要するに、この「太西洋憲章」は、あくまでも欧米列強(白人国家)にのみ適用
され、有色人種(日本など)には適用外で、欧米列強が有する植民地は絶対に手
放さない、有色人種には独立は絶対に許さない、白人国家の支配下に置く
と言っているのである。
この「大西洋憲章」の4ヶ月後に「大東亜戦争」が始るのであるが、この戦いは
白人から東亜の植民地を開放する戦いであった。即ち、「白人対有色人種の戦
い」と言う意味合いを持っていたのである、と言うよりも、「白人対有色人種の戦
い」そのものであった。
この「大西洋憲章」の考えをべースにアメリカは、「戦後の日本を、2度と独立し
た外交政策が実行できない国にする。日本から、永久に自主防衛能力を剥
奪しておく」と言うことを決めていたのである。アメリカは日本のおかげで、中国
に利権を獲得できなかったことを、いかに無念と思っていたことか、このことでよ
くわかるのである。アメリカの潜在意識の中には、「大西洋憲章」が色濃く残っ
ていたのであろう。そのこころは、人種差別の温存である。
こんな国のアメリカに日本の主権が握られていて、よいものであろうか。やがては
中国に売られてしまう、と言うことが現実味を帯びてくるのである。ただし中国も
有色人種である。しかし中国は核を持っている。アメリカはその核に敬意を表し
ているのである。インドにも敬意を表したではないか。紙に書かれた約束をいか
に有効なものとするかは、どうも、核武装が必要なのである。これは今までの考
察でわかる。果たして四つ目のポイントは何であろうか。
日本の信頼する同盟国「アメリカ合衆国」は、果たして、信頼できる国なのか。
以上見てきたように、米国は大西洋憲章の原則を、今でも堅持している、と推定
できる。こんな国を信頼できる、と言えるものか。否、信頼できない。もともと国際
社会は、無政府状態と言ったではないか。
(続く)