中国武漢・新型コロナウィルス(46)

しかし、このビルト紙の強硬な主張に対して中国政府が即座に反撃した。すぐ翌日の416日、ベルリンにある駐ドイツの中国大使館がビルト紙への反論を公開書簡の形で発表したのだ。しかもきわめて激しい語調での反論だった。その骨子は以下のようだった。

 「ビルト紙の記事はいま全世界に及ぶパンデミック(世界的な大感染)への責任を中国一国だけに帰するという劣悪な主張だ」

 「中国はコロナウイルスに関する重要な事実を抑えたことはなく、国際保健機関(WHO)への情報提供の責務を果たしてきた。だがビルトはその基本的な事実を無視している」

 「いまコロナウイルスと戦う多くの諸国は中国が国際保健規則に沿ってその発生を報告した後、国境を越えての拡散に備える時間は少なくとも1ヵ月はあったのだ」

 「国際的に著名な複数の科学者たちは中国の敏速で断固たる行動がこのパンデミックの防止に寄与して、全世界に少なくとも1ヵ月の猶予を与えたことを確認した。だがビルトはその点をなにも記していない」

 「一部の政治家や専門家、メディアの代表たちはウイルス抑止での自分の失敗や弱さから他者の注意をそらすために勝手な非難を誤った対象に浴びせている」

 「ビルト紙はナショナリズム、偏見、外国嫌悪に火をつけ、中国とドイツ両国民の間の伝統的な友好を傷つけている。このパンデミック危機に対しては各国間の学習や協力こそが必要なのだ」

以上のような中国政府の反論は、これでもか、これでもか、という勢いだった。その内容は実際に武漢での感染症拡大が明白となった時期の中国政府の動きとは一致しない点も多かった。だがそんなことは構いなく、中国の反撃はまさに倍返し、激烈をきわめていた

さてここまでのやりとりなら、そう珍しくはない。中国政府の言動に対して、他の諸国の政府やメディアが批判をして、中国が激しく反論する。こんな事例は近年ではごく普通となった。ただし今回のやりとりの場合、ここまででも非難や糾弾の険しさは異色だといえた。

しかしさらに今回の言論戦がユニークになったのは、中国政府のこの反論に対してビルト紙側がさらに非難を浴びせた点だった。しかもその言辞が近年では稀なほど手厳しかった。戦闘的、挑発的、敵対的だったのだ。そのビルト側の反論はふたたび編集主幹のライチェルト氏の名前でドイツ語と英語の両方で習近平国家主席を名指しして表明されていた。形式としては公開書簡とされていた。

その内容は以下のようだった。

 「習近平氏よ、あなたは国家を監視によって支配している。監視制度がなければ、あなたは国家主席とはなっていない。国民の行動すべてを監視しているのに、武漢の海鮮市場での感染症をきちんと監視することを怠った」

 「あなたは自分の統治に批判的なすべての新聞、すべてのウェブサイトを閉鎖してきたが、コロナウイルスの発生源だというコウモリのスープを売る屋台を監視も閉鎖もしなかった」

 「あなたは自国民を監視して、抑圧するだけでなく、感染についての重要な情報を抑圧することで、全世界を危機にさらしたのだ」

 「武漢で発生したコロナウイルスは市場ではなく同じ市内のウイルス研究所から安全基準の欠落によりコウモリのからむウイルスが流出したという情報もある」

 「ドイツにあるあなたの大使館は私が中国の国民との伝統的な友好を傷つけたと非難する。だがあなたの友好とはマスクを全世界に輸出することではないか。それは友好ではなく、微笑で偽装した帝国主義であり、トロイの木馬なのだ」

 「あなたは疫病を輸出することにより中国を強化することを計画しているのだろう。だがあなたは成功しない。やがてはコロナウイルスあなたの政治的な生命の終わりとなるだろう

