続続・次世代エコカー・本命は?(47)

さて今は「7)このところ日産が元気、喜ばしい限りである。」と言うのがテーマであった。トヨタのことはさておき、カルロス・ゴーン氏の社長退任に言及してこの章は終わりとしよう。

 

 

カルロス・ゴーンが日産の社長を退任する(した)のだ。2017.4.1付けで副会長兼共同CEO西川(さいかわ)廣人氏代表取締役社長兼CEOに就任した。ゴーン氏は引き続き日産の代表取締役会長を務める。更には三菱自動車工業代表取締役会長でもある。今後はこちらが主となるのではないのかな。

 

しかしこの発表は唐突なものであったようだ。聞くところによると、この人事が決まったのは、前日の2017/2/22夕方から始まった取締役会であったと言う。しかもその日のうちの発表はなかった。発表は翌日2/23の朝だった。通常このような重要な変更はできるだけ早く開示して、しかも新旧の社長が共同で記者会見をするものらしいが、それもない。如何にも唐突だった。何があったのか。

 

 

退任ゴーン氏、グループ統括専念 日産社長らと役割分担

青山直篤、榊原謙

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写真・図版
ゴーン氏は3社のトップとして実権を保つ

 日産自動車カルロス・ゴーン氏(62)が、約16年にわたって務める社長兼最高経営責任者(CEO)から今春退く。代表権のある会長にとどまって実権は維持するが、三菱自動車と仏ルノーを合わせたグループ全体の統括に専念することになる。

 「三菱自会長に就任し、(日産の)CEOを引き継ぐ適切な時期だと判断した。ルノー、日産、三菱自のアライアンス(連合)の戦略面や、事業上の進化により多くの時間をかける」。23日、共同CEOの西川(さいかわ)広人氏(63)が4月1日付でゴーン氏の代わりに社長兼CEOに就く人事の発表を受け、ゴーン氏はこうしたコメントを出した。

 ゴーン氏は、昨年12月に会長に就いた三菱自でも、経営の実務は益子修社長兼CEO(68)に任せ、自らは日産、ルノーを含めた全体の戦略を担うとの役割分担を明確にした。日産でも、西川氏に社長兼CEOを任せることで、三菱自と同様の経営体制とする。

 三菱自を傘下に収めたことで、2016年のグループ世界販売は996万台となり、1千万台規模の世界販売を誇る独フォルクスワーゲントヨタ自動車、米ゼネラル・モーターズとともに、世界4強の一角を占めた。厳しい競争を勝ち抜くため、グループ戦略を描く役回りをゴーン氏は担う。

 ゴーン氏は先月から、三菱自の…

 

http://www.asahi.com/articles/ASK2R4Q3BK2RULFA01F.html

 

 

 

ゴーン体制、社長交代でも揺るがない ビッグ3への野望

編集委員安井孝之

20172231906

写真・図版カルロス・ゴーン氏

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 日産自動車カルロス・ゴーン氏(62)が社長兼最高経営責任者(CEO)から退く。日産はどうなるのか。

 社長交代発表は異例ずくめのものだった。「社長交代」は通常、会社経営にとって重要な変更なので、できるだけ早く開示し、新旧の社長が記者会見に臨むものだ。しかし、今回は違った。まるで今回の社長交代は形ばかりの変更で、実態は変わらないので会見する必要もなかった、ということなのか、と思えてくる。

 23日に発表となった事実は、4月1日付でゴーン氏が社長兼CEOから代表権のある会長となり、共同CEOの西川広人氏(63)が社長兼CEOになるというもの。決まったのは、前日22日夕から夜にかけて開かれた取締役会だった。

 本来ならその日のうちに発表までしそうなものだが、そうではなかった。

 ゴーン氏は代表権のある会長と…(略)

http://www.asahi.com/articles/ASK2R63LLK2RULZU00N.html

 

 

2017.3.15フランスのAFP通信が、カルロス・ゴーン氏が社長を務めているルノー排ガス規制で不正をしていた疑惑があると報じている。このことはカルロス・ゴーン社長ら経営陣も承知しており、組織的なもので過去25年にも渡って不正が行われていたとの見方を示している。

 

 

ルノー、排ガス不正「過去25年以上」 仏当局が指摘

ロンドン=寺西和男

20173170004

 仏AFP通信は15日、仏自動車大手ルノー排ガス規制の不正逃れ疑惑を調べた仏当局が報告書で、過去25年以上にわたって排ガス規制試験で不正をしていたと指摘している、と報じた。報告書は、不正がカルロス・ゴーン社長を含む経営陣も認識したうえで組織的に行われていたとの見方を示しているという。

 報道によると、1990年に発売した小型車「クリオ」にも不正があった可能性があるとみられているという。仏紙「リベラシオン」が同日朝、報告書の内容を報じたことを受け、15日の欧州株式市場では、ルノー株は前日終値より3・7%値下がりした。ルノーは声明で「現在の調査についてはコメントしない」としたうえで、排ガス試験を逃れる不正ソフトは搭載しておらず、フランスと欧州の規制を順守していると強調した。

 独フォルクスワーゲン排ガス規制の不正問題を受け、仏政府が国内で販売されたディーゼル車を調べたところ、ルノーの一部車種で窒素酸化物(NOx)の排出量が規制値を超えた。(ロンドン=寺西和男)

http://www.asahi.com/articles/ASK3J2G8PK3JUHBI00G.html

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(46)

中国ではNEV規制と言う物が2018年から適用されると言う。同規制は、EVプラグインハイブリッド車PHV)など環境負荷が小さい車を相当な量を売らなければ通常のガソリン車の販売は認めない厳しい内容だ。この件は2017.4.21の当ブログNO.15で言及しているが、中国で車を売るのであれば、エコカーでなければ売れなくなると言う状況になりそうだ。

