カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(24)

「充電難民」の悲哀を味わう

航続距離が最大の課題だろう。ガソリン感覚で走っていると大変な目に遭うことになる。    

 

 悲劇、と言っていいだろう。週末の夜中。首都高をグルっと回ろうと満充電の状態で首都高速4号新宿線に乗った。山手トンネルを抜け、3号渋谷線に入り、都心環状線外回りから9号深川線。湾岸線からレインボーブリッジを越えて芝浦パーキングエリア(PA)でトイレ休憩。こんどは都心環状線内回りから9号深川線。辰巳ジャンクションを右折(ここの高速コーナリングは最高に気持ちが良かった)して湾岸線で一路、大黒PAに向かう。ここには急速充電の設備がある。5キロメートル手前で残量10%。ふふふ。完璧なマネジメントだ。ギリギリのところで充電して、第三京浜で帰宅すればよい。 

 

 しかし。だがしかし。大黒PAは工事中で入場できなかった。残量5%。ぼうぜん自失。
 どうするアイフル。どうするフェル。暖房を消し、気休めにオーディオも止めて、とりあえず5号大黒線を抜けて一番近い出口の守屋町で降りる。バッテリー残量はここで4%。気の利くナビが近くの充電スタンドを表示する。直近は日産の工場と出ている。そういえばこの辺りは日産村だ。ここで充電できなければ一巻の終わり。時間は午後11時すぎである。切ない。 

 

 

午後11時すぎ。人気のない工業地域でポツンと4%。だじげで。

 

 ナビに従い、そろそろと慎重に走る。残量2%で日産横浜工場第3地区にたどり着いた。
 確かにEVステーションの看板が立っている。
 日産のクルマだからだろうか。守衛さんがサッと敬礼をする。
 「充電をしたいのですが」と半泣きで訴えると、「それなら後ろのあそこです」と入り口近くの充電器を指す。地獄に仏。砂漠にオアシス。もうギリギリ充電はいたしません。神に誓った夜であった。 

 


 日産のクルマを日産の工場で充電する親子丼状態の図。あ、製造は三菱でしたか。    

 

 しかし。だがしかし。悲劇はまだ続く。
 たとえ親切なナビが指示してくれても、充電器が生きているとは限らないのだ。 

 

え? 何言ってるんですかマジで……。       

 

 別の日に余裕を持って残量10%で充電しようとしたらこのありさま。店は休業日で人はいない。
 助けを求める相手がいない。いったんコンセントを外して一からやり直しても同じ結果。
 とはいえまだ10%。他の店を探そう。この時はまだ余裕であった。 

 

親切なナビは、電気残量が減ってくると、このように教えてくれる。 

 

まだ続く悲劇 

 

 再度充電ステーションを探す。日産の販売店が表示される。距離はおよそ5キロメートルある。
 なんとかなるだろう。国道1号線沿いの日産店舗はすぐに見つかった。ありがたや。
 またしても残量4%。危ないところだった。ありがとう日産。ありがとう太田胃散。
 しかし……。 

 

マジすか……。        

 

 閉店しているのだ。やっていないのだ。「長い間ご愛顧いただきまして誠にありがとうございました」とか言っているのだ。店舗統廃合ですかそうですか。今後は近隣の店舗でってあーた。僕もう走れないです。
 親切なナビくんも店舗の閉鎖までは把握しておられなかったようで、グーグルマップで充電ステーションを探す。ここから2.3キロメートルの場所にライフ川崎京町店がある。そこには充電ステーションがあるようだ。閉店していたらどうしよう。充電器が作動しなかったらどうしよう。不安がよぎる。
 そうだ。念のため電話を入れよう。しかし電話に出た店の方は充電ステーションの存在をご存じないようで、らちが明かない。最悪の場合、ライフの駐車場でJAFを呼ぼう。今年最大の賭けに出た。
 日産の店舗からライフまで2.3キロメートル。まさしく薄氷を踏む思いでそろそろと慎重に走る。
 果たして到着時の残量は1%であった。 

 

まさかの残量1%。0になったら本当にその場で止まってしまうのでしょうか。 

 

 そして充電器は正常に作動するのであった。
 ありがとうライフ。命拾いをしました。 

ライフさんありがとうございました。命拾いしました。草刈りしたほうがいいと思います。     

 

 サクラの充電受け入れ容量は30kWh。これ以上ハイパワーの高速充電器を使っても、受け入れは30kWhが最大値である。1回の充電で入れられる量はしれている。家か職場に充電設備は絶対に必要であると考える。近場だけと割り切るティーコミューターとして使うなら、これ以上に優れたクルマはあるまい。しかし遠出はイカン。「充電難民」は本当につらいのである。 

 

 それではサクラの○と?を 

 

日産サクラのここが( ・∀・)イイ!! 

 

1:夢の走行性能:軽自動車をはるかに超える素晴らしい走り。軽の皮をかぶった普通車。軽の皮を被った高級車と言って差し支えない。 

2:イケてるデザイン:素直にカッコいい。フロント周りが特に良い。 

3:センスの良い内装:高額なモデルだからでしょうか。シンプルでありながら高級感あふれるインテリア。シートも疲れない。表皮の触感も良い。 

4:高額補助金練馬区とかで買うと100万円ほども出るそうです。すんごいバラマキ……不公平だとお怒りの方はサクラを買って補助金をもらう立場になりましょう。 

 

日産サクラのここはちょっとどうもなぁ…(´・ω・`) 

 

1:イマイチ信頼できないバッテリー残量計:急に減り過ぎです。怖くて信用できません。 

2:イマイチ信頼できないナビ:閉鎖した店舗を表示するのは勘弁してください。本当に泣きそうになりました。 

3:不安定なエアコン:なかなか温度が上がらなかったり、急に暑くなったり不安定。要改善。 

 

 ということで来週は開発者インタビューをお届けします。お楽しみに! 

(続く)