世界の流れは、EV化(33)

EVHEVLCAでもHEVが優位

 欧州では今、2030年に向けてLCAでのCO2規制の動きが進んでおり、今後世界の潮流になると考えられる。加えて、欧州や米国ではLCAを基準とした国境環境税の議論も進行中である。

 7は、HEVEVLCAでのCO2排出量を、10-15kmの条件(日本におけるクルマの平均的な使用条件)で廃棄することを前提に比較したものである。2018年時点で、EVHEVに対してCO2排出量が43%多い。③の国連目標であるCO2 45%減を満たしても、EVCO2HEVのそれを9%上回る結果となった。

 国が多額の補助金を出し、インフラ整備を推進するEVのトータルのCO2排出量が、価格的にもリーズナブルで、ユーザーにも負担をかけないHEVに対して優位性はないということだ。中国やインドではこれがより顕著となり、米国は日本と同等だ。

 再生可能電力化に猛進する欧州では、2030年以前にEVのメリットがわずかに出てくると予測する。だが、湯水のように補助金を使い、あらゆる措置を投入してEV拡大に傾注する政策は危ういのではないか。補助金やインフラ(充電、送電網)にかける予算を、グリーン燃料の製造推進に回す方がよほど得策であることは自明である。

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7●15-10km走行時のLCAでのCO2排出量    
2030
年に電力製造時のCO2排出量を45%削減することを前提とする。(作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]

1MW級の風力発電2280基、琵琶湖の6割の面積が必要

 続いて、2030年におけるEV用電力の供給量の試算結果について解説しよう。

 日本の2018年における総発電量は約1kWhだ。1次エネルギーの46%を占める電力需要が今後増えないとして、現在動きのある分散化や地産地消などを進めても、日本の貧弱かつ脆弱な電力網の中で、2030年に50%を超える再生可能エネルギー化は、極めてハードルが高い。にもかかわらず、こうした状況でEVが増加すればグリーン電力の供給が追加で必要となる。

 試算の前提として、2030年のEV比率を新車の10%とし(筆者のシナリオでは3%だが)、2021年から販売が単調に増加してEV保有車は250万台(全体の3.5%シェア)、年間走行距離が12000km、電費は6km/kWhとした。ここから、年間の電力総使用量は50kWhと算出できる。これは、1MW級の風力発電設備(設備使用率25%、年間発電量219kWh)の2280基分に相当する。設置面積は琵琶湖の60%を占め、新たな送電線網の追加設置が必要だ。

 現在供給されている電力のグリーン化さえもおぼつかない中で、EV用に新たなグリーン電力を製造できるとは考えにくい。EV購入を希望するユーザーは、小型の低速EVLSEVLow Speed EV)のような「電費」の良い超小型車を、太陽電池パネルとセットで購入して「自産自消」するしかないだろう。EVが大型化すれば、電池搭載量が増して質量も増える。その結果、電費が悪化するので、さらに電池を搭載し電気消費量が増えるという、負のスパイラルに陥るということだ。

グリーン燃料を含めた全方位エネルギー政策が必要

 これまで自動車の電動化〔主にEVプラグインハイブリッド(PHEV)〕によるCO2削減ばかりがフォーカスされてきたが、菅義偉首相の2050カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の表明以降、製鉄や火力発電、エンジン車、航空機、船舶などでも、化石燃料からグリーン燃料への転換に関する報道が過熱している。実は、これらの検討は数年前から始まっているにもかかわらず、積極的に取り上げられてこなかった。関連企業の努力にもかかわらず、政府やエネルギー資本、電力セクターにおける危機意識が足りない。言い換えれば「CO2削減につながる、将来を見据えたエネルギー戦略が欠如していた」ということだ。

 2030年に向け、従来の石油系〔ナフサ、ジェット燃料、灯油、軽油、ガソリン、液化石油ガスLPG)、天然ガス、石炭(コークス)〕消費量の45%程度〔厳密にはHC(水素とカーボンのモル比)の考慮が必要〕を、カーボンニュートラル燃料やカーボンフリー燃料などのグリーン燃料に転換することが待ったなしの状況となっていることに、ようやく気づいたのではないか。

