ALPS処理水放出と習近平の凋落(27)

先にALPS処理水放出に過剰反応する理由を五つ上げおいた。 

 

次の五つである。 

 

(1) 中国の美しい環境を汚染する日本は悪い国で、中国は良い国だと宣伝 

 

(2) だから日本国民も岸田政権を批判、政府と人民の分断を画策 

 

(3) 中国の海が汚されると喧伝し、人心を外に向けさせている 

 

(4) 中国経済は極端の悪化しているため、人民の怒りを日本に向けさせる 

 

(5) 王毅外相の戦狼外交と経済外交を重視する李強首相との権力闘争の面もある。 

 

 

この(4)の人民の怒りを日本に向けさせるには、この処理水の放出は丁度良い道具になると(中国政府は)判断したのである。だから、安心・安全な科学的なデータがあるにも拘らず、中国国内ではそのことを完全に隠蔽して、人民を焚きつけたのである。 

 

そして正しい情報から隔離された若者たちが、日本に馬鹿電話を盛んにしてきたのである。これも、中国政府の差し金である、と推定されるものである。中国政府の息のかかった工作員が、若者たちを焚き付けたものであった。 

 

だから、習近平政府はこのこと(馬鹿電話)を止めなかったのである。止めるどころか(政府の工作員たちが)多分、手取り足取りして若者たちに推奨して回ったのである。 

 

いわば中国共産党政府の演出であったのであろう。そのようにして、人民の不満を中国共産党政府に向かわせるのではなく、日本へ向かわせたのである。 

 

と言った論考があるので、次の載せる。ご一読願う。 

 

 

 

処理水放出、なぜ中国だけが怒り狂う? 日本叩き「真の狙い」とは 

Behind the Bashing 

2023年9月5日(火)13時30分  練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者) 

 

<日本に難癖をつけようと事実を無視して、メディアを統制し庶民の怒りに火を付ける動機> 

 

処理水の放出に反対するデモ(香港、8月23日) TYRONE SIUーREUTERS          

 

「歴史は巡る」と言われるように、中国4000年の歴史にも周期的な変化がある。王朝のサイクルは「朝代更替」、良い統治と悪い統治のサイクルは「治乱循環」と呼ばれる。そして1949年共産党の統治が始まってからは反日感情の高まりが周期的に繰り返されるようになった。 

 

コンドーム禁止論に新手のラジオ詐欺... 中国について日本人が知らない4つのこと【注目ニュースを動画で解説】 

 

最近では2012年に日本が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化したことをきっかけに反日ムードが高まり、BBCの14年の世論調査では日本が嫌いと答えた中国人は過去最高の90%に上った。 

 

その後に事態は多少改善したものの、今また同じような騒ぎが繰り返されている。きっかけは福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を中国政府が激しく批判し、日本産水産物の輸入停止にまで踏み切ったことだ。 

 

もっとも過去の日本たたきと比べ、今回の騒ぎは異質さが際立つ。中国政府は通常、地理的・歴史的な「根拠」や古文書の記載などに基づく自国の解釈を「動かしようのない事実」と主張し、国内外でプロパガンダを繰り広げて、国民の怒りや憎悪をあおる。 

 

ところが今回は日本政府の海洋放出を「無責任」と断じるばかりで、処理水の安全レベルという肝心要なポイントについては、ひたすら事実を無視するか曖昧にしている。IAEA国際原子力機関)の調査団が検証を行い、処理水の放出は「国際的な安全基準に合致」し、人や環境への影響は「無視できる程度」と結論付けたにもかかわらずだ。 

 

中国政府はなぜ今回、「事実」をめぐる議論を避けているのか。今の騒ぎの異質さを深掘りすると、中国人の反日感情の深層が見えてくる。日本バッシングが中国の庶民にもたらす効能、中国の社会政治体制に果たすその機能、さらには中国の支配層がさまざまな問題を口実にして反日感情をあおり、利用する巧妙極まりない手口も......。 

 

<官制NGOが運動を主導> 

 

中国の社会政治体制は古代から今に至るまで極端なヒエラルキー型の硬直的なシステムだ。毛沢東時代には誰もが「人民服」を身に着けていて、外国人の目にはいかにも平等な社会に見えたかもしれない。だが、その人民服でさえ縫製や素材などに細かな共産党の規定があり、中国人が見ると着用者の政治的地位が一目で分かったものだ。 

 

これほど徹底した階層社会では、当然ながら階層の上位者が下位者を経済的に搾取し、肉体的・心理的な虐待を加える。マルクス主義が想定するのは資本家と労働者の2つの階級だが、中国社会はさらに抑圧的でありながら、安定している。各中間階層で個人は抑圧者であると同時に被抑圧者だからだ。 

 

(続く)