カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(21)

日産としては、 

・軽でも動力に余裕を持たせる。 

・手ごろな価格の実現。 

・乗って楽しいこと。 

・長距離移動には「NissanConnect」を提供。 

 

などの消費者の不安・不満を払拭する手立てを講じているため、販売は好調のようだ、と話している。 

 

日産「サクラ」開発責任者、売れている理由は「価格と走り」 

木村 雅秀 日経クロステック/日経Automotive 2022.10.26 

 

 軽自動車タイプの電気自動車(EV)が売れている日産自動車軽EV「サクラ」の開発を指揮したNissan 第二製品開発本部 Nissan 第二製品開発部 第二プロジェクト統括グループ セグメントCVEの坂 幸真氏は「軽EVを契機に日本のEV市場本格的に立ち上がる」と指摘する。2022年10月21日にオンラインで開催された「日経クロステック EXPO 2022」の対談企画で語った。 

 

日産「サクラ」の開発を指揮した坂幸真氏(右)。モデレーターは日経Automotive編集長の木村雅秀(左)が務めた(出所:日経クロステック EXPO 2022の配信をキャプチャー)[画像のクリックで拡大表示] 

    

 

 サクラの累計受注台数は2022年8月末時点で2万8000台を超えた。好調の理由は、手ごろな価格でありながら、軽自動車の常識を超える195N・mという高トルクを実現したことにある。195N・mは軽エンジン車「デイズ ターボ」の約2倍に当たる。軽の非力さに対する不満を払拭し、高速道路の合流場面など、さまざまなシーンで余裕を持って走れるようになったことが高く評価された。 

 

日産「サクラ」の走行シーン。軽自動車の常識を超える195N・mの高トルクによって余裕のある走りを実現した(出所:日経クロステック EXPO 2022の配信をキャプチャー)[画像のクリックで拡大表示]      

 

 手ごろな価格を実現するため、電池容量をあえて20kWhに抑えた点も大きい。WLTCモードでの航続距離は180kmと短いものの、日産のガソリン車ユーザーの半数以上は1日当たりの走行距離が30km以下であり、普段の利用シーンでは問題になりにくい。苦手とする長距離移動に対しては、コネクテッドサービス「NissanConnect」を活用し、充電ポイントを考慮したルートを提案する。また、エアコンの冷媒を用いた電池の冷却システムによって、急速充電時に電池の温度が上がりすぎないようにした。 

 

日産のガソリン車ユーザーの半数以上は1日当たりの走行距離が30km以下(出所:日経クロステック EXPO 2022の配信をキャプチャー)[画像のクリックで拡大表示]       

 

 電池以外にも部品の共用化によってコストを下げた。例えば、195N・mの高トルクを発生させる駆動モーターには、日産のシリーズ式ハイブリッド車(HEV)「ノートe-POWER」や、三菱自動車プラグインハイブリッド車(PHEV)「アウトランダーPHEV」などに搭載する小型モーターを使った。プラットフォームも軽エンジン車「デイズ」と共通にすることで開発コストを抑えた。「デイズのプラットフォームを企画する段階からEVを想定していたからこそ実現できた」(坂氏)と振り返る。 

 

 日本の新車市場で約4割を占める軽自動車でEVが受け入れられていることは大きな意味を持つ。これまでEVは「エコ」「環境」という文脈で語られることが多かったが、サクラでは「乗っていて楽しい」というクルマとしての魅力が評価されている。充電インフラの整備など、いまだに多くの課題は残るものの、軽EVを通じて多くのユーザーがEVの魅力を知れば、日本でもEVが普及する可能性は十分にありそうだ。 

 

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02218/102500019/?n_cid=nbpnxt_mled_dmh 

 

 

日産の軽「サクラ」は、価格を抑えるために、バッテリーは20kWhで走行距離は180kmに抑えている。180kmであれば、ほぼ一週間は軽EVを乗り回せる、と日産は踏んでいるのである。しかも一日当たりの走行距離も94%が180km以下であるというデータからも、そうしたようだ。 

(続く)