 EV用のグリーン電力供給が期待できない上、LCAでのCO2HEVに対する優位性が出せない中、自動車のEV化に傾注するのは正しい政策ではないことを理解できたと思う。重要なのは、電気の再生可能エネルギー化だけではなく、グリーン燃料の製造と調達を含めた全方位でのエネルギー政策である。

 トヨタ自動車などはかねて、エネルギーの多様化を前提に全方位での車両開発を進めている。にもかかわらず、「いまだに日本のメーカーはEV化が遅れているが大丈夫か」「トヨタはようやくEV化に本腰を入れ始めた」「レースに参戦、水素エンジンも可能性が」などの場当たり的な論評が多い。ちなみに、トヨタ自動車が水素エンジン車でレースに参戦した理由について筆者は、従来のエンジンの改造と水素タンクの設置で水素エンジン車にすればカーボンフリーだということを、理解力のない首相と経産省に示すためだと筆者は推測している。あくまでもデモンストレーションであって、本気で考えているとは思わない保有車のCO2削減を考えれば、水素ではなくバイオ燃料e-Fuelが現実的だ。

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8●トヨタ自動車が開発する水素エンジン
水素エンジンを積んだレーシングカーが24時間耐久レースを走破した。(写真:トヨタ自動車[画像のクリックで拡大表示]    



 国家戦略として、あらゆる産業における全方位のグリーンエネルギー政策を立案し、実行できなければ、日本に限らず中国、欧米なども、持続可能な経済成長と生活の安定は今後保証されなくなる。また、気候危機による自然災害の多発と、今後頻繁に発生すると予想されるパンデミックも、これらに拍車をかけることになる。現在、日本のみならず、中国、欧米で水素エネルギー転換への動きが活発化するが、グリーン燃料は水素だけではない。バイオ燃料、水素から製造されるe-Fuelアンモニア、合成メタンなどの大量生産法まで含め、早急に検討することが必要だ。



https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01721/00004/?P=3


(続く)

世界の流れは、EV化(32)

再生可能エネルギー50%は難しくグリーン燃料が必要

 続いて、日本の発電におけるエネルギーミックスを見ていこう。3はエネルギー構成比、4は排出係数を示す。それぞれについて、日本の2018年における実力値(実績)と日本の2030年の基本政策国連目標であるCO2 45%減2030年に電力製造時のCO2排出量を45%削減(再生可能エネルギー50%)〕について示した。2030年までにCO245%削減するためには、筆者の試算では2018年比で、石炭を31%から11%に縮小する一方、再生可能エネルギー18%から50%へ大幅に拡大する必要がある。日本にとっては非常に高いハードルである。

 小泉進次郎環境大臣は現在の基本政策に示す2224%の2倍は必要だと述べたが、それでも足りない。そのため、50%の内訳には、石炭や天然ガスに代わるグリーン燃料も含める必要性が出てくる。

 202111月に英国で開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、各国政府は具体的な目標を提出することになるが、現在経済産業省が調整中のものは、石炭19%、再生可能3638%と、筆者の示す目標とはほど遠く、さらに原発2022%と従来と変わっていない。これは、稼働中の原発9基から25基程度に増やすことを意味し、廃棄処分場をいつまでたっても決定しない中でのこの姿勢は、以前から全く変わっておらず、無責任そのものだ。

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3●日本の発電におけるエネルギーミックス
日本の2018年における実力値(実績)と、日本の2030年の基本政策(2018年)、2030年の国連目標〔CO245%削減(再生可能エネルギー50%)〕の3つのケースについて示した。2030年までにCO245%削減するのは、日本にとって高いハードルとなる。 [画像のクリックで拡大表示

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4●排出係数 (作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]   

