には限りかあるから、EVには次のような欠点・デメリットがある。
(1) 航続距離が短い。日産Leaf(458km・WLTC)、三菱i-Mieve(164km・JC08)、Honda-e(283km・WLTC)、実質は、5~6割り掛けと言ったところか。
(2) 充電時間が長い。満充電に8h~24h、急速充電Stand少ない、
(3) 非常に高価である。バッテリーやモーターなどに希少金属(リチウム、コバルト)やレアアー ス(ネオジム、ジスプロシウム、etc)などが必要。
(4) 製造時には大量のCO2を排出。そのためLCAベースではHV車の方が、CO2排出は少ないケースがある。
(5) バッテリーの寿命は長くない。四千サイクル?5~10年と言ったところか。新型「日産リーフ」の保証期間は、新車登録から8年16万km。中古車価格はかなり低い。
(6) 火災の発生の恐れがある。特にGMボルトEVやテスラの火災のニュースが多い。
このバッテリーの欠点と雇用問題を避ける意味で、既存設備が使える水素エンジンや合成燃料車ぱ注目されている。バッテリーの革新、例えば全個体電池などの話は後に譲るとして、まずは水素エンジンと合成燃料について、まとめてみよう。
(続く)