KAISTが走行中給電が可能なシステム「OLEV:On-Line Electrical Vehicle」の開発を始めたのは今から6年以上前。2009年2月には、KAISTの敷地内でゴルフカート、同年6月に大型バス、同年7月にSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の実車走行を実験(図2)。12月には4台の大型バスを製造し、所内での運行を実施している。
2010年3月には、ソウル大公園内の走行ルートで、園内移動用の列車型EVの営業走行も始めた。3両を連結し合計19トンの列車を牽引するEVで、最高出力240kWのモーターを搭載している。Liポリマー2次電池を搭載し、容量は24.8kWh。最高速度は時速40kmだった。道路の下には給電用のコイルが敷き詰められており、総延長2.2kmの区間のうち400mほどに給電区間を設けることで、「2次電池の搭載量を通常の20%程度にできた」(KAIST)という。
KAISTはその後も開発を続けている。2015年3月20日のシンポジウムに登壇するKASITのChun T. Rim氏(Professor, Nuclear & Quantum Engineering)は、「現在、第5世代のOLEVを開発中だ。出力は100kW。道路内に配置した送電レール(コイル)と車両の受電コイルが20cm離れていても、80%を超える電力伝送効率を実現できる」と自信を覗かせる。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20150310/408361/?ref=RL3&n_cid=nbptec_tec00001&rt=nocnt
後編では定点充電から走行中充電の話となり、韓国企業の開発状況が相当進んでいることを紹介している。充電時の走行速度が何キロがわからないが、走行中充電ができればバッテリーは少なくてすむことになる。
次に紹介するTDKが開発した非接触型充電方式では、走行中給電の実証実験も開始していると言う。走行速度は時速5km程度らしい。これではまことに物足りない感じがするが、先ずは走行しながら充電することへのトライとしては、意義深いのではないのかな。しかしこんなことではKoreaに負けてしまうか。
充電、駐車するだけEV向け、TDKが非接触型
2014/10/21付 ニュースソース 日本経済新聞 朝刊
TDKは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に向けた非接触の給電システムを開発した。EVやPHVを駐車場にとめるだけで、有線ケーブルを使わずに充電できる。道路上に敷き詰めれば、走行中に給電することも可能という。2018年ごろに自動車に採用されることを目指す。
TDKは4月、米ベンチャーのワイトリシティ(マサチューセッツ州)と提携し、EVの無線給電に関する技術ノウハウを取得していた。今回のシステムは、ワイトリシティの技術を基に、TDKが得意とする磁気コイル技術を活用して実現した。
システムの内容は、非接触給電に必要な無線給電用の送電コイルと受電コイル。コイル間の距離が10センチメートル以上離れても、電力を送れるという。自動車メーカーなどに向け、15年上期からサンプル提供する。
EVの走行中給電に関しても、実証試験を開始した。
1周あたり30メートルのテストコースの路面下部に、5メートルおきに6台の送電コイルを敷き詰め、試作車を走らせた。時速5キロメートルで、120キロメートル走行できることを確認済みという。
EVやPHVへの非接触給電に関しては、トヨタ自動車や日産自動車が実用化に向けた実証試験を進めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18H0M_Q4A021C1TI0000/
このような技術が実用化されれば、EVにとってはこの世の春であろう。と言ってもどの程度のコストになるかが問題である。
まあバッテリーであるからして充電の問題が出てくるのであるが、燃料電池車であればこの充電問題はない。発電燃料となる水素を搭載しているから、充電時間とか走行中充電インフラ問題などは発生しない。ここら辺がBEVに対する燃料電池車の優位点なのであろう。
エコカー戦争、EVはFCVに絶対勝てない理由 利便性と燃料充填で圧倒的な差
ビジネスジャーナル 14 時間前 2014.12.31 16:00
© Business Journal 提供
プリウスに代表されるハイブリッド車の帰趨はどうなるのか。競合するのは前回連載で取り上げた燃料電池自動車(FCV)と電気自動車(EV)となる。これらの優位性について主としてエネルギー効率の観点から議論されがちだが、実は燃料の充填方式の違いが普及に大きな影響を与える。
決定的な違いは、FCVが専用の水素ステーションに行かなければならない一方、EVは電源設備があれば自宅でも充電できるという点だ。よって、一見するとEVのほうが利便性に勝るようにみえる。
しかし、EVに電源を接続するためには、専用の充電設備を設置しなければならない。家庭用100V電源で設置できる設備は「普通充電器」と呼ばれ、EVをゼロの状態からフル充電するまで7~8時間を要する。オーナーは毎日帰宅するごとにマイカーにプラグ接続し、朝まで置いておかなければならない。
加えて、EVは約15Aの電力を使用するという。家庭用配電盤は通常10A程度であり、最大に増やしても20Aである。所有者が夕方帰ってきてマイカーをプラグにつないだとたん、自宅の電気器具の使用が朝まで大幅に制限され、毎月の基本電力料が大幅に上がる。
EVの広汎な普及のために阻害となる要因は、まさにこの充電方式である。外部スタンドとなる充電ステーションが経済合理性を有するためには、対象であるEVのクリティカル・マス(市場成立のための最低必要量)が必要となる。
よって、普及していくにはまず大都市からとなるが、自家用車オーナーのどれだけが自宅に駐車場と専用充電器を設置するかがカギとなる。当然設置のためには外構工事が必要となるが、現行の充電設備費補助制度は個人住宅を想定していない。ちなみに補助条件の一つとして社団法人次世代自動車振興センターは「充電設備が公道に面した入口から誰もが自由に出入りできる場所にあること」としている。
●航続距離と燃料充填時間で大きな差
一方、FCVの場合、そのような家庭での面倒が起こらない。先日岩谷産業が発表したような水素ステーションに乗り付けて、水素ガスを充填すればいいだけのことだ。これは現在のガソリン補給と同じやり方なので、消費者が刷り込まれてきた消費行動と合致して抵抗感がない。せいぜい、プロパンガスを使っているタクシーが専用スタンドを覚えておくくらいの感覚になるだろう。
またEVと比べて航続距離が長く(500km以上)、充填時間は短い(3分程度)。EVは急速充電器で15~30分程度であり、簡便さにおける水素ガス充填の優位性は明らかだ。
FCVとEVを比較する場合、このような消費者目線の便宜性議論が有用で必要である。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
●山田修(やまだ・おさむ)
経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第10期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長のロジカルマネジメント-私の方法』(講談社)ほか多数。(http://senryaku.p1.bindsite.jp/)
http://biz-journal.jp/2014/12/post_8435.html
(続く)