EVHEVWtWHEVに軍配

 次に、2030年におけるEVハイブリッド車HEV)のWell to WheelWtW;油田からタイヤを駆動するまでのCO2排出量)、および原材料調達から生産、使用、廃棄までの全体で評価するライフサイクルアセスメント(LCA)でのCO2に関して比較してみよう。

 5は、2018年時点における各国の単位電力当たりのCO2排出量を示している。インド、中国、日本がワースト3である。図中の①は日本の2018年における実力値(2018実績)、②は日本の2030年の基本政策(2018年)、③は国連目標であるCO2 45%減〔2030年に電力製造時のCO2排出量を45%削減(再生可能エネルギー50%)〕に相当する。

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5●2018年における単位発電量当たりのCO2排出量
(作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]       



 6は、5を基に、EVWtWでのCO2排出量を算出したもので、HEVおよびエンジン車のWtW でのCO2排出量も図中に示した。2018年時点ではEVWtWでのCO2排出量がHEVを大きく上回っている。おまけに、②のエネルギー基本政策を進めても、HEVを下回るCO2排出量とはならない。③の国連目標であるCO2 45%減を満たして、ようやくEVCO2排出量がHEV2030年時点でシステム効率が20%改善したと仮定)のそれを5%ほど下回る。だが、これもHEVのエンジン用ガソリンにバイオ燃料や合成液体燃料(e-Fuel)を5%以上混合すれば、HEVが優位になるということだ。

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6●2018年におけるWtWでのCO2排出量
HV
ハイブリッド車。(作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示


(続く)

世界の流れは、EV化(31)

菅首相はすでに辞任していない。2021.10.4に第100内閣総理大臣に就任した岸田文雄首相の世となっている。



岸田は1014日の会期末に国会を解散し総選挙に打って出た。1031日の投開票では、予想に反して「絶対安定多数」の261議席を単独で確保し、現在は2021.11.10に第101内閣総理大臣となっている。

 

しかし、岸田首相に代わってもこの「脱炭素」の流れは強まるこそすれ変わることはない。

 

 

EUも米国も、内燃機関ICEであるEngine車は、ZEVとしては除外されている。そのためICEを持つトヨタのHV車は、エコであるにもかかわらず、除外されており、2035年からは新車として販売は禁止されることになる。

 

しかしLCAで計算してみると、EVとHVでは、CO2の排出量には差は無いのである。

 

 

 

EVHEVCO2を算出 LCAでも価格でもHEVに軍配

4の警鐘

藤村俊夫 愛知工業大学工学部客員教授(工学博士)、元トヨタ自動車

2021.07.21



 日本の1次エネルギー供給量と電力が占める比率を示したのが1だ。2018年時点で電力は全体の46を消費する。内訳は、再生可能電力が9、石炭や天然ガスなどを使う火力発電所34原子力3となる。

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1●国内の1次エネルギー供給量
(作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]      



 2に消費構成を示す。電力に関しては産業や業務、家庭での消費が大半を占め、産業に関しては1/3を電力に頼る。1次エネルギーの54%はほぼ産業と運輸が占め、石炭や石油、天然ガスを使用する。1次エネルギーの88%は化石燃料に依存している。2030年にはこれらの45%を、2050年には100%をグリーン燃料グリーン電力に置き換える必要がある

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2●1次エネルギーの消費構成 (作成:筆者) [画像のクリックで拡大表示]

 日本は、世界第4位のエネルギー消費国でありながら、エネルギー自給率はわずか12%。これは先進国の中でも極めて低く、石炭や石油、天然ガスといったエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼ってきた。原子力政策に失敗し、電力の再生可能エネルギー化に関しても、先進国でワースト1であり、中国やインドにも劣る。

 2030年に2020年比で二酸化炭素CO2)の45%削減2050年にカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)を実現するには、CO2削減に見合う脱化石燃料化が必要となる。自動車の電気自動車(EV)化などと近視眼的な話をする前に、現在のエネルギー構成を今後どのように転換するかという政策立案が、政府にとっては急務なはずだ。