 

加州のZEV規制と同じように、エコカー即ちEVFCV)かPHVを相当数売らなければ、いわゆる普通のクルマ・ガソリンで走るクルマは売れなくなるようだ。まだその比率がどれほどになるのかわからないが、大気汚染が深刻で環境対策が待ったなしの中国では、それでも遅きに失した政策である。遅かれ早かれそんな政策が打たれるものと、判断して企業経営に勤しむ必要があったわけである。

 

とすれば、トヨタは尚のことEVに注力していなければならなかった、ということになる。と言うのも中国では、いくら究極のエコカーなどとふんぞり返っても、燃料電池が売れる下地は今のところない、皆無と言ってもよいのではないのかな。ということはトヨタは中国での販売増の秘策が見当たらないということではないのかな。だから今年2017年も来年も世界販売台数はやはりVWがトップをとるということになりそうだ。

 

中国では構造が簡単な電気自動車が大流行りとなっているようで、2016年にはエコカー40万台以上が販売されたのではないか、と言われている。これは世界のエコカー50%を占め、その大半は電気自動車である。中国での車の販売は3,000万台に迫り、世界一となっている。その中国でクルマを売るとなったら、当然エコカーが話題に上がると思わなければならないのである。しかもそれはEV・電気自動車でなければならなかったのである。だからトヨタも、早々にHVではダメだと決断しなればならなかったのである。

 

だからHVばかりにかじりついていては、今のご時世では、時代遅れとなってしまうのである。EVも売っていて更にHVもありますよ、と言うのであれば、御の字であろう。

 

中国では既に2012に「新エネルギー車産業発展計画(2012~2020」を発表している。そして2015年には、「中国製造2025」を打ち出しエコカー比率が20%を目標としたのである(ZEV22%)。(2017.4.24NO.16参照のこと)。だから当然中国でクルマを売るのであれば、エコカー即ち電気自動車に注力しなければいけなかったのである。

 

週刊東洋経済20174/29~5/6合併号には、「トヨタの中ではHVの存在感が圧倒的で、EV開発に携わっていたエンジニアが「細々と開発していたが、肩身が狭かった」と言うほど。」と書かれているように、明らかにトヨタ先を見誤っていた様だ。

 

トヨタはサイオン系列にiQEV版、iQEV=eQ100台程度販売したようだが、その後もEVの販売を継続して貰いたかったものだがその後EVの話はそれほど聞かなくなった。

ここら辺がトヨタHVに溺れていた証拠で、先見の明がなかったということであろう。

 

iQEVについては2012.3.29の「番外編・プリウス急加速問題(88)」でほんの少し触れているが、今更EV事業企画室」なんぞを作っても遅いっていうこと。但しやらないよりかはヤッタほうが余程良いので、しっかりとやってもらいたいものである。

 

またその東洋経済には、自動運転でも次のような言葉が並んでいる。「トヨタは今でこそ自動運転と言う言葉を使うが、昔は社内のエンジニアの間では禁句。代わりに「運転支援」という言い方がされていた(トヨタOB

 

これなども豊田章男社長の言う「もっといいクルマを作ろうよ」と言うスローガン(?)の「もっといいクルマ」の定義を世の中の変革の中で、「操る歓び」からしっかりと変えていかなかったことに問題があると小生はにらんでいる。なまじっか豊田章男社長がC級ライセンスなんぞを持っているから、周りが余計な忖度をしてしまっているかもしれない。C級ライセンスを持つことが悪いと言っているのではない。社長が車を高度に運転することは非常に良いことであるが、そのことを忖度させないようにしなければならないのであろう。ましてや180度否360度もクルマに対する要求が変革している時に、旧態依然とした価値観だけでは、世の中はやってはゆけないである。

 

世の中は「クルマは操るもの」から「CASE」に変革していると唱えたのは、2016年のバリモーターショーでの「ダイムラー」だったのである。(同東洋経済より)

 

CASEとは、

 

C Connected(ネットと自動車の接続)

A Aoutmotive(自動運転、AI)

S Sharing(ライドシェアー、カーシェアー)

E Electric(電動化)

 

である。

 

だから日産のセレナに「プロパイロット」が初めて、搭載されてしまったのである。

 

「いいクルマ」もそのように変わるべきなのである。

 

トヨタは、199712に「21世紀に間に合いました。」のキャッチコピーで、世界初となる「量産ハイブリッド自動車」を発売したり、更には201412には「量産型燃料電池自動車ミライ」をこれまた世界初めて発売している。このようにトヨタは世界の「エコカー」の先頭を走ってきたが、このところトヨタは先頭を走っていない。2歩も3歩も遅れている、ように見える。それと言うのも「電気自動車・EV」をないがしろにしてきたからである。

 

今までのトヨタは「ハイブリッド」に胡坐をかき過ぎ、「操る歓び」に固執し過ぎたためである。

 

世界の環境は悪化の一途をたどり、もう待ったなしの状態なのだ。一刻も早くCO2の排出を減らし、否CO2の排出を無くさなければならないのだ。

 

1年前の豊田章男社長の発言に、明確には電気自動車と言う言葉が見当たらなかったことは、非常に気になるところである。

 

 

トヨタ社長「今後100年はエコカー時代」 日経・FT共同インタビュー

2016/1/12
ニュースソース
日本経済新聞 朝刊

 トヨタ自動車豊田章男社長は日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)との共同取材に応じ「今後100年はエコカーの時代」とし、燃料電池プラグインハイブリッド車(PHV)など複数の技術を展開していく考えを強調した。各国の規制などに合ったエコカーを機動的に投入できるようにして世界規模で強まる環境対策に応えていく。(関連記事を日経・FT共同特集面に)

