国慶節に思う。(11-2)

 総合すると、これらの措置は、米国民と米国政府による前例のない認識の高さ

を表すものです。私たちは、気候変動の脅威の深刻さを理解しています。行動す

る決意を固めています。そして、未来の世代に対する責任を果たします。

 しかし、多くの国々が大胆な措置を取り、こうした決意を共有していますが、私

たちが本日ここに集まっているのは、前進を祝うためではありません。ここに集

まったのは、まだ多くの前進が必要だからです。まだ成すべき仕事がたくさん

残っているからです。

 それは容易ではありません。コペンハーゲンに向けた道のりの中で、最も困難

な部分に差しかかっていることを、しっかりと認識すべきです。世界的な景気後

退のさなか、どの国でも景気回復と失業者の再雇用が最も急を要する優先事項

となっているときに、私たちは広範囲に及ぶ、しかし必要な変化を求めていま

す。従って、気候問題に対する永続的な解決策を求めようとすると、皆それぞれ

の首都で懸念や困難に直面することになります。

 しかし、本日私がここでお話ししたいのは、困難だからといって、それが現状に

甘んじる言い訳にはならない、ということです。不安は怠慢の言い訳にはなりま

せん。そして私たちは、完ぺき主義が進歩の敵にならないようにしなければなり

ません。各国が、この地球を危険にさらすことなく各国の経済を発展させるた

めに、できることを、できる時に実行しなければなりません。そしてそれは、すべ

ての国が力を合わせて実行しなければなりません
。私たちは、この機会をと

らえて、コペンハーゲンを気候変動との世界的な闘いで前進するための大きな1

歩としなければなりません。

 また、あまりに長年にわたって気候変動をめぐる議論を特徴付けてきた旧来

の対立が、今後の前進を妨げることを許してはなりません。確かに、過去1世紀

にわたり気候に及ぼしてきた被害の多くについて、その原因をつくってきた先進

諸国には、先頭に立つ責任があります。その中には米国も含まれます。米国は

今後も先頭に立ち、再生可能エネルギーに投資し、効率性向上を促進し、202

0年の目標および2050年の長期目標を達成すべく米国の排出量を削減します。

 しかし、急速に発展する開発途上国が、今後何十年間かにわたり、世界の炭

素排出量増加分のほとんどすべてを生み出すことになるでしょうから、こうし

た国々も、各自の役割を果たさなければなりません。これらの国々の中には、既

にクリーンエネルギーの開発と導入を大きく前進させているところもあります。し

かし、途上国は国内で強力な措置を取ることを約束し、先進諸国が自らの約束

を守らなければならないように、途上国もそれぞれの約束を守ることに同意す

る必要があります
温室効果ガス排出量の最も多い国々がそろって行動しなけ

れば、この難題に対処することはできません。それ以外に方法はありません。

 また私たちは、他の開発途上国、特に最貧国や最も脆弱(ぜいじゃく)な国々

を、持続的な発展の軌道に乗せるための活動を活発にしなければなりません。こ

うした国々は、米国や中国などのように気候変動と闘う資源を持っていません

が、この問題の解決に最も直接的な利害関係があります。なぜなら、これらの国

々は既に、飢餓、干ばつ、海岸沿いにある村の消失、そして資源不足が原因の

紛争といった、地球温暖化のもたらす影響を日々受けているからです。こうした

国々の将来には、経済発展ときれいな地球のどちらかを選ぶ余裕はもはやあり

ません。彼らが生き残れるかどうかが、その両方にかかっているからです。作物

が収穫できず、飲み水のなくなった状況では、貧困を緩和しても効果はほとんど

ありません。

 そのために、私たちには、これらの国々が気候変動の影響に適応し、低炭素

型開発を追求するために必要な財政的・技術的支援を提供する責任があり

ます。

 私たちが求めているのは、最終的には、単に温室効果ガス排出制限について

の合意だけではありません。すべての国家が地球を危険にさらさずに発展し、

生活水準を高められるような合意を求めているのです。クリーン技術を開発・普

及させ、ノウハウを共有することによって、私たちは、開発途上国が、汚染をもた

らすエネルギー技術を一気に飛び越えて、危険な排出を削減できるよう支援する

ことができます。

 事務総長、本日ここに集まっている私たちに朗報があります。それは、行動せ

ず現実から目をそむける状態が長年続きましたが、ようやく今、私たちの直面す

る課題の緊急性が広く認識されるようになっている、ということです。何をすべき

かは分かっています。この地球の未来は、温室効果ガスによる汚染を永続的に

削減するという全世界の約束の成否にかかっていることを、私たちは理解してい

ます。適切な規則と奨励策を導入すれば、最も優秀な科学者、技術者、そして

起業家に、より良い世界を築くための創造力を発揮してもらうことができる、とい

うことを理解しています。そして、多くの国家が、すでにその目標に向けて第1歩

を踏み出しています。

 しかし、その道のりは、長く困難です。また、そのための時間もあまり残されて

いません。その道のりを進むには、私たち1人1人が、挫折を乗り越え、たとえ一

進一退であっても、1歩ずつ闘いながら進んでいく必要があります。ですから、そ

れを今始めようではありませんか。柔軟かつ実務的な態度で、協力してたゆま

ぬ努力をする決意を固めることができれば、私たちは共通の目標を達成する

ことができる
からです。それは、これまでより安全で、クリーンで、健康な世界、

そして私たちの子供たちにふさわしい未来、という目標です。

 どうもありがとうございました。

http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-20090922-71.html

(続く)