 電力セクターでは2030年に向け、50%程度を再生可能エネルギーの拡大(詳細は後述)でまかなう必要があるが、これまで1次エネルギーとして使用してきた、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を、カーボンニュートラル燃料やカーボンフリー燃料などのグリーン燃料水素やバイオ燃料、水素とCO2から製造される液体合成燃料(e-Fuel)、水素とCO2からメタネーションによって合成されるメタン、アンモニアなど〕に転換することも喫緊の課題となる。

 同時に、政府の後押しの下で関連企業がグリーン燃料の開発や大量生産に関わる技術の確立を推進すべきことは言うまでもない。

 とはいえ、グリーン燃料に関しては、国内での大量調達は非常に難しい。これまでの化石燃料と同様、輸入に頼ることになる。電気は輸入できないが、燃料は輸入可能だ。1次エネルギーの20%を消費する自動車をEVに転換するという、電力に頼った施策は非常に危うい。これは中国や米国、欧州連合EU)も同様だ。


(続く)

世界の流れは、EV化(30)

環境NGO「石炭火力への対応は政府計画の本気度の試金石」

 

350.org Japanは「パリ協定1.5度目標達成のためには30年には先進国で40年には世界全体で石炭火力発電を全廃しなければならない。石炭火力への対応は政府計画の本気度の試金石になる。しかし現段階では政府は高効率の石炭火力の新設や海外への輸出を止める方針転換は発表していない」と指摘しています。

 

地球温暖化防止に取り組むNPO/NGO、気候ネットワークも「50年ネットゼロ目標を法定化すべきだ。30年までの『石炭火力フェーズアウト(段階的全廃)』を目標に定め、脱原発も同時に進め、30年の電力構成を、再生可能エネルギーLNG液化天然ガス)のみで賄う計画を定めること」を求めています。

 

ストアブランド・アセットマネジメントCEO最高経営責任者)ヤンエリック・ソージェスタッド氏は「日本のような石炭集約型経済からのネットゼロ・コミットメントは、真剣に受け止めることができる緊急かつ信頼できる石炭段階的廃止計画と組み合わせる必要がある」と注文を付けました。

 

ノルディア・アセットマネジメントの責任投資部門責任者エリック・ペダーセン氏は「国内および海外の両方で新しい石炭火力発電所の試運転を止めるという明白なステップを含む、石炭火力を迅速に段階的廃止する実質的な計画が伴うことを期待する」と述べました。

 

東日本大震災福島第一原発事故で「日本最大の敵は原発」という空気が支配し、温室効果ガスをまき散らす「石炭化」が急速に進みました。地球温暖化・環境対策の先頭に立つ欧州連合EU)にとって「石炭化」した日本は最大の攻撃目標になりかねない状況でした。

 

EUが導入する「国境炭素税」とは

欧州委員会のフランス・ティメルマンス執行副委員長(気候変動担当)は昨年12マドリードでの国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)で筆者の質問にこう答えました。

 

欧州委員会のティメルマンス執行副委員長(昨年12月、筆者撮影)  

 

福島原発事故の悲劇で日本の状況はある程度、理解しているが、石炭に未来はないという欧州の見方を繰り返さなければならない。経済的にも石炭に未来はない。再生可能エネルギーへの移行は順調に行っている。本当に実質ゼロを実現しようと思ったら、石炭をやめなければならない

 

EUだけが突出して温暖化対策を強化すると域内企業の国際競争力が下がります。そこでEU並みの温暖化対策をとっていない国からの輸入品に炭素価格分の関税を上乗せしようという「国境炭素税」をEUは導入しようとしています。排出大国の中国やインドに対して「国境炭素税」をちらつかせて50年実質ゼロでスクラムを組む考えです。

 

共同通信によると、東京電力福島第一原発の敷地内にたまる処理済み汚染水について、政府は福島県内の自治体などに海洋放出を前提にした方針説明を開始。関係閣僚会議で正式決定すべく日程を調整しているそうです。

