尖閣諸島問題その2(3)

ここに言及している2008/3/11と2008/6/9~(2008/6/17)の当ブログはこの中国政府の領土

的野心を解説しているものである。是非ともご一読願う。

 
 

ここら辺の事情は、小生のブログで既に言及している。2008年3月11日の「中国毒餃

子事件(4/5)
」や2008年6月9日以降の「中国覇権主義(5)~」を参照願う。

  
  

日本政府は、2004年6月9日に中国政府に対して、「国連海洋法条約に違反してい

」と抗議したが、中国は馬耳東風として日本の抗議に対しては相手にしていない。

この東シナ海の大陸棚の開発の権利はどこが持っているのかはこの海洋法条約に準拠す

るものだが、中国はこの大陸棚は中国のものだとして譲らない。1958年の「大陸棚に関

するジュネーブ条約
」では、「境界線は合意が成立しない場合は等距離原則を適用する」

とされていたものが、1973年の「新海洋法条約」ではこの等距離原則が明確には記述

されていないのである。ここにも強い国の意思がこの法律に反映されたものと、日本とし

ては僻(ひが)みたくなるものである。将に世界は無政府状態なのである、法律も強い国の

都合次第となるのである。ここでは、等距離原則ではなく「関係国の合意による」としか記

述されていないのである。これては強い国の言い分が通ってしまう事になるのである。

だから世界は無政府なのである。このことを前提に日本は物事を考えてゆかなければ、

痛い目の合う。


しかも2000年以降、特に2001年からは小笠原、硫黄島、南西諸島方面にも中国の

海洋調査船が頻繁に出没し始めたのである。そして、2004年頃には西太平洋、グアム

海域
までの調査が完了したのである。これこそ機雷設置などで米第七艦隊の行動を阻

止し、更には自国の潜水艦の行動を助けるためなのである。中国はいよいよ対米戦の

準備
を固めたのである。そして日本に対しては、2004年4月11日には沖ノ鳥島は単な

る岩礁だと主張して、無断で日本の排他的経済水域の海洋調査をしたのである。

このように恫喝しながら翌月の5月28日に「春暁ガス」の建設に着手している。


さて、(財)DRCとは、Defence Research Center(ディフェンス リサーチ センター)

の略であるが、そのホームページの冒頭の活動概要を下記しておく。
http://www.drc-jpn.org/


なお、小生が紹介、引用させてもらっている五味睦佳氏による『中国の海洋進出』は、

DRC年報2004度版に掲載されたものである。


活動概要


ディフェンス・リサーチ・センター(DRC)は、わが国の新しい防衛戦略、防衛政策等につ

き、世界的に大きく変化する安全保障環境、技術進歩に即応して、幅広い見地から調査・

研究と提言を行う公益法人シンクタンクとして1991年に設立されました。

研究活動は、防衛を直接担当してきた実務経験豊かな陸、海、空、シビリアン等防衛OB

を主体に、産業界、大学等で安全保障問題にかかわってきた者を含む研究委員34名の

奉仕的な参画により、国際データの把握、新しい戦略の創造、具体的な国防政策の追究

を産業界、一般市民を含む幅広い階層との意見交流等を重視して推進しています。また

日米安保体制を堅持しつつ技術協力を含む具体的な国際貢献策等につき新たな見地か

ら鋭意検討を進めています。具体的研究活動として毎年数次にわたりチームを編成し海

外研究調査を行い、これまでに米国、アジア、欧州等21ヶ国の国防省、戦略研究所、技術

研究機関、大学等140ヶ所を訪ねて研究討議、防衛交流を重ね、信頼の醸成に寄与して

います。

 
 
さて本論に戻ろう。中国は西太平洋の小笠原、硫黄島近海、そして九州の大隅半島から

種子島、沖縄、尖閣諸島と延びる南西諸島の何れも日本国の領土の近海を、傍若無人

に跳梁跋扈している。政府、マスコミはもちろんのこと我々国民もこの日中大陸棚論争には

しっかりと関心を示して、日本の主権と国益を護り日本の主権や権利を侵す国に対し

ては国家としてきちんと対抗してゆかなければならない。


この論文では、東シナ海の日中大陸棚問題をどのように論じているのであろうか。この論

文では、平松茂雄氏の「続中国の海洋戦略」の「沖縄トラフ地質構」と言う図を載せて説

明しているが、尖閣諸島沖縄諸島の間に沖縄トラフと言う、深さ1~2km、長さ1000

km、幅50km程度の溝が存在する。トラフとは、海底を走る長くやや幅の広い溝のうち、

最大水深が6km を超えないものを言うが、海溝のように極めて深いものではない物らし

い。海溝はそこで大陸棚がいったん途切れることとなるのだが、この沖縄トラフは大陸棚

に出来た溝であり、大陸棚は引き続き外洋に伸びているものである。日本列島もこの

ユーラシア大陸が延びた大陸棚に乗っているのである。これは、杏林大学の平松教授や

琉球大学の木村正昭助教授('04年当時)の実施した沖縄トラフの地質調査から「日本と中

国は同じ大陸の上に位置しており、東シナ海の大陸棚は中国が主張するように沖縄トラフ

で終わっていない」のである。


これに対して中国は、中国大陸から沖縄トラフまでを一つの大陸棚であり、沖縄トラフまで

が中国大陸から自然に張り出したものであると主張し、東シナ海の大陸棚全体に対する

権利
を主張
している。言ってみれば、これは中国という無法の大国のエゴなのである。

そうであるかないかは、地質学的に調査してみれば明らかになることであるが、中国は応

じていない。


1973年に成立した新海洋法条約では、先に述べたように、大陸棚の境界線の確定は

国際法に基いて、合意により行う」となっており、中間線とするような等距離原則の適用を

明確にうたっていない。そのため大国のエゴが働くのである。日本は「公平な解決策として

等距離原則の適用を粘り強く主張してゆくことが肝要である。」と、この論文は言っている。

 
 
これ以降もこの話は続いているので是非ご一読願うが、一言で言ってしまえば、「中国は、

相手が弱いと見れば、自国の軍事力で好き勝手に領土・領海・領空・宇宙・サイバー空

までも、自分のものとしてしまう」と言うことである。だから中国なんぞとは、まともに付き

合ってはならないのである。中国と付き合うためには、しっかりとした核を含む軍事力を

確保
してから、すべきなのである。


(詳しくは2009年9月2日から9月7日までの当ブログ「尖閣諸島問題(120~130)」を参照

のこと。)

(続く)