インタビューに答える豊田章男社長

インタビューに答える豊田章男社長

 豊田社長は「自動車産業は過去1世紀、ガソリンエンジンが主流だった。次の100年はさまざまなエコカーが伸びてくる」と指摘し、PHVや燃料電池車、ディーゼルエンジン車などが発展していくとした。

 他の自動車大手は日産自動車電気自動車(EV)、独ダイムラー燃料電池などとエコカー戦略の柱を定めている。これに対しトヨタは年1兆円の研究開発投資で幅広いエコカー技術に対応し「各地域の消費者の選択に応えていく」(豊田社長)との考えを示した。

 豊田社長は「目標数値に依存する経営」のリスクも強調した。販売台数などの数値目標を掲げて会社を引っ張ると、それ以外のものが目に入らなくなり組織が1つの方向に暴走しかねない。「販売台数で世界首位」をめざした独フォルクスワーゲンの排ガス不正事件や、東芝の会計操作など「数字にこだわりすぎる経営」の引き起こす不祥事は後を絶たない。

 豊田社長は「現場に近いところでそれぞれ数字の目標を決めて頑張るのはいいが、経営トップはやってはいけない」「リーマン・ショック以前のトヨタも数字経営だった」などと持論を展開した。

http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ05I2N_X00C16A1MM8000/

 

 

当然「各地域の消費者の選択に応えていく」ことは必須のことではあるが、それにもまして地球環境への配慮を今すぐやる必要があるのではないのかな。「トヨタFCVEV、そしてPHVも共に展開してゆく」と言ってほしかったのである。1年早くこの時にそう言ってもらいたかった。

 

2016121日付での「EV事業企画室」は、遅きに失している。だがやらないよりはしっかりやったほうがよいので、早急にEVを世に出してもらいたいものである。それこそが地球環境への配慮となろう。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(45)

EV用の車載電池を外部から手に入れることも可能であるが、この固体酸化物型燃料電池(SOFC)を使うことを真剣に考えているのではないのか、と言う推測も成り立つのではないのかな。

 

何と言ってもこの「e-Bio Fuel-Cell」搭載の「e-NV200」の話と同時に、「オートモーティブエナジーサプライ(AESC)」(神奈川県座間市売却の話が明らかとなってきたからだ。

 

 

 

日産自、車載用電池事業から撤退へ 子会社株売却へ交渉=関係筋

  Business | 201608619:36 JST

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 8月6日、日産自動車が電気自動車(EV)などの車載用電池事業から撤退する方針を固めたことがわかった。複数の関係筋が明らかにした。写真は神奈川県横浜市の同社グローバル本社で2015年7月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino) 日産EV電池売却r

(ロイター)

[東京 6日 ロイター] - 日産自動車7201.T>が電気自動車(EV)などの車載用電池事業から撤退する方針を固めたことがわかった。NEC<6701.T>と共同で出資する同事業子会社の株式売却などに向けてパナソニック6752.T>やアジアなど国内外の大手電池メーカー数社と交渉に入っている。複数の関係筋が明らかにした。

世界の自動車産業では環境にやさしい電動化車両への動きが強まっているが、日産は量産効果が限られる自前生産よりも、他の自動車メーカーにも供給している外部の大手電池メーカーから調達したほうがコストが抑えられ、車両価格も引き下げられると判断した。

売却を検討しているのは「オートモーティブエナジーサプライ(AESC)」(神奈川県座間市)の株式で、日産51%NECグループ49%を出資している。日産のEV「リーフ」やハイブリッド車(HV)などに搭載するリチウムイオン電池の開発、製造、販売を手掛けている。株式のほか、英国や米国での電池生産事業も手放す考えだ。

日産のカルロス・ゴーン社長はこれまでも、性能やコストの面で競争力のあるメーカーの電池を採用する方針を示してきた。2014年にはすでにEV電池の自社生産縮小に向けて準備を進めていたほか、提携先の仏ルノーRENA.PA>にも供給している韓国のLG化学051910.KS>製を採用する可能性を示唆していた。

EVの本格的な普及を後押しするには、1回の充電で走行できる距離(航続距離)を伸ばす高性能な電池とそのコスト低減が課題の1つになっている。2010年に発売したリーフはこれまでに世界で累計20万台以上を販売してきたが、航続距離への不安などから想定以上の販売にはつながっていない。

車載用電池事業からの撤退について、日産の広報担当者は「報道内容は当社が発表したものではない」とした上で、顧客に最高のEVを提供するために「今後も最適な商品と事業構造の実現に向けたビジネス戦略を追求する」と述べた。パナソニックとNECの広報担当者はコメントを控えた。

*記者名を修正して再送します。

(
白木真紀、田実直美、山崎牧子、ティム・ケリー)

http://jp.reuters.com/article/nissan-ev-battery-idJPKCN10H083

 

 

この記事によると、AESCの売却先は国内ではパナソニック、海外ではアジア、であれば中国になるのではないのかな。AESCは、2016年初めに中国のEVバスメーカーにリチウムイオン電池を100台分既に供給しているし、今回も新たに200台分の電池の供給を契約している。だから中国へ身売りされることは十分にあり得る話である。しかし一種の先端技術であるので、中国だけには売り渡して貰いたくはないものだ。

 

 

日産が売却予定の車載電池会社、中国EVバスに供給

日産以外の供給先は増えるか

20170122

 