 

菅政権は原発再稼働を急ぎ地球温暖化対策を進める考えです。もちろん長期的には原子力も過渡的エネルギーですが、現時点での優先順位は「脱石炭」です。

 

良くも悪くも日本学術会議問題は、菅首相が問題を先送りせず「決断する人」「実行する人」であることを強烈に印象付けました。岩盤規制だけではなく、菅首相は「原発反対」という左派のマジノ線も真正面から強行突破する構えです。

 

日本に根強く残る左と右の「ベルリンの壁」を粉砕しなければ未来の扉は開きません。「ライト(右)」か「レフト(左)」より「Right(正しい)」か「Wrong(間違っている)」で判断するなら、菅首相のリベラルな所信表明演説は「Right」と判断できるのではないでしょうか。

 

菅首相所信表明演説は首相の地位に恋々とせず、首相になったからにはこれだけは日本の未来のために実現したいという覚悟を感じさせました。国民の大多数も好感したのではないでしょうか。菅政権のスピード感と実行力に期待します。

 

(おわり)

 

木村正人

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。200203年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20201026-00204852

 

 

NPO/NGO、気候ネットワークの言う「・・・30年までの『石炭火力フェーズアウト(段階的全廃)』を目標に定め、脱原発も同時に進め、30年の電力構成を、再生可能エネルギーLNG液化天然ガス)のみで賄う計画を定めること」と言うことは、理想論に近い、と言うよりも理想論そのものであろう。現在のところ、原発CO2フリーの主要電源の位置づけである。今ある原発は有効利用すべきものではないのかな。

(続く)

世界の流れは、EV化(29)

そこら辺を次に簡単にまとめておく。





EU

(1) 2030年までに2021年比でCO255%の削減←当初は37.5%減であった。

(2) 2035年までにはCO2100%削減→ICE禁止、HVPHVも販売できない。

(3) 2050年にはCarbon Neutral(CN)とする。即ちCO2排出ゼロ目標('19.12.11)

(4) 2035年以降ではICEは禁止、HVもダメ。ZEVしか売れない。EVFCVHICE(水素)だけ。



USA

(1) 2030年には新車の半分はZEVEV,FCVPHEV)としなければならない。

(2) 加州など12州は、2035年には全車種ZEVとする方針。

(3) 2035年には大半の新車はZEVとならざるを得ない。



中国

(1) 2035年には、NEV50%+HV50%=100%とする。

(2) HV車の燃費規制、'2521.7km/L'3031.25km/L'3550km/L



日本

(1) 2050カーボンニュートラルを目指す。2020.12.26菅首相所信表明演説



そのためには、次のことの実行が必要となる。



2再生可能エネルギーの積極導入必要

3)石炭火力の段階的全廃が必要

 (4)原子力発電の早期全面再開そして段階的廃止

5EV化には、石炭火力の全廃が必要となる。

 

再生可能エネルギーの導入には、とてもコストがかかる。

 

太陽光発電風力発電地熱発電、海流発電、などなどと、あらゆる再生可能エネルギーに取れ組まなければ、早々には石炭火力は無くせないかもしれない。

 

その穴埋めには、今ある原子力発電を、当然のこととして安全性には万全の態勢で、再開することである。せっかくある原子力発電を有効に活用することが、この脱炭素には必須のこととなる。

 

EUに「国境炭素税」なんぞを導入されたら、日本の経済は成り立ってはゆかないであろう。

 

 

 

菅首相の所信表明「2050年温室ガス排出実質ゼロ」を宣言 本当はリベラル、それとも

木村正人在英国際ジャーナリスト

2020/10/26() 19:22

 

所信表明演説をする菅義偉首相(写真:つのだよしお/アフロ)    

菅首相「カーボン・ニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」

 

[ロンドン発]「わが国は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち50年カーボン・ニュートラ、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」――。

