次世代エコカー・本命は?(18)

NHTSANationa Highway Traffic Safety Administration 米国運輸省道路交通安全局)は、その「モデルS」の衝突安全テストなどを実施(20138実施)して、「最も安全な車」と認定している。認定は201312の事なので、保護板を取り付ける(2014328発表)以前の認定となる。まあ衝突試験と言っても下の写真にあるように幅広い物体が衝突しているので、床板を突き破るような事はあまり起こらないだろう。問題は幅の狭い鉄板とか鉄棒のようなものが床下や側面を突き破ってバッテリーに損傷を与えた場合だ。このようなケースも一般道で起こらないとも限らない。まあ過去にもGMのレンジエクステンデー型EVの「ボルト」が、衝突試験の3週間後に発火した事もあるので、発火問題はかなり厄介な事なのだ(2012.3.30の当ブログ「プリウス急加速問題(89)」を参照の事)

 

しかしオバマとしても、米国としても米国唯一の量産型電気自動車の「モデルS」を、米国発の先端技術車として何としても祭り上げたかったものと思われる。

 

テスラ モデルS2014年モデルで最も安全な車に…米運輸省が認定

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テスラ モデルS NHTSAの衝突安全テスト   

米国のEVベンチャー企業、テスラモーターズの新型EV、『モデルS』。2013年、米国などで複数の車両火災が報告された同車だが、米当局は引き続き、モデルS「最も安全な車」と認定した。

これは1223テスラモーターズが明らかにしたもの。「米国NHTSA運輸省道路安全局)によって、2014年モデルの全カテゴリーで、モデルSが最も安全な車であることが再確認された」と発表している。

NHTSA
20138、モデルSの衝突安全テストの結果を公表。最高評価の5つ星を獲得すると同時に、これまでNHTSAが実施した衝突テストにおいて、最も安全性に優れる車と認定した。

ところが201310月以降、モデルSは米国などで複数の車両火災を引き起こした。NHTSAはこの車両火災の調査に乗り出しており、先のモデルSに対する「最も安全な車」との評価が変わるかどうか、注目されていた。今回のテスラの発表は、NHTSAのモデルSに対する衝突安全性評価が、車両火災の後でも不変だったことを意味する。

現在、テスラモーターズは、NHTSAからのモデルS車両火災に関する調査結果が出るのを待っている状態。同社は、米国での車両火災の各種データを引用した上で、「(可燃物のガソリンタンクを載せた)一般ガソリン車で車両火災に遭うリスクは、テスラEV5倍以上」と述べ、モデルSの安全性をアピールしている。

  • 森脇稔

http://autos.goo.ne.jp/news/ecocar/214060/article.html


 

まあEVの火災と言えば、EVが多く走っている中国でも起こっている。電気自動車は簡単に組み立てられると言われているが、こと電気の制御に関してはそれほど簡単なものでない。車のように日常道路上を縦横無尽に走り回っている事から、交通事故は頻繁に起こっているので、この事故対策はEVFCVなど動力源としてバッテリーを積んでいる車にとっては重要なことだ

 

中国EV炎上事故の波紋

2012612日(火)  吉野 次郎

 先月末、中国の新興自動車メーカー、BYD(比亜迪)EV電気自動車)が交通事故で炎上し、3人が死亡するという痛ましいニュースが伝わってきた。BYDは米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が出資していることでも知られているが、報道を受けて同社の株価は急落した。

 原因はまだ分からないものの、バッテリーからの発火も疑われる。

作り方はミニ4駆と同じ?

 ご存じの読者も多いと思うが、EVの製造は比較的簡単とされてきた。部品点数は、約3万点に上る従来のガソリン車に比べて圧倒的に少ない。また、モーターやバッテリーといった部品同士をつなげるだけで製造できる「組み合わせ」型の製品だと言われてきた。

 ガソリン車と違って、部品同士を微調整して高い性能を引き出す「擦り合わせ」の比重が少ないため、あるEVベンチャーの社長は「『ミニ4駆』を大きくしたようなもの。簡単に製造できる」と言い切る。

 ミニ4駆はモーターで走る組み立て式の模型自動車だ。数年前、子供たちの間で大ヒットしたミニ4駆とEVの基本構造はほぼ同じだという。

 EVの登場でクルマを簡単に作れるようになり、技術蓄積の少ない新興メーカーでも、既存メーカーに短期間でキャッチアップすることが可能となる。そのように期待されていた1社がBYDだった。

 炎上の原因は定かではないが、今回の痛ましい事故はそんなEVの製造は簡単」という見方に疑問を投げかける。

三菱自社長、「中国勢には負けない」

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 4月下旬、中国で開催された「北京モーターショー」で三菱自動車の益子修社長に取材する機会を得た。

 

4月下旬の北京モーターショーで自動車への充電の仕組みを示した中国BYD(比亜迪)の展示

 同社はEVi-MiEVアイ・ミーブ)」を商品化している。益子社長は「EVの製造には、かなり高度な技術力が求められる。特に制御系が難しい。技術蓄積のある既存メーカーと、蓄積の少ない新興メーカーの実力差はハッキリと表れる。中国製のEVも出回っているが、我々のEVとは性能が随分違う。当社はバッテリーの安全性にも、とても配慮している」と言う。

VWらしさを走りで表現する」

 「EV1つのシステムとして部品をインテグレートする力が求められる」と語るのは、独フォルクスワーゲンVW)でEV開発を担当するルドルフ・クレープス執行役員だ。同社として初のEV発売を来年に控え、開発を急ぐ。

 先月末に来日したクレープス氏は次のように語った。

 「バッテリーのセルは外部から購入するが、電力を制御したり、冷却したりするシステムは、自社で開発する。社内の専門知識がふんだんにバッテリー周りに生かされている」

 さらに「バッテリーシステムやモーター、トラクションなどを高度にインテグレートすることで、VWらしい運転感覚、乗り心地、静寂性、制動などのパフォーマンスを引き出す」と言う。誰が組み立てても、同じ品質の製品が出来上がるミニ4駆とは、全く違う作り方を志向する。

 今回の炎上事故は、EVがミニ4駆のように、簡単に作れる代物ではないということの証明なのか。それとも、車両に固有の欠陥があったのか。はたまた全く別の原因があるのか。真相の究明が急がれる。

記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120608/233137/?P=1

(続く)