ALPS処理水放出と習近平の凋落(60)

中国政府は統計数字を捏造する裏で、正しい経済政策を施して行こうとしているのであれば、まだ救いがあると言うものであるが、そうでなければこの書籍に書かれている様に習近平中国経済を崩壊させる」ことになってしまう。 

 

そう言うことになると、中国経済どころか「世界経済」までもが危うくなってしまう。 

 

 

 

中国経済「実質5.2%成長」の大ウソ…インフレに苦しむ世界経済から隔絶された「デフレ怪現象」をどう説明するのか? 

朝香 豊経済評論家   2024.01.16
 

2024年の中国経済 

本の調査機関による中国経済に関するレポートには、相変わらず落胆させられる。 

 

例えば、財務省の「中国研究会」が12月14日に発表した「中国経済の現状と経済政策の動向」というレポートには、2023年1-9月期の中国の1人当りの可処分所得が前年比実質で5.9%増加、1人当たり消費支出も前年比実質8.8%増加、文化・娯楽支出に至っては41.8%も増加し、GDPが実質5.2%の成長となった旨が記載されている。 

https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/china_research_conference/2022/202302-3.pdf 

 

7月以降、習近平政権が経済へのテコ入れ政策を次々に打ち出し、その成果が出ているとの見方だ。中国の公式発表に対して疑いを差し挟むことをせず、これをわかりやすくまとめることだけに注力してレポートをまとめているのである。 

 

Gettyimages   

 

中国経済が本当にこの通りで、個人所得が増えて消費支出も堅調に伸びているとしたら、インフレに苦しむ世界経済から完全に切り離されたかのようなデフレ現象が中国だけに現れるわけがない。そうした疑問を「中国研究会」は全く持っていない。 

 

この点では民間のシンクタンクも実は大差ない。名前は敢えて伏せるが、中国経済について「消費喚起策や金融緩和などの政策効果に支えられ、景気の失速は回避されている」などというレポートを今年に入ってから発表しているところもある。 

 

では、実際の中国経済は今、どんな状態なのだろうか。ブルームバーグは、中国の小売ブランドで価格戦争、つまり激しい値下げ競争が勃発したことを伝えた。 

 

記事では、中国の目抜き通りでは衣料品から化粧品に至るまで割引や特別セールの宣伝が行われているとか、アリババ傘下の食料品チェーン「フレシッポ」が、10月に5000品目以上の値下げを発表したとか、世界で多くの中央銀行がインフレ抑制に注力している一方で、中国の中央銀行である中国人民銀行は金融政策を利用して物価を押し上げようとしていることなどを取り上げている。 

 

こうした低価格競争が2024年の中国経済の鍵となるトレンドだと予測されることを記事は指摘している。所得も消費も順調に増えている経済ではないことは明らかだ。 

 

公務員の給料が払われない 

 

そもそも中国の地方政府は財政難からリストラに踏み切っている。地方政府は長らく土地利用権の売却益で濡れ手に粟の多額の収入を得てきたが、不動産バブルの崩壊によって土地利用権の売却益収入が見込めなくなっているのだ。 

 

昨年3月に中国当局は、財政難服のための「機関改革案」を発表した。そこには、人員数を適正規模にしなければならないということが出てくる。例えば、中国の都市では副市長が30人から50人もいるのはよくあることだが、そんなにいらないから削ろうという話だ。 

 

いらないポストはなくせ」というのは、ある意味当然であり、やるべき改革だと言える。しかしながら、人件費削減の動きは、そういう当然のところにだけ向かっているわけではない。公務員の給料が削られ、さらには支払われないということさえ多発しているのだ。 

 

例えば、昨年9月、山東省菏沢市の公立病院「第二人民医院」で、支払われていない8ヵ月分の給料を払ってくれと職員たちがデモ行進を行った。また昨年末には四川省遂寧市の漢方の専門病院で、「給料を払わないと、ビルから飛び降りるぞ」というデモンストレーションが行われた。 

 

 

 

10人くらいの職員が、いつでも飛び降りられそうな感じで窓にしがみつき、外の通りを歩いている人から「なんだあれは!」と注目されるようにしたのである。多くの人がその様子を動画に撮り、SNSに載せたことから広く知れ渡った。 

 

ゴミ清掃員の給料が止まり、清掃員のストライキで、街中に「ゴミの山」が出現したこともSNSには上がっている。また、安定した職業だと思われる電力会社の社員ですら給料の支払いが止まり、デモを行っている。 

 

 

 

天津の国営の路線バス会社は給料を6ヵ月支払っておらず、さらに会社が医療保険料の支払いもしていないせいで、運転手たちが医療保険の適応を受けることもできなくなっている。このため必要な薬などについても、各自が全額自費で買わなければならなくなっているのだ。 

 

給料が止まって、医療保険が止まっているだけではない。なんと退職後の年金の支払いも止まるということが頻発している。 

(続く)