 

菅義偉首相は26日、就任後初の所信表明演説衆院本会議で行い、50年までに国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言しました。日本学術会議の会員任命拒否問題で学界や左派から「学問の自由の侵害」と批判されている菅首相ですが、デジタル化やグリーン社会の実現を掲げたことは国内外から評価されました。

 

菅首相所信表明演説を受け、国際環境NGO(非政府組織) 350.org Japanは「パリ協定の1.5度目標と整合的とされている『2050年カーボン・ニュートラル』とする方針に舵を切る方向へ転換したことは評価したい。しかし先進国の歴史的責任に鑑み、日本のカーボン・ニュートラル目標はより早く実現すべだ」との声明を発表しました。

 

「日本政府はこれまで『温室効果ガスの排出を2050年に80%削減し、今世紀後半の早い時期に脱炭素社会を実現する』と表明してきたが、それは世界の平均気温上昇を産業革命前と比べ2度よりも低く、1.5度に抑える努力をするという温暖化対策の国際的合意である『パリ協定との整合性が問われるものだった」

 

「今年はパリ協定での削減目標を5年ごとに改定する年。各国が目標引き上げを発表しているにもかかわらず、政府は3月に改定しないまま国連に再提出し、世界第5位の排出国としての義務を果たしていないとして国内外から非難を浴びてきた」(350.org Japan

 

こうした批判に対し、菅首相所信表明演説で「省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入するとともに、安全最優先で原子力政策を進めることで安定的なエネルギー供給を確立する。長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換する」と述べました。

(続く)

世界の流れは、EV化(28)

CO2を排出するクルマは、いよいよもって肩身がが狭くなる。狭くなるだけならまだしも、そのうちに石でもぶつけられるかもしれないのだ。





ワールド202111111:21 午前UPDATED 1ヶ月前

ガソリン車40年までに段階的廃止へ、米中独は不参加=COP26

 

By Reuters Staff

 

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グラスゴーで開かれている第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で10日、ガソリンなどの化石燃料を使う自動車を2040年までに段階的に廃止する案に、インドなどのほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)を含む自動車大手などが賛同した。写真は中国で3月10日撮影(2021年 ロイター/Thomas Peter



グラスゴー 10日 ロイター] - グラスゴーで開かれている第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で10日、ガソリンなどの化石燃料を使う自動車を2040年までに段階的に廃止する案に、インドなどのほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)を含む自動車大手などが賛同した。



ただ主要な自動車市場である米国、中国、ドイツなどは不参加。自動車大手でもトヨタ自動車フォルクスワーゲンVW)などが参加しておらず、自動車などのモビリティーから二酸化炭素(CO2)を排出させないゼロエミッション化に困難な道のりが残されていることが浮き彫りになった。



合意に参加した自動車メーカーは他に、米フォード・モータースウェーデンボルボ、独ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツ、中国の比亜迪(BYD)、インドのタタ・モーターズ傘下の英ジャガー・ランドローバー(JLR)など。米配車大手ウーバー・テクノロジーズのほか、英スーパーマーケットのセインズベリーも参加した。GM,Ford,Benz,Volvo,BYD,Jaguarの6社



ニュージーランドポーランドなどの国が参加したほか、韓国の首都ソウルとブラジルのサンパウロも賛同を表明。米国は国としては参加していないものの、カリフォルニア州ニューヨーク州などは賛同を示した。英国などは2040年までのゼロエミッション実現にすでにコミットメントを示していた。





参加していない自動車メーカーはステランティス、ホンダ、日産自動車、独BMW、韓国の現代自動車など。



国際エネルギー機関(IEA)によると、自動車、トラック、船舶、バス、航空機からの二酸化炭素は全世界の排出量の約4分の1を占める。欧州連合(EU)はこれまでにガソリン車の販売を35年までに禁止する方針を打ち出している。



https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2S13ZA







上記の最後の1行は、次のようになっている。

欧州連合(EU)はこれまでにガソリン車の販売を35年までに禁止する方針を打ち出している。



これは当ログの最初に言及しておいたものであるので、今一度できれば読み返して頂けたらよかろう、と思う。



これを受けて、アメリカのバイデン大統領も、2030年までには新車の半分はEVFCVとする大統領令を出していることも、そこで言及している。


(続く)

