ALPS処理水放出と習近平の凋落(59)

公式統計はもともと信用性に欠けるが 

 

こうした厳しい経済状況の真っ只中、12月11日、12日に、中国共産党中央経済工作会議を開催した。毎年年末に開催されるこの会議では、翌年の経済政策の方向性が指し示される。 

 

ところで、この中央経済工作会議に関して、国家安全省から異例のメッセージが発せられたことが報じられた。 

 

SNS上に「中国経済を貶めるさまざまな常套句が次々に登場するが、その本質は『中国の衰退』という嘘の言説を作り上げ、中国の特色ある社会主義体制を攻撃し続けることにある」と国家安全省は捉え、「国家安全保障を危うくする違法行為や犯罪行為を断固として取り締まり、処罰する」方針を示したのである。 

 

中国政府の公式見解では、中国の景気は回復途上にあることになっているが、中国のインターネット空間では、これに異論を唱える言論が溢れていた。今後はこうした言論を、違法行為、犯罪行為として取り締まり、処罰するとの方針が、国家安全省から出されたのだ。 

 

実際、11月、「中国資本市場関連制度はまだ完璧ではない」とし、中国の株式市場に投資するなと主張した劉紀鵬氏の言論がSNS上で封じられたことが伝えられている。 

 

劉紀鵬氏は中国政法大学資本金融研究院院長で、中国の『証券法』『企業国有資産法』『証券投資基金法』『先物取引法』の条文作りにも関わった、中国を代表する金融のプロだ。こうした体制側を支えてきた人物から発せられる言論であっても、もはや許すことはできなくなっているのが中国なのだ。 

 

今年4月にアメリカの調査会社「ベイン&カンパニー」の上海事務所に中国警察が事情聴取に入り、IT機器を押収したたことが話題になった。「ベイン&カンパニー」は2月に「中国贅沢品市場報告」を発表し、中国贅沢品市場は前年同期比10%下落したとのレポートを出し、中国経済へのネガティブな印象を伝えていた。おそらくこれが中国政府の怒りを買ったのであろう。 

 

中国の公的な情報はもともと信用性に欠けるが、それを具体的に指摘すると取り締まりの対象になるという実に歪んだあり方を、今回、合法化したのである。こうなるとますます、中国の公的な情報の信頼性は落ちていくことになるだろう。 

 

中国経済についてなるべく正確な情報提供をしようとするなら、もはや公式統計の数字を前提にした報道はやめるべきではないか。シンクタンク系の中国経済ウォッチャーには、中国経済の見方を抜本的に改めてもらいたいと願う。 

 

   

 

 

https://gendai.media/articles/-/122233    

 

 

 

中国政府が発表する公式統計・・・・・明らかに信用できない」と、この論考は述べている。 

 

中国経済は順調で個人消費は順調に回復していると、公式統計上はなっているようだが、実態はそうではない。多くの飲食店やスーパーが閉店に追い込まれている事実が、そのことを物語っている。 

 

中国は昨年2022年の経済成長率を3%だと発表したが、そんなわけはなく、マイナス成長だったのは明らかだ」と米国の調査会社の創業者は結論付けている。 

 

事程左様に中国の公式統計数字はあてにならないのである、というよりも当局のによって捏造されているので、あてにならないどころか、全くの虚偽数字だったのである。 

 

しかもそのことを指摘すると、国家安全省は「国家安全保障を危うくする違法行為や犯罪行為を断固として取り締まり、処罰する ことになっているというではないか。 

(続く)