続・次世代エコカー・本命は?(95)

トヨタとしては、2011年の東日本大震災による生産停止に懲りて、RESCUEシステム」と呼ぶデータベースを構築して、すぐに生産に支障が出る品目を特定し、別の調達先への代替生産を迅速に実施できるようにしてきたと言う。

 

しかし今回は、それでも段階的とはいえ1週間も生産ラインを停止せざるを得なかった。「これがあったことにより、代替生産の検討には素早く入ることが出来た」などと、負け惜しみを言っているようだが、それでも1週間も生産ラインを停止せざるを得なかったと言う事は、この「RESCUEシステム」がうまく機能しなかったと言う事ではないのかな。

 

供給が停止した部品は、「アチェック」と言うものでアイシン子会社では月に90万本以上も生産していると言うし、その結果、トヨタの国内生産車の約9割にこのアイシン製ドアチェックが使われているという。

 

アングル:地震ショック続くトヨタの部品供給、最大9万台の生産に影響も

Business | 2016042023:02 JST

 4月19日、熊本地震の影響で、トヨタ自動車が全国各地で生産停止に追い込まれている。部品調達が滞っているためだ。写真は2012年3月岩手県の同社系列工場で撮影(2016年 ロイター/Chang-Ran Kim)

 4月19日、熊本地震の影響で、トヨタ自動車が全国各地で生産停止に追い込まれている。部品調達が滞っているためだ。写真は2012年3月岩手県の同社系列工場で撮影(2016年 ロイター/Chang-Ran Kim熊本地震トヨタr

 

[東京 20日 ロイター] - 熊本地震の影響で、トヨタ自動車(7203.T)が全国各地で生産停止に追い込まれている。部品調達が滞っているためで、15日から停止した福岡県の工場に続き、車両組立工場の大半を19日から段階的に休止する。

同社は2月にも愛知製鋼 (5482.T)の事故で国内組立工場を約1週間止め、約9万台の生産が遅れた。今回の地震でも、株式市場では最大9万台の生産に影響が及ぶとの見方が出ている。

<地元九州、系列への依存度>

トヨタは中部、関東、関西、東北に広がる車組立工場の大半で19日から23日までに段階的に稼働を停止。最終的には26の生産ラインが止まる予定。全国的に操業を休止せざるを得なくなったのは、系列のアイシン精機(7259.T)の子会社などが被災し、部品供給が滞っているためだ。20日には25日から28日にかけて順次再開することを決めたが、元町工場(愛知県豊田市)など一部の工場では28日まで休止が続き、27日に再開のめどを判断する。熊本市内にあるアイシンの子会社2工場は電力供給が断たれており、ドアやエンジンなどの部品が生産できずにいる。自社の愛知県内にある各工場で代替生産をすでに開始しており、海外からの調達も検討しているが、工場再開のめどは立っていない。

トヨタにとってボトルネックの1つが、ドアが急に開閉しないように制御する「アチェック」と呼ばれる部品で、アイシンは月90万本以上を生産自動車業界アナリストらによると、トヨタの国内生産車の約9割にこのアイシン製ドアチェックが使われているという。   トヨタ子会社のダイハツ工業(7262.T)も部品調達に支障が出て、中津工場(大分県中津市)と久留米工場(福岡県久留米市)の稼働を18日から22日まで見送る。両社とも輸送コスト抑制などの点から九州で生産する車には九州の部品をなるべく使うようにしており、ダイハツでは1台あたり平均約6割が九州で調達した部品という。

<9月以降も生産挽回の必要も>   

みずほ証券の森脇崇シニアアナリストは、トヨタの減産規模は8―9万台で「短期的には営業利益で500億円前後のインパクト」と試算。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは、減産規模6万3500台(ダイハツの7500台含む)で4―6月期の営業利益へのマイナス影響は300億円強と推計する。

トヨタはグループ会社の愛知製鋼の事故で生産が遅れたため、4月から休日出勤や残業による生産の挽回に入り、8―9月をめどに取り戻す予定だった。両氏とも2017年3月期末までにトヨタが生産を挽回するとみて通期での影響は軽微とみるが、愛知製鋼の事故対応による増産も重なり、杉本氏は「10―12月期も頑張って生産しないと取り戻せないのでは」との見方を示している。

 

<日産は九州工場の操業継続>

同じくアイシンや熊本県内の取引先から部品を調達していた日産自動車(7201.T)。16日は設備の安全や部品供給体制を確認するため九州工場(福岡県苅田町)の稼働を見合わせたが、18日からは稼働率を落としながらも操業を続けている。なぜ日産は工場を止めずに済むのか。 日産も九州での生産では九州産部品を多く使っているが、加えて、本州より距離が近い韓国中国から調達した部品も積極的に使用している。海外調達では飛行機や船での輸送リスクなどを考慮し、在庫を多めに持つ。杉本氏は、トヨタのほうが日産より九州からの部品調達が多く、かつ在庫も少ないため、生産休止が広がったとみている。 在庫は最小限にして生産効率を追求するトヨタのいわゆる『ジャスト・イン・タイム』。この思想は平常時にはうまく機能するが、11年の東日本大震災のような災害時には「アキレス腱」にもなると指摘するアナリストもいる。だが、ダイハツ幹部は「今後も『ジャスト・イン・タイム』の哲学は維持し続ける」と強調する。

<影響長引く恐れも>

アイシンの影響は広がる恐れもある。同社からエンジン部品を調達していた三菱自動車(7211.T)は20日までとしていた水島製作所(岡山県倉敷市)での軽自動車生産の休止を22日まで延長。その先はつど検討するといい、綱渡り状態だ。同じくアイシン部品を採用するマツダ(7261.T)の国内工場は今のところ22日まで稼働する見込みだが、25日以降は部品供給に支障が生じないか確認中という。

熊本県内の車載用半導体工場の状況も不透明なため、不安の声が上がる。三菱電機(6503.T)の工場(合志市)では家電やハイブリッド車のモーター駆動に用いるパワー半導体モジュール製品を生産するが、設備被害の確認作業が続いている。同社はこの製品で世界首位クラスのシェアを誇る。ルネサスエレクトロニクス(6723.T)の川尻工場(熊本市)は東日本大震災で被災した那珂工場(茨城県ひたちなか市)に比べて「被害は限定的」(広報)のようだが、詳細はまだ不明。21日をめどに生産再開日を公表する。  

*内容を追加して再送します。

(白木真紀、田実直美、山崎牧子 編集:北松克朗)

http://jp.reuters.com/article/toyota-kumamotoeq-idJPKCN0XH0A1?pageNumber=2

 

 

と言う事は、これだけトヨタ車のすべてに使われている部品に対してのバックアップが、この「RESCUEシステム」では完全な形ではとられていなかった、と言う事ではないのかな。

(続く)