爆笑問題・太田光と(旧)統一教会(31)

(注)八紘一宇とは 

日本書紀によると、橿原に都を定めた神武天皇詔勅の「兼六合以開都、掩八紘為宇」(六合・国のうち・を兼ねて以て都を開き、八紘・あめのした・を掩・おお・いて宇・家・を為す)…天下を一つの家のようにすること、全世界を一つの家にすること。本来は「八紘為宇・いう」であるが、近衛内閣が八紘一宇と表現したことから、「八紘一宇」が一般化した。「大東亜共栄圏」思想である。 

八紘とは四方と四隅で地上のこと、一宇とは一つの家(宇)のこと。 

https://ja.wikipedia.org/wiki/八紘一宇より。 

 

 

創価学会を支持母体とする公明党 

自民党にメンツをつぶされている 

 

 では、自民党の連立パートナー・公明党の支持母体である創価学会はどうか。公明党は1999年の自公連立政権成立後、約23年にわたって自民党に組織票を提供してきた。 

 

 宗教団体を支持母体とする公明党は「平和の党」を自認し、安全保障政策を前進させようとする自民党の「歯止め役」を果たそうとしてきた(第104回)。だが、その役割を十分に果たしてきたとはいえない。 

 

 その証拠に、安倍政権期の自民党は、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事的拡大といった日本を取り巻く安全保障環境の悪化に対応。特定秘密保護法(2013年、第72回)」「安全保障法制(2015年、第115回)」「テロ等準備罪共謀罪)法(2017年、第160回)」という安全保障政策を成立させてきた。 

 

 一方で公明党は、支持者が求める利益誘導において、自民党から便宜を図られてきた。消費増税に伴う「軽減税率」(第121回)や、「クーポン券」「商品券」などの景気対策、コロナ対策の「国民に一律10万円の給付金」(第239回)などだ。 

 

 すなわち公明党は、自民党からの利益誘導でご機嫌を取られながらも、「平和の党」としてのメンツをつぶされ続けているわけだ。それどころか、参院選後は改憲勢力」の一角として憲法改正に取り組むはめになりそうだ。それでも、公明党の支持母体・創価学会は黙っている。 

 

統一教会が望む政策も 

全く採用されない現実 

 

 今、注目が集まっている旧統一教会については、その関連団体で反共産主義を掲げる「国際勝共連合(以下、勝共連合」と、安倍元首相の祖父・岸信介元首相が極めて近い関係にあったのは事実だ。 

 

 だが現在は、あくまで自民党の支持団体の一つとして、集票に徹しているように見える。 

 

 政策的には、旧統一教会日本会議の主張と似ていることが指摘されている(北丸雄二『安倍元首相殺害事件が照射する自民党とカルト宗教との親和性』論座)。合同結婚式を主催してまで伝統的な結婚の聖性を維持しようとすることも、伝統的な「家制度」の維持をうたう日本会議と似ている。 

 

 また勝共連合は、「ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止」「男女共同参画社会基本法の改廃」などを政治目標に掲げている。だが、これまで述べてきたのと同様、安倍政権以降の自公政権は、これらの政策を全く採用していない 

 

 旧統一教会は、その成り立ちから韓国・北朝鮮と深い関係があるとされる。しかし、「従軍慰安婦問題」「元徴用工問題」がいまだ尾を引いているように、今の日韓関係は全く良好ではない。 

 

 昨今は「韓国海軍レーザー照射問題」「韓国による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄(後に撤回)」などが原因で、関係が“最悪”になったのも記憶に新しい(第219回)。 

 

 また、安倍政権期に北朝鮮拉致問題は全くといっていいほど前に進まなかった(第244回)。これらの事実から、旧統一教会と韓国・北朝鮮のコネクションを、安倍元首相が交渉の裏ルートとして使ったということもなさそうだ。 

 

 要するに、さまざまな宗教団体が自民党の支持団体となり、自民党のために集票している。だが、宗教団体の政策的な目標は必ずしも実現されない。また、宗教団体が政治の裏部隊で暗躍する「陰謀論」のような話もあり得ない。 

 

 冷徹な扱いを受けているにもかかわらず、宗教団体が熱心に政治と関わる理由は何か。

(続く)