ならず者国家・中国、アレコレ(24)

4兆元の景気刺激策によって内需拡大」(http://www.nissui.co.jp/academy/market/17/03.html)によると、

 

家電下郷」では、農村部での家電製品の購入に際してはその金額の13%を補助すると言うもので、農村部での家電製品の普及率が急速に伸びたと言われている。その証拠に20091月~9月の家電製品の輸出が、農村部での売れ行きの上昇のために、18.2%も落ちてしまったといわれている。国内販売の上昇は6.5%も増えている。

 

また「汽車下郷」(汽車は自動車のこと)政策では、農村部での自動車買い替えには、その購入金額の10%を補助し、更に1600cc以下の乗用車の取引税を引き下げると言った優遇策がとられている。そのため自動車の生産・販売も増加し、2009年の生産台数は1,379万台(938万台、2008年)に達し、この年の中国での自動車生産台数は日米を抜き世界第一位となっている。

 

と言った状況の様だ。

 

そして、総額4兆元の内の4分の3ほどは、いわゆる公共工事、即ち主に不動産関連投資に該当したものであった。そのため土地開発が爆発的に進み、一部で、と言っても全国的に土地立ち退き問題などの社会問題が発生したが、中国各地の地方政府は土地開発業者などと結託して、その獲得した土地を工場用地に開発したり高級マンションの建設を進めていった。

 

中国の場合は土地はすべて国有地のため、その使用権を不動産業者に売って土地開発を進めていったものであったが、そのサイクルが次々のと回っていって開発ブームとなったのである。

 

当然その過程で地方政府と業者の結託による汚職が蔓延していったのであるが、この件は先に言及しているのでそちらを参照願いたいが、そのため完全に需要を無視した開発が競うように横行したのである。

 

この状況は、2015.12.04の当ブログのNO.15で紹介した「中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス
天津にゴーストタウン、5兆元が泡 始まったバブル崩壊、対策は政治改革のみ」を参照願えればその状況がわかると言うものであるが、新しいゴーストタウンの例も次に紹介しよう。


 

中国のゴーストタウンで見た官製バブルの成れの果て 盛大にコケてしまった官僚の描いた机上のプラン

JBpress2015/12/9 11:45川島 博之

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建設が中断された営口市にあるマンション(筆者撮影、以下同)
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この(2015)11中国遼寧省営口市を訪問する機会があった。

  営口市は大連の北方約200キロメートルに位置し、渤海湾に面しており、昔は漁港だったそうだ。市の人口は230万人とされるが、それは周辺部を含んだものであり、中心部の人口はその10分の1程度。中国のどこにでもある都市と言ってよいだろう。

わずか3年でできた新幹線

  営口へは大連から新幹線で行った。乗った車両は外観も内装も日本の新幹線によく似ていた。真似したのであろう。切符を買うのに外国人はパスポート、中国人は身分証明書が必要であり、乗る際には空港と同じように荷物検査があった。ただ、それほど厳重ではなく、係員の態度はおざなり、また身体検査はなかった。

遼寧省 営口市
  車内にメーターがあり、スピードが乗客にも分かるようになっていた。最高速度は毎時300キロメートルを記録したが、その際にも大きく揺れることはなく、まあ快適な旅だった。大連から営口まで約1時間。

  驚いたことに、大連と営口を結ぶ新幹線が2本ある。海沿いと山沿いの2路線。どちらも2010年以降に完成したと言っていたから、リーマン・ショック後の景気対策急遽建設されたと思われる。だた、海沿いを走る列車は少なく、1日に数本。明らかに必要のない路線であり、過剰投資と言ってよい。

  人々が新幹線が作られるという話を聞いてから3年程度でできてしまったという。日本をよく知る中国人は、新幹線を作ると言ってから完成するまでに30年程度を要する日本とは、スピード感が全く異なると言っていた。独裁国家の強みだろう。

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(写真1)小さな町に似つかわしくない巨大な体育館

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不動産バブルの残骸と化した街

  そんな営口で見たのが「鬼城(住む人がほとんどいない街、ゴーストタウン)である。写真を見ていただこう。

  写真1は郊外に作られた体育館。新開発区の中心にある。写真を撮ろうとしたが、大きいので全景を入れるために、道路を隔てたところでカメラを構えた。写真を見れば分かるように道幅が広い。だが、車はほとんど走っていない。また、体育館は開店休業状態で、駐車場に車は1台もなかった。

(続く)