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 オートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)は、このほど中国の電気自動車(EV)バスメーカーと、EV用リチウムイオン電池の供給契約を結んだ。AESCに出資する日産自動車はAESC株の売却を検討しており、AESCは日産以外との取引拡大が課題となっている。中国EVバスメーカーへの供給拡大で日産への依存度を減らす。

 江蘇常隆客車(アルファバス)に、日産のEV「リーフ」に採用されている24キロワット時のリチウムイオン電池を供給する。供給量はEVバス200台分。リーフ換算で1600台分に相当する。

 同バスは広西省の公共交通機関として運行しており、航続距離は250キロメートル。全長8メートルで定員は72人。2016年初に契約した100台分に続き2回目の大型受注となる。中国のEVバス市場は補助金が支給されることもあり拡大傾向にあるという。

 AESCは日産が51%、NECとNECエナジーバイス(同相模原市)が49%出資するリチウムイオン電池メーカー。車載用では供給先のほとんどが日産向け。

 日産は電池の外部調達を視野に入れており、AESC株を売却する方針。AESCは日産以外の供給先を確保するのが課題となっている。アルファバスへの供給拡大で、日産以外との取引拡大に弾みをつけたい考え。

日刊工業新聞2017119

http://newswitch.jp/p/7628

 

(と言う事であったが、最近こんな記事も報じられているので追記しておこう。)

 

 

日産、電池子会社を中国ファンドに売却 1100億円、最終調整

2017/5/27  ニュースソース  日本経済新聞 朝刊

 日産自動車が売却を検討していた車載用電池子会社について中国の投資ファンド、GSRグループと最終調整に入ったことが26日、明らかになった。売却総額は1100億円前後とみられる。日産は外部調達に切り替えて電池のコストを引き下げ、次世代エコカーの本命と位置付ける電気自動車(EV)の価格競争力を高める狙いだ。

 売却対象となっているのは2007年に設立したオートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)。日産が51%、NECグループが49%を出資し、主力EV「リーフ」向けの車載用リチウムイオン電池などを生産する。15年の車載用電池の世界シェアはパナソニックに次ぐ2位。

 日産は米英に持つ車載用電池の生産設備についてもGSRと売却交渉を進めているもよう。現行のリチウムイオン電池技術を使った電池の生産からは撤退する方向だ。一方で新素材を使う次世代電池は自前での研究開発を続ける。

 GSRはIT(情報技術)や環境分野に強みを持つファンドで、米国や中国の車載用電池メーカーにも投資実績がある。AESCが持つ設計・生産ノウハウを取り込み、環境規制を背景にEV市場が拡大する中国で車載用電池の供給体制を構築する狙いがあるようだ。

 

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO16933470W7A520C1TJ2000/?n_cid=SPTMG002

 

(追記終わり)

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(44)

すぐに発売となるのではなく、まあ2020年に市販予定だと言うので、それなりに解決すべき課題も多いのではないのかな。水素は水の電気分解である意味無尽蔵に供給されるので、どちらがより普及するのか見ものである。

 

水素は再生可能エネルギーでの水の電気分解であれば、CO2フリーで生産が可能である。しかもある意味無尽蔵にそれが可能であるので、夢の資源となるものである。

 

まあエタノールから水素が作れるのであれば、それを水素スタンドに売ることもできるのであり、それもこれからの課題となろう。だたしエタノールの製造は、本体がカーボンニュートラルとはいえ、CO2を排出するので必ずしも地球にやさしいと言う物ではない。それを使う場合には、そのことを常に頭においておかなければならない。

 

 

そんな問題もあるが日産は、このシステムをひょっとしたら次期「リーフ」に載せて、航続距離を圧倒的に伸ばすことも検討しているかもしれない。

 

 

日産、バイオエタノールで走るFCV技術発表 20年に実用化へ

Business | 2016061420:31 JST

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 6月14日、日産自動車は、バイオエタノールを燃料とした新しい燃料電池車(FCV)の技術を発表した。4月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino/File Photo

(ロイター)

[横浜 14日 ロイター] - 日産自動車7201.T>は14日、バイオエタノールを燃料とした新しい燃料電池車(FCV)の技術を発表した。電気自動車(EV)の弱点である航続距離(1回のフル充電で走行できる距離)をガソリン車並みに伸ばし、EVでは難しい大型車両への展開に活かす。2020年ごろ商用車などでの実用化を目指す。

バイオエタノールはサトウキビやトウモロコシなど植物由来の資源(バイオマス)を発酵・蒸留して作るアルコール。南米やアジアなどで流通しており、ブラジルではガソリンスタンドで補給できる。植物が育つ段階で吸収する二酸化炭素(CO2)と、車として走行時に排出するCO2を相殺することで、大気中のCO2の増加をゼロに近づける狙いがある。

日産が発表した新しい燃料電池システム「eーバイオ・フューエルセル」は燃料と酸素の反応を利用する固体酸化物形燃料電池(SOFCSolid Oxide Fuel Cellを発電装置としたシステムで、SOFCで発電した電力をバッテリーに供給してモーターで駆動する。同社によると、自動車の動力源として車両に搭載するのは世界初。同社のEV「リーフ」の航続距離は最大280キロだが、新技術では約800キロを目指す。

日産の坂本秀行副社長は、新技術は同社が注力している「EV戦略の一部」との位置づけとし、「EVが苦手な重いSUV(スポーツ用多目的車)、ピックアップトラック、商用トラックなどに拡大できる余地がある」と述べた。