ビルト紙のライチェルト編集主幹のこんな激烈な批判に対して、中国側はこんどは各種の官営メディアを使って、さらに抗議と攻撃を続けた。そしてその応酬はいまもなお続いているのである。だが一国の一新聞が大部数を誇るとはいえ、中国の国家主席に直接、このような抗議をぶつけることはきわめて珍しい点にも、こんどのコロナウイルス拡散の異様性が反映されたといえるのかもしれない。

トップ写真:イメージ。背景はドイツ国旗。 出典:flickr / Marco Verch

 

https://japan-indepth.jp/?p=51760

https://news.goo.ne.jp/article/japanindepth/world/japanindepth-51760.html

 

 

 

「あなたは疫病を輸出することにより中国を強化することを計画しているのだろう。だがあなたは成功しない。やがてはコロナウイルスあなたの政治的な生命の終わりとなるだろう」・・・・・と本当の事を言って、一新聞社が中国の国家主席を非難している。



将に中国は、中国武漢新型コロナウイルスを全世界にバラまくことで、世界を中国にひれ伏させようとしている。

 

日本のマスコミも、このように少しは気骨のあることを示してもらいたいものであるが、赤い赤い朝日をはじめ、毎日、東京、などの日本の新聞には気骨と言うものがない。

 

日本の新聞は、中国の武漢で起こっていることを、もっと掘り下げて丁寧に、報告することが必要なのだ。

 

次の文芸春秋の論考は、良くまとまっているのでご一読願う。但し全文ではないので悪しからず。

 

 

 

 

習近平「恐怖支配」が招いた 中国・武漢新型コロナウイルス感染爆発”

f:id:altairposeidon:20200607163125j:plain文藝春秋digital

 

2020/03/18 08:00

新型肺炎による死者数2700人超。ウイルスはなぜ爆発的に広まったのか。これは災害ではなく、人災だ――人々はそう記憶に刻むだろう。なぜ、中国共産党は情報を隠蔽したのか。その背後にある意図とは?/文・城山英巳(ジャーナリスト)

目次

1.感染拡大は人災

2.重要会議中は感染者ゼロ

3.封殺された青年医師の告発

4.春節巡りを続けた習近平

5.「鶴の一声」を過剰に忖度

6.ウイルスより怖い「民」の声

7.胡錦濤はマスクを外したのに

8.清王朝」と同じ運命を辿る

9.習近平が使った「禁じ手」

10.国賓訪日が抱えるリスク



感染拡大は人災

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大は、2012年に政権に就いた習近平国家主席にとって初めてかつ最大の危機となった。227日現在、中国国内の死者は2744人にまで膨れ上がっている。

 ウイルスという見えない敵との戦いを、「人民戦争」と名付けた習近平。いずれ終息すれば、抗日戦争に勝利し民心を獲得した毛沢東を超える「皇帝」になったと宣伝されるだろうが、そう甘くはない。初動のまずさを知る国民は、今回の感染拡大が「人災」によるものだったと長く記憶するからだ。

重要会議中は感染者ゼロ

 まずは中国の公式報道を詳細に分析してみよう。

 武漢市政府が初めて感染者27人、重症者7人の存在を発表したのは、第1例から23日も経った昨年1231だった。感染源とされるのは武漢の「華南海鮮市場」。

 年明け15日に公表感染者は59人に増えるが、6日からは武漢市と湖北省では相次ぎ、「両会」(2つの会議)と呼ばれる重要政治行事「人民代表大会(議会)」と「政治協商会議(国政諮問機関)」を控えていた。

 武漢の両会は1610湖北省1117。地方指導者にとって両会の期間中の「安定」と閉幕時の「円満成功」が至上命題であり、「負面(ネガティブ)情報」はもみ消されるケースが多い。原因不明の肺炎の拡散なんてもっての外だ。

 事実、武漢市政府は610日まで新たな感染者を公表しなかった。さらに11日に重症者1人が9日に死亡したと発表したが、会議中の死亡公表を故意に避けたものとみられる。続く1217日の湖北省両会の間も、新たな感染者は報告されなかった。「人から人への感染」の可能性を排除しないとしながらも、証拠は発見されていないと否定し続けた


(続く)