番外編・プリウス急加速問題(57)

この最大の理由は、失業率が10%まで増え、殆ど減る気配が無い上、向こう

二、三年間は一千万から一千二百万人の失業者であふれ返ると予想されてい

るからだ、と言う。オバマ大統領は景気を回復させると言って、公式には発表は

されていないが、300兆円が投入されている。しかしこれはデトロイトやゴールド

マン・サックスなどの金融機関を助けるもので、アメリカの企業活動を盛んにし

雇用を増やす事には有効に使われなかった
。もしもこれらの大企業の経営者

が雇用を増やすために国内で企業活動を増大させるために使っていたのなら、

雇用は劇的に増加していたであろう。しかし彼らはそうはしなかった。アメリカの

大企業は帳簿上では潤沢となった費用を儲けのあがる海外での事業に投資

し、利潤を上げたのである。だから大企業は儲けを出しているものの、国内の雇

用や産業の拡大は見られなかった
のである。そして日高氏は次のように述べ

ている。

        
オバマ大統領の行った景気回復策の最大のものはデトロイトに対する援助で、

クライスラーとGMに巨額な経済援助を与えている。しかしその二つの企業とも

海外事業に投資を行い、国内での活動を全く強化していない。

GMは政府から得た資金によって中国とメキシコに工場を作り、安い労働力を

使って利益を上げ、久しぶりに営業黒字を増やしている。クライスラーは政府資

金で立ち直り、その経営権をアメリカの自動車労働組合UAWが手にしてしまっ

たが、その経営権の移転に当たってオバマ政権は徹底的に、クライスラーに債

権を持っている子会社や関連企業、更には痴呆の金融機関をいじめ、クライス

ラーが負っていた借金を下請け企業には全く支払わなかった。そしてその債権

をめくって下請け企業など中小企業や地方の中小金融機関がクライスラーに訴

訟を起こしたが、オバマ大統領はホワイトハウスの記者団を使って、経済至上

主義の業者達が政府資金を食い物にしようとしているなどと非難した。

オバマ大統領にデトロイト回復政策は大企業のGMやクライスラーに政府資金

を与え、海外での活動を強化し、利潤を増やしただけと言うことになった。・・・・・・

GEなどは生産拠点を海外に移して利潤を追求し、国内の生産施設を強化しよう

とはしなかった。

・・・・・・・・・

アメリカの金融業会に対する援助も全く同じことで、銀行の体質を変える努力を

せずに、不良債権だけを政府の金で処理した結果、アメリカの大銀行や金融機

関は失敗したビジネスを政府に処理してもらったと言う事で片がついてしまった。

つまり体質改善や金融活動の透明化、正常化などは全く行わないまま破産する

事を免れたのであった。]

    
   
要は「サブプライムローン」と言うアメリカの金融機関が支払い能力の無い人々

資金を貸し付け、住宅を買わせたことに端を発する。しかもその個人の住宅

資金借り入れ債権をゴールドマン・サックスなどの大金融機関が証券化して世

界中に売りまくった結果、一大危機が発生したのだった。


景気が悪くなり給料が下がったり失業したりした住宅ローンの債務者達は、返

済に窮することとなり、住宅ローンの返済を基礎とした債権が不良化し始め、あ

らゆる金融債権が危険と化し金融界がパニックとなったのである。そのためそ

不良債権オバマ政権が買い上げたわけで一旦は市場は安定した。だから

オバマは金融業会を救い景気を安定化させた、と威張っているのであるが、しか

し問題はこれから発生するのである。


現在失業率は10%をくだらないと言う。新しく失業した人達は住宅ローンが、

多分支払えなくなる事であろう。そうなると今はまだ優良だと見られた債権は、

不良化する。すると更に金回りが悪くなり、景気が悪化し失業が増える。いわゆ

る悪循環となるのではあるまいか。従ってアメリカの住宅の値段は一年で27%

も下がっていると言う。住宅の値段も上がらずに、しかも新しい住宅建設も下降

線をたどり、景気が悪化し住宅貸付金の返済が滞りアメリカの金融機関の危機

はこれから必ず始まると、日高義樹氏は予測している。オバマも11月の中間選

挙があるから気が気では無い。

             

P1.2アメリカで、さらに数年は失業者増加の見通し
2010/02/22 Monday 14:56:22 IRST    Japanese Radio

アメリカの新聞ニューヨークタイムズが、「アメリカでは、今後数年にわたって失

業者数が増え続けるだろう」と報じました。

ニューヨーク・タイムズは、「アメリカでの失業者のうち数百万人は、今後数年間、

依然として失業状態が続き、貯蓄を手放すことになるだろう」と報じています。

各メディアはこれ以前に、アメリカの現在の失業者数は1700万人に上り、同国

内の失業率はおよそ10%と発表していました。

ニューヨーク・タイムズはさらに、「快適な中流の生活に慣れていた人々は、今後

数年間生活全般において公的扶助に頼ることになるだろう」としています。

アメリカ労働省の統計によりますと、連邦議会オバマ大統領による生活保護

支援対象者の拡大法案を可決しなかった場合、270万人の失業者が、公的扶

助を受けられなくなると予想されています。

http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&task=view&id=11074&Itemid=54
(続く)