世界の流れは、EV化(27)

但しEVは安くない。バッテリーが高価であるからであるが、だからなおさら、バッテリーのコスト低減が急務となっている。中国で大ヒットしている格安EVは、LFPLiFePO4、リン酸鉄)系リチウムイオン電池のバッテリーを採用しているという。このバッテリーは2割ほど安いと言われているが、但し、エネルギー密度も同じくらい低くなっているという。しかし「宏光ミニ」はそのバッテリーを搭載して、大ヒットしている。







EV狂乱「消え去る」鉄系電池に脚光、VWやテスラが大量採用
清水 直茂 日経クロステック2021.10.28



 ディーゼル不正で失墜した「環境の欧州」――。その巻き返しが強烈で、ハイブリッド車HEV)を追い払い、電気自動車(EV)に突き進む。まさに欧州発「EV狂乱」。中核の電池は早くも争奪戦の様相で、開発の焦点がエネルギー密度から材料確保に変わってきた。この機に乗じて、欧州は電池とEVの開発に新たな競争軸を打ち出す。EV開発の最前線に迫る。



 

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脱炭素に向けた自動車開発は電気自動車(EV)一辺倒の様相だ(出所:Audi[画像のクリックで拡大表示]   



 「標準的な航続距離のEVや家庭用蓄電池は、LFPLiFePO4、リン酸鉄)系に移行する」〔米Tesla(テスラ)CEO最高経営責任者)のイーロン・マスク氏〕――。



 世界の自動車メーカーが2030年に向けてEVの開発に追い立てられるなか、中核のリチウムイオン電池の競争軸が変わり始めた。脚光を浴びるのが「徐々に消え去る」とみられていたLFP系の同電池である。



 テスラLFP系の採用を世界に広げる計画を公表したのにとどまらず、ドイツVolkswagenフォルクスワーゲンVW)グループやFord Motorフォード・モーター)なども採用する方針を打ち出した。



 ゴールドマン・サックス証券の湯澤康太氏は「LFP系の重要性は高まる」と見通す。30年ごろのEV用電池のうち、調査会社によって異なるがLFP系は24割を占める可能性がある。



 LFP系は、中国電池メーカーが主に手掛けており低コスト品の印象が強い(図1)。日韓の電池メーカーが開発するNMC(ニッケル、マンガン、コバルト)系NCA(ニッケル、コバルト、アルミニウム)系に比べてコストは2割ほど安いとされる一方、エネルギー密度も同程度低くなる。エネルギー密度を重視する移動体の電池として、LFP系はNMC系やNCA系にいずれ置き換えられると考えられてきた。

 

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1 中国で大ヒットしている低価格EVの鍵はLFP系電池28800元(約50万円)からの格安電気自動車(EV宏光MINILFPリチウムイオン電池搭載する。EVの低価格化に貢献するだけではなく、電池資源の安定調達の側面からも注目を集める。(出所:上汽通用五菱汽車)[画像のクリックで拡大表示



 それが一躍注目を集めるのは、エネルギー密度の向上を後回しにしてでも、電池資源の確保や材料価格高騰への備えが重要になっているからだ。30年までにEVの急拡大が見込まれており、電池資源の枯渇が現実味を帯びてきた。LFP系の材料となる鉄は豊富で枯渇する可能性は低い。今後も価格が低く安定するとみられている。



(略)

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06195/?n_cid=nbpnxt_mled_dm 



そしてガソリン車は、段階的に廃止されてゆく運命をたどることになろう。

全世界がその決議に賛成したわけではないが、COP26では、そんな話が決議されている。


(続く)