宗教団体も資金繰りに苦労
政党の「お墨付き」が信者獲得に寄与
その理由を端的に言えば、自民党など政党の有力な支持団体となり、「社会的な信用」を得ることだ。政党の有力な支持団体という「お墨付き」を得れば、信者を集めやすくなる。信者を集められれば「献金」「お布施」「寄付」などの資金集めもやりやすくなるのだ。
宗教団体の経営は、見た目ほど安定していない。少子化による人口減や、宗教に対する根強い不信感の影響から、信者・資金集めに苦労している宗教団体は少なくない(ZUU online編集部『経営に四苦八苦する宗教法人 「非課税メリット」の苦労とは?』ZUU online)。ゆえに、政党からの「お墨付き」を求めて、宗教団体は選挙活動を熱心に手伝ってきた。
旧統一教会についても、選挙活動支援の熱心さがメディアに報じられた。例えば、国会議員事務所を旧統一教会関係者が訪れ、日常的にほぼ無償の形で手伝いをしていた。選挙時には信者を動員して運動を繰り広げていたという。
加えて、自民党の青山繁晴参院議員が明らかにしたように、自民党では「各業界団体の票だけでは足りない議員については、 旧統一教会が認めてくれれば、その票を割り振る」こともしていた(青山繁晴の道すがらエッセイ/on the road『自由民主党の立候補者と(旧)統一教会の関係をめぐって、わたしが参院選を前に行動したこと』)。
ちなみに、宗教団体と関係を持った政党は、自公だけではない。旧民主党系の野党も宗教団体と密接な関係を持ってきた。
与野党を問わず
宗教団体と関係を持っている
立正佼成会や崇教真光、パーフェクトリバティー(PL)教団などが作る「新日本宗教団体連合会」(新宗連)という団体がある。いわば創価学会とライバル関係にある新興宗教の連合組織である(小川寛大『“創価学会のライバル組織”が毎年夏にやる集会』PRESIDENT Online)。
新宗連は自公政権に対抗して、改憲や政治家の靖国神社参拝に反対する姿勢を取ってきた。2009年の総選挙では民主党を強力に支援し、民主党政権の誕生に大きく貢献した。
だが、2012年に自公が政権を奪還して長期政権化し、民主党が弱体化して分裂したことで、自民党との関係を再構築しようとする動きが出るなど、新宗連の勢力は次第に衰退してきた。しかし、左派野党の政治家の一部は、現在でも宗教団体の支援を受けている。
このように、与野党を問わず、政党は宗教団体に票を集めてもらっているのが現実だ。中には、政治献金を合法的に受け取っているケースもあるだろう。ただし、たとえ関係が合法的ではあっても、政治と宗教の関係に問題がないとはいえない。
安倍元首相を殺害した容疑者の母は、1億円以上も旧統一教会に献金して自己破産したという。宗教団体の中には、信者が借金で自己破産するほど寄付をさせる、信者を洗脳のために監禁するなどの違法行為を行っているものがある。
それを知りながら、政党は宗教団体を有力な支持団体として選挙活動に使う。政治家は宗教団体の集会に出席し、あいさつをする。前述の通り、公の場で“神様”に関するリップサービスもする。
そして、それら信用して入信して破産する人、救済を求める家族も多数いる。このことに対して、政治家の道義的責任は絶対にある。政治と宗教の関係は、抜本的に見直すべき時が来ている。
(続く)