「日本学術会議」は親共・容共組織(43)

さらに、「静岡県には何のメリットもない。静岡県民に誠意を示す姿勢がない。地域振興なり、地域へのメリットがあるのかといった、基本的な考え方がないのならば、勝手にトンネルを掘りなさんな」と厳しく述べ、「地域貢献がなければ、JR東海への協力は難しい」と明言した。

これだけ激しい知事の物言いにもかかわらず、JR東海はまったく反応しなかった。この会見をきっかけに、県は地質構造・水資源生物多様性2つの専門部会を設け、ハードルを高く設定した解決方策を求める議論が始まった。

 

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20186、金子慎JR東海社長が静岡市を訪れ、田辺信宏市長と「リニア建設への協力と地域振興」に関する合意書を結んだ。静岡市は、リニア工事の作業道となる東俣林道の通行許可など工事に必要な行政手続きを速やかに対応した。これに対して、JR東海は南アルプスと市中心部を結ぶ県道に約140億円のトンネルを建設するという地域振興策を行うことで市と合意した。

寝耳の水の合意に川勝知事は激怒した。抜け駆けした田辺市だけでなく、JR東海にも強い不信感を抱いた。市役所のすぐ隣にある県庁で水環境議論が続いているというのに、一言の説明もなかったからだ。4代表取締役に就任したばかりの金子社長が県庁に挨拶訪問することもなかった。

できもしない約束だった?

水環境の議論がかみ合わない中、同年10JR東海は「原則的に県外に流出する湧水全量を戻す」と表明、これで問題は一気に解決するとみられた。その後、「湧水全量戻し」の方法について具体的な議論が交わされていたが、1年近くたった20198JR東海は「工事期間中の湧水を全量戻すことはできない」として、湧水の一部は、山梨、長野両県に流出することを認めた

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3000m級の山々が連なる南アルプスを源流とする大井川。右上に畑薙湖、そこから30km以上も北上すると、リニアトンネル建設予定地に到着する(鵜飼一博撮影)

金子社長は会見で「話が進まないので、利水者の理解を得たいと方向転換した。(湧水全量戻しの表明は)問題を解決しようとした中で出てきた方策」と発言した。全量戻しは利水者の賛同を得るための“方便”であり、「できもしない約束だった」ということで、地元はさらに硬化してしまう。

県専門部会の議論が難航する中、今年427国交省の立ち上げた第1有識者会議で、金子社長は「南アルプスの環境が重要であるからといって、あまりに高い要求を課して、それが達成できなければ、中央新幹線の着工も認められないというのは、法律の趣旨に反する」、「静岡県の課題自体の是非、つまり、事業者にそこまで求めるのは無理ではないか、それが達成できなければ、工事を進めてはならないという静岡県の対応について、適切に対処願いたい」などと発言、川勝知事らの猛反発を呼んだ。結局、金子社長が発言の撤回、謝罪することで決着するが、地元ではJR東海への拭えない不信感だけが残った。

 

626、金子社長は、初めて県庁を訪れ、川勝知事に面会した。トンネル本体工事に向けて、準備工事再開を要望。710には、国土交通省の藤田耕三事務次官も準備工事再開を要請したが、川勝知事は地元の理解が得られないとして、県条例の運用、解釈拡大によって、準備工事再開を認めなかった

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626日に金子慎JR東海社長が川勝平太知事に面会するために、初めて静岡県庁を訪問した。それ以前に、何度も県庁訪問の機会はあったが……(筆者撮影)

金子社長は会見で「静岡県が着工を認めてもらえないので、2027年の開業は難しい」(発言ママ)と述べた。これを受けて、メディアは、リニア開業が遅れるのは「静岡問題」が原因と伝えるようになった。

正確に言えば、準備工事はヤード(宿舎を含めた作業基地)建設のみであり、その後の輸送用トンネル、導水路トンネル、先進坑、トンネル本体工事などであらためて、河川法による県知事の許可が必要となる。そのハードルは準備工事に比べて極めて高い。金子社長は準備工事さえ認めてもらえれば、トンネル本体工事もなし崩しに着工できるのではと内心、期待していたのかもしれない。

静岡県の本音は「地域貢献」だ

県は今月13国交省鉄道局長宛に有識者会議の議論について疑問点を意見書にして送った。4回にわたる有識者会議の議論は、JR東海の説明を基に進められ、中下流域の地下水への影響はほとんどないという結論でまとまる方向で進んでいた。ところが、県の意見書はデータの根幹となるJR東海の「水収支解析」を厳しく批判した。これで有識者会議の議論は振り出しに戻るかもしれない。

川勝知事は、有識者会議の結論は尊重するが、地元の理解が得られなければ、リニア工事の着工は認められないという姿勢を明確にしている。有識者会議は骨抜きにされ、その存在自体が意味を失う可能性もある。リニア工事着工を認めるかどうかは、流域市町の利水者から一任される川勝知事の決断にすべてかかっている。

JR東海は、川勝知事が3年前に発した、「静岡県にメリットがない」という“シグナル”を無視したまま、「静岡問題」に取り組んでいる。1979年に沿線9都府県がリニア中央新幹線建設促進期成同盟会を設置したのは、各地域の発展を願ってのことであり、川勝知事も昨年6月、まったく同じ思いで、期成同盟会への入会を申し込んだ。川勝知事は「まず、JR東海は誠意を示すことが大事」とはっきりと述べている。

川勝知事はリニアに賛成と言いながら、リニア工事を認めない理由を次から次へと挙げてくる。もはや遅きに失した感もあるが、JR東海が「静岡問題」を解決したいならば、「地域貢献」について考えたほうがよさそうである


https://toyokeizai.net/articles/-/370656?page=1

 

 

 

このように、静岡工区の問題を「水資源問題」だとか「環境問題」などと言った高みに祭り上げてしまった以上、東海道新幹線に「静岡空港駅」を作りますと今更言ったとしても、この問題は片付くものではない。静岡空港駅と「水資源問題」だとか「環境問題」などとは、何の因果関係もないからだ。

 

富士山静岡空港」と言うのがその愛称の様だが、富士山までの距離は東京の羽田空港からと同じくらいだと言うので、単なる意味のない枕詞となっている。

 

この問題は既に、その線は当に越えてしまっている。越えさせてしまったのは、静岡県の川勝知事である。その線とは、JR東海静岡県が歩み寄ることのできる線である。

 

だから、この問題の解決策が見当たらない、と言うことである。それだけハードルが高くなってしまっている、と言うことであろう。

 

今となっては、JR東海が「はい、わかりました。空港駅は造りましょう。」と言ったところで、川勝平太は、47項目の「引き続き対応を要る事項」なんぞを提示している以上、この「世紀の御旗」を引っ込めることが出来なくなっている。

 

引っ込めることが出来なくなっている以上、JR東海としても、この47項目の「引き続き対応を要する事項」に向き合わざるを得ないが、これには解決策はないのであるからリニアは静岡県を通すことはできないのだ。

 

と言うことは、こんなことに無駄な努力を費やすのではなくて、JR東海もさっさと「ルート変更」の決断をしてしまえばよいのだ。その方が結果として、リニアは早くつながる。そんな声もちらほら聞こえ出している。

 

そして「のぞみ」は静岡県を素通りしているが、「ひかり」も静岡県を素通りさせればよい(場合によってはこだまも)。更には、静岡県からの乗車賃を5割くらい値上げしておけばよい(これはちょっと無理か)。

(続く)