トヨタ自動車7203.T>やホンダ<7267.T>が実用化しているFCVでは水素を燃料にしているが、坂本副社長は「水素は製造する際のエネルギーやコストが非常に高く、インフラ投資も非常に必要」と指摘。一方、バイオエタノールは高額なインフラ投資や触媒に使う高価な希少金属が不要なため、「調達が簡単で、安全性が高くコストが低いのが最も大きなメリット」と語った。気体の水素に比べ、液体のエタノールの方がタンク容量も小さくて済むことから、車両のレイアウトもしやすいという。

日産も水素を燃料とするFCVの技術開発で独ダイムラーDAIGn.DE>や米フォード・モーターF.N>と提携しているが、坂本副社長は、実用化については「まだ十分話ができていない」といい、「どう製品化するかは個社の判断になる」と述べた。水素はコストや調達などの面でまだ不安定なため、日産としては「今すぐ商品化は考えていない」(同副社長)。ただ、水素の製造プロセスの技術革新の進展に備え、ダイムラーなどとの研究開発を続けるという。

*写真を追加しました。

(
白木真紀)

http://jp.reuters.com/article/nissan-idJPKCN0Z01B3

 

 

調達が簡単で、安全性が高くコストが低いのが最も大きなメリット」と、日産は見ているのでそのまま放っておくことはなかろう。日産にとっては、「EV戦略の一部」と言うよりも、「EV戦略そのもの」かも知れない。エタノールが得やすいブラジルで早速のプロトタイプを発表している。だから「リーフ」にも載せられないことはない。

 

 

日産、SOFCを発電装置とする世界初の燃料電池電気自動車プロトタイプを発表

2016080517:48

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マイナビニュース

 

日産自動車5日、バイオエタノールから発電した電気で走行する新しい燃料電池自動車のプロトタイプをブラジルで発表した。同プロトタイプに搭載した日産の新技術「e-Bio Fuel-Cell」は、エタノールの他にも天然ガスなどの多様な燃料と酸素との反応を利用して高効率に発電する固体酸化物型燃料電池(SOFC)を発電装置としたシステムで、自動車の動力源として車両に搭載するのは今回が世界初となる。

同プロトタイプは、100%電気自動車の多目的商用バン「e-NV200」に、100%エタノールを燃料とする発電装置(SOFC)を搭載した特別仕様車SOFCにより高効率に発生した電気が24kWhのバッテリーに蓄電され、600km以上の航続距離を実現する。日産によれば、ブラジルの一般道にて同プロトタイプを用いてフィールドテストを実施し、技術や車両の市場性などを検証の上「e-Bio Fuel-Cell」の更なる研究開発を行うとのこと。

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月に日産が研究開発を発表した「e-Bio Fuel-Cell」は、100%エタノールもしくはエタノール混合水を燃料とするため、クリーン、高効率、かつ燃料供給がし易いことが特徴の技術。サトウキビやコーンなど植物由来のエタノールを使う事で大気中のCO2の増加をゼロに近づけられる「カーボン・ニュートラル・サイクル」が実現することに加え、停車時からの走り出しの良さやきびきびした走りなど、バッテリーEVと同等のドライビングプレジャーやランニングコスト、そしてガソリン車並みの航続距離の実現が可能となっている。

さらには、エタノールの入手性の高さや、エタノール混合水の可燃性の低さにより、インフラの制約が少なく市場導入がしやすい技術と考えられている。

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

http://news.mynavi.jp/news/2016/08/05/425/

 

 

しかも日産は電池離れも考えているようで、車載電池事業から撤退するようだ。しからば、「リーフ」などのEV用の車載電池はどこから手に入れようとするのか、と言う問題が惹起される。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(43)

ただ「バイオエタノールBioethanol」は、糖質やでんぷんなどを発酵させそれを蒸留して作られるアルコールである。セルロースからも出来るようだが、こちらの方はより難しいようだ。

 

だから再生可能なバイオマス生物の集合、全体)から作られるので、カーボンニュートラルともいわれているが、必ずしもそうは言えないようだ。

 

先ず元となる

糖質は、サトウキビ、甜菜

でんぷんは、トウモロコシ、米、麦など

セルロースは、木質チップ、稲わら などである。

 

そのため糖質やでんぷんは、再生可能な植物から生産でき、生成過程ではその植物が吸収したCO2を放出するだけなので、カーボンニュートラルと言われている。しかし必ずしもそうはならない。発酵させるには熱が必要となるので、化石燃料を燃やすことになり、サトウキビやトウモロコシを作るのにも、何らかの機械を使うことになり、ここにも化石燃料が必要となる。

 

だからバイオエタノールは、必ずしも環境にやさしいものでもないのである。ただ再生可能なのである意味便利である。化石燃料は、当座は再生できないのである。その点が石油に対してのメリットであろう。

 

そしてバイオエタノールは現在の技術であり、今でも普通に使える。ただ食料とのトレードオフとなり食糧問題が大きくなる。これを放っておいてよいものかどうか、きわめて深刻な問題である。

 

それと折角植物が消費したCO2をまた世の中に放出することとなるので、いくらCO2ニュートラルとはいえ、CO2の濃度はそれだけ上昇することとなり温暖化が前進してしまう。これって、いくらニュートラルだと言え、許されることなのかはなはだ疑問である。

 

現在バイオエタノールを積極的に使っているのは、アメリカとブラジルである。

 

アメリカはトウモロコシ、ブラジルはサトウキビを大量生産しているから、それが可能である。まあ、人間の食料となる食物を、エタノールに変えているのである。だから、これは問題なのである。

 

偽りの救世主!?食料エタノール

http://earthoffuture.kagennotuki.com/baio.html

 

には、この件が詳しく書かれているので参照されるとよい。

 

そしていくら再生可能なバイオマスとはいえ、天候などにも影響され、食料価格の変動は制御が難しいものになる。ただ現在の科学で、ある程度は制御できるのではないのかな。かなり古いが次のニュースを参照願いたい。

 

バイオ燃料頼みの危うさ 穀物高騰や生産効率が課題

2012/10/22 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 今年夏以降、小麦、トウモロコシなど穀物価格が高騰、高止まりが続いている。北米に始まり、中国、ロシアなどに広がった干ばつによる不作が直接的な原因だ。穀物先物市場への投機マネーの大量流入も大きな要因ではあるが、投機マネーを誘い込んだのは不作による穀物の在庫率の低下だ。

 21世紀に入って、こうした穀物の価格高騰が起きた時に必ず起きるのが「食糧対エネルギー」という議論だ。トウモロコシやサトウキビ、さらに小麦、菜種、パーム油などから生産されるバイオ燃料が人間の食べる食糧を消費し、食糧不足を招くという危機論である。

 確かに米国では毎年1億2000万トンものトウモロコシがエタノール生産に使われている。これは米国のトウモロコシ生産量の30%超にのぼる。もし、エタノールの原料となるトウモロコシが食糧として供給されれば、価格高騰は収まるという理屈は誰が考えても確かだろう。

 にもかかわらずトウモロコシをエタノール原料にする動きが止まらないのには理由がある。「E10」だ。米国では自動車用燃料のガソリンに10%の比率でバイオエタノールを混ぜることが義務付けられている。空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する植物を起源とするバイオエタノールは「カーボンニュートラル」であるため10%混ぜれば、その分、CO2排出削減につながるからだ。米国にとってバイオエタノールCO2排出削減の切り札にもなっている。

 逆に言えば、10%を達成するために米国ではエタノール原料のトウモロコシを食糧に回せないという事情がある。「10の罠(わな)」である。不足する分はブラジルからサトウキビを原料とするエタノールを輸入する選択肢もあるが、大量に確保することは難しい。さらに悩ましいのは、原油高でガソリン価格が上昇している時はエタノール価格も上昇、農家はトウモロコシを食糧よりもエタノールに回した方が利益を高められるという力学が働くことだ。

 結果的に原油高はエタノールを経由してトウモロコシなど穀物価格との連動性を高めている。もともと米国でトウモロコシからエタノールを生産したのは、トウモロコシの過剰生産により相場が暴落、農家の経営が立ちゆかなくなったからだ。決して、食料を犠牲にしてエネルギーを生産しようとしたわけではない。だが、現状ではエタノール生産の穀物市場への影響は年々強まっている。さらに各国が輸送用燃料に占めるバイオ燃料の比率を高め始めれば穀物や油糧種子の市場生産は大きく揺さぶられることになるだろう。

 世界には一般に言われるのと違って、穀物増産の余地がかなりある。ブラジルの乾燥地セラードはまだ大半が未利用地で灌漑(かんがい)設備を備えることで10億人分以上の食料を生産できるという試算がある。ウクライナやロシア、カナダ、東アフリカなどもそうだ。食料に影響がでないほど穀物を増産すれば、バイオ燃料と食料は完全に切り離すことができるだろう。だが、そこまで増産すれば、当然、穀物価格は暴落、世界の農民は路頭に迷いかねない。

 バイオ燃料には穀物ではないセルロース系植物を原料とする技術も開発されつつあるが、生産効率など難しさが残っている。バイオ燃料は重要な再生可能エネルギーだが、限界がある。それを突破しようとすれば、ガソリン、天然ガスバイオエタノールを随時、切り替えて燃料にできる複数燃料化やハイブリッド化を進めるしかない。トウモロコシの需給が逼迫している時にはガソリンを使ったり、プラグインハイブリッド車ではバッテリーによるモーター駆動の時間を長くしたりするという選択肢を確保することが重要になる。

 バイオ燃料のみという車やエネルギー供給構造には不安が残る。バイオ燃料はほかの選択肢を用意した複線的な利用で良さが発揮される。これは太陽光発電や風力などほかの再生可能エネルギーにも共通する。原発を廃止して再生可能エネルギーを中核にしようというエネルギー論のリスクはそこにある。

編集委員 後藤康浩)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD190M4_Z11C12A0000000/

 

 

日産はこの燃料電池システムを「e-バイオ・フューエルセル」と呼んでいるが、これが普及するにつれて、食糧問題がクローズアップされることだけは防がなくてはならない。日産はこれを2020に発売する予定だと言うが、普及するにつれて食料問題に言及されることが増えるのではないのかな。それは問題なのだが。それからCO2の濃度も上昇して以前の濃度になってゆくことになる。これも問題であろう。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(42)

まあ「ノートe-POWER」では大当りしているが、技術的には並のものでそう大したものではないのでしょう。いわゆるシリーズ式ハイブリッドと言う既存のものである。「電気自動車のまったく新しいカタチ」と言っているが、CO2を排出しない何らかの技術であればよいのだが、これはまだそこまでいっていないし、何も新しいものでもない。この宣伝に踊らされて一般人が、かなり買っているので大当りということになっているが、日産としては本当の新技術として大当りを切望しているのではないのかな、と小生には感ずるのである。

 

これが、その「セレナ」に搭載した「プロパイロット」と言う自動運転技術なのであろう。

 

そのために敢えて「セレナ」と言う一般大衆車であるミニバンに、この高級な自動運転技術(実際には運転支援技術であるが)を搭載したものであろう。

 

またこれが大当たりしたのである。

 

販売台数でみると、1月は11,179台で2位、2月は10,983台で5位、3月は14,577台で6位と、大健闘している。このため1月は(先にも述べたが)1,2位と日産車が占めて32年ぶりの快挙となっている。

 

そのため日産としては、早々に海外展開も検討されているようで、イギリスのサンダーランド工場で生産されている「クロスオーバーSUV・QASHQAIキャシュカイ」に搭載されると言う。「ニューモデルマガジンX」の4月号によると、既に欧州ではそのことが予告されており、テストカーもカモフラージュされてはいるが、試験走行している姿も捉えられている。今年の10月に発表されるのではないか、ということだ。

 

なお日本ではこのセレナにあの「e-POWER」を載せる話もあるようで、日産にしてみればなかなか楽しみなのではないのかな。

 

さて先行車追従機能車線維持支援システムの2つの機能は、高速道路の単一車線において、時速30100キロの範囲内でしか機能しないようにしているらしい。即ち現状では、道路上の白線がしっかり引かれていて、各車がそれほど複雑な動きをしない高速道路の単一車線でしか機能しないようにしているということのようだ。

 

日産によれば、

当初は高速道路の単一車線での利用に限るが、2018年には複数車線2020年には交差点など市街地にも利用範囲を広げる、と言っている。いわゆる完全(に近いよう)な自動運転と言う物は、2020年には利用できるようになるということだ。あと3年もすれば完全な(?)自動運転が実現されるということなのか。素晴らしい世になる半面、ますますクルマ離れが進むことも考えられるが、何はともあれこれからが楽しみだ。と同時に、トヨタ豊田章男社長にとっては、針の筵に座っているような感じではないのかな。FCV「ミライ」で燃料電池車世界初の称号は得ているが、電気自動車EVはまだ持っていない。

 

欧米などでは、その電気自動車EVが一世を風靡しだしている。今のところトヨタは切歯扼腕だ。しかもFCVもそれほど流行らなくなっている。

 

ホンダがリース販売とケチな売り方をしているし、肝心な日産が直接水素を使うFCVから距離を置きだしたからだ。

 

 

日産、バイオ燃料で走るFCV開発へ 水素ステ不要 20年市販目指す

20160614日 06:51フジサンケイビジネスアイ

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日産の市販EV「リーフ」。新たにバイオ燃料FCV試作車も今夏に公開予定で、エコカー戦略を加速する(ブルームバーグ)   



 日産自動車は14日、サトウキビなどからつくるバイオ燃料で発電してモーターを駆動させる燃料電池車(FCV)を開発すると発表した。バイオ燃料を使うことで環境に負荷をかけず、水素ステーションの制約を解消する発電効率の高い燃料電池を使い、電気自動車(EV)並みに車両価格を引き下げる見込みだ。今夏にも試作車を公開し、2020年の市販を目指す。

 日産はEVを環境対応車戦略の中核に据える。坂本秀行副社長は同日の記者会見で、「EVの苦手とする車体の重い大型車や長距離走行が必要な車種に搭載したい」と述べた。

 FCVは水素と酸素を化学反応させて発電し、走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない究極のエコカーとされる。トヨタ自動車14年12月に初の量産FCV「ミライ」を発売し、ホンダ今年2016年)3月リース販売を始めた。

 トヨタやホンダは水素をタンクに充填(じゅうてん)するが、日産は車内でバイオ燃料を化学反応させて水素をつくる仕組みを採用。水素をつくる際にCO2は発生するが、成長過程でCO2を吸収する植物由来の燃料を使うことで相殺できるという。

 南米などはバイオ燃料が給油所で補給できるため入手しやすい。国内では流通していないが、水素ステーションのようなインフラ整備は必要がない

 また、高温で作動する高効率の燃料電池システムを採用。1回の燃料補給で600キロ以上走ることができるうえ、低温で作動する現行のシステムに必要な白金など触媒が不要になる。

 トヨタやホンダのFCVは希望小売価格が700万円以上するが、触媒や高圧の水素タンクなど高価格な部品を省く設計にすることで「20年にはEVに近い価格まで引き下げられる」(坂本氏)。高効率の燃料電池は激しい温度の上下による部品の耐久性や、作動までに時間がかかる課題がある。日産は大学などと連携して対策を検討し、市販を実現する考えだ。

 自動車各社は次世代エコカー開発にしのぎを削っており、これまで日産はEVを中心に据えてきた。ただ、これまで急速に販売を伸ばすには至っていない。一方のトヨタやホンダは水素燃料のFCVで先行。日産としては今後もEVをメインにしつつ、新たな方式の燃料電池車も投入することで全方位戦略を進める考えだ。

 海外では独フォルクスワーゲンが電動化にかじを切り、ダイムラーもEVとともに17年に燃料電池車を発売することをこのほど発表した。EV勢では米テスラや中国の新興メーカーなども加わり、次世代エコカー開発競争はさらに激しさを増すことになる。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160615/bsa1606150500001-n3.htm

 

 

バイオ燃料を現状のガソリンタンク(?)に入れるだけで(それだけではないとは思うが)、高圧水素タンク水素スタンドもしかも白金も不要で、FCVが走るということはとてもメリットではないのかな。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(41)

日産、"自動運転"を「セレナ」に搭載する意味 普及価格帯で世界初も、ジレンマとの戦いへ

木皮 透庸 :東洋経済 記者   20160716日   

 

主力車種である新型「セレナ」に、普及価格帯として世界初となる自動運転技術搭載(撮影:尾形文繁) 日産新型セレナ

 

「自動運転の技術で安心、安全、快適な空間を提供する。世の中にこの価値を問うていきたい」

日産自動車は国内自動車メーカーとして初めて、自動運転技術を搭載した自動車である新型「セレナ」を8月下旬に発売する。13に開かれた技術説明会で研究開発部門トップの坂本秀行副社長は胸を張った。

日産にとって自動運転技術は、排出ガスを出さない電気自動車と並び、研究開発の最重要テーマだ。国内市場向け車種のフルモデルチェンジも201312月発売のSUV「エクストレイル」以来、実に28か月ぶりとなる。足元では三菱自動車から供給を受ける軽自動車の燃費不正問題で厳しい戦いを強いられている国内販売を浮揚させる点からも絶対に失敗が許されない。

テスラの死亡事故で関心が高まる

今年(2016)5自動運転中だったテスラ・モーターズの車両が米国で死亡事故を起こしたことが判明。自動運転の安全性に対して社会の関心が高まり、今回の日産の説明会はメディアの注目を集めた。現地の報道ではテスラ車のユーザーがDVDを見ていた可能性も指摘され、米国運輸当局が調査中だ。

この事故を受け、今月6日、国土交通省警察庁は現在実用化されている「自動運転機能は「運転支援技術」であり、機能を過信せず責任を持って安全運転を行うようドライバーに呼びかけた。国内自動車メーカーと輸入車ディーラーに対しても自動車ユーザーへの十分な説明を求めた。

こうした動きに日産も敏感に反応した。説明会では「自動運転技術」と銘打ったが、質疑応答の時間では坂本副社長が開口一番、「自動運転の意味は運転支援技術であり、全ての状況をカバーできるわけではない」と断りを入れた。一方で「ドライバーの不注意や操作ミスで起きる事故の防止に大きく貢献できる」と新技術のメリットも強調した。

 


フロントウインドウの上部に単眼カメラが設置されている(撮影:尾形文繁)

日産が開発した技術「プロパイロット」は高速道路の単一車線において、時速30100キロの範囲内で前方を走行する車との車間距離を保つ。具体的にはフロントウィンドウの上部に設置した単眼カメラ画像処理ソフト道路上の白線前方の車両を認識し、ハンドル、アクセル、ブレーキを自動制御する。

ドイツのメルセデスアウディでも前を走る車の自動追従技術は既に実用化しているが、普及価格帯への搭載は日産が世界初となる。自動運転機能付きモデルでも300万円以下に抑えるという。セレナはトヨタノアヴォクシー、ホンダのステップワゴンとミニバン市場で競合する日産の主力車種だ。2015年には62000台近くを販売している。

自動車メーカーは一般的に新技術を高級車種から搭載した後、量販車種に広げていく。今回、日産があえて普及車種から搭載していくところにこの技術を普及させたいという強い意志が感じられる。日産は2015年から歌手の矢沢永吉をテレビCMに起用し、「やっちゃえNISSAN」をスローガンに自動運転技術への取り組みをアピールしてきた。ただ、CMで使ってきた「自動運転」という言葉の意味や、その技術が一体どんなものか、消費者の理解が進んでいるとは言い難い。

販売店に対して研修を徹底

日産もこの点は重々承知。CMに見られる積極的な姿勢とはうって変わって、実際の販売は慎重に進める考えだ。同社では新型車の販売前には通常、各販売会社から1名ずつ営業の代表が参加する研修会を行うが、新型セレナの研修では全販売店から1名ずつが参加している。その数、実に2000人弱に上り、全体では3週間をかける。開発者が講師陣となり、実車を用いて、雪道や霧、西日を受けた状態など、カメラの性能限界からプロパイロットが作動しない状況について詳細に説明しているという。

開発幹部は「今までは良いことばかり言ってきたかもしれないが、実際の販売ではお客様と正確にコミュニケーションを取ってもらうよう配慮している」と話す。


新型セレナに試乗。自動運転中もドライバーはハンドルに手を添えている必要がある(写真:記者撮影)

セレナに搭載される「プロパイロット」では、安全に使ってもらうため、ドライバーはハンドルに手を添えていることが求められ、手を離すと5秒ほどで音とディスプレイで警告が出る。さらに10秒経過すると自動運転モードは解除される

日産はこの技術を今後欧米や中国向けの新型車にも搭載する。さらに2018年に高速道路の複数車線、2020年に市街地の走行が可能な自動運転技術を市場投入する計画だ。いずれも事故時の責任はドライバーにあるという前提で開発を進める。

居眠り、脇見運転の感知も必要


自動運転中のモニター画面(写真:記者撮影)

三菱総合研究所の杉浦孝明主席研究員は、「自動運転技術によりドライバーの注意低下を招いて新たなリスクを生むようなことがあってはならない。ドライバーの注意力を認識する機能はこれから必須になる」と話す。

プロパイロットは、ドライバーの居眠りや脇見など不注意運転は感知できない。日産も今後の開発ではドライバーの監視機能を強化する考えだ。

新技術の普及には一定のリスクが伴うのが常だ。リスクを超えた自動運転機能のメリットを日本の消費者や社会にどれだけ訴求できるか。新型セレナは重責を背負っている。

http://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/business/toyokeizai-127629.html?page=3

 

 

自動運転と電気自動車との相性は良い、と言われている。日産は量産EVとしては世界で初めて2010.12月にリーフを世に出している。

 

世界初めてと書いたが、実際には三菱自動車i-MieVの発売が、リーフよりも早い2010.4月でこれが世界初である。まあ三菱のi-MiEVはあまり売れていないし、そのうち日産のEVに吸収されてしまう可能性も大なので、日産リーフが世界初とでも言っておこう。

 

日産にとっては久々に「ノートe-POWER」で大当りしているが、それまでそれほど耳目を集めた技術を盛り込んだクルマの発売はなかったのだ。

(続く)